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2004年01月31日

J Exp Psychol Gen 02

"Separating sensitivity from response bias: implications of comparisons of yes-no and forced-choice tests for models and measures of recognition memory."(PubMed)
Andrew Yonelinas @ UC Davis。
こんど採り上げるのはこれの予定。私がやっていることがわかる人にはわかるチョイスのはず。というわけでSDTの勉強が必要(Green and Swetsで)。ちなみに電気生理の論文でよくみるROC analysisはたんなるノンパラメトリックな統計の指標としてROCやd'を使っているだけに過ぎず、SDTではない。今回の論文は真のサイコロジーの論文であり、SDTなのでどうやってbiasを操作しているかとかその辺から読んでいく必要あり。
YonelinasはRKジャッジメントパラダイムを用いて、recognition testで事象を(エピソードとして)思い出せるか(Remember)、たんに見覚えがあるか(Know)というふうに分けて被験者に答えさせることでrecognition testのうちrecollection(=episodic memory)が必要な成分とfamiliarityで充分な成分とを分離した。これはTulvingがepisodic memoryとsemantic memoryとを分離したのをより細分化し、より操作的な扱いをしていると言えると思う(TulvingもProc Roy Socとかでその分類をアップデートしている)。つまり、たんなるrecognition memory testをepisodic memoryのテストであるとはもはや言えない。この辺は前にも書いたけど、たんなるwhat-when条件でもfamiliarityで解けてしまうからepisodicとは認められないのだ。
で、このRKジャッジメントを使ってYonelinasはERPをやったり(PNAS '97)、neurologyでRとKのcomponentのdouble dissociationを見出したり(Nature Neuroscience '02 "Effects of extensive temporal lobe damage or mild hypoxia on recollection and familiarity.")と活躍中。なお、recollectionは海馬でfamiliarityは海馬傍回というのは尤もらしい。


2004年01月30日

JNPさらにつづき

"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
こんどこそ最後。
いろいろわからないままなんとか終わった。ぎりぎり。そうしたら図書館に取り寄せを依頼していた"Eye movements : cognition and visual perception."(LATER modelの原著)がいまさら届いてやんの。オーノー。で、読んだら間違えたことを言ってたことが判明したので訂正。

  • 1/24 "だから、decisionのthresholdがgaussianに分布していると仮定しても説明できる。" これは間違い。latencyは¥frac{(S_t-S_0)}{r}なのだからStやS0がgaussianに分布したらlatencyの逆数はgaussianにならない。依然slope rがgaussianに分布するというのがassumptionにすぎないということは変わらないのだけれど。
  • 1/25その他 "直線はNatureには… …を通る直線*2であることが記してあるが、どうやって導出すればよいかわからん。" これは式があった。s=1/T (T=latency)として、P(s)=¥frac1{2}(1+ERF(¥frac¥mu{¥sigma¥sqrt{2}}+¥frac{(S_t-S_0)}{¥sigma¥sqrt{2}}s)) (ERF(x)はcumulative frequencyの関数でERF(x)=¥frac2{¥sqrt{¥pi}}¥bigint_{0}^ne^{-¥mu^2}du)だそうな(たぶん積分記号のnはxの間違いだろうしduもd¥muのことだろう)。これの導出をもう少し手計算しとけば良さそう。ということで再利用をもくろむのであった。
ほかに的確な質問でさらに論点が出てきて有益なやり取りが合ったが、これは私ひとりには帰属しないのでのでコメントアウトして書いておく(はてなの下書き機能を使用)……
……ここまで。
mimeTeXへのリンク。


2004年01月29日

JNPさらにつづき

"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
つづき。
>> mixture of two gaussianをprobit scaleでプロットしたら二つの直線で近似してよいのだろうか。
うまくいかなかったけれど、なんか変だ。Mixture of gaussiansはS字型になるはずで、Carpenterのプロットのような逆L字型などにはならない。やっぱりなにか間違えている?
検証してみた。画像が小さすぎるが勘弁を。Express saccadeの成分がregular saccadeと同じくらいある場合(図右上のヒストグラム)には、そのprobit plotは逆S字型になっていて(図右一番下)ぜんぜんCarpenterのやつに似ていない。一方、Express saccadeの成分がregular saccadeの1/10くらいしかない場合(図左上のヒストグラム)には、そのprobit plotは逆L字型になっている(図左一番下)。こっちはCarpenterの出す図によく似ている。ようするにLATERモデルではexpress saccadeの比率が高いとき(gap条件とかで半分以上がexpress saccadeになる、なんてことはよくある)を説明するのには向いていないらしい。だめじゃん。


2004年01月28日

JNPさらにつづき

"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
つづき。
>> mixture of two gaussianをprobit scaleでプロットしたら二つの直線で近似してよいのだろうか。
試せばいいじゃん、ということでMATLABで作ってみたら、ならない!ピンチ!いや、それぞれの漸近線が直線のプロットにはなっている。
>> (0, ¥frac¥mu{¥sigma¥sqrt{2}})(¥frac{S_t-S_o}{¥mu}, 0)を通る直線
このprobit plotというやつは統計で残差の正規性を検討するときに使うQ-Qプロットというやつと同じものだが、計算して確認したところ、N(¥mu,¥sigma)をプロットするとY=¥frac1{¥sigma}X-¥frac¥mu{¥sigma}の直線に乗ることがわかった。
Latencyの逆数*(-1)は-¥frac{N(¥mu,¥sigma)}{S_t-S_0}、これを正規分布で表現するとN(¥mu’, ¥sigma’)¥mu’=-¥frac{¥mu}{S_t-S_0}, ¥sigma’=¥frac{¥sigma}{(S_t-S_0)^2}だから、直線はY=(¥frac{(S_t-S_0)^2}{¥sigma})*X+¥frac{(S_t-S_0)*¥mu}{¥sigma}となる。たしかにX切片は¥frac{S_t-S_0}{¥mu}になってるけど、Y切片がぜんぜん違う。もうちょっとかも。
なんか変だ。もし論文のとおりだとすると直線はY=¥frac{¥mu^2}{¥sqrt{2}(S_t-S_0)} + ¥frac{¥mu}{¥sigma¥sqrt{2}}という直線になる。UrgencyによってS_t-S_0は変化するが¥mu¥sigmaは一定。このときY切片は変化しないでslopeが変わる。こっちはよい。しかし一方informationによってrが変化するとS_t-S_0は一定でだが¥muが変化する。そうするとslopeが変化してしまう。平行移動にならない。どうやら最初の直線の式が間違っているらしい。
私が出したほうの式でやってみよう。informationによってmuは変化するが、¥sigmaはおそらく一定と考えるべき。よってslopeに変化は無い。こっちはいい。一方urgencyによってS_t-S_0は変化するのでY切片が変化してしまう。もうわけわからん。
最終手段はCarpenterのMATLABコードを読むことだが、もはやその方が早いかも。


2004年01月27日

JNPさらにつづき

"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
つづき。

  • だいたい、mixture of two gaussianをprobit scaleでプロットしたら二つの直線で近似してよいのだろうか。Expressの成分を除いてプロットしても同じような形になるか?
  • Express saccadeの扱い方の問題。彼はexpress saccadeの成分のことをslope=0(decision signalがまったく来てない)でslopeのvarianceが高くて何割かthresholdレベルを越えたものがexpress saccadeになる、としてモデルしている。Express saccadeがvisualな信号に基づいたものであることが確立しているにも関わらずだ(express saccadeはたんなるanticipatory responseではない)。それ以外にもCarpenterはexpress saccadeについて否定的な論文も出しているが、受け入れがたい。

ほんとうにどうでもいい

勝者はいなくて、
いるのは降りるやつと残るやつのみか……沁みるなあ。

いよいよ

いいかげんなことは書けなくなってきたがそれでもいいかげんになることを恐れず書くつもり。


2004年01月26日

JNPつづき

"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
つづき。この論文はランダムドットのコヒーレンス(=information)の効果と応答のバイアス(=urgency)の効果とが一つのタスクで独立に違う効果をもっているというのがミソで、それぞれの効果自体に基本的には新しいところは無い*1
それぞれの効果は、横軸(-1/latency)と縦軸(probit(cumulative probability))でプロットした直線がどう変わるかで確認される。この直線はNatureには(0, ¥frac¥mu{¥sigma¥sqrt{2}})(¥frac{S_t-S_o}{¥mu}, 0)を通る直線*2であることが記してあるが、どうやって導出すればよいかわからん。これがわからないとなんでこの直線がInformationの変化で平行移動し、urgencyの変化でY切片を固定したまま傾きが変わるのかもわからん。ということで書いてみたら整理できるかと思ったらまだわからん。考え中。


*1:probit protが平行移動するのはasynchronous targetのペーパーにもある
*2:slope rはgaussianで、N(¥mu,¥sigma^2)S_0はdecisionシグナルのbasalレベル(=トライアル直前のlikelihood)でS_tはdecisionシグナルのthresholdレベル


2004年01月25日

Nature

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# 隠居@ U Pitt

こんにちは.最近発見して,時々拝見させていただいております.さっそくつっこみですが,caudateは側脳室のお隣ですが,とくに歪みが強いということはないようですよ.例えば空気が入っている耳や鼻に近い場所などは歪んだり信号が消えたりしやすいですね.失礼しました.

# pooneil

ああご隠居、どうもご無沙汰してます(確信度90%)。コメントありがとうございます。そうか勘違いしてました、副鼻腔が近くて歪むとかそういう話でしたね。よかったらついでに教えてください。T1強調で構造画像撮ったときよりもT2強調で撮ったときのほうがアーティファクトの影響を受けやすいように思うのですが、それは原理的なものなのでしょうか?

# ご隠居

どうもどうも.撮像のシークエンス(SE・GE・IRとか)によって大きくちがうので(最近はT1・T2強調画像が違うシークエンスで撮られる場合が多い)一概には言えないのですが,T2強調画像の方がTE(エコー時間:RFをうってからエコーを取得するまでの時間)が長く,原理的に磁化率によるアーティファクトは受けやすいかと思います.オタツキーな話で失礼しました.冬眠からさめたら研究者復活するべくリハビリを始めなければ...これからもよろしくおねがいします.

# pooneil

ご隠居、なるほどどうもありがとうございます(確信度100%)。「磁化率アーティファクト」で調べたらいろいろ出てきました。http://www.nv-med.com/jsrt/pdf/20035911/1370.pdfとか。リハビリ、というか再開はまだなんでしたっけ?ご活躍を期待しております。


2004年01月24日

JNP

"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
来週のvision seminarではこれをやることにする。
人間の行動の反応潜時というものは経験的に逆数をとるとgaussianで分布していることがわかっている。だから潜時の検定をするときは逆数に変換してからt-testしたりする。
Carpenterはdecisionの研究者で、Humanの眼球運動(サッケード)の潜時の分布からLATERモデルというのを提唱している。CarpenterのLATERモデルでは、evidenceの量がlinearに上がってきてあるthresholdのところまで来たところでdecisionが行われるとしている。イメージを掴むためにはJNPのfigure 1を参照のこと。このlinearにあがってゆく直線のスロープがgaussianに分布することを仮定してdecisionの起こる時間はgaussianの逆数で分布することを説明する、というわけだ。(だから、decisionのthresholdがgaussianに分布していると仮定しても説明できる。)
Carpenterはこのモデルを使って、実験条件を操作してdecisionの条件を変えたときの反応潜時も変化を説明できるかどうかをいろいろやってきた。その代表作がNature '95Nature Neuroscience '00
LATERモデルではdecisionの変化は(1)decisionするthresholdの変化(thresholdの低下またはbasalレベルの上昇) (2) evidenceが蓄積していくslopeの変化、のどちらかとして説明される。Natureでは反応すべき標的が出る位置の割合を変えてやって、このprior probabilityの違いによる反応潜時の分布が(1)でのbasalレベルの上昇によって説明できることを示した。一方、Nature Neuroscienceでは[被験者が不正確でもいいからなるたけ早く反応するとき]と[被験者が遅くてもいいからなるたけ正確に反応するとき]とでの反応潜時の違いが(1)のthresholdの低下によって説明できることを示した。つまり、なるたけ早く反応しなければいけないときは判断の基準を甘めに取っている、ということ。(なお、(1)の二つは分離できてない……はず。) 今回のJNP論文ではNewsome方式のランダムドットの動き方向を判断させるタスクを用いて、motion coherenceが高いとき(たとえば100%のドットが右へ動くとき)とmotion coherenceが低いとき(たとえば54%のドットが右へ動くとき)とでの反応潜時の分布が(2)でのevidenceが蓄積していくslopeの違い、で説明できることを示した。
1/5に扱ったcountermanding taskについて書いたものこのLATERモデルのこと。Carpenter自身もhumanのpaperをVision Research '99に出している。
なお、このモデルが持っている問題のひとつは、このモデルがいまだhumanのstudyでのみ有効であって、animal studyでは明示的には扱われず、ニューロンメカニズムの解明とつなげられない点にある。Shadlenの論文のいくつか(JNS '02JNP '01)はかなり近いところにあってLATERモデルを踏まえてはいるが、明示的にこれを扱うところには行っていない(潜時の分布をLATERモデルでfittingしたりしてない*1 )。そのうち出てくるかも。ここ数年のSFN行った人知らない?


*1:いや、もっとちゃんと言えば、Shadlenのはdecision thresholdが一定でそのまでシグナルが上ってくるslopeが違っている様子をLIPニューロンに見出している。あくまで明示的には扱ってない、ということで。


2004年01月22日

JNS昨日の続き

Matlabコードは以下の通り。適当。Ver.6.5でモンテカルロの繰り返しは10万回でelapsed_time =128 sec。

n=100000; % no of iteration
T=20; % no of total trials
ch=2; % no of choices
MAXIMUMRUN=zeros(n,1);
for i=1:n,
  Q=[];for j=1:T,Q1=randperm(ch);Q(j)=Q1(1);end; % Q: question
  A=[];for j=1:T,A1=randperm(ch);A(j)=A1(1);end; % A: answer
  CRR=Q-A;CRRno=find(CRR==0); % correct answer when CRR==0
  % calculation of maxmum run of CRR==0
  maxrun=0;maxr=0;
  for k=1:length(CRRno)
    for m=1:length(CRRno)-k, if CRRno(k)+m==CRRno(k+m), maxr=m+1;end; end
    if maxrun < maxr,maxrun=maxr;end
  end
  MAXIMUMRUN(i)=maxrun;
end
[ [1:T]' hist(MAXIMUMRUN,1:T)'/n]

2004年01月21日

JNS

"Dynamic Analysis of Learning in Behavioral Experiments." Emery N. Brown @ MITか?

重要そうな論文なのだが、どこから取り掛かればよいかわからず止まっていたが、毎度お世話になっている http://www.hippocampus.jp/diary/2004_1.htm の1/14のところに簡潔なまとめがある。この辺のキーワードから攻めていけば良さそうだ。

あ、table 1はすぐ使えるか。二択のタスクで(chace rate=50%)、20trialのうちに8回連続の正解があったら5%有意でchance rateを超えていて、八択のタスクで(chace rate=12.5%)、20trialのうちに3回連続の正解があったら5%有意でchance rateを超えている、か。だいたい直感にあっている気がする。二択で五回ぐらい連続成功してもまだ偶然っぽい感じがするし。

ただ、このときの連続正解(run)は20trialのうちのどこであってもよいわけで、こういうときにmultiple comparisonの問題をちゃんと扱っているか検証しとかないといけない、と私はscan statisticsを使っていたときの経験からすると思う。

いや、モンテカルロやれば検証できるか、というわけでやってみた。20trialで二択をやったときのnull hypothesis(chance rate=50%)での20回のうちに出るsuccessのrunの最大値の分布を計算した。左がsuccessのrunの最大値。右が各runの確率密度分布。

    1.0000    0.0171
    2.0000    0.1949
    3.0000    0.3113
    4.0000    0.2259
    5.0000    0.1276
    6.0000    0.0647
    7.0000    0.0310
    8.0000    0.0148
    9.0000    0.0064
   10.0000    0.0033
   11.0000    0.0018
   12.0000    0.0006
   13.0000    0.0003
   14.0000    0.0001
   15.0000    0.0001
   16.0000    0.0000
   17.0000    0.0000
   18.0000         0
   19.0000         0
   20.0000         0
というわけで5%有意は8run以上だった。だいたい同じっぽい。八択のときを計算したら3run以上でP<5%になる。検算できてる。

2004年01月20日

Nature

"Bayesian integration in sensorimotor learning."
Wolpert @ University College London。
でちょっと前に書いてたら(1/6)いきなりWolpertですよ、タイミングよすぎ。運命かも。
カーソルを動かしてtargetまで持ってゆくタスクで、visual feedbackが横にずれた位置(ずれの程度は不確定)に運動開始からtarget到着までの時間のどこか不確定なところから現れる。これらの不確定さがどのくらいtargetへの到着位置のばらつきに影響を与えるかを評価する、というもの。内部モデルが、運動(出力)の確かさと感覚(入力)フィードバックの確かさの両方を確率的に扱って最適化している、というもの。ぱっと考えた感じでは、自由度が大きくなりすぎて扱えるのか、とか思うのだけれど、そのほうが生物らしいのは間違いない。 ベイジアン的 or カルマンフィルタ的 or 最尤推定的プロセスは、有機体がそれまでの知識をそのつどの入力によって変化させながら対応していく、という点でも生物らしい、大げさに言えばautopoieticであると思う*1
感覚系について入力の推定をするのにベイジアン的な発想をしているのは今までに見たことがあるのだが、sensorimotor両方にまたがって、というのがいいと思う。それがどのくらい新しいかはまだ知らない。両方を扱うこと自体は、川人先生も感覚系、運動系それぞれに順逆モデルを使って最適化を図る双方向の回路というのを想定しているので、それの実験的検証、とでもいうステータスか。あと、どこが内部モデルなのかまだわからない。
というわけでまたほとんど読まずに書いてしまった。コンテキストだけにて。


*1:もちろんこれだけでautopoieticなシステムを作ることはできない。そのつど作り上げるものが元のパラメータ空間に新しい次元を加えることがありうる、というのがオートポイエーシスだから。


2004年01月19日

熱が出てきた。

家でおとなしくしている。論文読み。娘の髪を漉いていやるのが面白いことを発見。

面白い絵本特集

毎晩子供が寝る前に絵本を読んでやっているんだけれど、これは大人が読んでも面白いというものがある。ちょっといくつか挙げてみる。ネタばれあり。

  • 「どろんこあそび」 川上 越子 架空社 図書館から借りてきたんだけれど、今まで私が読んだ中で最高です。野菜たちがどろんこ遊びをする、というものなのだけれど、絵がよい。泥まみれぶりが良くて、ページの中にはほとんど灰色なページもあったりして、泥まみれの気持ち良さが伝わってくる。しかもその豪快さは笑える。圧巻は後半。野菜たちが雨に打たれて泥が落ちていくんだけれどそのときの野菜たちがまたいい顔をしていて、これかアルバムのジャケットにできるすがすがしさ。というわけで愛する妻もこの本を購入しようとしているのだけれど手に入らない。
  • 「なかよしのりもの大ぼうけん」 ジャックデュノワ ほるぷ出版 子供が好きで繰り返し読まされた。いいかんじ。飛行機と船と機関車の三人が一緒に出会って遊ぶ。で、三人は怪我をして入院してしまうのだけれど、看護婦さんが置いてくれたのはこわれたテレビ。テレビと三人は一緒に抜け出してこわれた機械の国で遊ぶのだけれど、この『こわれた機械の国』ってのは泣けます。こちらは手に入って今晩読まされました。
  • 「かわいそうなぞう」 土家 由岐雄 金の星社 超有名。ないたあかおにでは泣けなかったけれど、こっちでは今でも泣けた。
……興が乗りすぎ。おとなしく寝ます。


2004年01月18日

1/16のScienceつづき

1/16のScienceつづき
"Differential Representation of Perception and Action in the Frontal Cortex."
もう少し読み進めてみたところ、PMvニューロンのうち、感知された動きに遅れて活動するもの(おそらくvisualなニューロン)と感知された動きのちょっと前に活動するもの(おそらくmotorなニューロン)とでどちらも実際の動きではなくて感知された動きのほうをコードしているらしい。このことはつまり、前者のニューロンが「感知された動き」を見てvisualな応答をしているということだけではなく(こっちはあたりまえ)、後者のmotor系のニューロンが「感知されたように動かそうと意図した動き」とこのあいだ書いたやつ、ちゃんと書けばforward modelのoutput(motor commandをinputにして出てきたoutputの軌道)になっている、ということらしい。これがefference copyとなって戻ってゆくということか。Perspectiveの図を見る限り。(まだ読んでないが。)
ん?Neuroreport '03の"Connecting mirror neurons and forward models"
を読んだ限り、PMvにはinverse modelのoutputがあるほうが自然な気もするが。こんがらがってきた。
追記。やってること自体は原理的には蔵田先生のプリズム適応(JNP'99)と同じような気がしてきた。あれのデータではどうだったっけか?

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# Pooh

どうもお初です。コメント書いてもいいみたいなので。J Neurophysiol. 2002 kurata and hoshi にくらべてこのScienceの論文はなにが新しいんだか、と思うのですが。さすがScience、america人のホームアドバンテージだなーと。

# pooneil

はじめまして。よろしくお願いします。1999の方かと思ったけど2002のほう(http://jn.physiology.org/cgi/content/full/88/6/3118)ですか。そういえば前に倉田先生が来たときに講演してたのはこの話でした。

# pooneil

追記。Poohさん、こういうツッコミを待ち望んでおりました。感謝します。

# mmmm

Kurata&Hoshi2002JNPにpriorityありという点でPoohさんに同意。ところで倉田先生は蔵田先生ですよね?

# pooneil

うぎゃーそのとおりです、本文のほうは直しました。mmmmさん、ありがとうございます。

# Pooh

SchwartzはKurataのmusimoの論文だけ引用しているので確信犯だろうけれど、レフェリーも解説Reviewerも不勉強なのかしらん。なんでこんな適当な雑誌が日本でありがたがられるんだか、、、

# Pooh

綴りミス。muscimolですね。ところでこのシステム、2行にまたがるコメントは書きにくいですね。

# pooneil

パラグラフを分ける必要がないときは改行せずにつなげて書いてもらったほうが読みやすいですよ。

# Pooh

うーん。別のエディタで書いて張り込んだ方がよさそうですね。漢字変換で改行を叩き損ねるだけで投稿になっちゃいますから。

Again

の使用はBaffalo springfieldから来ているわけで、revistedにするとBob Dylanぽくなるし、return ofをつけるとZappaっぽくなる、という悲しくもチャチな言葉遊び。そうだ思い出した、泣ける感じといえば、「ぼろぼろになったぬいぐるみ」と言えばかなりキャッチ―で伝わるかも。Sonic YouthのDirtyのジャケットのやつとか。サウンドカード購入はとりあえずお預けに。

昨日の続き

で、そもそもなんでこんなところでこんなことを書いているかといえば、やっぱり書いてみると頭が整理される、というところがあるからだと思う。少なくとも私はそういう人間で、孤独に弱いということかもしれないし、人のアイデアに頼っていただけなのかもしれないけど、結局は議論に飢えている、というのがいちばん自分にはしっくりくる。

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# Gould

初めまして、pooneilさん。脳科学の知識豊富なpooneilさんの日記をいつも楽しみにしています。

# pooneil

ようこそ、Gouldさん。日記ちょっと見ましたよ。始めたのも同じくらいですね。盛り上がっていくのを期待しております。これからもよろしくお願いします.


2004年01月17日

ネットでの儀礼_的無関_心

とくにお願いはしなかったんだけど、こちらのサイトにリンクをつけずにいてくれたことに感謝(私信)。基本的にここでは専門的な話に終始することにして、波風を立てないようにしておきたいと願っている。それだけここは脆い。いまでもリンクは当然の権利と考えているけれど、これはいわゆるネットでの儀礼_的無_関心って問題のことだ。
パーソナルなことを書いているわけではないけれど、私がやっていることも似たようなことだ。私が宣伝した約十五人ぐらいとそれに近い人物に向けながらも、新しい読者が生まれることを期待している。そのぎりぎりを保ちたい。だからゲストを限定していないわけで。
一方でもう少し反響がほしいとも思う。意外にコメント書いてもらえないな、というのが印象*1。そんなに危険かな? 前に考えたことあるんだけど、 2ちゃんねる形式で論文ごとにスレを立ててそれぞれにコメントを付けるという風にして、ゆくゆくは私以外もスレを立てられるようにする、というのはどうだろうか、現状だとちょっと難しそうだが、そういう風にもっと匿名化した存在にする、というのもあるかもしれない。とはいえなんにしろこの日記は始めてまだ一ヶ月ちょっと。徐々に内容を充実させながらコメントが増えることを期待して今日も書く。


*1:ガヤ以外ね。

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# Gould

僕の意見では、2chチャンネル方式は嫌いです。(好き嫌いの問題で恐縮ですが)

# Gould

ある特定の個人が日々つける日記からでしか、その個人がどの程度その分野に精通しているか分からない。

# ガヤ

この日記の管理人さんが匿名でやっているのは知っていましたから。あ、ちなみにGouldさんも最近日記を付け始めたのは他の人の日記から知っていますよ。

# pooneil

Gouldさん、たしかにそうだとおもいます。実際、著者のキャラも含めて面白いと思ってもらえないと日記も読んでもらえないわけで、ある種の芸が必要になると考えることもありますし。しかし一方でGouldさんの日記にもあったように、自分の実験の話が見えてしまわないようにしなければならないので、そのレベルであんまり自分が明らかになってしまうのも嫌だと思うのです。それで2ちゃんねる方式という可能性を考えたのです。現実味はないけれど。

# pooneil

ガヤの日記は上の意味で芸を織り交ぜつつ書いているのだと思ってます。ここは匿名ってわけでもないんだけれど(私を知らない人でも検索すれば見つけることは可能だし)、ちょっと距離感みたいなものがまだうまく行ってないのです。固有名詞をどのくらい出してよいのだろうか、とか。

# uma

9月に某大学の認知科学系学科に入学する青二才ですが毎日pooneilさんの日記を読ませて頂いております。高尚なコメントはできませんけれど研究者さん達の日記にはとても触発されますので続けて頂きたい次第です。頑張って下さい。

# pooneil

ようこそ。認知科学系の人は生物系と比べてネット上では少なくて貴重な存在だと思います。気軽にどうぞ。

# pooneil

いま上のumaさんが現在のcogniさんであることに気づいた(確信度99%)。


2004年01月16日

Science

"Differential Representation of Perception and Action in the Frontal Cortex."
Andrew Schwartz @ University of Pittsburgh。
ガヤからお呼びがかかったのだが、風邪を引いたので手短かに。
Motor illusionを使って、実際の動きと、感知された動きとが分離するような状態を作ると、実際の動きはM1で、感知された動きはPMvで表現されている、というもの。
PMvというのはRizzolattiらが見つけたmirror neuron*1のあるF5が含まれる領域で、感知された動きがPMvで表現されている、というのは予想可能なことだ。まだ読んでないのでわからないが、はたしてこの「感知された動き」というやつが「意図された動き」ではないのか(ややこしく言えば、「感知されたように動かそうと意図した動き」)、その辺を検討する意義がありそう。
Andrew Schwartzも今度のシンポジウムに来るので要熟読。というわけでくわしくはまた。

*1:前運動野のニューロンで、ある動作(たとえばつまむ動作)をするときにのみ活動し、さらには、その動作をしている(他人がつまむ動作をしている)のを見るときにも活動するもの。言語、共感、社会性などへの関与など、いろいろな含意によって盛り上がり中。

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# ガヤ

サンクスです。ここら辺は私は専門外なので、実は日記でフォローしていくのは結構疲れます。このくらいのコメントが実はとっても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。ところでミラーニューロンって一部の人に神格化されているような。そう言えば、たしかに知らないうちにガヤと呼ばれている。。。風邪、お大事に。

# pooneil

いつもコメントありがとう。ミラーニューロンについてはまたいつか書きます。1/16の日記の見ました。そう書いてくれてうれしかったand恐縮です。こちらのサイトにリンクをつけずにいてくれたことに感謝します。この話、1/17に続きます。

私の呼称のつけ方

ネット上では私は面識のある方にはさん付け、ない方には氏を付けてきた。それでガヤの本の書評の時には「池谷さん」と書いてみた。なんかそぐわない感じでまだ最適化した感じがしなかった。(元)同僚や先生に対しては以上のルールでは合わないのだろう。というわけで普段呼んでいるように、またはそのmodoficationでいこうと思う。というわけで私に対しても君付けあたりでいいです。よっちゃんでもウェルカム。


2004年01月15日

Nature Neuroscience

2004年1月号
このあいだのNature Neuroscience AOP 祭り againにもあったように、今月号のNature Neuroscienceのシステム系はsaccade, attention関連の論文が出まくり。重要。


2004年01月14日

PNAS

An egalitarian network model for the emergence of simple and complex cells in visual cortex
Shapley @ NYU。
Integrate-and-fireタイプのニューロンモデルを400個つなげてV1 simple cellとcomplex cellの動態を再現。


2004年01月13日

Neuron

Neuronal Correlates of a Perceptual Decision in Ventral Premotor Cortex
Romo @ Universidad Nacional Autónoma de México。
触覚で振動の周波数を弁別するタスクをずっとやっていて
Natureを二つ出している。
Somatosensory discrimination based on cortical microstimulation
Neuronal correlates of parametric working memory in the prefrontal cortex
データがあまりにきれいで、しかも振動数を発火頻度がlinearにコードしているという結果で、ちょっと信じがたい。
今回はこのタスクでPMvから記録したらしい。

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# Pooh

Romoの言うとおりならprefrontalもPMvもすべて触覚への道なんだけれどとりあえずsomatosensoryなのに本当にF5?F4じゃなくて?というあたりからツッコミ。周波数の差と主張している発火は、サルがどれだけ確信を持ってVisualなMotor planを持っているかというだけで説明できるし、たぶん計算部位はPMvじゃない。でf1刺激中はたぶん振動周波数に応じて筋緊張が変動するので意味のあるデータはf1-f2間でその後の運動に依存しない緑線の活動それは434の関連細胞活動、59のdelay活動のうち8つだけ。斜め読みでもイタいよ。Natureも少しは真面目にツッコめばいいのに。と書いてNeuronだと気がついた。Neuronのawake monkeyの審査もScienceと似たり寄ったりだし。何となく納得。

# pooneil

(注記:movable typeへ移動する際にコメントの改行を編集しました。)


2004年01月12日

JNP

Neuronal Correlates of Face Identification in the Monkey Anterior Temporal Cortical Areas
永福さん@富山医科薬科。
TEavにあるface identity neuron。


2004年01月10日

宿題

ラマチャンドランがmirror neuronについて言っていることをちゃんとフォローする。
EDGE 69 — June 1, 2000あたりから。


2004年01月09日

Duhamel

が来た。カナダ生まれのフランス在住だけあって、どこかおフランスを感じた。Bullierもそうだったが、なんか微妙にカッコいい。実験セットアップを見てもらいながら一時間ほど話をしたのちに講演を聞いた。講演は基本的にJNS '02のデータの延長上。データ自身は決定的ではなかったと思うが、parietal-prefrontalのスキームは面白かった。とはいえ基本的に彼はGoldberg派であって、attentionへの重みが強いように感じられた。


2004年01月08日

夢がただの幻覚でないのは自分が行動している、という感覚を持つことができているからで、まったくの受身なわけではないから。その意味で、想像(imagery)はトップダウンコントロールによる感覚系の活性化だけで説明がつくが、夢や幻覚にはある種手触り、触れたり移動させたりすることの可能性(=アフォーダンス)がある。つまり夢や幻覚には遠心性コピー(=内部モデル)が戻ってくることが必要。そして覚醒時の意識にはそれ以上のものが必要になる。つまり、遠心性コピーではない、本物のフィードバックがあることがたぶん不可欠なのだ。前に言ってた、想像―夢―幻覚―覚醒時の意識で起こっていることの違いがたぶんここにある。いわば、それぞれのレベルでカップリング(またはバインディング)の仕方が違う、と図式化することができる。
幻覚は覚醒時の意識と共存できるという意味で夢とは違うが、両者の現象学(カッコつけすぎ)は多くを共有している。
自分の行動が環境世界に変化を与える、それを感覚器が受容する、というループ(byユクスキュル)がたぶん現実を構成するのに必要なのであって、これこそがいわゆる身体性であり、「世界は現実にある、という実感」のことなのだ(飛ばしてきた!)。クオリアはこの実感(というのは語弊がある、アプリオリとでも言えばよいか)に大きく依存するが、夢や幻覚にもクオリアがあるように、両者は同一ではない。Sensorimotor coordinationのループと意識とは同一ではないが、このループが意識を可能にしている。
いやいや、夢にもある種の身体性はあるか……止まらなくなってきたのでここまでにしとく。

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# がや

私にはわかるようなわからないような微妙な線だけど、上の考え方にはよく共感できる。もし書く時間があったら是非ここで止めないで続けて下さい。

# pooneil

サンクス。そのうち続けます。[Sensorimotorループ]と[意識]という別々のオートポイエティックなシステムがあって、その二つの輪が鎖のようにカップリングしている、というのが元イメージなのです。河本英夫氏にはきっぱりと否定されましたが。

# arational agent

pooneilさん、新年あけましておめでとうございます。初めてご挨拶申し上げます。私、マインツ大学哲学科にrational agencyを主題とする博士論文を年明けに提出いたしました。その執筆の過程でpooneilさんのサイトを日々読み、おおいに助けられました。大変感謝しております。この夢に関する議論やMilner&Goodaleのtwo visual systemsに関して、pooneilさんのご高論を参考にさせて頂きましたので、お名前(「pooneil」さんではなくご本名)を注で挙げてしまいましたが、ご了承頂けないでしょうか。(提出するまで、論文を提出できるかどうか確信が持てなかったため、ご連絡するかどうか躊躇しておりました。)事後承諾をお願いすることになってしまったこと、ご容赦下さいますようひらにお願い申し上げます。pooneilさんのサイトからの助けがなければ、博論をいまだ完成できなかったと思います。誠にどうもありがとうございました。

# pooneil

はじめまして。Rational agencyで哲学科に博士論文で、Milner and Goodaleも関わってくる、とはおもしろそうな話ではないですか。Rational agencyじたいはAIの分野での議論ですよね。どんなストーリーなのだか興味があるので、紹介してもらえませんか。たぶん、論文自体はドイツ語ですよね。直メールででも、コメント欄への書き込みでもけっこうですので、解説していただけるようでしたら、このサイトで紹介させていただきたいと思います。
承諾の方はなにも問題ございません。事実と反していないかどうかは確認しておいた方がよいかもしれませんが。
ご存じのとおり、Milner and Goodaleの議論は心の哲学ではいろいろな人に採りあげられている話題だと思います(すぐ思いつくところでAndy ClarkやAlva Noë)。このへんの話をすることが出来たら、とてもうれしいです。
あと、ここだと目立たないので、現在のトップページにもこのコメントを貼り付けておきました。


2004年01月07日

Duhamel @ CNRSと

さしで話ができるようなので、論文読みまくり。この人はneurologistでもあり、frontalからparietalへcorollary dischargeが来ている可能性をBrain '92に出している。また、neurophysiologistでもあり、LIPへのmuscimol injection、LIPのreceptive field mappingなどの仕事があり、かつてはGoldbergとScience '92を出し(これがいわゆるpresaccadic remappingの初期バージョンと言える)、GrafとVIPニューロンのreceptive fieldに関してNature '97を出している。Duhamelのサイトへのリンク


2004年01月06日

頭頂葉

の機能を考えるためには内部モデルについての理解が必要となり、川人先生とWolpertの話を理解しなければならないことが判明。たいへん。Duhamelがもうすぐ来るし、この辺を固めるチャンスなのかもしれない。

新しいPCがうちに来る

ので、DTM再開を目指してPCに差すサウンドボードを選定中。現在の候補はaudiotrakのMAYA 44 MK-II。
http://www.egosys.co.jp/HP/php/maya44mkii.php
これでギター弾きまくり重ね録りしまくりの予定……いつできるんだか。


2004年01月05日

JNS 2003年1月号。 Journal club前の予習

"Controlled Movement Processing: Superior Colliculus Activity Associated with Countermanded Saccades"
Paré @ Queen's UniversityとHanes @ National Eye Institute。
HanesはJeff Schallとcountermanding task中のFEFのニューロン活動を記録してきた。今回は同じパラダイムで上丘からsingle unitを記録した。Hanesの出世作はScience '96
"Neural Control of Voluntary Movement Initiation"
で、今回の論文と直で関わるのはJNP '98。
"Role of Frontal Eye Fields in Countermanding Saccades: Visual, Movement, and Fixation Activity"
まずかんたんにcounermanding taskの説明:

  • まずコントロールのタスク。動物はタスクの開始で注視点を見つめる。すると注視点が消え、サッケードの標的の点が現れる。こちらにサッケードすると報酬が貰える。
  • いっぽう本命の課題では、注視点が消えて標的が現れたしばらくあと(25-275ms)に、ふたたび注視点が現れる。このとき動物は標的へサッケードせずに注視点を見つづけなければならない。しかし持ちこたえられずにどうしてもサッケードしてしまう試行がある割合で出る。この行動の結果と神経活動との相関を調べる、というのが基本的なアイデア。
JNP'98でHanesはFEFのmovementニューロンがsaccadeを止めた(coutermanded)試行ではサッケード前に上がってきてた神経発火が下がってゆくのを見出している。
で、JNS'03は同じ課題で上丘から記録しているわけだが、それでどういう新しいことが見出せたかが重要。FEFにある情報が上丘に行くのはあたりまえなので、FEFで見られるような神経活動が上丘で見られるのはあたりまえであり、それではJNSは通らない。JNPレベルでしょう。というわけで何か新しいものがあるはず。
要旨を読む限りだと、
  • [サッケードをキャンセルするかしないかによる神経発火パターンの差が出る時間]のほうが[サッケードをキャンセルするかしないかがいちばん瀬戸際のときの時間]より10msだけ早い
  • そしてこの10msという時間は上丘の発火から実際のサッケードまでにかかる時間よりも短い
というところがポイントのようだ。結局、countermanding taskではサッケードのdecisionシグナルが閾値を越えるところまであがってくるのをサッケード中止のdecisionシグナルが上がってきて追いつくかどうかによって決まるわけだが、この両シグナルがどこで追いつくのか、ということが問題になりそう。上の結果からすると上丘ではないことになりそうなのだが、よくわからん。


2004年01月04日

保坂和志2

「この人の閾」読了。


2004年01月03日

Bruce Almighty

を見た。映画で泣いたことなんて小学二年生のときの「泣いた赤鬼」以来だ。いっしょに見に会った愛する妻と帰りに話し合ったときの結論としては、男性向きに、主人公の男性に感情移入するように作られているからではないかということになった。もしその通りなら、Field of dreamsを見直してもいまなら泣けるのかも。
なにが琴線に触れたかはわかっている。私はそこを刺激してほしい。それは動物化かい?
私の琴線を知りたい人のための映画ネタバレ:ようするに泣いた赤鬼と同じで、自分を捨てるということ、それにキてしまう。ヒロイズムと自己憐憫。ブルースは全知全能の力を得て、その使い方を知り、それを捨てる。喧嘩中の彼女は神(=ブルース)に、こんなにつらいのなら彼のことを忘れさせてください、と祈り、神であるブルースはそれを聞いてしまう。私はそこまで来たらもう、ブルースは悲しみながらも彼女の願いをかなえてしまう、という結末を想像してもう泣いてたわけだけど、そういう展開では彼女が浮かばれない、と愛する妻は言った。たしかにひとりよがりか。実際の結末はそういうのではなく、もっとご都合主義な感じであった。


2004年01月02日

実家

は私が生まれる以前からニット製作業を営み続けてきたが、この不況で新しい方向を模索し、人件費が高くてもやっていけるような単価の高い服に活路を見出した。注文票からいくつかピックアップしてみる。「ときメモ」、「あずまんが」、「ピアキャロット」、「カノン」、「ダカーポ」……すごいことになってます。


2004年01月01日

保坂和志

世界の終わりとを読もうと思ったら「書きあぐねている人の小説入門」を発見。小説家志望でなくてもいろいろとピンと来るものがあって面白い。科学との比較から小説は個へとどんどん向かってくのを突き詰めるとこうなるのだろうと思う。手垢のついた題材で物を書いたり、クリシェを使ったりすることの問題が、未だ共有されない個を描くという目的から筋を通して語られる。猫を比喩として使うな、は小説家にしか必要ないかもしれないが、小説語を使うな、なんてのは文章を書く者全体に当てはまる。ただ、ストーリーの否定とか袋小路になっているところもあるようだし、ここは音楽や科学で比較して考えてみるとよいかもしれない。


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  • 総説 長期記憶の脳内メカニズム 20100909
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  • 科学基礎論学会 秋の研究例会 ワークショップ「意識の神経科学と神経現象学」レジメ 20131102
  • ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会レジメ 20130628
  • Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する (1) 20100317 (2) 20100317
  • 半側空間無視と同名半盲とは区別できるか?(1) 20080220 (2) 半側空間無視の原因部位は? 20080221
  • MarrのVisionの最初と最後だけを読む 20071213

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