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聴いてる音楽についていろいろ。20050619に雑記カテゴリーから独立。

2024年12月05日

ストレイテナー@ペニーレーン24、観てきた!

ストレイテナーのワンマンライブ 11/30(土)札幌ペニーレーン24、に行ってきた! よかった!

前日はあいにくの雪だったので、自転車で行くのは断念して、地下鉄東西線で琴似まで行ってきた。

Sold outになっていたので、これはだいぶ混雑するに違いないと思った。ストレイテナーは日本武道館でも3回やってるアリーナバンドなので。

ということでいつもよりちょっと早めに向かうつもりだったのだが、なんだかんだで開演35分前くらいに到着。この時点で会場の真ん中より後ろ、2/3くらいの位置だろうか。数えてみたら、自分のいるところは前から10列目くらいなので、いいかんじに場所を確保することが出来た。

開演の段階でもいちばん後ろにはスペースが少しあったし、そんな過密にされることもなかった。

(ブルスカに書いたけど、9月の羊文学 Zepp札幌のときは、sold outでもないのに大混雑で、開演ギリギリに到着した私は会場の最後尾で、ぜんぜん演奏も見えない状況だった。気分がバッドに落ちた私は、サブカルらしく途中でライブ会場から退出したのだった。サブカルらしく(大事なことなので二度書いた)。あれはクソな体験だった。Zepp札幌はクソ。)

そういうわけで、ストレイテナーsold outのニュースで危惧したのだけど、ペニーレーン24はそんなに詰め詰めにしなかったのでよかった。ありがとう、ペニーレーン24。


でもって肝心のライブのほうだけど、素晴らしかった。曲のラインナップについてはあらかじめ今回のツアーのセトリを調べて、Youtube musicで再生リストを作って、予習してあった。

でもこのバンドは20年以上の歴史があって持ち曲がたくさんあるうえに、ツアーの間でも毎回演る曲を変えてくる。今回の札幌公演では、初期作品である"Play The Star Guitar"を演ってた。イントロが始まったときに、観客がその日最大の反応をしていたので、みんなよくわかっていてすごいと思った。私が未聴の曲はそれだけで、あとはわかった。

予想通り、ライブで聴くと、ベースの音がすごくいい。あと、ベーシストがライブ中ずっとすげー楽しそうに演奏していて、自分の見せ場が来ると観客も湧く。メロディアスな曲が多いのだけど、リズム隊が強いのでバランスが取れている。

サビに来ると観客がみんな手を上げて反応するのだけど、自分はアレが好きでない。というか自分のような大きい人間が手を振り回すと後ろの人が見えなくなるので、やらない。いつも通り全身を揺すって、バックビートに体を委ねていた。(なにこの表現?)

そうして体を揺らしていると、自分が今日まずい選択をしていたことに気づいた。途中が雪道だったので、防滑のゴツい靴底の靴で来てしまったのだ。

そういうわけで、前半1時間での激しい曲の連続で、足の裏が痛くなってきてしまった。しかしそのあたりでMCが始まった。これまで札幌で観てきたバンドはだいたい口下手な感じの人達だったが、ストレイテナーはけっこうこなれていた。「インタビューでインタビュワーがアラフィフを擦ってくるので、抵抗したよ」みたいな話をしてた。

ここから(「インビジブル」から)バラードが続きますとアナウンスがあって、観客もクールダウン気味に、私の足腰もそこで回復の時間を取ることが出来た。あらためて思ったけど、ニューアルバムの曲もいい曲が多くて、ヒット曲とニューアルバムの曲で観客の反応が違う、みたいな展開にはならなかったと思う。

それでいよいよ後半は「叫ぶ星」からアップテンポな曲が再開。(ボーカルが「大きい音が出るよ」と親切アナウンス。)

ラストのシングル曲連発の部分に"Skeletonize!"も違和感なく混ざっていた。「COME and GO」「シーグラス」「Braver」「Skeletonize!」ここまでの流れはツアー中でも固定のようで、そのあとは毎回選曲が異なるようなのだけど、そこで「From Noon Till Dawn」「羊の群れは丘を登る」をやってくれたので満足。(「Melodic Storm」はなかった)

アンコールで2曲演って、ラストは「Uncertain」。これは今回のツアーで固定のようだけど、終わりの曲感があって良い。(ニューアルバムでの最後の曲)

というわけで17:00開演、19:05終了でトータル125分演ってた。私の足腰もギリギリ保った。オールスタンディングで2時間は限界だな。ということで、次回の課題はジョギング用のスニーカーで来ることを忘れないことだった。

会場は男性・女性の比率が50%-50%くらいだろうか。声援を挙げているのはだいたい男で、野太い声が飛ぶのだけど。

終演後に観客が捌けるのに異様に時間がかかったので、わたしは足腰のストレッチをしながら待っていたのだけど、階段まで来たら理由がわかった。なんか今回のイベントに関連するQRコードが壁に貼ってあって、通る人がみなそれをスマホで撮影するからだった。あれは運営側の段取りが悪い。

以上、気づいたことをぜんぶまとめてみた。

今年行ったライブのまとめ:


2024年09月11日

XTCについて + Zappaについて

XTCについて

(20240216) XTCのAndy Partridgeがこれまでの曲についてギターを弾きながら解説してくれるインタビュー動画。なにもかもすごいけど、その4にわかりやすいところがあったので紹介。

(いくつか観たカバーバンドが)みんな間違えてるって言って紹介したのが、"The Ballad of Peter Pumpkinhead"のヴァースのコード。ここはD-Gだと思われているけど、じつはGではなくてG69 (32223X)だと。(Andyは自分で発明したつもりだったけど、後日ブラジル音楽でよく使われるコードであることを知ったという。

Respectable Streetのヴァースの2つのコードも解説されてる。これもB-C#7と解釈されているかと思うが、実際に弾いているのは

79987X- 98907X
B - C?(1-3-b5-b7-11)

という謎コードだそうな。

そういうわけで急にXTC熱が復活したので、"Complicated Game"のコードを拾ってみた。

XX5033 G(-3)
XX4032 GM7/F#(-3)
XX4532 D7
XX445X Bsus4(-3)
XX444X B
XX555X C
XX777X D
XX4032 GM7/F#(-3)
XX5033 G(-3)

Andyは3弦の開放弦gを鳴らすのが好き、3度を削って調性を曖昧にしてる、から推定するとたぶんこんな感じ。C-Dのところでは(曲の全体通して)意図的にベースが鳴ってないので、C/B-D/Bと解釈するのがよさそう。

"Complicated Game"はアルバム"Drums And Wires"の最後の曲。はじめはギター一本と病んでるボソボソ声でスタートするのだけど、最後のヴァースでは絶叫するボーカルにディレイを掛けてぐちゃぐちゃになってフェードアウトする。どうするんだこれって雰囲気で終わるので、この曲をアルバムに配置するならたしかに最後に置くしかない。

世界は複雑系であり、自分の意志でなんとかしようとしても世界の構造の中で毎度の結末へと引きずり込まれる、という正しくも悲しい歌詞に打たれる。

この曲を歌いたいんだけど、ギター弾き語りにはまったく向いてない。スマホ持ち込みでカラオケルームで絶叫するか。

アンディ・パートリッジのインタビューを読むと、彼が音-視覚の共感覚を持っているという話が出てくる。

(作曲で歌詞と曲どっちが先かと聞かれて)「いや、パターンはない(略) ただコードをいじっているだけで、海とか雲とか箱とか、何かを暗示することもある。その点に関しては、私はちょっと共感覚的なんだ。音を聞いて、"おお、これは霧のようだ "とか、"11月の雨の日のようだ "とか思うことがある。多くの場合、歌詞が生まれるのは、そのコードや和音の共感覚的な性質、つまりそのコードが描いている絵を説明しようとしているからなんだ。
「イースター・シアター」がそうだった。土のようなコード、茶色く濁った、上昇するようなコードが、「これは何かが地面を突き上げるような音だ。
楽器の音色が何かを暗示することもある。"Chalkhills and Children "のオルガンの音色のように。冒頭の小さな鍵盤の音は中世的で土俗的な響きだと思ったが、その前の穏やかな高音の和音はまるで浮遊しているような響きで、大地の上を漂っているようだった。いつの間にか、この曲が何について歌っているのかを推論しようとする私の精神的な把握が、歌詞になっていたのだ。」

Zappaについて

上記のAndy Partridgeインタビュー動画の聞き手のChanan Hanspalさん。この人のYoutubeチャンネルには膨大な動画があって、とくにザッパへの言及がすごい。

でもその内容が現代音楽的な話なので、ぜんぜんついていけない。(「ピッチクラス・セット理論」というのに言及していて、このへんから調べるとよさそうだが。)

いくつか観てたら、ザッパの音楽の分析で博士論文を書いたって言ってた。

別の人によるこの動画は私にも分かる内容だった: "Frank Zappa's Favorite Chord Progression"

ザッパの典型的コード進行として、Black Napkins進行というのがあると。

C#m7 (C# dorian) - DM7 (D lydian)

これはなるほどと思った。ザッパのギターソロとかメロディーは、あるときはドリアンで、あるときはリディアンだったりするのは別資料で読んでた。コード進行でスイッチしてたのか。動画では"modal center switching"と表現している。


2024年08月17日

ライジングサン2024、DAY1 8/16(金)、行ってきた

(20240816) ライジングサン2024、DAY1 8/16(金)、行ってきた。すげー満喫した。2022年に初参加で今回が2回目。

前回についてのメモはこちら。ナンバーガールが目当てで行ったら、二度目の解散宣言に遭遇したのだった。


今回も自転車でアクセスして、泊まりは無し。これで過敏性大腸炎に対処。じっさい、トイレは並ぶけど回転が早いので、不便はなかった。凍らせた500mLペットボトル4本(うち凍らせたやつ2本)を持っていったけど、これで正解。凍らせたやつは3つあってもよかった。背中に突っ込んで体を冷やすのに使った。酒は飲まない。これでトイレ対策はできた。

行き帰りのバスのために長時間並ぶのは自分にとって地獄(トイレで離脱できない)なので、自転車で15kmを往復。片道1時間弱。パンク応急処置セットは持参したが、最悪歩きでも帰れなくはない距離。

だいぶ様子がわかってきたので、そろそろ次はテント泊にチャレンジしたい。


けっきょく、DISH//(まんなかあたりをちょっと) -> 羊文学 -> 緑黄色野菜 (はじめの一曲だけ) -> syrup16g -> Vaundy -> THA BLUE HERB (最後の2曲だけ) という順番で参加。


DISH// についてはまったく知らなかったけど、逃げ若のOP「プランA」の人だった。偶然だったが、生で聴けてラッキー。EARTH TENTは人が溢れていたのでぜんぜん演者は見えなかった。


そのままRED STAR FIELDの羊文学へ。ほぼ正面で待機(写真)。リハでバンドメンバー3人が出てきて「ロマンス」をフルコーラスやってた。出てきたときはMCなんもなしだったので、周りでは「あれ本物?」とか言われてた。いったん引っ込んで、定刻通り本番スタート。


ライブはスゲーよかった。セトリはこちら。livefans

一曲目の「光るとき」はインストのショートバージョン。歌メインのバンドだと思ってたけど、三人でジャムってるときの音がスゲーよかった。もっと聴いてたかった。あとベースの音が好き。ギター弾いてないときでも、ベースとドラムで空間が埋まってたので、あれはベースの寄与が大きい。

ノイジーなギターサウンドの割に歌声がスゲーよく通って、ボーカルがすごいいい。シューゲ的な、ギターにボーカルが埋もれるような音ではなかった。そういうミキシングなのだろう。(あとでシロップ聴いた比較でそう思った)

途中MCで「今度のライブに来ない人?」と手を挙げさせていた。誰も手を挙げなかったら「本当に全員来るなら、チケットはもう売り切れてるはずだけど」と(言い回しはうろ覚え)。

てっきりzepp札幌はもうsold outかと思ったけど、帰ってすぐ確認したら、札幌だけまだチケット残ってた(他の会場はsold out)。そういうわけで、即チケットを購入した。9/13 zepp札幌、楽しみ。


そのあとの緑黄色野菜はすげー参加者多かった。会場から人が溢れて、べつの会場からどんどん人が集まってくる。写真は開始2分前の状態。


「サマータイムシンデレラ」だけ聴いて、EARTH TENTのsyrup16gに向かう。


EARTH TENTに到着したのがsyrup16g始まる25分前で、すでに前の方には熱心なファンが集合している(写真)。


リハではドラムとベースだけ出てきて、けっこう長めに演奏してた。ギタボが出てこないのは、なんか解釈一致。

んで本番だけど、曲目がフジロックとまったく違う。重複ゼロ。 セトリはこちら。livefans

ライブとしてはとにかく五十嵐が主役で、それをみんなで見守るって感じだった。エレカシで宮本に釘付けになるのとある意味似てるかも。(他の面ではいろんな意味で違うのだが)

「根ぐされ」ではフルアコに持ち変えてた。

これで今日の目標を達成したので満足。


最後にSUN STAGEのトリのVaundyへ。会場入口の物販でもここだけ大行列で、すげえ人気なのは知っていたが、正直自分の趣味ではないので、せっかくだから聴いてみようくらいの気持ちで参加。(とはいえROCK IN JAPANのセトリで予習してみたら、ドラマやアニメのOPですでに知ってる曲が多かった。)

開始30分前に行ったのだけど、すでに会場は多くの観客で埋め尽くされてた。ほんとうは飲食ブースでなんか食べ物かってゆっくりするつもりだったが、あっという間に会場が埋まりそうだったので、可能な限り前に進んで待機(写真)。


んで、本番は最高だった。セトリはROCK IN JAPANとまったく同じで、ヒット曲メドレー、出し惜しみ無し。livefans

会場もみんなでシンガロングしてて、わたしもその場で覚えて歌った。というわけでVaundy、今日イチだったわ〜

YoutubeでPV見たりするのよりも、ライブで経験するほうがよかったという意味でも印象深い。(いまPV見返しても、ライブのほうがよかったと思う)

「恋風邪にのせて」はちょっとおっさんホイホイすぎないか?トレンディドラマかっていうの。まんまとどハマりして、いまアコギで弾き語りの練習をしてる。


そういうわけで、たいへん満足して帰り道に向かったのだけど、入口近くのdef garageでやってるTHA BLUE HERBがまだやってたのを見つけて、そちらに参加。プログラム上は22時終了だけど、22:21までやってた(メモってある)ので、ラスト2曲くらい参加できた。もうへとへとだったのだけど、BOSS THE MCが振り絞る言葉で元気が回復してきた。


入口を出ると、時間は22:25(写真)。さらばライジングサン。また来年。


帰りはゆっくり自転車を漕ぐつもりだったのだけど、なぜかテンション上がってしまって、ノンストップで15km/40minを達成してしまった。何度か麻生駅までのシャトルバスには追い抜かれたけど、夜の車通りの少ない街を走るのは気持ちよかった。

北18条まで戻ってきたので、あとはクールダウンのためゆっくり漕ぐ。24時までやってるスーパーで買物をして、家に到着したら、ギリギリ24時前だった(写真)。



そんなこんなで今日はすっかり筋肉痛というか疲労で自分が使いものにならず、論文読みも進まず、だらだらと居眠りしたり、こうしてライブレポとか書いて一日が終わってしまった。でもまあ、いい休日だった。


来年の自分のためにgoogle mapでマイマップを作っておいた。

札幌から自転車でライジングサンに行くには、337号線(日本海オロロンライン)を横断する必要がある。しかし横断歩道のある場所は限られているのが難点。

行きは樽川7番通から横断歩道を渡るのが正解。樽川6番通から出たところには信号がない。前回はこれでハマった。というのも337号線は南側車線に歩道がないので、右折して歩道を走ることができない。

帰りは流通通の信号を渡る場合、歩道に退避できないので、200mほど車道を走って左折する。もしくは樽川7番通の信号まで歩道を行ってから左折の二択。


2024年06月09日

The Beach BoysのSurf's Upをカバーして歌った

(20240609) ひさびさにDAW開いて、The Beach BoysのSurf's Upをカバーして歌った。アコギだけでコーラスも簡略化バージョン。

キーは原曲と同じだが、"Columnated ruins domino"の部分(high Eb)が出なくなったので、そこだけ1オクターブ下げた。今はラストのコーラス部分のhigh Cの音がギリギリだった。

工夫したポイントとしては、元曲ではテンポが何度か変わるし、テンポが揺れているのに対応する必要がある。そこで、DAWで作る際も4パートに分けて、bpm 84, 100, 120, 100としてみた。これで"The glass was raised ..."のところがなんとか成立したんではないかと思う。

Youtubeにアップロードしたら、ちゃんと「著作権で保護されているコンテンツが見つかりました。著作権者はYouTubeでのコンテンツの使用を許可しています。」と出た。ちゃんとカバーだと認識してくれている。


2024年05月26日

"We’re all heads"

(20231102) 13th floor elevatorsの動画というとたいがいプールの前でYou're gonna miss meを歌うやつなんだけど、別バージョンでTommy Hallがインタビューを受けている映像を見つけた。このやり取りが面白い。

Dick: Who is the head man of the group here, gentlemen?
Tommy: Well, we’re all heads.

司会者(Dick Clark)はバンドのリーダーは誰か聞いてるんだけど、ここでTommy Hallは「俺らはみんなアシッドヘッドだぜ」(LSD決めまくってるぜ)って答えてるの。まあ司会者は理解できなかったのか、取り合わないことにしたのか、スルーしているのだけど。

つづけてTommy Hallは(司会者からまもなく出る1stアルバムの名前を聞かれて、) Headstoneだって答えてる。じっさいには"The Psychedelic Sounds of ..."だったわけだけど。

"Headstone"には墓石、墓標の意味があるけど、ここではstoned headsを含意しているんだろうと思う。こいつドラッグのことしか考えてねえなw

以上のやり取りについては、Paul Drummondによるエレベーターズの評伝 "Eye Mind"に記載がある(10章最後 3568)。そちらの記載によると、

(このショウ American Bandstands)「は10月29日に全米で放映された。これは、エレベーターズにとって最も名誉あるテレビ出演であり、ポップスターとしての最後の舞台となった。」

とのこと。つまり、全米的に言えばエレベーターズは"You're gonna miss me"が売れただけの一発屋だったという評価になる。

"Eye Mind" (9章 3107)によると、プールの前での演奏の方は1966年9月23日に収録されているとのこと。

エレベーターズについての私のブログ記事は例えばこちら: 俺がもし人生をもう一度やり直せるなら、the 13th floor elevatorsで壺にマイク突っ込んでトゥクトゥクいう役、あれをやりたい。

ケン・キージーを中心としたアシッド・シーンの時系列について: Electric Kool-aid acid testを読みながら年表を作成しているんだけど

ここで書いたけど、サマー・オブ・ラブが1967年夏であるのに対して、アシッド・シーンは1966年までに終わってる。エレベーターズが全米的に活躍していたのも1966年までだったことがわかる。

エレベーターズはライブやレコーディングで低用量のLSDをキメながら活動していたという記載が"Eye Mind"やその他の資料で見つかるのだけど、それを読んだ当時(10年くらい前)には、そんなことできるんかいな?と疑問だった。

でも近年、「LSDのマイクロドージング」というのが知られるようになってきている。

こういうの見ると、"Eye Mind"での記載は本当だったんだろうなあと思う。

"Eye Mind"の記載をさらに拾うと、1966年9月26日に"Where the action is"(CBS)が全米での放送のデビューということなので、10月29日のAmerican Bandstandsが最後の全米放送だったということとつなげると、たった1ヶ月の露出だったことがわかる。

1966年の"We are all heads"という発言は、サマー・オブ・ラブが来る前には、まだ「わかるやつにはわかる」表現だったのではないだろうか。つまり、サマー・オブ・ラブとはアシッドムーブメントが「バカに見つかる」(by 有吉弘行)ってことだったと言える。


(20240526) 追記: この動画の1966年9月とは、カリフォルニア州でLSDの使用、所持禁止が法制化されたのが1966年5月30日で、施行は10月6日という時期。(wikipedia) ビートルズの「リボルバー」(1966年8月)が出た直後であり、まだサマー・オブ・ラブ(1967)は来てない。

この時期に起きていたことをまとめておきたいと思ってる。お花畑的憧憬ではなくて、「反逆の神話」ジョセフ・ヒースを経由した視点での描写が必要。


2024年05月12日

Some Day, That Place In Time (DOOPEE TIME)のコード進行

(20230923) DOOPEE TIMEの"Through My Window"から"Some Day, That Place In Time"の流れが好き。

でもって以前からこれのコードを拾うのがうまくいかなかったのだけど、ついに解決した。こうだ:

|Gmaj7 |Em7(b5) |F#m7  |B    |
|Em7   |A7      |Dmaj7 |D7   |

ずっとハマっていたのは2小節目だったんだけど、Gm/Eと解釈していた。でもコードの機能を考えればこうなる:

|IVmaj7 |IIm7(b5) |IIIm7 |VI |
|IIm7 |V7 |Imaj7 |I7 |

つまりIIm7(b5)というサブドミナント・マイナー・コード(IVm7=Gm7の代理コード)なのだということがわかってなかった。

いったんわかってしまえば、後半4小節は ツーファイブからのImaj7-I7(-IVmaj7)という「いとしのエリー」コードだ。

4小節目のBコードの終止感に幻惑されていたけど、これはVImの代わりにVIを持ってくるやつだ。ビートルズっぽいアレ。"I'll Be Back"とか。

どうしてハマっていたか、振り返って考えてみると、そもそもこの曲がDメジャースケールであることに気づいてなかった(途中で出てくるBb音やC音に幻惑されてた)。でも直前の"through my window"がDmaj7-Em7 (Imaj7-IIm7)の繰り返しで明確にDメジャースケールなので、そこからのメドレー形式になっているのだから、同じだと気づくべきだった。

けっきょく「ちゃんとベースを聴き取る」「主和音を見つける」という基本中の基本を実践することが大事という、あたりまえの結論となった。


追記: サブドミナントマイナーとドミナントマイナーについて

メジャースケールのダイアトニック・コード:

Imaj7-IIm7-IIIm7-IVmaj7-V7-VIm7-VIIm7(b5)

マイナースケールのダイアトニック・コード:

Im7-IIm7(b5)-IIImaj7-IVm7-V7-VImaj7-VII7

サブドミナントマイナーIVmは、メジャースケールでのIVをマイナースケールでのIVmで置き換えたもの。

IIm7(b5)も同じ。メジャースケールでのIIm7をマイナースケールでのIIm7(b5)で置き換えたもの。

メジャースケールでのIIm7はサブドミナントなので、IIm7(b5)はサブドミナントマイナーの代わりになるという理屈。

でもって勘違いしてたけど、「ストロベリー・フィールズ」進行のI-Vmで使われるドミナントマイナー(Vの代わりにVm)も同じかと思ったら違った。マイナースケールでの5度はV7なので。

そうではなくて、サブドミナントキー(Cに対するF)のメジャースケールからの借用だった。

Cメジャー: Cmaj7-Dm7-Em7-Fmaj7-G7-Am7-Bm7(b5)
Fメジャー: Fmaj7-Gm7-Am7-Bbmaj7-C7-Dm7-Em7(b5)

「いとしのエリー」進行(I-Imaj7-I7-Fmaj7)で使われるセカンダリードミナント(I7)と同じ。これもCキー曲で一時的にFキーでのV7を借りてる。

サイケデリックな曲のコード進行の多くは、このような一時的な転調を唐突に行う(経過コードを置いてなめらかにしない)というのでだいぶ説明がつく。 さっきのストロベリーフィールズのC-Gm (I-Vm)とか。 Trafficの"House for Everyone"でC-Ebってのがあるけど、これもマイナーコードでのbIIIの借用と解釈できる。

いっぽうでGrateful DeadのMorning DewでみられるI-VIb-IV進行でのVIbは一時的に転調している感じはない。むしろミクソリディアンスケールでのダイアトニック・コードと解釈してる。(Hey Judeの場合はアウトロだけ変わってる)

Trafficの"Paper Sun"もイントロはDのミクソリディアンと捉えたうえで、そこからの一時転調で解釈できそうなのだけど、これはまだよくわからない。 ヴァースがG-E-Gm-Dで、サビがCm-Bb-G-A。

これとあとシド・バレッドの作る曲全般についての分析は長年の宿題なのだけど、また後日。


2024年05月03日

ジョン・コルトレーンの「回心経験」とLSD

『ジョン・コルトレーン『至上の愛』の真実』(アシュリー・カーン)を読んでいた。有名なエピソードだけど、コルトレーンが麻薬中毒でマイルスのバンドをクビになって、その後に啓示的体験があったという。

「1957年、わたしは神の恩寵により精神の覚醒を経験し、より豊かで充実した、意義深い人生を歩みはじめた。そして感謝の念を込めて、音楽を通じて人を幸せにする力と栄誉を与えてくれるよう神に祈った。(「至上の愛」のコルトレーン自身によるライナーノートより。上掲書p.63)

そこからシーツ・オブ・サウンド、モード・ジャズ、フリー・ジャズを駆け抜けて10年で死去するわけだが、あの啓示的体験とは何だったのか。

そもそも上記の書籍には麻薬中毒というのが正確に何なのかが書いてない。調べてみるとヘロインだった。たしかに麻薬中毒という言い方で間違いない。

確かなことは、1957年5月のある時点で、コルトレーンは毎晩クラブに出演しながら、自らの強い意志により悪癖を断ち切ったということである。(上掲書p.64)

(トランペッターの)ジョニー・コールズがその店にいてずっと彼のそばについていたそうです。ジョンは2階の彼の部屋で寝泊まりし、そこで麻薬常用を克服したんです。(上掲書p.65)

この変化を目の当たりにした(ピアニストの)マッコイ・タイナーは

変化のあと、トレーンのプレイはまるで別の人格を帯びたようになった。(上掲書p.66)

と語る。

こちらのブログによれば、それは「1957年4月20日 Dakar のセッションと、同5月17日のプレスティッジでのセッションの間」とのこと。

でもそれはヘロインとアルコールからの脱却にとどまらず、ある種の回心経験だったのだとコルトレーンは語る。

数年前、わたしは信仰を取り戻した。一度失った信仰を再び手に入れたんだ。わたしは信仰心の厚い家庭に育った。わたしのなかにあった信仰の種が再び芽を吹いたんだよ。これもすべて人生が神に導かれていることによるものだろう。(1965のインタビューにて。上掲書p.63-64)

ここでの神とは、元々はキリスト教の神だったんだろうけど、神の概念がだんだんより普遍的なものとなってゆく。後にコルトレーンは"Om"でバガヴァッド・ギーターの一節を朗読したり、"Meditation"のライナーノートで「私はすべての宗教を信じる」と書く。(Wikipedia記事での小項目「1957 "spiritual awakening"」より)

今回はじめて知ったのは、1965以降のファラオ・サンダース加入後の新しいバンドで、コルトレーンはLSDを試していたということ。とくに前述の"Om"では録音中にLSDを使っていたらしい。Wikipediaの記事: Om

以前も書いたが、普通にトリップする用量を使ったら演奏はできないので、これもマイクロドーズだと考えたほうがよいだろう。

コルトレーンとLSDについてソースを探してみるとUsenetのアーカイブが見つかった。日付は1994年。インターネットすげえ。

その記事では、以下の書籍を引用している。Eric Nisensonの『ASCENSION: JOHN COLTRANE AND HIS QUEST』(1993)によれば

ジョン・コルトレーンは1965年のある時期から、かなり定期的にLSDを使用するようになった。その年の後半にOMをレコーディングしたときだけLSDを使用したと言う人もいるが、カルテットのメンバーを含む多くの人によれば、彼は人生の最後の数年間、実際にはもっと頻繁にLSDを使用していた。

この部分を引用しながら、このUsenetの書き込みではコルトレーンを擁護する。

1994/11/29 1:00:11 私はヘロインやアルコールを、LSDと同じカテゴリーには入れない。コルトレーンは1957年にドラッグを断ち切ったということには変わりがないと思う。彼にとって(私自身にとってもそうであったように)自分の魂、心、そして世界における自分の精神的な位置を理解する上で、LSDは非常に役立つことが証明された。

というわけでここから事実関係について、そしてLSDを使うことの是非についての論争が始まる。

これだけでは文脈が充分伝わらないかもしれない。ヘロインやアルコールが報酬系と快楽系を操作するという意味でリクリエーショナルドラッグであるのに対して、LSDは自我を一時的に壊し、自我のない意識という純粋意識または死を経験するドラッグであり、精神の探求のためのツールとして使われてきたということが大前提にある。いま「幻覚剤は役に立つのか 亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ」(マイケル・ポーラン)を読んでまとめているところなので、どっかでこの論点についてはブログ記事にしておきたい。

さて、いつもどおり取っちらかってきたので、ここらでまとめに入ろう。

けっきょくのところ、「あの啓示的体験とは何だったのか」への答えが出るようなはっきりとした手がかりは見つからなかった。なんだか「いかがでしたか?ブログ」みたいで残念だが。

でもここでは、コルトレーンがヘロインとアルコールから脱却したこと、さらに1965年以降のLSD経験という新たな要素を加えて、コルトレーンが薬物とどう対峙してきたかという視点を作った。

一方で、たとえば「コルトレーン ジャズの殉教者」(岩波新書)では、ナイーマとの離婚、アリスとの結婚などを中心にして「至上の愛」への過程を描いているので、それとは違う道筋と言える。

今回はここまで。


2024年02月25日

宅録/DTM生活について回顧してみた

元DTMマガジン編集長による貴重な回顧録:「DTMって市場自体が、霞のように消えちゃったんだろ」を読んだ。当時自分が直面していた状況がだいぶ謎解きできた。

ちょうどいい機会なので、これまでの自分のDTM生活について回顧してみた。以下は超個人的な記録だが、正確を期すために、昔の自分のブロク記事を見直してファクトチェックしてある(<-真面目)。


[1980年代] 高校生のときに宅録を始めた。宅録というのは、歌を歌ってギターを弾いて録音して、それを重ねてゆく作業のことだ。バンドでデモテープを作るのも同じ作業だが、私は当時やってたバンドを辞めてからは、ひとりでNeil YoungやCSNYのコピーとかをしていた。

宅録をするにはMTR(マルチトラック・レコーダー)が必要だが、持ってなかった。代わりに、親にねだって買ってもらったシャープのダブルカセットデッキを使ってピンポン録音をしていた。音を重ねるたびにヒスノイズが加わるので、出来上がりの曲はシューシューいってたっけ。

ドラムマシンも持っていなかったので、近所の団地のゴミ捨て場でスネアドラムとシンバルを拾ってきて、バスドラ代わりに枕をスティックで叩いて、マイクで音拾ってた。カセットデッキの入力部分でアナログ的にリミッタがかかるので、(リンゴ・スターのドラム的な意味で)案外いい音だった記憶がある。


[1990年代] 大学生になってバイトで収入を得ると、Fostexの4chカセットMTR X18H(写真)を買った。

これはカセットテープの片面のみを使って4chで倍速のスピードで録音ができる。つまり、標準的な60分カセットテープだと15分間の録音ができる。

これを使ってまずドラムトラックをch1に録音する。そのあとギターと歌を2ch,3chに録音する。それをミックスダウンしたものを4chに入れる。そうして空いたchにギターとハモリを入れる。こんなかんじで曲を録音することができる。やってることは60年代後半のビートルズと原理的には同じだ。90年代はほぼこのMTRとギターのエフェクタだけでやってた記憶がある。

その頃のことはFaceBookの公開記事に書いた。


[2000年代前半] DTMに手を伸ばした。でもこの時代のDTMの主流は先述の記事が(自虐的に)表現する「パソコンオタクが、GM音源1台(略)で既存曲を再現する腕を競う」というものだったようだ。じっさい、当時DTMマガジンとか2chの関連スレとかも見ていたけど、GM音源を持ってない自分にはぜんぜん馴染めなかった。

とりあえずDTMソフトのシンガーソングライター(SSW)とソフトウェアmidi音源VSC-88を使ってmidi打ち込みをしてみたが、ギターと混ぜて鳴らすにはぜんぜん物足りなかった。けっきょくソフトウェアMTR (記憶にないが、たぶんSoundEngine Free)でギターとボーカルを録音するところに落ち着いた。


[2000年代中盤] はじめてちゃんと使えるようになったDAWはSONARだった。時期は不明だが、SONAR LEが出てきたのが2005年なので、たぶんそのあたり。これでギターと歌の録音とmidi打ち込みを重ねられるようになった。ミックスとかマスタリングでどのくらいコンプレッサーかけるかとかそういうことを学ぶようになった時期だった。「サウンド&レコーディング・マガジン」とかよく買ってた。先述の記事で言う「サンレコ大好きイキり層」だったと思う。とはいえ「パソオタGM音源層」との対立については知らなかった。自分としてはただただやっと自分にも有用な情報源が見つかって喜んでいた。

その後、SONARがディスコンしたので(後にCakewalkとして復活したが)、移行先を探してFL Studioを使うようになった。これでブレイクビーツを貼り付けてそれにギターを重ねて録音できるようになった。当時は知らなかっけど、あれはまさにアーメンブレイクのトラックだった。あとVSTのフリー音源とかダウンロードしまくってたなあ。Delay Lamaとか。

それはまだ初音ミクが出る前だったのでFL Studioはver. 6か7だったと思う。そのあとFL Studio 7にFL-chanが誕生する顛末は(2chで)リアルタイムで見てた記憶がある。


[2000年代後半] 初音ミクは発売されたその年(2007年)に買って使い始めた。当時の自分のブログ記事に興奮した様子が記録されてる。

これは衝撃。第一代目VOCALOIDとデモソングを比べればレベルの上昇は歴然。日本ハジマタ

でもボカロ全盛時代の曲調(早口、高音、ヨナ抜き)があまり好きでなかったので、当時のニコニコ動画でのムーブメントには付いていけなかった。けっきょくシューゲイザー的な曲でボカロに歌わせて試行錯誤していた。

pooneil68 · Miku-gazer 2011 (Vocaloid2)

ついでに、NEUTRINOをいじった時のブログ記事::「ニューラルネットワークを用いた歌声シンセサイザーNEUTRINO」使ってみた」


[2010年代前半] 仕事場のPCをWinからMacに移動した機会に、家のDAW環境もLogic Pro 9に移行した。しかし、Logic Proはなんだか使いこなせなかったので停滞した。しかもMac OSがYosemite(2014)にアップデートされると、Logic Pro 9が非対応になってしまった。

そのタイミングで、音響プログラミング言語(Supercollider、Sonic Pi)をいじるようになった。ちょうどその頃、研究の方でProcessingとかArduinoとかをいじるようになった流れで、Makerムーブメントにハマっていた。

Supercolliderはちょっと特殊な文法を持つプログラミング言語で、日本語の資料が少ないので、英語の資料にあたるなど、かなりガチで学んでいた。当時のブログ記事: 「音響合成用プログラミング言語SuperColliderいじってます」

Processing + SuperColliderを使って、マウスをクリックしてインタラクティブに和音を合成する動画も作ってた: tonnetz(三和音のトーラス構造)についていろいろやってみた(1) (記事内にYoutubeの埋め込み動画あり)

そんなかんじで、インタラクティブでプログラマブルなものを作ろうとしてた。田所淳氏のブログや本を読んで、TidalCyclesやSonic Piによるライブコーディングを試してみたり。

当時はそれを今後の研究に加えていきたいという野望があったのだけど、年々忙しくなって、以前学んだことを忘れ、知識は増えない、という停滞状態に陥った。そういうわけで、これ方面の追求は10年代後半あたりで断念した。とはいえ、今でもこの方向は将来性があって面白いと思ってるので、CHAINでやりたいことのネタ帳に入れてある。


[2010年代中盤] Logic Pro 9がMac OSのYosemiteで使えなくなってしまったので、Ableton Liveを使うようになった。Ableton Liveは純正で入っているドラム音源がしっくり来た。それにベースをなるたけ低い音で打ち込むと、トリップホップもどき的な音が作れるようになった。

録音していたものをこっそりSoundCloudに載せるようになったのもこの時期だった。


[2010年代後半] しかし、Ableton LiveはずっとLite版を使ってきたのでいろいろ制限がある。Logic ProがXになったのを購入したタイミングで、まずはLogic Proを使いこなせるようになろうと、Ableton Liveを封印した。

Logic Pro ⅩにはFlex Pitchというピッチ補正機能(メロダインに相当)がついてるのに気づいた。これでボーカルのコーラスを補正できるようになった。しかもそれを教師データにして自分をトレーニングすることもできる。これは革命だわ。「Logic Proでピッチ調整使ってみた」

そんなわけで、Logic Pro Ⅹだけでだいぶいけるようになった。それでもドラムとギターの音ズレ問題には苦慮している。録音時のレイテンシーはちゃんと設定してるけど、それでも後で手動補正しないとぴったり合わない。以前Ableton Liveで録音していたときは問題にならなかったのだが。


[2020年代前半] 札幌に引っ越してきた。家にいる時間があまりないので、ほとんどDAWをいじる時間がない。

Logic Pro Xは機能には満足なのだけど、なんか音が好きでない。というか、Drummer機能で適当に作ったリズムでギター弾いてるだけでそこから工夫を加えることができなくなった。Addictive Drums 2を持っているので、それを使って好きなドラムの音を作ればいいのだが、たまにいじっているだけだと、そこまで工夫にする段階に行く前に休日が終わってしまう。どうやらDAWについても「新しいことを覚える前に、これまで覚えていたことを忘れる」というフェーズに入ってしまったようだ。

Ableton Liveがもうすぐver 12にアップデートされるので、このタイミングでStandard版を買ってAbleton Liveに戻ろうかと逡巡している。アカデミックだと2万円切るので、そんなに高い買い物ではない。しかしAbleton Liveを買ってもまあ使わないだろうなという予測がある。

(以前はMax for Liveでエフェクター自作するためにSuite版(アカデミックで4万円)を買うことも考えていたのだが、たぶん活用できないだろう。)


宅録/DTMは自分の趣味としてはほぼ唯一、途切れず続けているものだ。おそらくこれからも続けてゆくだろう。気がかりなのは聴力だが、いまのところ衰えはない。

でもそんな、自分の人生にとって重要だったものについて、忙しさにかまけて優先順位を落としてしまっていることに危機感を感じる。

…ということを自分の宅録/DTM生活を振り返りながら考えた。


2023年09月04日

Tonnetzで工作してみた


以前から散発的にやってるtonnetzの考察の続き。

Tonnetzがなんだったかは以前のブログに書いたけど、三和音がトーラス構造(ドーナツ)として描ける、という話だった。

全12音からなるすべてのメジャーコードとマイナーコードが図上のように表記できて、水色矢印、緑矢印、マゼンタ矢印のところで貼り合わせることができる。つまりらせん状の構造をしている。

tonnetz.010.jpg

では(たとえば)Cのダイアトニックコードはどこにあるかというと、図上の真ん中の部分を切り出してきて、Bmコードのf#音のところをfに置き換える。するとBdimコードになって、Dmコードと貼り合わせることができる。つまりメビウスの輪になっている、というのが以前の考察だった。

tonnetz.005.jpg

コード間の関係を眺めてみる。Cコードを中心にして、tonicかドミナントか、サブドミナントかを書き込んで(マゼンタ)、さらにドミナント・モーションとかを黒矢印で表記する。

tonicの和音(C,Am,Em)はみんなc音が共通してるんだとか、セカンダリー・ドミナントでのドミナント・モーション(A7->Dm, E7->Am, B7->Em)がぜんぶ平行じゃん、とかいろいろ気づきがある。ジョン・レノン的なC->FmってFmから見ればドミナント・モーションか、とか。


ついでに工作して可視化してみた。

tonnetz.006.jpg

まず2周分作って、貼り合わせてやる。

tonnetz.007.jpg

するとこんなかんじの筒ができて、くるくる回してやることができる。


Cのダイアトニックコードについてもあらためて図示してみる。

tonnetz.011.jpg

d-f-a音からなるのがDmコードだけど、ここで4和音に拡張してみる。隣り合った4音でできる平行四辺形を考える。たとえばd-f-a-c音はDm7コードになる。

同じようにしてDm7-Fmaj7-Am7-Cmaj7-Em7-G7-Bm7(b5)-Dm7と一周する構造があることがわかる。BdimからBm7b5ができるところはこのメビウスの輪を閉じる意図から明白だけど、GコードがGmaj7でなくてちゃんとG7になるところがいい。当たり前ではあるけれど、G7がほかと比べてちょっと特殊であり、G7->Cmaj7で解決したくなる不安定さがありつつも、Bm7b5ほどは不安定でないというのが納得いく。


これについても工作して可視化してみた。

tonnetz.008.jpg

こんなかんじで裏表印刷してやる。

IMG_9650.jpg

するとたしかにメビウスの輪になってる。たとえばBm7(b5)のa音はb-d-fが作る三角形の真上にあるので、そんなに遠くないことがわかる。

もしかしたら、同じ要領でぜんぶ正四面体を貼り合わせた形にできないか?と考えたけど、以前のジオマグで試した図を見るかぎり、それは無理っぽい。


今回はここまで。



2022年02月18日

クライ quray を吹く練習

ロシア土産にクライqurayをもらった。吹口が単純な筒のタイプの笛で、世界中に似たものがあるらしい(参考: 世界の斜め笛について)。さっそく吹いてみたが全然鳴らない。まず吹き方から調べた。たとえばこの映像だと、斜めに構えて、上の歯に当てて吹いてる。合間を見て練習してみよう。

演奏法の参考になるサイトとしてこちら: Видеоурок “Игра на курае” / Начальный уровень (ビデオレッスン「クライを弾く」/初級レベル)を教わった。別の演奏例でも見たけど、クライを演奏しながらホーミーみたいに喉歌も歌ってる。そんなドハマリするつもりもないが、とりあえず音が鳴るようにしてサンプリングしてDTMに組み込んでみたい。

そもそも自分は笛の前に口笛吹けないので、ネットで「口笛の吹き方」みたいなの探して練習してみた。舌を下の歯と歯茎の間に置いて、無声音で「ひーゆーうー」って言いながらちょうどいいポジションを見つける、っていうのをやったら1時間で音が出るようになってきた。口腔内身体性の獲得を実感。

まだ練習始めて二日目だけど、今はとにかく、いちばん良く音が出るポイントにいかにすぐにたどり着くか、そしてそのポイントを維持し続けられるかを試してる。座ってるときより歩いているときのほうがよく音が響くことにも気づいた。姿勢と腹式呼吸がだいじというのを実感した。


口笛は2音程出せるようになった。つまりキンクリの“Fallen Angel”のサビが吹ける(?)。頭の中であのリフを流しながら。ところで「口笛の出ない音のため」って誰の曲の歌詞だっけ? ググってみても見つからないので諦めていたが、急にメロディーが浮かんできて、井上陽水の「ロンドン急行」だと判明した。


夜中の口笛吹き、だいぶ大きい音が出せるようになってきたので、そろそろ音程を考慮することにした。出せる音程が限られているし、しかも安定しない。スマホのチューナーアプリで調べてみたらC6-D6の範囲の音は出せるらしい。チューナー見ながら±10cent以内に収める練習。難しい。


クライqurayの音出しは気分転換にちょくちょくつづけてる。前よりは音が出るようになってきた。管が響いているのを実感するときもあるが、動画で見たのとなんか違う。摩耗防止にホームセンターでアクリルのパイプ(ちょうど同じくらいの太さ外形21mmで内径18mm)を買ってきて音出し練習に使ってる。

クライqurayの練習をしていたら口腔内身体性を獲得できてきて、口笛も音量が大きくなってきた。いまは音域を広げる作業をしている。Bb5-F#6まで出せるようになった。安定性はゼロだけど。



2021年08月07日

Logic Proでピッチ調整使ってみた

趣味でDAWソフト使って声を重ねてハモリ作ったりとかしてる。たとえばこんなかんじ:

pooneil68 · John Barleycorn (sung by pooneil68)

でも素人のやることなので、どうしても音程(ピッチ)のブレが出る。ちゃんと練習してから録音するべきなのだけど、たいがいたまの休みにちょっとDAWいじってたら休みが終了、みたいなことが多いのでいつまでたっても上手にならない。

そういうわけでピッチ調整ソフトを使ってみたいと思ってた。いちばん有名なやつでMelodyneというのがあるのだけど、これが5万円くらいするので、お金かけてまでやろうというつもりもなかった。

でもsleepfreaksの動画を観ていたら、私が持っているDAW (Logic Pro X)がピッチ調整機能(Flex Pitch)を持っていることを知った。ちょっと!聞いてないよ!

さっそく試してみよう。アメリカの「名前のない馬」のサビの部分をアカペラで歌ってみた。まず3声をそれぞれ2回録音した(所要時間30分)。そのあとpanをhighを左チャンネル寄り、middleを中心、lowを右チャンネル寄りに調整して、マスタリング用のコンプを掛けてある。

こちらが調整後。


それに対してこちらが調整前。


とくにlowの音程がヘッタクソだったのだけど、歌ってるときは本人はそれなりに歌えてるつもりだった。こうして比較してみると調整前は音が濁ってるのがよく分かる。それに対して調整後はだいぶ聴けるようになった。

ピッチ調整機能を使ってみて、その威力がよくわかった。でもピッチ調整のメリットはそれだけではなかった。繰り返し同じ声を聴きながらピッチを調整してゆくことで、どのくらいピッチが揃っているか、耳を鍛えるトレーニングにもなっている。つまり、(合唱コンクールの指揮者みたいに)自分にダメ出しができるようになってきた。もう一度歌い直したら、たぶんもっとうまく歌えるんではないかと思った。


なお、「歌ってみた」的なものをアップロードするのは初めてなので、著作権についても確認しておいた。JASRACのページの「動画投稿(共有)サービスでの音楽利用」によれば、youtubeなら外国曲の演奏を個人がアップロードするときは、配信および埋め込みでの利用が可能になってる。あと、J-WIDで調べると、「名前のない馬」はJASRAC管理作品(作品コード 0H0-2785-4)で配信可能になっている。なるほどこれがUGCというものか(<-15年遅れてる)


2020年04月19日

モードとTonnetzと五度圏

ロックの文脈だと、フランク・ザッパのギターソロがだいたいドリアンかリディアンだとか、サイケデリック・ロックのギターソロはだいたいミクソリディアンだとかそういうことを知って、つねづねモードについて知りたいと思っていた。

よくあるモードの説明ではこんなふうにある:

たとえばc Ionianは7つの音、c,d,e,f,g,a,bから構成される。以降コードには大文字(Cなど)を、音階や単音には小文字(cなど)を充てることにする。小文字のときはシャープは+で、フラットは-で表現。


これはいわゆるチャーチ・モード(教会旋法)というやつで、C長調の音階(スケール)には7種類のモードがあるって説明だけど、これって昔のハーモニーがない時代の音楽についての話であって、ルートの音をずらしただけにしか思えなかった。

(一つの音階(スケール)には7つのモードがある。もっとマニアックなモードがいろいろあるし、民族音楽まで入れたらきりがないが、ここでは7つのモードの話だけに限ってる。)

やっと納得いったのは、これを同じベース音cのモードに揃えて、近接するモードごとに並べた図を見たときで、こういうふうになる。

c Ionianは7つの音、c,d,e,f,g,a,bから構成される。元のc Ionianのときのスケール(オレンジ)を基準に、フラットかシャープがついたら灰色になるように表現。


隣接するモードの間では一つの音だけが変化していて、それはマゼンタで示している。この音が「特性音」と呼ばれるもの。たとえばDorianって基本短調なんだけど、違う感じも含まれている。このDorianらしさはc Aeolianとは違って6th (=13th)がaになっているから。

こうしてみると、長調(メジャースケール)であるc Ionianと短調(ナチュラルマイナースケール)であるc Aeolianがあって、MixolydianとDorianはその間を繋ぐように存在していることがわかる。

ルート、3度、5度、7度の音を並べるとそのモードの基本的なコードが作れるけど、c IonianがCmaj7で、c AeolianがCm7で、たしかに長調と短調に分かれている。そして、DorianとPhrigianは短調の仲間であることがわかる。いっぽうでLydianとMixolydianは長調の仲間なのだけど、MixolydianのほうはC7ができるので、ブルースっぽい感じがあるのもわかる。

c Lydianの上にはd- Locrianがあるし、c Locrianの下にはb Lydianがある。このようにして、12音のルートそれぞれに7つのモードがあって、全部で84個のモードが隣接して輪のようにつながっている。

一般的には、ルートの音からの相対的な音の高さを使って1,2,3,…,7で表現するので、以下ではこれを使って書く:

たとえばc Ionianは7つの音から構成されるが、それをルートを1度として、2,3,4,5,6,7で表現する。


Dorianは短調のスケールAeolianからb6を6に上げているところが特徴なのでこの音を入れるとDorian的になる。

たとえばGreensleevesの出だしには2通りあることが知られているけど(Wikipedia)、

Greensleevesの出だし。上はd Aeolian版、下はd Dorian版。


上のd Aeolianのほうは、b-音が短調らしさある。ちょっと泣かせ過ぎっていうか。下はd Dorianでは、b-音でなくb音なので、マイナー感が薄れて、ちょっと不思議な感じが出る。ここが好き。

なお、音階記号で書くときは、上のd Aeolianはチャーチモードの7つ組の中ではf ionianと同じグループ。だから調号(ト音記号のすぐ右)ではbにフラットの記号がつく。一方で下のd Dorianはチャーチモードの7つ組の中ではc ionianと同じグループなので、調号には記号がない。

スカボロー・フェアもe Dorianなので、"[G] Parsley, [Em] sage, rose[G]ma[A]ry and [Em] thyme" と明示的にAコードを入れてコードでもドリアン的になってる。ふつうならEm-AmとなるところでEm-Aとなるのがドリアン的なコード進行というわけ。

同様に、Lydianは長調のスケールIonianから4を#4に上げているところが特徴なので、この音を入れるとLydian的になる。C-Dのように。

Mixolydianは長調のスケールIonianから7をb7に下げているところが特徴なので、この音を入れるとMixolydian的になる。C-Bbのように。Phrygianは短調のスケールAeolianから2をb2に下げているところが特徴なのでこの音を入れるとPhrygian的になる。Em-Fのように。

Locrianはどちらからも離れているが、Phrygianから5を変えたとも言えるし、Lydianから1を変えたとも言える。いちおう円環は閉じるようにはなっているが、ダイアトニックコードのBm7(b5)だけ仲間はずれなのと同じように、Locrianも仲間はずれっぽい。


いつのまにかモードとコード進行の話になっていたけど、このへんもずっとわからなかった。というのも、モードジャズの文脈では、Miles DavisのKind of BlueとかJohn Coltraneとか、それまでのコード理論での縛りから開放されて長時間のアドリブを取るためのモード奏法っていうことが強調されるため、コード理論とは相容れないように書かれていたから。

でも、後述する竹内 一弘氏の著書を読んで、スケールとモードが先にあって、そこからコードと使えるテンションが決まる、という考えに馴染めば、モードにコードが乗っていいってことに納得できた。

だから、こんなふうにモードとダイアトニックコードを並べることができる。

スペース節約のため、Cmaj7はCM7と表記。他も同様。


c IonianでのダイアトニックコードはCM7, Dm7, Em7, FM7, G7, Am7, Bm7(b5)となる。これはc Ionianを構成する音c,d,e,f,g,a,bで4和音作ると自動的に決まる。

同様にして、c Mixolydianでは特性音に対応した部分がBbM7になってる。これがさっき書いた、c Mixolydianでの独特のコード進行 C-Bb-F-C の説明になってる。(Hey JudeとかLoadedとかで聞こえるあれ。)


でここからが本題なのだが(遅い!)、以前音のトーラス(Tonnetz)について書いたことがあるけど(「和音の幾何学、つづき」)、モードについてもtonnetzと五度圏を考えながら見直してみたらもっと面白くできそう。さっそくやってみた。

まず、「和音の幾何学、つづき」で書いたように、12音がつくるメジャーコード、マイナーコードは全部で24個あって、そのコードを構成する3つの音で三角形を作ると、このように表示できる。


上の辺と下の辺は一致する。左の辺と右の辺は一致する。つまりこの表の上下と左右はつながっていて、実際にはトーラス構造になっている。

このトーラス構造にハサミを入れてやるとひとつながりの輪っかになる。こんなふうに。


このなかにすべてのスケールとモードが入ってる。たとえばc ionianはどこにあるかというと、


図の上の部分がc ionianの構成音(c,d,e,f,g,a,b)とそれによるコードが連なった部分だけど、これはながり輪っかのいち部分でしかない。でも、Bbコード、Bmコードの代わりにBdim(Bm7(b5)の三和音バージョン)を置くと、この中だけで小さいリングができてしまう。これが以前のブログでも書いた、Bm7(b5)でつじつま合わせしているって話。

この図でさらにテンションについて考えると、


隣り合うコードの三角形をタイルのようにつないでやると、Cコードの三和音(c,e,g)からさらにテンションが付加されてゆく様子が見える。

さっき「このなかにすべてのスケールとモードが入ってる」って書いたけど、cをルートとする7つのモードについて並べてやればこうなる。

特性音(マゼンタ)はIonianとの比較、Aeolianとの比較で異なるものだけ表示。


そう、ひとつながりの長い輪をシフトさせてゆくと、さっきの隣り合ったモードが全部隣り合って出てくる。もちろん特性音(マゼンタ)は隣接するモードとは共有してない音だから、端っこに出てくる。

これはもちろん偶然でもなんでもなくて、五度圏の性質を言い換えただけのことに過ぎない。


五度圏を書いてみると、12音階にそれぞれ7つのモードを割り振ることができる。てっぺんがc Ionianで、左がf Ionianで、右がg Ionian。左のf Ionianのグループにc Mixolydianがいて、右のg Ionianのグループにc Lydianがいる。これが隣接したモードの関係が毎度出てくることの理由。

12音階に7モード振るから均等にならない。右半分はc音がないから、とりあえずc#音で表現しておいた。ここでは表現できないけど、z方向に螺旋状になって84個のモードがある。

というわけで、自力でいろいろいじってみたら面白かったけど、けっきょく五度圏の特性を違った見方で見ただけだよね、ということだった。今日はここまで。


参考文献:竹内 一弘氏の以下の著書が非常に参考になった。

二番目の本とかこのタイトルで全編モードについてなのでびっくりさせられる。Amazonのレビューでも結構文句つけられてる。でもモードの理解にはすごい役立った。


2020年02月27日

「ニューラルネットワークを用いた歌声シンセサイザーNEUTRINO」使ってみた

音楽作るのが趣味なもんで、ボーカロイド2(初音ミク)が発表された2007年の夏にはデモソングを聴いて衝撃を受けて、発売すぐに購入して自作曲とか作ってた。(たとえばsoundcloudに上げたシューゲ曲とか。)

その後も断続的にはボカロいじってきたのだけど、年に数回くらいの頻度で使わないのでいつまで経っても上達しなかった。ボカロでは「調声」といって、たとえば急激なフォルマント変化でケロケロ音のような人間的でないロボ的な歌い方をするのを直すテクがあるのだけど、そういうのも習得せず、基本midiキーボードで弾いたのをクォンタイズしただけ、みたいな使い方をしてた。

そしたら今回「ニューラルネットワークを用いた歌声シンセサイザーNEUTRINO」というのが発表された。(ネットの反応はこちら:togetter) 無料でダウンロードできる。製作者のブログからデモソングが聴けるのだけど、これがすごい人間らしく歌ってる。そういうわけで即ダウンロードして試してみた。

ダウンロードするとサンプルの楽譜ファイル(たとえばsample1.musicxml)が入っているので、製作者のブログに書いてあるとおりRun.batを実行すると1-2分かけて音声ファイル(たとえばsample1.wav)が生成される。

じゃあまずいちばん簡単なところで「カエルの歌」から入力してみるかと、MuseScore (こちらも無料ソフト)をダウンロードして、チュートリアルの動画を見てやり方学んで、楽譜入力して、非圧縮MusicXMLファイル形式(kaeru.musicxml)で保存する。これをNEUTRINO > score > musicxml > のフォルダに放り込んで、Run.batをエディタで開いてBASENAME=sample1を新しい楽譜のファイル名BASENAME=kaeruにリネームする。ほかは一切いじらない。これでRun.batを実行したら、問題なくwavファイルができた。

ではさっそく曲を作ってみようと、Ableton Live (Lite 10)でシンプルなバックトラックを2小節分作る(Am-Bmのくりかえし)。それからバックトラックをループさせて、Dドリアンのスケールでメロディーを12小節分ラップトップのキーボードで入力した。メロディーだけmidiクリップとして書き出す(図の"8 Philly Lead"というやつ)。

screenshot0227a.png

こうしてできたdorian.midをMuseScoreで開いて歌詞を入力する。

screenshot0227b.png

これを非圧縮MusicXMLファイル形式(dorian6.musicxml)で保存して、おなじくRun.batを実行するとwavファイルができる。

でもここで問題が発生した。歌声がぜんぶブレス音(呼気)だけになって歌声になってない。試行錯誤の末これは音域の問題であることが判明。楽譜ファイルを一オクターブ下に転調したら解決した(貼ってある画像は転調後のもの)。

その後もキーボードで手弾きしただけだと32分音符とかがあったりして、こういうのはうまく発声してくれないことがわかった。そういうわけでいわゆる「調声」はしていないのだけど、音域と音の長さ(休符も含めて)をいじるのにちょっと時間がかかった。(Run.batを一回走らせるのに2分かかるので、ここの往復作業でトータル1時間くらいかかった。)

それでも最終的には問題なく音声ファイルdorian6.wavが出来上がったので、それをAbleton Liveに貼り付ける。昔のPiapro Studioがない時代にボカロ曲を作るときと同じ要領。

そのままでも曲として成り立っているのだけど、いちおうボーカルにはリバーブかけて、masterでコンプかけて完成版ができた。Soundcloudにアップしておいた:

すげー歌えててびっくりした。上の楽譜見ればわかるようにベタ打ちなのにフレーズの終わりごとにちょっとしゃくりあげてる。アニソンというかアイドルソングの文法な。(これに気づいたので、フレーズごとに休符を入れて、のっぺりと歌わないようにした。) あと0:24-0:26あたりとかすごくない?なんか「節回し」というか歌ってくれてるよね。ベロシティとかもまったくいじってないのに(ぜんぶ同じ100のまま)。

というわけで、しばらくneutrinoいじってみる予定。といいつつ次使うのは半年後だったりするんだけど…


2019年08月16日

音響合成用プログラミング言語SuperColliderいじってます

(4年前くらいに音響合成用プログラミング言語のSuperColliderをいじりはじめて、ブログエントリを作ってたのだけど、もうすこし理解が進んだらと思って放置していた。この先とうぶんスパコラ触る機会なさそうなので、古い情報のままで公開しておきます。)

音響合成用プログラミング言語のSuperColliderをいじっている。Max/MSPとかPure Dataとかのビジュアルプログラミング方式にも興味があったけど、SuperColliderはIDEとかも付くし、ドキュメントも充実しているのでこちらを選択。半分趣味で。

{SinOsc.ar(MouseX.kr(440, 1760))}.play; 

これでテルミンみたいな音が出せるのでそれだけで楽しめてしまう。ぜんぜん先に進まない。水の流れる音とかそういった自然っぽい音を合成できるようになるのが元々の目的だったのだけど、はやくも脱線。

{XXX}.play

{XXX}.scope

に置き換えると音を鳴らす代わりに波形を表示してくれるっていうんだけど、"Method -scope not found"って出て表示されない。plotメソッドは使えるので、GUIが使えないというわけではない。なんだこれは。

とりあえずサーバーをいったん止めて、

s = FreqScope.server.boot;
FreqScope.new(400, 200, 0);

とかやってみたらStethscopeも開けるようになった。よくわからんが解決。

freq = MouseY.kr(4000, 200, 'exponential', 0.8);
SinOsc.ar(freq+(freq*SinOsc.ar(7,0,0.02)), 0, MouseX.kr(0, 0.9)) 

こっちが正しいテルミン。ビブラートかかってないとね。

かたっぱしからチュートリアル実行しているところ。SuperCollider tutorial このチュートリアルは、コードを一つ一つ実行しながらコメント文を読んでいくと理解できるようになっていて、すごくよい。

SuperColliderの活用法だけど、Raspberry Piにもインストール可能というところがポイントだと思う。たとえばブッダマシーンを作って、距離センサーかなんかで、手をかざすと音にイフェクトがかかるようにするとか。夏休みの宿題にぜひ。

SuperCollider一人勉強会、闇雲に進めてきたがまだ先は長い。しかしながらドキュメントが充実しているので、やるべき道筋ははっきりしていてとてもよい。日本語の本がないのが難点かと思っていたが、ヘルプドキュメントでだいたい間に合う。Pythonをいじっているときと似た感触。

サンプルのファイルの一つでは、"a study for recreating key (sound) aspects of data.microhelix by Ryoji Ikeda"なんて書いてあったりして、じっさい、50行くらいのコードでかなり再現出来てる。


このチュートリアルのリヴァーヴがすっごくよい。シューゲ的な、洞窟みたいなすっごい深くてうねったリヴァーヴ。これだけずっと聴いて固まっていたら、奥さんからの電話を取り逃した。

wavにexportしてsoundcloudに上げてみた。

いまのところまだどうやったらこういう音になるのか理屈がわかっとらんが。


「SuperColliderで竹内関数音楽」 これも動かしてみたけどいいかんじ。

コメント欄で竹内氏が言及しているTarai(6, 3, 0)もやってみたけど、こちらはそんなには変わらない印象。

一方、Tarai(4, 3, 0)は57小節で終了し、けっこう単調な感じがした。ともあれ、自分で試してみることができるのは、とてもいい。


SuperCollider TUTORIALS / GETTING-STARTED (Scott Wilson and James Harkins)の最後まで辿り着いたところ。けっこう時間がかかった。

順番としては、これをやるまえにほかのもっと短いチュートリアル (田所淳氏のInteractive Music IIや美山 千香士氏のSUPER COLLIDER チュートリアル (1)チュートリアル (2) )を済ませた。

さらにMark Polishook tutorial (日本語版)をやって、さらに詳しいところをと思ってScott Wilsonに戻ってきたのだが、これはgetting startedというよりは、リファレンスマニュアル的な構成だった。

だって一番最後になってやっとPbindが出てくるし。最後までこないと曲を作ることができない。SuperColliderの特色はgenerativeにできることとサーバ、クライアント構造になっていることだろうからそのへんを詳しく書きたいのだろうとは思うけど、シーケンスの前にバスの話が来るとかおかしくねえか?と思った。つか読み飛ばした。

一番最初に読まれる文書なのだから、とりあえずSCをシーケンサとして使う例を出して、そのあとで音色を色々変えるためにSynthDefをいろいろいじる方法を出して、そのあとでgeenrativeにやるためにはchooseとかを使ってプログラム構造の説明をする、こんな順番ではなかろうか。そのうえで、サーバ、クライアント構造になっているからOSCで通信できて、ネットワーク越しとか、processingと連携できるよみたいな感じで。

とか考えながらネットを探していたら、亡くなったimoutoid氏による「SuperCollider入門者を押し止める為の記事」を見つけた。

自分がPureDataよりもSuperColliderに向かったのは、Labviewよりもmatlabを選んだのと同じ理由で、ビジュアル言語が好きでないというか、端的にマウスが使いたくないからというか。

ビジュアル言語とCUIの言語の比較でふと思い出したけど、「あなたの人生の物語」に出てくるヘプタポッドの言語ってのはビジュアル言語的だったな。つまり、世界の事態が同時進行しているさまをバイアスをかけないように表象しようとしたら、ビジュアル言語的になるし、それをCUIの言語的に表象しようとするならば関数型言語みたいになるということなんだろうか。うーむよくわからん。


さっそくSuperColliderで短い音のシークエンスを作ってみた。

ついでにgithubの練習も兼ねてコードも上げておいた。

音作るのは楽しいが、パラメータ探しをするのはなかなか難儀。supercollider.jpのwikiを見て、

MouseX.kr(1,100).poll

でマウスの値をpollしてくれるのを知ったので、マウスでパラメータ探しして良かった値で固定、というやり方を見つけた。たぶんいろいろ便利なUGenがありそうなもんだが、とりあえずこれで要は足りる。


「SuperColliderをギターのイフェクターとして使う」

Envはtestできるが、playできない。UGenはplayできないが、{UGen}とくくってfunctionにすればplayできる。UGenはplotできなくて、{UGen}とくくってfunctionにすればplotできる。うーむ、まだわからん。ひとつひとつ憶えていくか。UGenはplayできないが、SynthDefはplayできる。

「SuperColliderショートカットマスターへの道 」 これがすごく役に立った。「SinOsc.ar( 440, 0, 1 ); arはクラスメソッドだから、SinOscクラスオブジェクトから実行可能」

FM音源を作る場合、モジュレーターはキャリアーの周波数を揺らすために、音量としては>1のものをオシレーターとして作る。だからなんかのはずみでモジュレーターを直でOut()に入れてしまうとものすごい大音量が出る。これまでに3回くらいやった。マジ心臓止まる。安全弁がほしい。


2017年03月23日

サイケデリック・ミュージック成立における1966年から1967年

Jefferson AirplaneがSurrealistic Pillowを録音したのが1966年の秋で、After Bathingを録音したのが1967年の夏なので、JAがサイケデリック化したのはこの間の期間のように思えるが、ライブ音源を聞くと1966年秋のフィルモアとかではすでにFat Angelとかやってるのでちゃんとacid testの時期を反映しているといえる。たぶんそれがスタジオ盤として反映するところまでもう1年必要だったのだろう。

これはGrateful Deadについても同じ事情で、Deadがサイケデリック・ロックをスタジオ盤として出すことができたAnthem of the Sunが録音されたのは1967年の秋だった。以前のエントリにも書いたように、ケン・キージーらのムーブメントの時系列を追ってみれば、trip festivalが1966年1月であり、acid test graduationが1966年10月であり、シーンはそこで終わっていたことを考えると、これはずいぶんと遅いように思える。

その意味ではThe 13th Floor Elevatorsがファースト(Psychedelic sound of)を録音したのが1966年だったというのがいかに先を走っていたかということがよく分かる。ただし、13th floorは歌詞はサイケデリックというかアシッドではあったが、音はあくまでガレージの先駆けとして捉えるのが妥当だろう。

もしくはこう整理できるかもしれない。1966年の段階ではどのバンドもサイケデリック・ムーブメントのシーンを長いギターソロとジャム(GDのViola Lee BluesやJAのOther side of this Life)という形でしか表現することができなかった。録音機器の性能の向上によって多重録音を元にした複雑な曲構造やサウンドコラージュを行うことが可能になったのが、1967年の作品群だったと。たとえばGDのThat's It for the Other OneとかJAの"The Ballad of You and Me and Pooneil"とかがそれに該当する。

そう考えると、Tomorrow Never Knowsが1966年4月に録音されているというのはありえないくらい早かったということもわかる。ビートルズは売れていたから録音機器を使ってサウンドコラージュを試すことがいちはやくできたということなのだろう。

サイケデリック・ミュージックの要素には(1)時間感覚を失ったような長時間のジャム (2)逆再生や非正統的なコード進行などの破調 (3)ぶっとんだ精神 があるとして、自分はシドバレッド時代のPink Floydから入ったので(2)が好きなのだけど、(1)が好きな人はデッドヘッドになり、(3)が好きな人はアシッド・フォークを発掘するのだろう。The 13th floor elevatorも(1)と(3)から構成されているので、その良さを理解できるようになるまでは相当時間がかかった。

あと、こういう理解なので、ガレージ的なものはまったくピンとこない。どうやら自分にはガレージとパンクへの琴線が欠けているらしい。


2017年01月23日

OGRE YOU ASSHOLE@名古屋クラブクアトロ20170121行ってきた!

OGRE YOU ASSHOLE@名古屋クラブクアトロ20170121に行ってきた! すごいよかった!

スタート5分前に到着すると会場はほぼ満員。なんとか後ろの高いところではなくて低い場所のいちばん後ろくらいに陣取った。スタートはほぼきっかり18時。ライブ前のSE流れている状態でメンバーが現れて楽器構えている間にSEの音量が下がって、照明が落ちて、ライブがスタート。

曲順に関してはこちらに情報あり。ネットで調べると先週の鹿児島や福岡の公演のセットリストが見つかるので、ニューアルバム(「ハンドルを放す前に」)からほぼ全曲とあとプラスアルファという感じで予想していた。でもそれと比べると、名古屋公演では曲順に変更があった。スタートは「はじまりの感じ」で、ラスト前に先週はなかった「ロープ(long ver.)」が入っていて、アンコールは「ワイパー」一曲。終了は19時55分くらいで、トータル2時間弱で18曲。

自分的なハイライトは、二曲目の「ハンドルを放す前に」での長いインスト部分と、「フラッグ」でマントラみたいに繰り返す部分と、「見えないルール」でG馬淵がSGかき鳴らすところと、「移住計画」からつなげて「ロープ (long ver.)」が始まったところと、アンコールの「ワイパー」でリズム隊止まってギター2本だけになるところ(正確に言えばハイハットは打ってるけど)。

というわけで、とてもよかった。オウガのスタジオ盤はすごいドライな音の感触なので、サイケとシューゲ好きな自分としては正直好みの音響ではないのだけど、ライブは二つのギターにイフェクトかけまくって最高な音だ。"Workshop"みたいにライブ盤が出たら買うのに。


OGRE YOU ASSHOLEのことを知ったのはずいぶん最近のことで、2015年5月のROVO TOUR 2015の5/22 名古屋・ボトムラインでOGRE YOU ASSHOLEも出るというニュースを見たときのことで、けっきょくこのライブは仕事の都合で行けなかった。

それでYoutubeで公式映像探してみたら「ロープ(long ver.)」を見つけて、これがどサイケ(クラウトロック風味)というどストライクな音だったのでこの日を楽しみにしていたという次第。そういうわけで、今回は初めてのライブ参加だった。


前回ライブに行ったのはいつか調べてみたら、20150130のTycho@名古屋クラブクアトロだった。そういうわけで2年ぶり。次は何に行こうか。Explosions in the skyが2月末にあるけど、あいにく出張と重なってた。


2016年08月17日

Tycho@名古屋クラブクアトロ 行ってきた!(20150130)

Tychoの”Dive”ってのを聴いてる。これはいい。エレクトロニカでドリーミー。しかも調べてみたら、ちょうど今度来日して、名古屋クアトロでの公演(1/30)もある。これは行くしかないのではないだろうか。

TychoはDaydreamが一番好きなんだけど、コンプレッサー効かせたギターの「クパーン」ってかんじの単音が夕焼けの向こうから聞こえてくるような、なんだっけこの懐かしい感じはって記憶を辿ってみたら、PSY・Sの”Wondering up and down”のギターの音だった。


Tycho来日公演、前売りで6000円とかするんで行かねえだろうそんなのとか思っていたら、東京公演はsold outとのアナウンスが。うーむ、名古屋クラブクアトロ行くべきか。どっかにお金落ちてねえかな。

明日のTycho名古屋公演はいまだ決めかねている。tychoタグで検索してみたら、今日のShibuya O-Eastはいまオープニングアクト終了して、いまからとのこと。ついでに「タイコ」と発音することも知った。20時開始だから一時間後か。じゃあ明日は20時に栄到着でよさそうだ。

Tycho東京公演の評判がすごいいい感じだったので、ぎりぎりのタイミングで明日の名古屋のチケット買った。買ったからには楽しんでこようと思う。今日のツイートを見た限りオープニングが60min、Tychoが100minくらいでドラムも映像も良しと。DiveとAwake聴きこんでおく。


オープニングアクト終了。もうすぐTycho。

名古屋公演終了。8時半開始、10時終了くらい。すごく良かった。ドラマー、打ち込みパターンを人力でほぼ再現、観客を踊らせまくってた(俺を含む)。

さきほど終了したTycho名古屋公演のセトリ。昨日の渋谷公演のセトリを写したツイートと比べてみると、どうやら同じだったようだ。

アンコール一曲目は、スコット・ハンセンだけが出てきて、「他のメンバーが休みを取っているあいだにリミックスをかけるよ」とAwakeのリミックスバージョンを流しているところにメンバーが帰ってきて、イントロのギターカッティング始めたところとか、あそこは熱かった。


昨日の栄のクラブクアトロでのTychoライブの客の入りはほぼ満員。収容人数550人とのことだけど、そのくらい入ってたかも。私は前から10人目くらいで左右はど真ん中辺りに陣取ってた。ベースの音が割れるっていうか木の床が変に響く感じで音の環境はあまり良くなかった。

名古屋のメリットのひとつは小さい会場で見ることができるということだな。Rovoのときも東京は日比谷野音(キャパ3000人)だけど、名古屋はTokuzo (キャパ100人)だったわけで。


2015年02月15日

ROVO@今池Tokuzoに行ってきた 20140512

ROVO TOUR 2014 名古屋公演 これに、行きたい。VSSの前で、ここは重なってない。


20140511: ROVOツアー、京都と大阪が終わったから情報探してみたが、セットリストそのものはなかった。「近年あまりやっていなかった曲をあえて取り上げて、2014年版としてリアレンジ」「3時間の二部構成」「ファーストセットは、メンバー全員による完全即興演奏にて60分の超長尺新曲」「セカンドセットは、ツインドラムによる壮絶ロングセッションやアコースティック編成」「imagoとかflageの曲も久しぶりにたくさん」「割とシンプルで音数減らしつつ極端な盛り上がりをしない感じかなって前半から、重めの曲が中盤以降に」ソース


20140512: ROVO@今池Tokuzoに行ってきた。すごくよかった。7時過ぎ開演で、9時半前くらいに終演。前情報で聞いてた二部構成は日比谷野音の話だったらしい。2時間くらいぶっ続けでMCもなし、ほとんど曲は繋がってる、ラストはEclipseで、アンコール2曲(といっても長い)で終了。

最初っから飛ばしまくりで、途中サイケデリックなジャムっぽいところもあったが、つねにドラムがリズムを刻んでいて、ここは力抜くところってかんじの場面がなく、一挙にラストまで。Eclipseはもともとバイオリンの旋律が明確でキャッチーな曲だが、ライブではかなりイフェクトがかかっててすっごくヘビーにしてあった。たぶんImagoの曲もあったかと思うけど、スペーシーな感じよりも ヘビーなかんじだった。記憶にある限りでは、CanvasとMelodiaはやってたと思う。

Tokuzoは基本居酒屋なのでキャパは小さい。開演10分前くらいに数えたときに80人くらいだったろうか。おかげで前から5列くらいで見ることが出来た。

オールスタンディングなので、途中で疲れたら後ろに引っ込んで見てるつもりだったが、2時間半ぶっ続けでも疲れなかった。内容がだれなかったのが最大の理由だろうけど、ジョギングした成果があったかも。この日のためだったのだな! というわけでたいへん満足。

ROVOでは山本精一氏のギターは録音ものではアンサンブル中心というかあんまり強い印象がなかったのだけど、ライブではストラトのいい音(羅針盤で聴けるあれ)がすごいよく聞こえて、それがスペーシーというよりジャムバンド感を出してて、すごくよかった。

勝井氏のMCでは、月曜日という来にくい日を名古屋公演にしてすいません、みたいなのと、日比谷野音にも来て、ROVOの野音は雨が降ったことがありません、って断言してた。以上レポっす。(<-ラーメン二郎風)


昨日のRovo@Tokuzoのライブ写真がFBにアップされてた。俺が写ってた。右手前の赤チェックシャツ。


20140531: ROVO日比谷野音のセットリスト見つけた。1および2

これ見ながら確認したかぎり、今池TokuzoではBaal, Loquix, Melodia, Agoraはやってた。でもって、ラストがEclipseで、アンコールがKNM!というのはたしか。REOMはやってない。HAOMA, SINO DUBあたりはやった気がするが記憶がたしかでない。これで8曲だからたぶんこのくらい。


2012年11月29日

「そのハウスに滑り込みな」

前回の続き。The 13th floor elevatorsの曲でいちばん好きなのは2ndの第一曲目、"slip inside the house"だ。とはいえ1968年生まれなもんで、最初に聴いたのはPrimal Screamによるカバー(Screamadelica 1991年)。こっちは歌詞も変えられているし、曲としても短いが、すごくよい。このアルバムの中でいちばん好き。

でもって、オリジナルの方は8分あって、ロッキー・エリクソンのボーカルのただならぬ雰囲気に圧倒されて曲を聴き終えてしまうという名曲なんだけど、歌詞の内容はさっぱり理解せずに聴いてきた。本腰入れて調べてみようかと辿っていたらこれを見つけた。A QUEST FOR PURE SANITY - THE PSYCHEDELIC POETRY OF TOMMY HALL

このサイトが指摘しているように、この曲の歌詞の特徴は、オカルトチックな混淆主義だ。歌詞から単語を拾ってみよう: bedouin / Alpha / disciples / caravan / Noah / baptismal / Twice born / gypsies / Maya / angels' mine/

われわれ日本人はこういう「ムー」的なものの帰結をよくよく経験しているわけだが、ここではそれには言及しないでおく。

曲全体としては、これはお経みたいなもんで、enlightenmentの過程をステージごとにさまざまなイメージを示しながら、the houseを見たならば通り過ぎずに潜り込め、と繰り返し喚起する。

"the house"という隠喩についてはこんなことが書いてある:

This is what each "house" means: it is a temporary state on the way to illumination, but a state that should be cherished and accepted -- slipped into -- rather than dismissed.

曲全体としては「出のススメ」みたいなもんなんだけど、「入 "inside this house"」になってるってところも面白い。

曲のラストはこんな感じ。試訳:

「一つ目の人々は君臨などしていない、彼らは同じところで行進しているだけだ、それも二つ目の人々が秘法を学びその力に満たされるまでのこと、三つ目の人々は文句は言わない、望むところでヨーヨーできるのだ。三つ目はお前が通りすぎたこの「ハウス」に滑り込んだのだ。お前も通り過ぎるなよ。」

三つ目が開くってのはヨガでチャクラが開いちゃうやつ。これはこじつけでもなんでもなくて、このアルバムの裏表紙にはヨガのチャクラの図が全面に示されている。(じつはそっちをこのアルバム(Easter everywhere)の表紙に持ってこようとしたのだけれども、あまりに一つの宗教へのreferenceが重くなってしまうという指摘を受けて変えたそうな。)

「ヨーヨー」ってのは、要するにアップとダウンを繰り返すってことだろうねえ。いつでも、どこでも。

このサイトも参考になる。Songs I Wish I'd Written: "Slip Inside This House" by the 13th Floor Elevators


2012年11月26日

俺がもし人生をもう一度やり直せるなら、the 13th floor elevatorsで壺にマイク突っ込んでトゥクトゥクいう役、あれをやりたい。

テキサス出身のガレージ・サイケ・ロックバンドthe 13th floor elevators。ロッキー・エリクソンが曲とボーカル担当、トミー・ホールが歌詞を書き、壺にマイク突っ込んでトゥクトゥクいう役(electric jug)だった。(聴いたことのない人には何を言っているか意味不明かと思うが、探せば見つかるし、見つけて聴けば、なにを言っているか分かることだろう。) このふたりがthe 13th floor elevatorsの中心だった。ロッキー・エリクソンがもともとR&B系のソウルフルなロック・ボーカリストであったのを、ドラッグと神秘思想で洗脳してしまって、世界ではじめての「サイケデリックロック・バンド」にしてしまったのがトミー・ホール。

(ちょっとしたバンドのバイオグラフィー:) トミー・ホールの指示によって、バンドはギグを行うときは常にアシッド下で行うというあり得ない状況を続け、ロッキー・エリクソンはだんだんおかしくなり、バンドはアルバムを二つ出してほぼ解散状態となり、サードアルバムはギタリストのステイシー・サザーランドが余ったマテリアルを使って作成してバンドは終了した。ロッキー・エリクソンはマリワナで複数回逮捕されて、刑務所行きを避けるために精神病院に入院し、そこで電気ショック療法を繰り返し受けたりといった数奇な運命を辿るが、2000年代にはカムバックを果たす。ステイシー・サザーランドは70年代に妻に射殺された。そしてトミー・ホールは13th floorのあとは音楽の世界からは離れて暮らしてきた。


Where the Pyramid Meets the High オースチン・クロニクルによる、2004年のトミー・ホールへのインタビュー。

In fact, I never was a musician of any sort … They didn't really need me, but we became friends, and they let me play the jug, but I wasn't that accomplished at it.

Everything I wrote was inspired through my taking LSD. I invented the electric jug totally out of my desire to find a place onstage with this new group, so I could be a part of it, and so I could communicate my new ideas through the lyrics I wanted to write.

自分はミュージシャンであったことはないし、あくまでステージ上での居場所を作るためにelectric jagを発明したのだという。

この人はコージブスキーの思想の元で歌詞やライナーノートを書いていたそうだ。わたしのヒーローGregory Batesonが影響を受けたコージブスキー。といっても、"The map is not the territory"しか知らんけど、私が理解する限り、これは「言葉/概念が心を変える」という思想なわけで(だからNLPとかそれ系に影響を与えた)、以前書いたように、Gregory Batesonが徹底的に表象からスタートしてものを考えるのだということがうかがい知れる。

テリー・ホールが書いた(1stのライナーノートはこんなかんじでマニフェストみたいになってる:

Recently, it has become possible for man to chemically alter his mental state and thus alter his point of view ... It is this quest for pure sanity that forms the basis of the songs on this album

そうすると、この"pure sanity"ってのがコージブスキーの主著"Science and Sanity"(科学と正気)から来ているのだろうということは分かる。私がこのライナーノートをはじめて読んだときには、ランボーの「詩人は長期間の破壊的で計算された錯乱によって見者になる」を思い起こしたものだけど、後述のように、horizontal thinkingというのが瞑想であり、daydreamingであることからすると、そんなには間違っていなかったんではないかと思う。


前述の2004年のインタビューの続きで、現在トミー・ホールが何をやっているかが語られているのだけど、まあなんつーか、いろいろ終わっちゃってるってことがよく分かる。

[オースチン・クロニクル]: In 1985, I read about this research you've been doing, and you said then that you were preparing to put your findings in writing. Could you elaborate on what your studies have been and when you will complete your project?

[トミー・ホール]: I've been working weekly on my search for the perfect sanity and truth of the universe. It has been very complex and turned out to be a lifelong endeavor. My studies have gone way beyond that now.

[オースチン・クロニクル]: Does it have anything to do with horizontal thinking and logic? Has this been the factor that caused such a long study? How is horizontal thinking accomplished?

[トミー・ホール]: I could try to explain it, but my mind would revert to the pure mathematical state required for horizontal thinking. You will just have to wait until I put it in writing.

… 「(horizontal thinkingについて)説明しようと試みたことはあるのだが、そうすると私の心は(中略)純粋数学的な状態に立ち戻ってしまうのです」だって。まあ、トミー・ホールの哲学とやらがまとめられて出てくる日はけっして来ないだろう。

(なお、自己啓発本とかで出てくる「水平思考」はlataral thinkingの訳で、horizontal thinkingとはべつもの。wikipedia )


そんなわけで、ここになにか深いものがあるわけでもなかろう。それでも、この音楽の価値は変わらない。

The 13th Floor Elevatorsのバイオグラフィーが出版されている。Eye Mind: The Saga of Roky Erickson and the 13th Floor Elevators Amazonで見ると、けっこう評判も良い。絶版になる前に買うか。

出版社のサイトからは9章が読める。9章のタイトル("Hamburger and Acid")はトミー・ホールがサンフランシスコ在住時に、バンドの金巻き上げてぜんぶLSDと粗末な食事に変えてたって話から。まあ、いろいろとめちゃくちゃなことが書いてある。ロッキー・エリクソンはトミー・ホール夫妻の家にほとんど軟禁状態だったとか、二夜連続でギグがあるときはアシッド一回で済むからお得だとか。

注文した。本が届いた! ちらちら読んでる。そしたら、トミー・ホールは2ndアルバムの制作中に自分のアイデアを100%込めることが出来なかったことに苦しんで脱退を決意したとか、ロッキー・エリクソンはemotionを重視する一方で、トミー・ホールは伝えるべきinformationを重視し、両者が衝突し合った、とか書いてあって、ずいぶん印象が変わった。

上記の、「ナイーブなロッキーエリクソンをトミー・ホールがLSDと神秘思想で洗脳して言いなりにして、バンドを支配した」みたいなストーリーはなんか全部吹っ飛んでしまった。面倒くさいので直さずそのまま出す。


さてさて、前述の2004年のインタビューのあとでトミー・ホールはどうなったかというと、Houston Pressの2009年の記事によれば、

He survives on government assistance, leaving little money for anyone to steal.

Ask Hall what he's been up to lately and he'll answer that he's been "running the design." The exact nature of this design is something even his close friends cop to not quite understanding. His explanations are dotted with mentions of the fourth dimension, yogic theories and patterns in the universe. It doesn't make a lot of sense.

まあ、生活保護を受けながら、引きこもりながら、精神世界の中で生き続けているというかんじらしい。


2012年09月26日

”the changes I'm going through”

Donovanの名盤Sunshine Supermanの最後の曲Celesteは曲調と同様、歌詞もなんだか靄がかかったような感じなんだけど、”the changes I'm going through”というフレーズが印象に残る。

それはイギリスのディランからサイケに急展開したドノバン自身のヒストリーにも良く合致するし、 The Trip (San Franciscoのライブハウスから)とかThe Fat Angel (Jefferson Airplaneが歌詞に出てくる)とかそっち方面で「脳内革命」してしまった、その時代の熱気みたいなものが伝わる。

ドノバンのSunshine Supermanが録音されたのは1966年の1月から5月だそうだ。部分的にはLA ハリウッドのCBSスタジオで録音されている。これをクールエイド周辺と時系列をつきあわせてみよう。とある年表によると、Trip Festivalが1966年1月。それからKeseyがメキシコに逃亡している間に、残されたMerry PrankstersはLAでacid testを開催している。もしかしたらそこにドノバンはいたのかもしれない。

Jefferson Airplaneがsomebody to loveをヒットさせたのは1967年4月。つまり、ドノバンが"Sunshine Superman"のアルバムの中の"fat angel"で"fly Jefferson Airplane"と歌ったとき(1966年前半)には、Jefferson Airplaneは"somebody to love"どころか、まだファーストアルバム("takes off")すらリリースしてない。これは今回初めて知った。さすがにシッコちびった。


ドノバンのSunshine Supermanの一曲目の"through all level you've been changing" とラストの曲Ceresteの"the changes I'm going through"が対応していることに気付いた。でもってこれはドノバンがLAで脳内革命しちゃった時代の曲だから、 Slip inside the houseと同様、 これみたいなステージへの進行を想定しているのだろう。チベット死者の書が読まれたりとかそういうアレ。

"Through all levels you've been changing”はSunshine SupermanじゃなくてEpistle To Dippy(「ディピーへの書簡」)だった。"Elevator in the brain hotel"ってのも同じ含意だな。 歌詞の中で若い僧が"rhododendron"(つつじ)の森で瞑想してるんで、これは東洋なんだろう。「つつじ」だとなんということもないが、rhododendronだとなんだかオリエンタルだ。

Dippyは実在するドノバンの旧友で、当時ベトナム戦争(1967年)でマレーシアに配属されていたらしい。Wikipedia

歌詞の内容はそんなに反戦的ではないのだが、この一節だけかんじが変わる:"Rebelling against society, such a tiny speculating whether to be a hip or skip along quite merrily."


"Sunshine came softly a-through my a-window today"これの"a"って"the times they are a-changin'"の真似っこなんだろう。中学校のときに英語の石井先生に「この"a"っていったいなんですか?」って質問したんだけど、満足する答えを得られなかった。そりゃ無理だろう。こうして書いてみると、中学生のくせにディランとか聴くのか、って思われたい虚栄心を感じるが。

中学のときの卒業文集には"Sad-Eyed Lady of the Lowlands”の歌詞を書き込んだことを思い出した。そのころはサイケデリックじゃなくって、シュールレアリズム(アンドレブルドンの溶ける魚)とかダダ(中原中也経由で高橋新吉)とか私的にはそういう時代だった。そういえば、蛍光絵の具でマンダラみたいなの書いたりとかしてた。

「中学生のくせにディランとか聴くのか」というのは、それが1981年、つまりディランにとっては「欲望」と「ウィ・アー・ザ・ワールド」の間の低迷期であり、ふつうの日本人にとっては「学生街の喫茶店」と「風に吹かれて」でしかなかった時期であることを強調したい。だが強調してどうする。


2012年07月03日

ASSC16@Brighton の準備しつつ音楽ネタ。

ASSC16の宿探しながら、「リーリ、ウォタルー、ピカディリー、ブルー」とか口ずさむ。(“Lily Waterloo, Piccadilly blue” by Caravan) もしくはWaterloo Sunsetとか。XTCのタワーズオブロンドンとか。

ドノバンは地名ネタたくさんある。”Hampstead Incident”とか”Sunny South Kensington”とか。”Museum”なんか「(ロンドン)自然史博物館のクジラの下で会いましょう」って歌詞だったり。てか「メローイエロー」がロンドン色を出しているのだな。

”Museum”の歌詞でshe looks cool in アストラカン って言ってるよな、と思って確認したら、合ってた。「あすとらかんのあはひ縫ふ 古代の象の夢なりき」のアストラカンだ。


こんどのASSC16@Brightonではぜひロンドンにも立ち寄ってWaterloo Sunsetを見てきたい。テムズ川を西に見るヒッキー。ちなみにWaterloo SunsetはもともとはLiverpool Sunsetだったらしい。(wikipedia)

この歌で出てくる「テリーとジュリー」は毎週金曜日にウォータルー駅で落ち合い、通勤客とは逆方向に(西へ)橋を渡り、彼らが安全で落ち着く場所(ソーホーとかの繁華街?)へと向かう。でも主人公は窓からウォータルーの夕日を見ていれば幸せなんだ、って歌詞なんだけど、「テリーとジュリー」は主人公の知り合いではないだろう。群像劇的に対比しているのかと思ったけど、あくまでも窓から外をのぞきながら語っている主人公からの視点だ。

Songmeaningかなんかで見たけど、だから解釈としては、主人公は金曜日に落ち合って遊びに行くカップルを「毎週」窓から眺めて、彼らに「テリーとジュリー」というあだ名を付けてその行方を目で追っていたのではないだろうか、というわけだ。ストーカーライクに聞こえるかもしれないけど、そうすれば「友達なんか要らない」「外を出歩きたくない」「夕日を見ていれば最高」というのをぜんぶ言葉通りに取る必要がないわけだ。

すくなくとも禅的境地でものを言ってるわけではないことは、こんなこと考えなくても明白だし。


追記。行ってきた。写真撮ってきた。でも、日没9時なのでそのまえに帰った。時差ボケで眠い。東岸はきれいなビルばかりで、ヒッキーが見下ろせる場所など無いのだった。だから、週末楽しそうにしている群衆の中でボッチで撮影した。ちょっとシンクロした。

IMG_1907s.png

再開発された浅草を思い起こさせた。隅田川を渡る東武電車が、チャリング・クロス駅に向かう電車で、それをウォータルー橋から見る。アサヒビールのUNKOビルディングの近くの雑居ビルから、浅草ロックの映画館へ向かうカップルをぼんやり見やる、そんなかんじ。


2012年06月02日

トミーと四重人格をちゃんと読んでみる

今度のASSC16はBrighton。気分出すためにquadrophenia (さらば青春の光)とかDVDで見てたときのツイート:


What are the blue pills in Quadrophenia? Benzodiazepineだとか答えているが、これはあり得ない。夜を徹してバカ騒ぎしているんだからこれはamphetamineでしょう。


昨日の夜は年越し前にquadropheniaの映画の方をDVDレンタルにて。大昔見たままだったのでこんどBrightonに行くし、気分出していこうということで。始まりと終わりの部分についての解釈とかどうだっけとか思ってwebの感想を当たっていたが、どうにも画一的だ。俺が考えるに…とかなんか書こうと思ったけど、そもそも元のレコードのインナースリーブに書いてある文章(”I had to go to this psychiatrist every week”から始まるやつ)をちゃんと読んだことがないなと気づいた。ということで読む。


追記:読んでみたら、昔読んでたことを思い出した。つまり、いろんなむしゃくしゃすることあって、ブライトンの海岸に来て、舟でRock(岩、っていうか岩礁?)に辿りついて、大雨が降っていて、気づいたら舟が流されている(<-イマココ)、っていう文章で、だから所々に挟み込まれる風雨のSEはまさに今の状況を表していて、そこからそれまであった過去を回想している(cut my hair, dirty job, 5:15, bell boy)。そして最後にLove reign on meという啓示を受ける、という流れなのだ。


Tommyの歌詞解説とか読んでる。この物語が時代的にWWIのあとあたりであることからすると、Acid QueenのacidがLSDではないってのはなるほどと思った。

オリジナル版TommyでのWe're Not Gonna Takeで、信者の反乱があった後に"see me, feel me"が始まるのだけれども、なんか強引にフィナーレにいちばんいいフレーズ持ってきて終わらせて曖昧だなとか思ってた。でもそれではぜんぜん読めてなかった。

ニコ動のやる夫シリーズで、ここの部分が「再び自分の世界に閉じこもり、自分のなかで自分(=you)に問いかける」悲しい結末なんだという解釈を知って、激しく衝撃を受けた。この曲を20年以上聴いていて、まったく読めてないことが分かった。なるほどたしかにオリジナル版トミーではここはとても悲痛なかんじで演奏される。songmeaningsでも同様な解釈は見られる。

amazing journey - sparksでの内面の旅("each sensation make some note")、そしてgo to the mirrorでより具体的にlistening to you ...と語られるある種の叡智をtommyは得た。tommyが伝えたかったのはどうやってawakenしたかではなくて、内面世界で得た、感覚を超えた叡智だったのだと思う。だがそれは失敗し、tommyはそのすべてを抱えて、再び内面世界に戻っていった。このように理解した方が感動的だと思った。

それでもまだ納得いかないところがあって、わたしはsee me, feel meは最初はwoodstockバージョンで聴いたのだけれども、この版ではどんどんクレッシェンドしていくまさにフィナーレの盛り上がりの部分であって、「トミーの興亡」って感じはまったくしないのだ。というかこの印象にずっと引きずられてきて、このフィナーレがたんなる「トミーの内面への語りかけ」ではなくて、反逆する弟子たちの意志も含めたようなもっと複数の声だと思ってた。曖昧だけど。

映画版ではどうだったろうか? もう昔すぎて覚えてないが、映画自体はあんま出来のいいものではなかったはずだ。だって"christmas"の場面(10歳のトミー)をロジャー・ダルトリー本人が演技しちゃうみたいなけっこうおぞましいものだった覚えが。

まあでも新しい方の解釈でよいようだ。あんま深掘りするのもなんだが、Pete Townshendのインタビューではこんな言葉が並んでる:

The need in "Tommy" was to create a sense of loneliness and depravation leading to spiritual absolution. And so what actually happened was that somehow the ending of "Tommy", which was really about being destitute, being spiritually empty, being useless, it didn't reach the audience.

その次の文では四重人格でジミーが岩に一人取り残され、"Love Reign O'er Me"を歌うというのが、トミーが拒絶の元で"Listening To You I Get The Music"となるのとまったく同じ状況であるとまで種明かしされてる。

I use exactly the same device at the end of "Quadrophenia". Here is this boy who's spiritually destitute. He sings "Love Reign O'er Me" which if you like is the epiphanistic prayer to equal "Listening To You I Get The Music" at the end of "Tommy" in under exactly the same circumstances.

そうすると、トミーのラストは必ずしも悲しい終わりではなくて、フィナーレの"Listening To You I Get The Music"は啓示なんだと受け取ることもできる。つまり、救世主としてではなくて、拒絶と孤独によってふたたび"Listening To You"の意味を知る。

すると、元通りの三重苦に戻ってしまうという理解よりかは、自分の世界の閉じこもっていたときの経験を取り戻した、という理解の方がよくないだろうか? 前述のsongmeaningsでも、このように書いている人がいて、けっこう賛同できた:

The meaning of "See me, feel me/Listening to you" is a symbolic isolation rather than a literal deafness and blindness. This isolation is actually worse than the first one- "We forsake you Gonna rape you Let's forget you, better still".

もひとつ参考資料: PETE AND TOMMY, AMONG OTHERS by Rick Sanders & David Dalton -- Rolling Stone (no. 37 July 12, 1969)


2012年05月20日

「サザンマン」vs「スイートホーム・アラバマ」

Lynyrd Skynyrd and Neil Young 「サザンマン」vs「スイートホーム・アラバマ」についてのこってりとした考察。つうかおなかいっぱいで読めない。

ニールヤングはいろいろ超越しすぎていて、歌詞もうまいのかよく分からない。それでも「友人が話してたことについて考えてた。それは嘘であってほしいと僕は願ってた。」なんて言われると泣くしかない。

"Classic rock stations in the South are hilarious. At least once a day, they'll play "Southern Man" followed immediately by "Sweet Home Alabama". I call it the Southern Debate." FARK.com クソ笑った。


"Southern Man"の歌詞で前から分からなかったんだけど、二番で「栗色の髪のリリーベル(南部っぽい女性の名前)、あんたのblack manがうろついてるのを見たぜ、Swear by God I'm gonna cut him down」っていうくだり。

この文脈だとhimはblack manだ。なんで南部人の黒人差別を非難する歌なのにこんなフレーズなのかよくわからないけど、たぶんリリーベルの言葉なんだろうって思ってた。

でもそしたら"God's Gonna Cut You Down"ってトラディショナルソングがあることを知った。この歌詞は「ならずものはいつか天罰下るぜ」というものだから、これはKKK的な心情/信条を表明しているわけで、やはり南部人の言葉を批判的に/揶揄するように写し取ったと考えるのが正しいのだろう。

整理すると、二番はまるごと南部人の言葉で「リリーベル、お前んとこのXXXXがうろついてんの見たぞ、のさばらせてんじゃねえ、奴らリンチするぞ」って言わせてるのだろう。そりゃぶち切れるよなあ。なに俺らのことDQN扱いしてくれちゃってんの?って。

ニールヤングはこの曲を「風と共に去りぬ」を見た後に書いたという話がある。つまり、この歌に出てくるのは60年代の公民権運動の時代の話ではなくて、南北戦争の時代の話。当時ですら時代錯誤的な物言いだったはずだ。


いつだったか、OISTで開催したHFSPのミーティングで、Dougのラボ(カナダ)とLaurentのラボ(LA)とJanのラボ(アムス)と一緒にカラオケ屋に行って、だれかが「スイートホーム・アラバマ」入れてて、みんなノリノリで歌ってた。そこですかさず「サザンマン」入れてみたのだが、なるほど、みんなこの二つの曲の関係をよく知っているのだな。Dougはhighway starとか歌ってた。エアギター付きで。のりのいいオッサンだ。


2010年06月13日

Tortoise見てきた!

Tortoise見てきた! よかった!! そして無事帰ってきた!!! いま24時40分。

IMG_0998.jpg

会場のTroubadourはサンタモニカBlに面したwest hollywoodの繁華街の西端で、自転車停めようにも可能なところすべてに貼り紙がされていて、駐輪できない。しかたないのでちょっと影になったところに括りつけた。正直、シート持ってかれてもしかたない状態。

前座はスルーして、22時開始にあわせて入場。会場は前後10人分、左右20人分くらいの広さで、2階と合わせて200人くらいか。観客は20代から30代中心って感じか。けっこう普通の人が多い。髪長くて顔色悪いロックオタクっぽい人は皆無だった。

はじまりはツインドラムきめたかなりパワフルな感じ。John Herndonがスネアぶっ壊して取っ替えてた。"Prepare Your Coffin"とかすごくよかった。予習で聴いたときはなんか刑事物ドラマのオープニングテーマってかんじだったけど、生で聴くと、けっこうカンタベリー(ハットフィールド・アンド・ノースみたいな)かつパワフルでシビれる。

知った曲が結構あったので、たぶんTNTから数曲やってると思う。

曲ごとに、もしくは曲の中でも担当する楽器がどんどん変わる。ベースのDoug McCombsがいつの間にかフェンダーのジャズベースからジャズマスターに持ち替えていて、サーフミュージックみたいなフレーズを弾く。ベースの音はJohn McEntireがMoogかなんかで出してたりとかして、いったいいま誰がどの音を出しているのか観客もきょろきょろしてる。ドラマーは三人いて、ドラムセットは二つなので、どんどん入れ替わる。あと、マリンバみたいなシンセをけっこう多用してた。

ギターのJeff Parkerはセミアコ持ってjazz系のいい音出してる(その場では確認できなかったけど、インタビューによるとGibson ES-335らしい)。こいつは愛嬌あるけど、けっこうトチる。しかもやっちまったって顔をする。失敗しても平然としてなさいって学芸会のときに先生に教わらなかったのだろうかってくらい。

ビートが複雑だからか、観客があんまり体を揺らさない。John McEntireがだんだん険しい顔になってゆく。後半はけっこうラウンジっぽいツーかメロウなかんじのものが多くなってくる。すこしテンション落ちてきて、盛り上がりに欠けたかんじはある。

それで70分でセット終了して、アンコールは1.5曲分くらいでトータル80分で終了。23時20分。ちなみにツアーの予定を見たら、昨日はサンフランシスコで、明日はサンディエゴだって。すげえなあ。

戻ってみると、自転車は無事だった。サンタモニカBlの繁華街を走ってゆく。なんかものすごい人出で若者が大騒ぎしてる。センター街で新歓コンパってかんじ。ラスタカラーの帽子かぶって目がぶっ飛んだやつが交通標識にぶら下がって揺らしている。ゲイの人用の店が並んでる。West hollywoodはゲイ・レズビアンの街としても有名らしい。

路駐の車にはじき飛ばされないように細心の注意を払う。繁華街はhighland blまで続く。そこから折れて、Beverly Blに入る。道がきれいで、路駐がない。気持ちよく自転車を飛ばせる。なんか興奮してくる。なぜか名古屋の東山公園あたりを走っているような気分になる。静かで、歩いている人など誰もいない。

というわけで、60分かけてダウンタウンのアパートに戻ってきた。横になってこれを書いていると、階下ではまだ土曜日の夜を大騒ぎしている奴らがいる。だが寝る。


2009年07月18日

Saxon Shore見てきた!

ども。さいきんはポストロック系-エレクトロニカ系ばっか聴いてます。(以前も20090202で書きました。) だーまえ日記でSaxon Shoreについて言及されてたのを見てなんかうれしくなったんでついでにググってみたら、ちょうど来日するところではないですか!これは運命の導き、ということで名古屋(今池)のライブハウスまで行ってきました。
今池はけっこう昭和の香り漂う町で、古いパン屋とか、ダイエーとか、飲み屋街とかを通り抜けてHuck Finnに到着。前座を一つ見て(ギター+打ち込みとドラムの二人組で好きな音だった)、体力的に自信がなかったのでsgtはパスして再入場。開始は9時20分くらいか。
屈強な男たち登場。なんかさっきダイエーのトイレで黒Tシャツの外人とすれ違ったんだけどドラマー? というか、さっき後ろで剣玉で遊んでたやつら? フロントマンはベーシストで、ドラマーはなんか人なつっこい男で日本語駆使してた(「チョットマッテクダサイ」とか)。左にジャズマスター抱えたやつがいて、こっちがアルバムで特徴的なキラキラしたギターフレーズを奏でてた。右にギブソンの黒レスポール抱えたヒゲがいて、こっちはぶっとい音でノイズ出しまくってた。というかんじで、"Thanks For Being Away"からスタート。Saxon Shoreの曲はCDとかだとエレクトロニカ寄りのけっこうカワイイ音なんだけど、ライブでは轟音系だった。それがスゲーよかった!!! ダウナーに入りこむ哀愁系の曲よりは、"Marked with the Knowledge"みたいなキュートなギター曲が轟音系に変貌する方が楽しめた。ちなみにキーボード系はみんな打ち込みでした。メンバー来てないみたい。
ライブハウスは結構ちっこいところだったから、私の前にいるオーディエンスは30人くらいだったと思うけど、みんないいかんじに揺れてた。"Bar Clearing Good Times"のときにこころなしか揺れが横になってたのがなんかうれしかった。この曲大好き。
いよいよ佳境になったときにベースが「前回日本に来たときについての曲なんだ」と紹介が始まったから、"Tokyo 412am"キターとか思ったらなんかファンキーなベース弾き出すんですけど。え、新曲?とか思ってたらいやマイケルジャクソンじゃん、とかいうことでみんなウケてた。(mixiで見たところ、このネタほかのところでもやってたらしい。)
ということでほんとに"Tokyo 412am"始まったけど、ここがハイライトだったと思う。始まりはエピックハウスみたいな涼しいキーボードフレーズから始まって(Key作品のBGMにあっても違和感ないかんじ)、いつのまにか轟音ギターかき鳴らす構成。この人たちの曲って途中からホントのメインテーマ登場みたいなの多いんだけど、この展開にはほんと痺れた。
でいったん引っ込んで、アンコールで"Secret Fire, Binding Light"。これは最新アルバムで再録されたもので、ラストでノイズ鳴りっぱなし10分ってやつだけど、ライブではメンバー全員が引っ込んだ後にドラマーだけ戻ってきてアンプの電源消して終了、っていう終わり方だった。
終了時は10時25分、トータル1時間ちょいだったけど、もっと聴いていたかった。ベースはすぐ会場に出てきて握手とかしてたけど、わたしはすっかり満足して、さっくり帰った。会場のオーディエンスは男女比同じくらいでしたかね。私みたいなオサーンはいなくて、だいたいみんな大学生ってかんじでした。アロハ着て入場したら、こいつなにもんって顔された。けど、まあ、わたしに居場所などないのはどこに行ったって同じで、ロック系だろうが、オタク系だろうが、体育会系だろうが、アカデミック系だろうが、いつだってそうなんで、俺はどこへ行っても、異邦人として生きるよ。(なんかかっこいいこと言ったつもり。)
追記:はてなで見つけたライブレポ


2007年10月04日

Flash MP3プレイヤー設置してみました

はーいそがしい。というこのタイミングで以前作ったこのエントリを投入。

ブログでFlash MP3プレイヤー付いてるのをさいきん見るようになりました。あれ付けてみたいなあと思ってwebを探してみたら、フリーでとても小さいものを見つけました。Flash MP3プレイヤー-タイプ1。さっそく設置してテスト。一発でうまくいきました。これは楽ちん。シークバー無し、長さ情報も無し。超シンプルです。

Am-Gのくりかえし。2分半くらい。

展開せずに終わります。1分くらい。

断り書き:「押すなよ!押すなよ!絶対に押すなよ!」(竜ちゃんメソッド)


2007年09月18日

ぼくが好きな音

はるはあけぼの、みたいな。誤解した音響派、とか予防線貼ってみたりして。
井上陽水の「断絶」に入っている「ハトが泣いてる」で、イントロのギターCコードかき鳴らしが止まってドラムのフィルが始まる直前に、ドラムスを録ってるマイクのフェーダーを上げたのか、部屋の空気(アンビエンスっていうの?)が聞こえるところ。
トッド・ラングレンの「サムシング・エニシング」の"cold morning light"で、ひとり多重録音してるもんで、ドラムがへたってリズムがばらつくところ。同じようなネタとしてローリング・ストーンズの60年代の曲(忘れた)とかボブ・ディランの60年代の曲(忘れた)とかもあるけどこれらはバンドでやってるんでニュアンスがちがう。
ザ・バーズの「霧の5次元」に入ってる"eight miles high"で、イントロのベースのフレーズに合わせてバスドラが共鳴してるところ。これはにも書きました。これがはてなでのはじめてのエントリーだったっていう。
サイモン&ガーファンクルの「ブックエンド」に入ってる「動物園にて」の一番と二番の間で、ギターのアルペジオとベースだけが鳴ってるところの静かなかんじ。手拍子が入ったりとか。
はっぴいえんどの「はっぴいえんど」に入ってる「12月の雨の日」で、歌い出しが低くて声が出てないところ。
ニール・ヤングの"Everybody knows this is nowhere"の"cowgirl in the sand"で、長いギターソロのあとで歌がはじまる直前にカウントだかなんだかかすかに合図をしているのが聞こえるところ。
ニール・ヤングの「今宵その夜」で、ラストの「今宵その夜・パート2」で演奏が崩壊寸前になってるところで、なんとか持ち直して間奏に入ろうと合図を送るピアノの連打。
フランク・ザッパの「いたち野郎」に入ってる「ガスマスク序曲」でロイ・エストラーダが絶叫からうなり声へ、そしてバカ笑いに移行するときのタメの部分。
井上陽水の「氷の世界」が「あかずの踏切」から「氷の世界」まで半音ずつキーが下がってゆくところの曲の切れ間。とくに「チエちゃん」がはじまる瞬間。
よしだたくろうの「元気です。」の「馬」でボーカルが片側のチャンネルに寄ってて、反対側のチャンネルにエコーが振ってあるところ。
ようするに何度も何度も聴いた曲にはそういうところが出来るわけです。
「音」というよりかは「間」かな。音は音でもっといろいろ挙げられる。カンタベリー系のオルガンとかね。今書いてるのはそういうのとはちょっと違ったニュアンス。


2007年09月08日

VOCALOID 2

ニコ動とか見ましたけど、スゲーっすね! まさに日本ハジマタ。
詳細はIT mediaあたりへどうぞ。
CRYPTONってドラム音源のEZ drummerとか扱ってるところではないですか。もしかしたらVSTとしても使えるかも、そしたらSONARとFL studio持ってるんで同期できるんだけど、と思って調べてみると、できる! ただ、製品サポートのところに、SONAR, FL studioではVSTとしては使えない、なんて書いてある。SONARではrewireとしては使えるそうなので大丈夫そうだけど。
ドラム音源買おうとか思ってaddicitive drumのデモ版インストールしたりしてるところなんだけど、ドラム音源買う前にこっち買いそうってのもどうかと思うんですが、これは衝撃。第一代目VOCALOIDとデモソングを比べればレベルの上昇は歴然。日本ハジマタ(<-もういい)。もうこれで自分で歌わなくても歌詞入れできる! もうこれでギター入れるの以外は全部PC上で出来る! 打ち込みっぱなしではなくていろいろ調整必要そうだけど、それは他の音源だって同じですしね。
声は萌え系だからサイケデリックロックには合わないけどね!って書いて締めようかと思ったのだけど、じつはシューゲイザーでは合うかも。My bloody valentineの"Lose My Breath"がわたしの人生の一曲のひとつですが、これなんかきっと合うよ。
iPod touchも買いたいし。ちょっと物欲出過ぎてます。メシ代削るか。
神経科学者としてはこのような自然な日本語の発声を可能としているYAMAHAの「周波数ドメイン歌唱アーティキュレーション接続法(Frequency-domain Singing Articulation Splicing and Shaping)」に興味を持つべきなんでしょうけど、ググってもあまり資料が出てこないんで、とるものもとりあえず(なんか使い方へん)。


2007年07月04日

ネオ・シューゲイザー、あとストーナー・ロック

ここさいきんは音楽雑誌なども読まなくなり、ナップスター・ジャパンで古いロックをさがして聴いているというかんじで、新しいものへの開拓が進んでいません。
最近気になってるのは、ネオ・シューゲイザー、あとストーナー・ロック。
わたしのシューゲイザー好きについてはChapterhouseについてとか(20050803)いろいろ書いてあるのですが、リバイバルしてるとは知りませんでした。なるほどどうりで"Whirlpool"が再発されたりするわけですね。マイブラ+エレクトロニカというかんじでいろいろ出てるらしい。Bounceの特集(*)。ここから辿れそう。以前スルーしたGuitar(20060317で言及あり)とかもこのネオ・シューゲイザーに入るらしい。となるとなんだか聴きたくなってきました。それにしてもネットって素晴らしい。
んでもって、ストーナー・ロックって想像力はベッドルームと路上からではじめて知ったんですけど、いけるかも。こちらのサイトからたどっていけそう。メタル寄りなのが心配だけど(わたしはせいぜいハードロックまで、ブラック・サバスくらいまでしか聴いたことない)、ギターかき鳴らしドローン繰り返し瞑想系は大好き。20000809で言及してるSpaceman3のAn Evening of Contemporary Sitar Musicなんてまさにこれ系の音楽ではないでしょうか。これ聴きながらタングステン電極作ってる俺ってなにもの、ってかんじですけど。ということでチェック。
* 追記:Bounceのサイトのニューゲイザーって呼び名はダサすぎる。ま、ネオってのもダメですけどね。80年代ネオサイケがオリジナリティーを獲得してシューゲイザーになったりするように(<-ここツッコミどころ)、ネオ・シューゲイザーも違う名前で呼ばれるようになったら一人前ということで(聴いてもいないのにエラそう)。前にも書いたけど、シューゲイザーが日本に輸入される過程で、Venus Peter(これはオマンチェか)とかPaint in watercolorとかがもろに影響受けたかんじで出てきたのはメジャーになれなくて、そういう空気をあたりまえのように吸ってきたスーパーカーとかが出てくると受容されるという過程と同じことが繰り返されていくのだろうなあと思うのです。ヒップホップの輸入も同じでしょ。つまり、キーワードは「屈折より素」。ネット用語で言えば「ネタからベタへ」。ってこれはロッキンオンへの投稿ではないのですが。(もうちょっとパラフレーズするならば、この現象は単に海外のものを輸入するのにはそれなりに時間がかかるということであって、送り手が新しい物好きから素で発信できるくらいまでの成熟を果たす必要があり、同時に聞き手がそれを受け入れられるようになるまでの時間が必要となる、ということでしょう。)
もっとも、シューゲイザーとは音楽雑誌用語でしかないし、シューゲイザーと呼ばれるものの中で革新的であるのはマイブラだけで、あとはエンジニアのアラン・モウルダーによる音作りでギターロックを飾り付けたにすぎない、とも言える。それでもライド大好きですけどね。
んでもって、20050803にも書いた自意識問題ね。「ひきこもり音楽」とでも言える要素はあります(「NHKにようこそ」読んだばっかりなもんで)。私だって大きな舞台に立ちたいさ、ただし、前髪を隠して、下を向いてギターをかき鳴らせるならね。そうしてFLstudioで打ち込みしてからギターをかき鳴らすのでした。


2007年02月03日

ナップスタージャパンいいネ!

さいきんあまり音楽を聴かなくなってて良くないなあと思ってたのですけど、ナップスタージャパンはいいですね。定額であるところがやっぱポイントですよね。iTuneはpodcastはいろいろ聞くけど、あれでちまちま曲買うのがなんかやで。ナップスターは品揃えじたいはいまいちだけど、古めの洋楽がたくさんあるので私的には大満足です。つうか聴きたい曲はたくさんあるのに聴いてる時間が足りない。そんな状態です。
90年代前半のパワーポップとか聞きまくってます。Teenage fanclubの"bandwagonesque"とかMatthew Sweetの"Girl friend"とか大メジャーどころを。そしたらおすすめのところで、記憶の彼方に行ってたGigolo auntsの"flippin' out"とか見つけて感激。あの"Gun"とか大好きだったのですよ。Janisに通ってた日々を思い出します。Vaselinesとか検索して、あるのを確認して満足してみたり(CD持ってるのに)。Shoegazerものとかはあんまりない。Boo Radleysとかもほんの少し。でも、Pale Saintsの名盤2枚("In Ribbons""The Comforts of Madness")が入っているのを発見。おお、もう10年くらい聴いてないかも。カンタベリー系とかもそんなにない。Caravanの"If I Could Do It All Over Again I'd Do It All Over"があって"As I feel I die"とか聴けたのはよかった。
定額であることの強みは、ぜんぜん聴いたことのなかったものをどんどん試すことが出来る点ですね。The flaming lipsとかやっぱCD買っとけばよかった。前から気にはなっていたけれど手が伸びなかったDJ Shadowの"Endtroducing"とか10年遅れですけど聴いてます。これはよい。テクノとかトリップホップとかアンビエント系とか後回しにしてたネタをがんがん開拓。あとポストロックと呼ばれる系統。Mogwaiとか。Godspeed you black emperorとかもチャレンジ中。すげーなこれ、もはやプログレですな。昨日聴いてたのはAcid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O.。60分一曲とかでドサイケ。良い出会いでした。
そういえばlast.fmもちょっと試してましたけど、聞いた曲リストが理多とかmaricaとか佐倉紗織とかだったりするもんで、類推できないユーザー名で使ってます。というわけでまだこっちは活用できてません。


2006年08月14日

イギリス人とカラオケ

神経科学で招待されたイギリス人の研究者がうちのラボへ来る。
彼自身の仕事もおもしろかったけれども、タフさのほうが印象深い。
カラオケ接待、ということでラボメンバーとシダックスに行って英語の歌を心おきなく歌う。
彼の第一曲目はいきなりDavid Bowieの"Ziggy Stardust"。どうやらそういうのが好きらしい。かと思えば次の曲はRadioheadの"Any one can play guitar"。おもわずこちらも"I wanna be wanna be wanna be Jim Morrison"のフレーズ一緒に歌ってみたり。
そうとなればこちらもUKロック-ブリットポップ系で攻めてみることに。Oasisの"Don't look back in anger"からStone Rosesの"Elephant stone"へ。"Creep"歌えるか、ってきくからもちろんって答えて一緒にRadioheadの"Creep"を。
そのあとはお互い知ってる曲でどっちがメインかわからない状態。Blurの"For tomorrow"とか、The Smithsの"Boy With the Thorn in His Side"とか。"You have a good taste of music"とか言われてまんざらでもない私。
んで最後はQueenの"Bohemian Rhapsody"で締め、ってそれカラオケで歌う曲じゃないでしょ、と言いつつも曲を入れたのは私でした。
というかんじで楽しい飲みでしたがその後4時までラーメン屋にいて、寝て、出すもん出して、9時からレコーディング。これっじゃかっらだにいいわっきゃないよ、ってかんじ。


2005年09月13日

サイケマニア度レベル、だれか作って!

ごぶさたしてます。休暇取ってました。以下だらだらと。

すでに前の話となりますが、THE スーパーリスナークラブ張本 プログレマニア度レベル これおもしろかったです。ちなみにわたしはレベル8まで。いちおう戻ってこれるあたり、らしい。

レベル1はキング・クリムゾンのRedの時とピンク・フロイドのシド・バレット在籍時はいまでも聴く。ほかもひととおり聴いたけど、イエスやELPのようなクラシカルな要素を自分が求めていないことを発見。レベル2、3のムーディー・ブルースとかキャメルとかあたりを経て、キャラバンを発見。おおげさだけど優しい曲調、というのが好きなのですな。ここからカンタベリ系(レベル5)に大はまり。フレッド・フリスやジョン・ゾーンあたり(レベル13)に興味を持つが挫折。レベル4は完全にスルー。平行してザッパ(レベル6、はプログレではないけど)はfirstから70年代後半あたりまで。んでジャーマン(レベル8: カン、タンジェリンドリーム、アモンデュールI,II、ファウスト)までたどり着いたあたりで探求心が途絶えて、イタリアン(レベル9)まではたどり着かず。

なんかこう、後戻りできなくなるかんじ、というのがよくわかって、おもしろいのですな。んでもって、これのサイケデリックロックバージョンも作れるんではないでしょうか。だれか作って!

と言ってもだれも作ってくれるわけではないので、自分が聴いたことあるサイケをすこしカテゴリ分け(レベル分けは恐れ多くてできない)。とりあえず80年代以降のネオサイケは除外してます。

  • 有名なシングル曲: さいきんCMで使われているドノバンの「サンシャイン・スーパーマン」やゾンビーズの「ふたりのシーズン」、それからドアーズの「ハートに火を付けて」、ジェファーソン・エアプレインの「あなただけを」、ストロベリー・アラーム・クロックの「インセンス・アンド・ペパーミンツ」とか。
  • ビートルズ後期: というかストロベリーフィールズ・フォーエバーとトゥモロー・ネバー・ノウズ
  • USのメジャーもの: ドアーズ、ヴァニラファッジ、アイアンバタフライ、バーズ
  • UKのメジャーもの: ピンクフロイド1st、ドノバン、エレクトリックプルーンズ、ゾンビーズ
  • USの正統派: グレートフルデッド、ジェファーソンエアプレーン、ラブ
  • UKの正統派: シドバレットのソロ、ソフトマシーン初期、トラフィック初期
  • USのちょいマイナー: クイックシルバー・メッセンジャーサービス、カントリージョー・アンド・ザフィッシュ、The west coast pop art experimental band
  • UKのちょいマイナー: Tomorrow、 カレイドスコープ
  • ジャーマンサイケ: ファウスト、タンジェリンドリーム、アモンデュールI,II
  • テキサスサイケ: 13thフロアーエレベーター
  • ガレージサイケ: シーズ、ベブルズとかのコンピレーション
  • メジャーなアシッドフォーク: ティム・バックレー、Tyrannosaurus Rex
  • ジャパニーズ: 裸のラリーズ、灰野敬ニ
  • (これより先を私は知りません): ヨーロッパ、南米、マイナーなアシッドフォーク

なんての作ってwebを漁っていたら、強烈なサイトを発見: PsychedelicRock 通信。すごい。というわけで、上で挙げたのは「基本」であって、じっさい、現在ほとんどが日本版で手に入ります。というわけで刺激されたので、久々にこのへんを開発しようと、まだ聴いてなかった有名盤を手に入れに栄、大須へ行ってきました。

そしたら、ぜんぜんレコード屋がない! レコードマップとか見てもどれもハウスだったりヒップホップだったりで方向性が違うし。バナナレコードにもサイケがない。ということでけっきょく上前津のサウンド ベイ リパブリック上前津店まで行って、以下の3枚買ってきました。


Pretty thingsの"S.F. Sorrow" ザ・フーの「トミー」よりもキンクスの「アーサー」よりも先に作られた、(しかし埋もれた)ロックオペラとしても有名。けっこうR&B風味で、粘っこい。


Silver Applesの"Silver Apples/Contact" ぶっといサイン波と手数の多いドラムの上に意外とポップな歌が乗ってる。


Gandalfの"Gandalf" オールディーズのカバーなんだけどリバーブのかけ方でヤバイ音に様変わり。ジャケットのイメージよりはふつう。


これがわたしの休暇でした。


2005年08月03日

Chapterhouseのbreather聴きてー

夏ですな。摂氏35度とかになってましたよ。こう暑いときはガンガンに冷房かけた車でシューゲイザー系のノイジーなギターを大音量で聴きたいなあ、というわけで、Chapterhouseのbreather聴きてー。エビ喰いてー。しかし実家に置いてきてしまって聴けない。で調べたら中古が値上がりしてるとか言うてるではないですか。いろいろリンク。

  • Chapterhouse「Whirlpool」の熱いレビュー
  • シューゲイザーコーナーの一つとしての記述
  • なにげなファンサイト。Breatherの歌詞聞き取りがあるけど、穴だらけ。いや、シューゲイザー系ってのは歌詞が聴き取りにくいように歌うんで仕方ないんですが。
  • Amazon.comの長文レビュー
  • SHOEGAZING概論(たぶん)。

ところでシューゲイザー系とはなにか。上記のサイトをごらんいただければわかりますが、私なりに: 自己表出をしたいという欲望と、ショービジネス的エンターテイナー的な表現はしたくないという自己意識とのせめぎわいを解消するために、髪を伸ばして目を隠して下を見てうつむきながら(shoegazer=靴を眺めてる)大音量でギターを弾いて、ドリーミーかつ起伏の少ないメロディーを歌詞が聞き取れないようにギターの音に埋没させるようにして歌う、というスタイルをとったイギリスのギターバンドたち。1990-92年あたりに最盛期を迎えた。なんか書いてて最近の無_断リ_ンク_問題(昔から言われているやつではなくてね)に通じる自意識問題の存在に気づいてみたり(とか書いて下書き状態でこのエントリを放置しておいたらもうその話題は終わっていた!)。(さらにこの「髪を伸ばして目を隠して」とadvゲームの「主人公問題」とを重ね合わせることも可能。)


2005年06月23日

Musical Baton

GardenerさんalchymiaさんからMusical Batonでご指名をいただきました。どうもありがとうございます。

わたしはこれまでもちょくちょく音楽ネタを書いているので(*)こういう企画は大喜びですが、Musical Batonのソーシャルな側面が気になるので、人には廻さないで自分で書くだけとします。どうかご勘弁を。(**)

  1. Total volume of music files on my computer:

    iRiverのiHP-120(容量20GB)に12GB。
  2. Song playing right now:

    羅針盤「ソングライン」の9曲目「ソングライン」。これについてはこないだ書きました。ヘッドフォンで聴くとギターの重なり具合とかがさらに良いです。10分の曲だけど、もっと長く聞いていたい。リフレインがだんだんかすんでいって、右チャンネルのギターがどんどん加速してゆくのがそのままずっと続いていってほしいかんじ。
  3. The last CD I bought:

    Soft machineの「Fourth」。これについてもこないだ書きました。クールでいい感じですけど、やっぱりRobert Wyattが歌ってくれないと。
  4. Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me:

    すでに19980722で語ったことでもありますが。なんかこうやって並べてみると古い曲ばかりなのですが、新しいのを開拓してないわけでもありません。ただ、"listen to a lot, or that mean a lot to me"というかぎり、やはりそうなりがちなわけで。
    1. Jefferson Airplaneの「After Bathing at Baxter's」のA面1曲目"The Ballad Of You & Me & Pooneil"。このサイトの名前の元ですな。ちなみにJefferson Airplaneのファンサイトの管理人の方はpooneilプーニールさん(6/27訂正)という名でずっと活動しておられるので、私はあとから来たいわば偽物です。三人のボーカルの絡みがほかのウエストコースト的なコーラスとはぜんぜん違っていて、美しいハーモニーとかでなくて、自由なかんじで、こんなふうにやってもいいんだと思わせつつもすばらしい。中二の夏にこのLPの日本語版(サイケなボディペインティングの写真のジャケット)を誰もいない夜に一人でどきどきしながらはじめて聴いたときにいきなりギターのフィードバックノイズが聞こえてきたときの衝撃とか。はじめて聴いたのは14歳。
    2. Neil Young & Crazy Horseの「Everybody Knows This Is Nowhere」のB面3曲目"Cowgirl in the Sand"。10分間でギターソロ4回。ギターヒーロー的文脈とは全く別の奏法で単音でつたなく弾きつつもむちゃくちゃ気持ちのこもった音にすげーやられました。独特のハネとリズムギターの絡みとなにげにかっこえードラムとかも合わせて最高。ブートを聴いててもスタジオ版に勝るものがないところをみるとなんかほとんど奇跡だったのではないかと思います。15歳。
    3. Rideの「Going Blank Again」の1曲目"Leave them all behind"。シューゲイザー(=UK轟音ギターロック)にはまるきっかけを作った曲。CDプレーヤーの音の大きさを思いっきり上げて、耳がイカれるくらいに鳴らして町を自転車で走った。80年代ハードロックをぜんぶ迂回した私にはじめてでかい音で聴く喜びを教えた曲。MY BLOODY VALENTINEの「Loveless」の11曲目"Soon"とどっちを選ぶべきかと思ったけど、ジャケ買いで先に聞いたRideの方を挙げるのが"mean a lot to me"という問いに合っていると思いました。24歳。
    4. 井上陽水の「氷の世界」のB面3曲目"桜三月散歩道"。長谷邦夫によるいい感じに壊れた歌詞がすばらしいこの曲と、「断絶」での心を直撃する声と「センチメンタル」での優しい歌い方とを昇華させて完成したすばらしいボーカルのA面1曲"あかずの踏み切り"とどっちを選ぶべきかと思ったけど、後者の声のすごさを知ったのはあとになってのことだから前者を選びます。13歳。
    5. Image
      not
      available
      島田奈美の「放課後のスケッチ」のA面4曲目"よい子は恋泥棒"。浪人時代になぜかはまりました。それまでアイドルの歌なんて聞いたこともなかったのに、ドラマ「お坊ちゃまにはわかるまい」ビデオに撮りました。デビューの年のサンシャイン噴水前広場行きました。渋谷東急ではレコード買って握手しました。その年のクリスマスミニコンサートにも行きました。今となっては恥ずかしいように思えたけど、アルバムを時代順に追って全部聞いてみたら、思い入れのある時の曲は今でもよく聞こえる。この気持ちが大切、そう思いますんで隠さず書いてみました(以前書いたものを改変採録)。曲としていちばん好きだったこの曲は作詞は佐伯健三で、作曲は福原まり。福原まりが提供した"ためいきばかり…"や"空中散歩"もよかったです。18歳。
  5. Five people to whom I'm passing the baton:

    というわけでこれはパスさせていただきます。

(*) これまでの音楽ネタを[Music]カテゴリにまとめたら34個エントリがありました。

(**) かつてゴッコルネタに乗っかって書いたエントリを消去した私です。

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# alchymia

バトンを受けていただき、ありがとうございます。よく音楽ネタを書いていらっしゃるので、ご迷惑かと思いましたがお願いしてしまいました。「はじめて聴いた年齢」が書いてあるのはとてもいいですね。

# プーニール

はじめまして!
Jefferson Airplaneのサイトをやっている「プーニール」です。こちらのサイトは、キーワード検索で発見して以前から存じていました。私も曲名から名前を拝借したので、ポール・カントナー側からクレームをつけられることがないよう、HNはカタカナ表記にしたのですが、サイト名を「Pooneil House」にしてしまったあたりが間抜けでした。(^^;)

私も『ヒッピーの主張』がJAとの出会いでした。(リアルタイムです。)ボディ・ペインティングの写真を家族に見られるのが恥ずかしくて、音楽誌のグラビアを切り抜いてその部分に貼りました。ビニール・コーティングのジャケットだったので、いつのまにか糊がきれいに剥がれてくれたのが幸運でした。

もしよろしかったら「pooneil」さんで、うちの掲示板にも遊びに来てくださいね。

# pooneil

プーニールさん、どうもはじめまして。掲示板ちょくちょくROMってました。大昔に書き込みしたことがあるかもしれません。さいきんご無沙汰だったのですが、ちょうど「ヒッピーの主張」のジャケットの話題が出ていたのですね。田名網敬一ですか、知りませんでした。そう言われてみればほかでも見たことがありました。
それではちょっと書き込んでみます。さすがに紛らわしいので、名前は変えて書き込みました。


2005年06月15日

ソングライン

元気です。が、時間がない。Static motion illusionのJNS出てましたね。
ずっと聞きたいと思っていた山本精一の羅針盤による「ソングライン」を発見。聞きまくり。すばらしいです。
ジャニスに通ってboredomsや花電車など聞いていた私としてはずっと気になる存在だったし、カンタベリーファンでもあるこちらの方のfavorite musicにも入っているのでいつか見つけたら、と思っていました。
最初に聞いたときは子供もいたので小さい音でならしてたんだけどそうするとほんとにフォーキーというか地味なのだけれど、でかい音でならすとギターの揺れ具合(近いものを探すならGalaxy 500やYo la tengo)とかいつの間にか混じり込んでいるスペーシーなシンセとかが気持ちよいので、木訥としたかんじの歌のメロディーラインも引き立ってくる、という具合。すばらしい。無理なたとえをするならばLou BarlowにとってのFolk implosionもしくはSentridohが山本精一にとっての羅針盤、というところなのでしょうか。これは前作も新作も聞かなくては。Rovoや思い出波止場も聞きたくなってきました。さいきんmarquee方面ご無沙汰なんですけどね。
といいつつSoft machineの「Fourth」買いました。サイケ-カンタベリー好きの私としては聞けるのは「Third」までだろうなあと思って前には遡りつつも新しい方は聞いてなかったのですが、うーむ、やっぱり私は「volume two」がいちばんかな。もう少し聞き込んでみようとは思いますが。そういえばBBCバージョンの"moon in june"では前半部分をどうやって演奏しているか確認したくて(*)うちにあったはずの「The Peel sessions」を探したら見つからない。誰かに貸したっけ?(<-壁に向かってしゃべるのに耐えつつ。)
こないだの出張でひさびさにお目にかかったテクノコレクターの助教授から聞かせてもらったCanの「Future days」、こちらはよかったです。CanというとTago magoやEge Bamyasiとかのフリーキーなダモ鈴木とハンマービートというイメージだったのだけれど、けっこう違いますね。ちょっとほかにはない音の体験ができます。
(*)スタジオ版では前半部分はRobert Wyattが一人で多重録音していて、歌が終わった直後からはじめてバンドが入ってくる。Robert Wyattのインタビュー読んでスタジオ版聞き直してみたら明白でした。Mike RatridgeとHugh Hopperが露骨なまでに歌のバッキングを拒否した様子がありあり。じゃあ、ライブ版のBBCバージョンではどうやっていたのだろう、と思ったのです。


2005年04月20日

アジカン

なんか、こう、スネオヘアー、サンボマスター、ときてアジカンかよ、というのも「産業サブカル」という言葉を知ってしまった今となっては気恥ずかしいのですが、ソルファ ASIAN KUNG-FU GENERATION、車ででかい音でかけて歌ってます。いや、「リライト」最高。とくに新しい音とも思わなかったし(初めて聴いたときは「secret goldfish?」とか思った)、「存在証明を鳴らせ」とかロッキンオンジャーゴンも気恥ずかしかった。でも、「消して リライトして」でテンション上げて叫んでたら、なんかどんどん良くなってきた。もう、こういうかんじでどんどんやっていく所存(<-なにこれ)。
コメントする (3)
# Gardener

そう、そうなんですよ、アジカンって、歌詞を口ずさんでいるとどんどん良く感じられるバンドだと思います。そういう意味で極めてライブ向きで、昨年の武道館は本当に興奮しました。pooneil さんも是非ライブへ。あぁ、『リライト』、Yale に持ってこなかったの大公開。

# Gardener

失礼、「大後悔」。

# pooneil

ごぶさたです。いやあ、私もライブ行ってみたいです。調べたときにはもう東海地方はsold outでした。ちなみにファースト(君繋ファイブエム http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000DJWT0/)は「無限グライダー」が好きです。


2005年04月14日

子育て日記4/14

子供たちとボクシングごっこ遊びをするときにいつもアリスの「チャンピオン」の締めフレーズ|EE-D--G-|-F#--G-F#-|E----|を口ずさんでいたら息子も娘も憶えてしまった。んでもって、こないだせっかくだからと車で「チャンピオン」をフルコーラスかけてみたらけっこうウケてた。「ユーキーキー」だけでなくアウトロの「ライラライラライラライ」もおもしろいらしい。あと「おぉ神よ!」とか。
ということで聞き続けたら「いまはもうだれも」や「君の瞳は一万ボルト」が息子は気に入ったらしい。君の瞳はピカチュー(10万ボルト)よりも電圧が低いらしい。
「冬の稲妻」がかかったので「You're rolling thunder」「ハァー(熱いため息)」の掛け合いを教え込む。二人ともノリノリ。これでカラオケで「冬の稲妻」を歌うときにはいつでも子供たちが「ハァー(熱いため息)」を入れてくれる準備が整いました。


2005年02月11日

サンボマスターすごい

サンボマスターは君に語りかける サンボマスターは君に語りかける
新しき日本語ロックの道と光 新しき日本語ロックの道と光
を聴いたのですけど、すばらしすぎます。むりやり形容すれば、スリーピースのギターロック+ジェームス・ブラウンなんだけど、ボーカルがすばらしすぎます。私にとってはエレカシ宮本以来の衝撃です。これはライブに行かなくては、と思って調べてみたら、名古屋クラブクアトロ2/17 SOLD OUT。まさにブレークしたところで、アルバムもチャート上位にきているではないですか。ああ、遅かった。(さいきんロッキンオンジャパンとかもう読まなくなったからこういう盛り上がりに疎くなった。)
もうこれは友人に勧めてまわらないと。つーかご無沙汰してますけど元気にしてます?

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# ii

脳科学入門ほやほやの学部4年のiiです。
まだ1つづつ論文読むのがやっとで、分野全体を幅広く見渡せないので、
いつも学習の参考にさせていただいています。

コメントつけたのは、サンボマスターはさておき(まだちゃんと聴いていない)、
僕もエレカシ(宮本)大好きなので。
同じ分野で同じ趣味の人がいるとうれしいです。
バックナンバーにはかつて聴いていたロックがずらり列挙されていて、ああ、ロック好きでも立派な科学者になれるんだ、と少し胸をなでおろしました(笑)。

これからもロックな脳科学者として活躍お祈りしております。
では。

# pooneil

どうもはじめまして。いやいや、べつに「立派な」科学者ではないですけどね。サンボマスターはエレカシやイースタンユースが好きでしたら間違いなくハマると思います。ということでぜひまた書き込んでください。

# マコちん

ずっと前の記事にコメント失礼します。私も今現在学部4年でして、まったく知らない脳科学の世界を知るのに、いつも参考にさせて頂いています。
僕も音楽が好きでバンドやったりしてるので、pooneilさんのmusicカテゴリを見て、すごく反応していました。pritty thingsとか^^;
音楽関連のエントリ期待しております。

# pooneil

ども。反応するポイントがpretty thingsですか!!
たしかにここ最近musicカテゴリで書いてないですね。
あまり新しい音楽聞いてないのが如実に出てます。
これからもぜひまた見に来てください。


2004年12月28日

忘年会

の二次会はカラオケ。私のセットリスト(すまん)は

  • ウグイス (スネオヘアー)
  • Don't look back in anger (Oasis)
  • 銀河鉄道999 (ゴダイゴ)
  • ピント (スネオヘアー)
でした。毎度のことながら盛り上げるとかそういうことをまったく度外した選曲。サニーデイサービスの「空飛ぶサーカス」とかイースタンユースの「雨曝しなら濡れるがいいさ」とかグレイプバイン「愁眠」とかがDAMには入っていなかったので歌えなかったのが残念。ちなみにこないだのセットリスト(しつこい)は
  • 天体観測 (バンプオブチキン)
  • immmigrant song(Led Zeppelin)
  • 君を想う(元ちとせ)
  • ワンダーフォーゲル(くるり)
  • 光について(グレイプバイン)
でした。


2004年11月24日

キング・クリムゾン「太陽と戦慄」

キング・クリムゾン「太陽と戦慄」 太陽と戦慄 (紙ジャケット仕様)
原題は"Lark's Tongues in Aspic"。
ネタ元:http://d.hatena.ne.jp/yomoyomo/20041124#houdai
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%a5%d6%a5%ae%c9%e2%a4%ad%a5%a4%a5%ab%a4%b9%cb%ae%c2%ea100%c1%aa
http://d.hatena.ne.jp/hibiky/19730301
そういえばどうだったっけかと興奮気味にググってみたところ、Elephant Talk(http://www.elephant-talk.com)のFAQを発見。
http://www.elephant-talk.com/faq/faq4.htm#q77
これを元に直訳するならば、ヒバリの舌の煮こごり、もしくはヒバリの舌入りの煮こごり、というところでしょうか。さまざまな含意を取り除いたとして。
せっかくなので追記:煮こごり、って言ってしまうのはちょっと違いますね。レシピを探してみると、

  • Tomato Aspic 写真入り。トマトソースをゼラチンに溶かして調味料入れて固めたものらしい。
  • Carp in Aspic
  • Salmon in Aspic魚を煮て出た煮汁にゼラチンを融かしたものを煮魚の上にかけて固めたものらしい。
ここにすこし記載があります。
とりあえずLarks Tongues "In Aspic" recipe -Crimsonでググって見てもこれくらいしか引っかかってこないんで、さっぱりイメージ湧きませんでした。


2004年11月16日

スネオヘアー "a watercolor"

スネオヘアー "a watercolor" a watercolor
よかった。なんでいままで聞かなかったんだろう。もう一曲目のイントロから合格判定ってかんじ。視聴するだけで購入確定してたな、こりゃ。CD屋にぜんぜん行ってないんで見逃した。いかんいかん。というわけでスネスタイルも聞かなくては。


2004年10月20日

Brian Wilson "SMiLE"

Brian Wilson "SMiLE" スマイル
買いました。カーステレオで流しながら買い物にでも行こうかと思って聴きだしたんだけど、思わず車を止めて駐車場で一周するところまで聴いたところ。すごいよかった。
お蔵入りになったSMILE、その抜け殻というかデモテイクとして発売された"smiley smile"、それ以降断片的にオリジナルアルバムに入れられたマテリアル(surf's upなど)、そして出回ったブートレグ、というあたりの経緯についてはググればいろいろ出てくると思います。
基本データとしては、昔の録音の題材を使ったのではなくて、新しく現在のバンドで録音したということ。だから、Brian Wilsonの声は昔ほどすばらしくないし、声が出ないところ(Surf's upの「カーラミネイテドルーインズドオーミーノー」)とかは他のメンバーのコーラスをくっつけることで処理してたりします。あまり今っぽい音が聴こえてこないようにアレンジと録音とに気を使っている様子が見られます。あくまで今のバンドが作ったものであって、あの伝説がよみがえる、というふうに考えて聴くべきものではありません(これが当時出てたら、Sgt. Pepper'sを越えたかどうかを議論する意味はないと思います)。
それで、1999年のBrian Wilsonのソロ「imagination」を聴いてまったくピンとこなかった私としては、ぜんぜんダメに聴こえてもおかしくないはずなのですが、すばらしかった。なんというかすごく輝かしい感じ。明るい、といっても能天気な明るさなわけはないのだけれど、"smiley smile"の密室感に慣れてしまった耳からはほとんど拍子抜けするくらい。グループとしてうまくいっているのだと思います。飛行機の中では英語のテープでも聞いてるつもりだったけど、もうこれに確定です。
と、興奮を書き付けておきます。


2004年10月09日

Brian Wilson "SMiLE"

Brian Wilson "SMiLE" スマイル
に対する熱烈なコメント:"はてなダイアリー - 書店員の音楽帖♪ 10/7"
うーむ、聴いてみたい。やはり日本盤出たら買うべきか。
ちなみに私は"Pet sounds"と"Smiley Smile"は購入したけどsmileセッションのブートレグとかを購入するほどではない、という感じです。Smileに関してはほぼ初心者である私にはどう聴こえるでしょうか。


2004年10月08日

"America - History: Greatest Hits"

"America - History: Greatest Hits" History: America's Greatest Hits
でひさびさに"Ventura Highway"を聴く。やはりすばらしい。むちゃくちゃシンプルな構成。平歌がGmaj7/Dmaj7でサビがEm7/F#m7。これでおしまい。超いさぎよい。
ブリッジもなくてサビも繰り返さない。ABABでおしまい。アウトロもあっという間にフェードアウト。それがなんかいい感じ。(急に思い出したけど、スピッツがやっと売れた「ロビンソン」もブリッジなしの曲だった。最後はサビを繰り返すけど。)
そういうわけでギターで弾き語りしてみるとどうにもメリハリがつかないんです。コーラスなどの構成で曲として成り立っていることがわかります。
なんかそういう素っ気なさがある曲に最近惹かれている気がします。Brian WilsonのSurf's Upも前半後半のくっつけ方とか全体的な佇まいは「素っ気ない」という表現ができると思う*1。わびさび、って感じ。


*1:というわけで話題のSMiLEでどうなってるか興味あるのですが。


2004年09月22日

"CORDUROY'S MOOD" フィッシュマンズ

"CORDUROY'S MOOD" フィッシュマンズ CORDUROY’S MOOD
んで帰って車でこれを聴いた。佐藤伸治氏の死後、なんかフィッシュマンズのアルバムを聴けなくなっていたんだけれど、なんかいつのまにか喪が明けた感じ。
二曲目大好き。以前はギターでEm7-A7-D7-Gをかき鳴らして歌ったものです。同時期に出たシングル「100ミリちょっとの」といっしょにカセットテープに入れて聴いたものですが、現在は入手できなさそう。"King master george"に入っているのは別バージョンなんですよね。


2004年09月21日

ADF "Enemy of the Enemy"

ADF "Enemy of the Enemy" Enemy of the Enemy
を聞いてみました。MCのDeederが脱退したあとの第一作なのだけれど、うーむ。バックトラックはたしかによくなった。以前は[ドラムンベース+ラガ]と[民族音楽の掌編]とが分離していたのがほぼ完全に融合されてます。"Fortress Europe"のイントロなんてもう最高なのですが、入れ替わった二人のMCはかなりヒップポップ寄りなのでどうも馴染めない。Deederのすっとぼけた("New Way New Life")、あるときは激しい("Free Satpal Ram")ボーカルがもう聴けなくなってしまったのです、あぁ。と言いつつデカい音で車で鳴らしてます。


2004年09月14日

iHP-120買った!(二ヶ月前に)

iHP-120買った!(二ヶ月前に)iRiver iHP-120
こういうときにiPodとか決して買わない私。20GBあって、mp3だけでなくてOgg Vorbisも聴ける(これ最重要)。電池も16時間保って、FMラジオも聞けて、ボイスレコーダー機能もついていて、PC接続に専用ソフトが不要、と最高なのだけれど四万以上するのであきらめていました。
ところがKakuta sofmapでヘッドホンつけると3万1千円になるのを見つけて、慌ててネットカフェに入ってネット調べて確認してその場で購入(安いが重たいCreative NOMAD Jukebox Zen Xtra 30GBにするつもりで秋葉原に行ったのだけれど)。
で使用開始して三ヶ月目ですが、不満はほとんどありません。車で使うのが主ということもあって、もっと手探りで選曲しやすいといいのだけれど。これに関しては、m3uを編集する、というのが筋かもしれない。
あと、FMトランスミッタに金をかけなかったのには後悔しました。二千円くらいのアナログ式のやつを買ったら、調整してもすぐ周波数がずれてきて雑音が入る。指での微妙な調節が必要。隣の県まで行ったときに使ったら、いきなりFMラジオと混ざってしまうが、高速道路運転中なのでいじれず、あきらめたり。やっぱサン電子 FMTM-101SANDENSHI FMTM-101 FMトランスミッターを購入したほうがよかったみたい。


2004年09月08日

Tahiti 80 "Wallpaper for the Soul"

Tahiti 80 "Wallpaper for the Soul" ウォールペーパー・フォー・ザ・ソウル
いつのまにか二曲目から全部口ずさめるようになっていたり。でこの二曲目("1,000times")でカッコいいのが、サビで同じ歌詞が繰り返されるんだけれど、リフレインではなくて、別のメロディーに同じ歌詞を乗せているのです。これいいなあ。ぜひ真似してみたいところ。
非英語圏の人だからか、かなり歌詞は聞き取りやすいんだけれど、サビの始めはわたしずっと"autumn will come"って言ってるとずっと思ってたんだけど、"our time will come"だそうな。ぜったい無理。


2004年09月07日

Revolverの"tomorrow never knows"

Revolverの"tomorrow never knows" リボルバー
を久々に聞いてみたのだけれど、すばらしいなあ。以前と違って車で大音量でかけているせいか、こんなに疾走感というかノリのいい曲なんだと再確認。以前は逆回転のギターとかいろんなSEとかのサイケデリックな処理に注意が向いてたし、"Setting Sun"の元ネタともなった独特のドラムパターンとかクラッシュシンバル鳴りまくりとかもサイケデリックの文脈(なにしろ私にとってはじめて聴いたサイケデリックロック)で聴いていたのだけれど、ベースとなるトラックのよさを再確認。こうなるとやっぱりアンソロジー2でのデモバージョンを聴きたいなあ。


2004年07月29日

Kinksを歌って泣く。

自分で歌って自分で泣くのです。
"Everybody's in Showbiz"のclosingの"Celluloid Heroes"をギターで弾き語りしながら。僕の人生がノンストップのハリウッド映画だったらよいと思う、だってフィルムの中の主役たちは痛みを感じることがないのだから。あーもう泣いた。子供たちには迷惑そうだ。
"Arthur - Or The Decline And Fall Of The British Empire"の"She's Bought a Hat Like Princess Marina"。彼女はマリーナ王女のような帽子を被り、公的行事(窓掃除や階段掃除)に参加する。彼はアンソニー・ギデンス(イギリスの有名な社会学者)のような帽子を被るがロールスもベントレーも買うお金がなくて中古のフォードを買う。んでブリッジ越えた三番で泣くのですな。やっぱり子供たちには迷惑そうだ。いいじゃん(<-酔っ払ってます)。

"フランツ・フェルディナント"

なんて書いておいたら。
"フランツ・フェルディナント"


アレックスのボーカルはキンクスのレイ=デイヴィスを彷彿させるメランコリックな声質(そしてメンバーのコーラス)。曲の転調の仕方さえもキンクスしている。(新訂カンタン系より。)

これは聴きに行かなくては。


2004年07月07日

Amon Düül

Amon Düülは全て最高なわけだが。よく言われる1stおよび2nd と3rdとのあまりの違い(ドラムたたきまくり叫びまくりギターリフ繰り返しまくり、からアコギ主体の弾き語り系プラス催眠系ギターへ)について、日和ったと言ってもいいだろうし、政治的メンバーが抜けて音楽的になったというのも本当だと思う。けれど、あれって要するに"chill-out"した、と捉えればよいのではないでしょうか。ひとつのセッションぶっつづけ(20時間とも48時間とも言われる)から編集した1st, 2ndでの狂騒に荒れ果て、そこでレイドバックというかチルアウトしてしまったのが3rdであって、そのような「祭りのあと」感が3rdのに流れている空気だと思うのです。なんかドパミンだかアドレナリンだかが枯渇してしまった状態。それはサイケデリックロックからカントリーロックへと移ったByrdsなどのアメリカのバンドが辿った道ともほぼ同時進行だったのでしょう。そういうわけで、3rdのアウトテイク集が出たら"Chilling-out Düül"なんてタイトルはどうでしょ。


2004年06月11日

Surf's Up

私はThe Beach Boysは"Pet Sounds"と"Smiley Smile"と"Loves You"しか聴いたことがなくて、Pet Sound原理主義者でしたが、ベスト版を発見しました。表がサーフィンしてる絵で、裏が水着の女性、というステロタイプというかダサいジャケットのやつ。んでもって、Surf's Upを聴きました。Smileで完成できなくて結局あとのアルバムで収録された伝説だけ知っていて、期待して聴いたのだけれど、なるほど、これはいい。単に二つのピアノ弾き語りをくっつけただけのようなぶっこわれた構成、そして地味だがだんだんクルすばらしいメロディ。というわけで最近は車でこれを歌ってます。カーラミネイテドルーインズドオーミーノー(高くて声出ない)。


2004年05月10日

Pooneil Tyme

"Baxters"の歌詞で私が一番いいと思うのは、「私たちがしていることにはまだ名前がついてない」というやつだな。そういう領域へ行ってみたいものだ。スピードが落ちれば名前が付けられてしまう。それがサイバネティクスとかオートポイエーシスという名で呼ばれるようになる。それ以前の、つねに立ち返らなければならない場。私の現象学はそういうロマンティシズムとごっちゃになっている。
「名前をつけてやる」という儀式と「名前のない馬」への立ち戻り、とか言ってみる。


2004年04月13日

ムーディー・ブルース

ムーディー・ブルース
がローソンでかかってた。聞いたことない曲だけど、あの声とどんどん違う曲につながってくあの構成からして間違いない。再結成でもしたのだろうかと思って調べたらまだ現役でやってるのか!おどろき。私の一押しはジャケットがサイケな"In Search of the Lost Chord"。5曲目の"Legend Of A Mind"はティモシー・リアリーについての曲。- Timothy Leary's dead - no, no, no, he's outside looking in. - 最高です。"The Best Way To Travel"はアコースティックな小品(verseが八小節)ながら浮遊感で聴かせる名曲。ジャケットはおどろおどろしいし、いちおうプログレに分類されると思うのだけれど、メロトロンを多用したアレンジと優しい曲調が彼らの特徴。
ここのボーカルもそうだけど、優しい声の系譜というのが私にはあることに気付いた。すなわち、Donovan - Ray Thomas - Robert Wyatt - Lou Barlow。うーむ、80年代が抜けている。


2004年03月13日

Tahiti 80 "Wallpaper for the Soul"

Tahiti 80 "Wallpaper for the Soul"
よい。前作はジャケット見ていまどき渋谷系?という感じでなんか敬遠してたのだが、後悔。もっと早く聴いとけばよかった。基本はギターバンドなんだろうけど、レトロな感じのストリングスとか入ってたり、よくできている。評判からの予想ではもっとネジくれているのかと思ったけど、すごい直球勝負。XTCやTodd RundgrenやZappa好きの私としてはもっと毒がほしいところではあるけれど、いいものであるのは間違いない。


2004年02月09日

一年前の今ごろは

深夜に隅田川を渡りながらヘッドフォンステレオで耳が痛くなるほど大きい音で音楽を聴いていたのを思い出す。隅田川でバラバラ死体が出た、とかでビビりながら渡っていたっけか。そのころ聞いてたのはAsian Dub Foundation "Rafi's Revenge" "Communitiy music"、Mansun "Six"、Sebadoh "Bakesale"、ブンブンサテライツ "Out loud"、BUDDHA BRAND "病める無限のブッダの世界"、BT "ESCM"、くるり "TEAM ROCK"、Frank Zappa "200 motels"、Ride "Going blank again"まですべて、Cornershop "Born for the 7th Time"、Eastern Youth "雲射抜ケ声"、bluetones "Expecting to Fly" 、Massive Attack "Mezzanine"、Grapevine "覚醒" "退屈の花" "Lifetime"、MBV "Loveless"、Manic street preachers "This is my truth tell me yours"、Soft Machine "Vol.1" "Vol.2" "Third"、Supercar "Futurama"、バッファロー・ドーター "ニュー・ロック"、フィッシュマンズ "CORDUROY’S MOOD" "LONG SEASON"、Jefferson Airplane "After bathing at Baxters'"、Traffic 初期三部作と"John Barleycorn Must Die"、King Crimson "Red" "Larks' Tongues in Aspic"、THe Byrds "5th dimension"、Chapterhouse "Whirlpool" 、Velvet Underground "White Light/White Heat"、TODD RUNDGREN "Something / Anything" "Wizard a True Star"、XTC "English Settlement"、チボ・マット "ステレオタイプ A"、The Beach Boys "Pet Sounds" "Smiley Smile"、PINK FLOYD "Piper at Gates of Dawn"、KINKS "Village Green Preservation Societyとかだった。列挙したかっただけ。


2004年02月08日

Led Zeppelin

Remasters。やっぱりAchilles Last Standいいなあ。久しぶりに聞いてみるとけっこう雑な感じだし後半散漫になってる感じもするが、そこが自棄で切ない感じに聞こえるようになってきた。(自棄な感じ、というのは最近の私の琴線だ。) ネットでタブ譜を探してイントロのギターを弾いてみた。十年ぶりとかかも。/Em9 /F#m(add b6) /だそうな。重ねないとそれらしくならないのだけれど。ここしばらくは家へ帰るまでの五分を回り道して(一曲10分)車でこれ一曲だけ大音量で聞いてる。二車線の道路とかでとなりに車が並ばれると気まずいので狭い道を選びつつ。
Whole lotta loveがたった五分半しかないことに気付いてびっくり。もっと長いかと思ってた。


2004年01月18日

Again

の使用はBaffalo springfieldから来ているわけで、revistedにするとBob Dylanぽくなるし、return ofをつけるとZappaっぽくなる、という悲しくもチャチな言葉遊び。そうだ思い出した、泣ける感じといえば、「ぼろぼろになったぬいぐるみ」と言えばかなりキャッチ―で伝わるかも。Sonic YouthのDirtyのジャケットのやつとか。サウンドカード購入はとりあえずお預けに。


2003年12月30日

ゆらゆら帝国

ミーのカー。
サイコー。ガレージ系のサイケ。ボーカルの喉の細さあたりまでペブルズかナゲッツにでも入ってそう。一曲目はSunday morningかこれは。午前3時のファズギターはジミヘンみたいな風格がある。ラスト曲……よし、生で見たくなった。


2003年12月27日

Mansun

Mansunの1stアルバム「attack of the gray lantern」 attack of the gray lanternを見つけたので聴いた。"Stripper Vicar"サイコー。タイトルもサイコー。歌い方もなんかやけな感じがよい。ま、ブリットポップですが、日本のビジュアル系みたいな歌い方ではある。
前に2ndの「Six」 Sixのほうを先に聞いたんだけど、これがいまどき珍しいコンセプトアルバム*1で、私も好きな「タオのプーさん」にインスパイアされたらしいA面は初回聞いたときからのお気に入り。オープニングはG-F#-Bm-Aの必殺泣きコード進行。「ともあれ人生は妥協だ。」B面も"Legacy"最高。寂寞としてて泣ける。夜中に自転車で隅田川を渡るときのテーマソングだった。「君が逝っても誰も気にはしない。」
で、ひさしぶりに調べたら解散してる…

*1:Sgt. Peppers'みたいなもん。このアルバム自体の構成はWizard, a True Starを髣髴とさせるところあり。


2003年11月30日

Eight miles high

のイントロではベースの音でドラムがビリついているのが聞こえる。それだけ。


2001年10月02日

たまにつづるメモ

カーステレオでかけていたBoo RadleysのWake Upの5曲目の"Find the Answer Within"を3歳になる息子が気に入って歌うようになる。あとで家に帰ってから、一緒にギターを弾いて(息子はうちわにゴムを掛けて作ったニセギターで)歌った。こんな日がこんなにも早く来るとは思わなかった。もう思い残すことは無いかもしれない。


2001年08月25日

たまにつづるメモ

イースタンユースの新譜の一曲め(「夜明けの歌」)を聞いて気に入る。エレカシに通じるものがあるというのを何かで読んで前に「旅路二・・・」を聞いたときにはどうもパンク系の流儀に馴染めなかったが、これは良かった。改めて「旅路二季節ガ燃エ落チル」と「雲射抜ケ声」も聞いてみる。「雨曝しなら濡れるがいいさ」は泣ける感じ。とてもよい。


2001年05月09日

たまにつづるメモ

ADFのcomunity musicよい。New way new lifeよい。以前からの記述でわかる人にはわかることだが、発売から1年経って貸しレコード屋で借りれるようになったものしか聞いてない。東京から離れる、ということは私にとってはJANISが無いということなのであった。チーズはどこへ消えた?は延期。


2001年02月27日

たまにつづるメモ

最近のCD状況:Primal ScreamのXTRMR聞く。Blood Money最高。車で大音響でかけて夜中の248号線を走る。新しく出るManic Street Preachersは前作のおセンチ路線からは離れているらしい。でもたぶん買う。Mansunは買わなかった。と並べてみると英国ばかりであることが判明。でもロッキンオンとクロスビートはもう立ち読みで済ませることにしている。AJICOよかった。


2000年08月09日

たまにつづるメモ

Kさんに渡した名曲選90分テープ。

特選曲集90分テープ:A-1960's side, B-1990's side

コメント A 候補曲を並べたら、ほとんどが60's/90'sに分類できた。そこでSide Aは1960年代の曲に絞ってある。もっとメロディーのいい曲は他にあるが、ここではサイケデリックな曲に絞って私のリスナー人生に衝撃を与えた曲を選んだ。

  • A-1 スティーブ・ウインウッドがサイケ時代に作ったバンド。シタールやタブラがいい感じ。曲調はけっこうかわいい。イギリスで2位ぐらいになるほどヒットした。次のアルバムはもっと黒っぽい方へ行って、それもまたよい。
  • A-2 ヒットしたが、ドラッグソングである(ハイになる)ことに文句をつけられて、ラジオなどでは放送禁止となったが、リーダーのロジャーマッギンは飛行機に乗ったときの歌であると下手な言い訳をした。
  • A-3 ドラムにかかってるディレイがサイケでいい感じ。7拍子。作詞作曲はフランクザッパ。後半は単にギター引きまくりだが、ここを中古レコード屋で聞かせてもらったのが決め手でこのレコードを高二のときに7千円出して買った。
  • A-4 サンフランシスコのバンド、スターシップの前身。三人が自由に動く旋律が特徴だが、ここではギター、ベース、ドラム三人でジャムっている曲を選んだ。インチキ東洋趣味、中近東趣味がいい感じ。初めて聞いたときは怖くて寝れなかった。
  • A-5 バロウズの「軟らかい機械」から命名。少しジャズがかっている。へなへな声も魅力的。これはニール・ヤングにも当てはまる。シドバレット在籍時代のピンクフロイドとUFOクラブで活動を共にしていた。ドラマーでシンガーのロバート・ワイアットは現在も活躍中。
  • A-6 フランクザッパが60年代に作っていたバンド。断片的な曲をつなぎ合わせた構造の曲で市役所勤めの男の妄想が歌われている。「チョコレートシロップに13歳の娘を漬ける」とか。歌詞はエロと政治と風刺って感じでメッセージ色強い。
  • A-7 テキサスサイケの代表的存在といわれるバンド。バンドのメンバーに曲のあいだじゅうずっと「ポコポコ」言い続ける役がいる。噂では壷をかぶっているらしい。ここではおとなしいがなんか壊れている感じのこの曲を選んだ。
  • A-8 ジャーマンサイケの代表。狂った太鼓が17分間続く曲の前半をテープが切れるまで入れてある。歌詞はLSD系。題名も「サンドーサ(LSDを作った会社サンドから)で見た夢」。このようなアルバムを2枚出したあと、ダウナーなアルバムを出してバンドは崩壊した。

B Side Bは1990年代の曲に絞ってある。ここではサイケ系を継承したような轟音系のロックバンドの曲に絞って選曲した。これらの音作りは90年代当初は衝撃的だったが、現在では広く使われるようになった。

  • B-1 イギリスのグループ。メンバーはヒップホップ、R&Bなどのブラックミュージックやピンクフロイドなどのプログレを聞いて育ってきたという。(どの曲もそうだが)ボリュームをデカくして聞くべき。
  • B-2 この曲を聴いて、ブライアン・イーノは「ポップのスタンダードを変えた」という賛辞を出した。轟音が鳴り響いているのに繭の中にでもいるような感じを与える。1991年以来アルバム作成中のまま噂だけが流れつづける。
  • B-3 A-7のグループの代表曲の現代版リメイク。踊れる上にサイケないい曲。シタールの音とハウスっぽいピアノの音が混在する。これ以降、ダブを取り入れた方向へ進んでいて、音そのものの強度がさらに増している。
  • B-4 B-2,5などに影響を受けて作られたオックスフォード出身のバンド。うつむきながらギターをかき鳴らす姿から"shoegazer"と呼ばれたバンドの代表格。その種の自意識過剰というか、轟音の中になんかロマンチシズムのようなものが感じられる。
  • B-5 ニューヨークパンク的、テレヴィジョンの直系のような存在にしてこのような音作りの元祖。ルーツは現代音楽にあり、他の轟音系のバンドと違って、ただノイズを出しているのではなくて、計算して音を重ねている感じがわかる。
  • B-6 B-2,5などに影響を受けて作られた青森出身の日本のバンド。B-4の焼き直しのようなところがあるが、若さ、つたなさがあって作りがないので、他に似たようなバンドはたくさんあるがそれらと比べて好感度高い。
  • B-7 XTCの変名サイケバンド。音作りから曲調まで60年代サイケを真似していて、ほとんどギャグの域に達している。曲としてはよく作られていて、60年代の曲のようなスキ、ツッコミどころはない。けどいい曲。
  • B-8 本当にLSDをやりながら演奏してしまっている人たち。同じことの繰り返しを44分続けているもののうちのはじめの5分をテープが切れるまで入れてある。ある種テクノに通じると思っていたらそっちに現在は移っている。"

1999年07月22日

私のからだを通り過ぎていった音楽たち

上から下に向かって聞いていた年代が今に近づいていきます。アルバムの名前には「」を、個々の曲の名前には""を付けて表しております。

1968年。0歳。
サンフランシスコではsummer of loveの年。
1980年。12歳。アリス、オフコースなど在りし日の「ニューミュージック」の時代
1980年代始めの流行りものとしてこういうものを聞いてフォークギターを弾いて歌うようになった。
1981年。13歳。井上陽水、吉田拓郎、岡林信康
はやくも時代をさかのぼり、フォークの時代へたどり着く。「氷の世界」の頃の井上陽水の曲は毎日弾き語りしてた。今でもみんな歌える。吉田拓郎も「よしだたくろう」だった頃の「元気です」とかが好き、ってまるで団塊の世代のような聞き方をしてました。
1982年。14歳。The Beatles
中学の遠足で"Please, please me"をはじめて聞く。かなりありがちなパターンとしてはまるが、最初に聞いたアルバムは「Revolver」。"Tomorrow never knows"を聞いて人生変わりました。以降サイケデリック方面に完全にはまって高校生活が始まる。よって、後期の"I am the walrus"や"Strauberry Fields Forever"が大好き。初期の歌もみんないまだにギター弾いて歌います。
1983年。15歳。The Who, The Kinks, The roling stones その他多くの60-70年代ロック
図書館には貸し出しのできる古いレコードがたくさんあることを発見し、ただただ聞き漁る。文京区の小石川図書館と本駒込図書館と水道端図書館とを掛け持ちして常時10枚以上のレコードを借りて聞いていた。こうしてこの時代の英米のロックのメジャーなものを聞きまくった。
1983年。15歳。Neil Young
歌いかた、ギターの弾きかたともに、決定的な影響を受けた。大滝詠一がはっぴいえんどの時代に"空色のくれよん"で歌ったように僕も声を揺らせて歌った。グレッチは買えなかったけど、ハードロックの速弾きの練習などに目もくれずに、"Down by the river"をコピった。つまり、単音でたどたどしく歌うように弾くことを好んだ。よってギターソロは下手です(<-言い訳)。
1984年。16歳。Jefferson Airplane, The Greatful Dead などのサイケデリックロック
"Tomorrow never knows"の影響からフラワームーブメント-サンフランシスコ-ウッドストックといったヒッピーの文化へとはまり込む。「マリファナ ナウ」とか読んだりして、大学はいる前から薬理学の専門家になってました。この頃(1980年代後半)はまだCDが出始めた頃で、この辺のもののちょっとマイナーなものは廃盤になってて、図書館にもレコード屋にも無かった。頼りになるのは中古レコード屋だけで、恵比寿の東にあったころのパテ書房とかで買いましたよJefferson Airplaneの「After bathing at Baxter's」(オリジナルとは違う蛍光のボディーペインティングのジャケット)、Fraternity of Manの1st、Donovanの「Hurdy Gurdy Man」、Tyranosaurus Rexの1st「my people were fair and had a sky in their hair(?)」,2nd「(こっちは完全に忘れた。やはり長いタイトル)」、Iron Butterflyの「In a Gadda-da-vida」、話は前後しますがマザーズレコードで買ったWest coast pop art experimental bandの1st、13th floor elevatorの1st,2nd、Greatful Deadの「Anthem of the sun」。 だからPink Floydも好きなのは「The piper at the gates of dawn」からSyd Barretの方向だし、Trafficも"paper sun","hole in my shoe","heaven is in you mind"といった感じです。
1985年。17歳。Frank Zappa, Todd Rundgren, XTCといったいわゆる奇才たち。
フロ&エディーのいた頃のマザーズをアメリカンロックの一種として聞きはじめました。Deep Purpleの"smoke on the water"で歌われているのはこの時期のマザーズの機材の火災だと読んだことがあります。渋谷のマザーズレコードがまだ今のところに引っ越してない頃に「Absolutery Free」の海賊版を2000円ぐらい(当時CDは発売されておらず、正規版は1,2万してた。)で買ってはまりました。"Dukes of Prune"とかで木管楽器が入っているのがいい感じです。浪人のときに代ゼミの講習代を使い込んで、パテ書房で5500円で「Hot Rats」を買ったことを思い出します。だれか「Uncle meat」の"nine types of industrial pollution"のギター譜作っている人はいないでしょうか。Todd Rundgrenは「Wizard, a true star」「something,anything」がいいという多数派の意見に同じです。"The night when the callousel burned down(?)"が一番好きというあたりがサイケ趣味に対応しているかも。XTCはSteeve Lilywhiteによるドラムの音の時代のほうがよかったと思う。じつは覆面サイケバンドとして出したDukes of stratosphereのアルバムの方を聞いてから入った。
1986年。18歳。島田奈美
浪人時代になぜかはまりました。それまでアイドルの歌なんて聞いたこともなかったのに、ドラマ「お坊ちゃまにはわかるまい」ビデオに撮りました。デビューの年のサンシャイン噴水前広場行きました。渋谷東急ではレコード買って握手しました。その年のクリスマスミニコンサートにも行きました。今となっては恥ずかしいように思えてこの間アルバムを時代順に追って全部聞いてみましたが、思い入れのある時の曲は今でもよく聞こえる。この気持ちが大切、そう思いますんで隠さず書いてみました。
1988年。20歳。Soft machine, Caravan, Gongなどのいわゆるカンタベリー系そしてCan, Faust, Amon Duul/Amon Duul2などのジャーマンロック
雑誌「マーキー」によく載ってるやつと説明してもいいかもしれない。大学受かって入ったサークルが「フリークアウト」というやつで(まだあるかどうかは不明)、教室に酒タバコを持ち込んで誰かがある分野に絞って編集してきたテープを聞きながら、作ってきたレジメを読む、というのが活動内容でした。充分に参加できませんでしたが。あの人たちとバンドをやりたかった。でもってSoft machineの1st,2ndにはまるわけです。3rdは"Moon in June"はもちろん好きです。この間インターネットで歌詞カード取ってきました。インターネットで一番得したのは何かっていうとこれです。OLGAにもお世話になってます。1st,2ndは曲がつぎはぎだったり、どっかからフレーズを盗んできたりして結構いいかげんなところがあるのもまた魅力で、一方、プログレにはピンと来なかったことからすると(King Crimsonを除く)、しっかり構築されているものを求めているのではなくて、ある種の混沌を求めているんだとわかります。科学者らしくないかもしれない。Ammon Duulの野生的かつ狂った太鼓は最大音量にして自転車で堤防を走りながら聞きました。これに匹敵するものはあるだろうかと思いましたが、韓国のサムルノリはすごいと思いました。学会で韓国にいったときに生で聞きましたけど、打楽器系は生の迫力が一番だと思いました。きっといつか、ガムランを聞きに行く日も来ることでしょう。
1989年。21歳。John Coltrane, Charles Mingus, Eric Dolphy, セロニアスモンクなどの「モダンジャズ」
もともとはジャズのスカした感じにはなじめなかったのですが、Coltraneの"my favorite things"から入りました。モード奏法で西洋的なものから外れていく感じがなじめたのだと思います。まあ、いかにもロック好きの聞き方って感じはしますけど。The Byrdsの"eight miles high"のギターソロはコルトレーンに触発されて作ったという話ですが、コルトレーンと比べなくてもぜんぜんショボイです。でも好き。しかしMiles Davisすら聞いてない、そのぐらいです。
1990年。22歳。Sonic Youth/My bloody valentine/Ride
大学4年生にしてやっとリアルタイムで聞いているものが出てきました。80年代は暗黒の時期でしたから。アメリカンハードロックとかイギリスのニューウェーブとか全部素通りしました。スミスとスタカンとアズカメだけ聞き直しました。若い時期にハードなギターの音を聞かなかったからか、この時期になってこういうノイジーなギターのものを聞き出しました。一部で有名なお茶の水の「JANIS」(フリッパーズギターの人たちも通っていたらしい)に通ってCD聞きまくりました。いわゆるshoegazer系の音を出すバンドを組みたいと思ったものでした。マイブラは人のアルバムはよいから自分のアルバムを出すべき。「Loveless」から10年経ってしまう!
1991年。23歳。フリッパーズギター、エレファントカシマシ、スピッツ
こうしてすっかりロッキンオンジャパンの人になってしまいました。エレカシは2ndの"太陽ギラギラ"だと思ってますし、3rdは"夢のちまた"ですね。スピッツは2nd「名前を付けてやる」でしょう。ここまで書いて見直すとなんか2nd3rdといった初期のものばかり評価してますね。後ろ向きぎみです。草野マサムネやオザケンやスチャダラパーや、ちょっと上だと思うけど奥田民生(が井上陽水と組んだりして何か円環があるわけです)とかに対して同世代という意識があります。
1992年。24歳。Stone Roses, Oasis, The Bluetones, Kula Shaker
でもってロッキンオンの人になるとこういうものを聞くわけです。なんかすっかりロック好きの中高生のようなものを聞くようになりました。このあいだ、妻の知り合いの中学生にテープを編集して送ったりしましたし。ま。何にしろ、10年前よりもずっといい状況になっているからであって、これでいいと思ってます。10才若かったらロック系のクラブに通ったりしたんでしょうけど。
1995年。27歳。スーパーカー
Shoegazer系とかおマンチェ系とかが流行ってた頃に日本のバンドでも似たようなことをやってる人はいたけどいまいちメジャーになれなかった。フリッパーズの3rd("Dorphin Song"は"Broken arrow"のパクリで、いきなりここでNeil Young とつながったりする。)はとてもよかったけどスパイラルライフのラストアルバムは真似の仕方がちょっとダサかった。ここで出てきたスーパーカーは特に新しいことをしているとは思えないが、なんかさわやかで、当時こういうバンドをやりたいと思ったことを思い起こさせてうらやましくなる。「夢は叶うものよ」なんてかゆい歌詞があったりもして、痛し痒しといったところ。ライドのようにある種のつたなさから脱却できずにポシャってもいいのでは、と思う。
1999年。31歳。そうして、このごろ。
ここ数年でよかったのはManic Street preachersの「This is my truth, tell me yours」とMansunの「six」とGrapevineの「退屈の花」とSebadohの「The Sebadoh」です。その種の「泣ける感じ」が琴線に触れるようです。'... And if you tolerate this, then your children will be next...'とかがしみるのは年をとったのかもしれん。

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