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2016年07月30日

現象学関係(2015年04月30日(木)まで

ここさいきんの現象学関連を勉強しながらとったメモをまとめておいた。


ZahaviのHusserl’s Phenomenologyの1章を繰り返し読む。訳本があまりにわけわからんので英語版で読んだほうがよくわかる。けっきょくのところ「超越論的」とか「現象学的還元」とか言われても、そういう概念を導入してくる動機がわからないと理解できないので、「論研」の部分のintend-act-object-intuitionあたりの概念を充分理解することに務めたほうが良さそうだ。

プログラミング言語の学習のときには、手続き的->構造体およびクラス->オブジェクト指向と必要に応じて導入してゆくとうまくいくと思う。必要性を感じないところで「オブジェクトとはたとえば車をデザインする例で」みたいな喩え話をされてもさっぱり身につかない。それと同じ理屈で、意識の構造を考えるのに、なんで超越論的という概念を導入しなければならないのか、という必要性を感じるところまで行かないと、たぶん現象学も身につかないのだろう。追体験が必要なのだな。

そこまで飲み込んで、超越論的=反自然主義的であるものをどうやって自然化することが可能だろう?ってところまで深く潜る必要を感じる。でも今の段階で、actというprocessじたいはobjectではない、みたいな話を読んでいると、それは現象側から脳とか物理とかを見ているからであって、オートポイエーシス的なカップリングのことを考えるのがまさに自然化への道なのだろうなあとも思うし(これがEvan Thompsonをreferしてまとめた紀要原稿の結論)、かといってそのような考え方は現象学側からすれば二元論に逆戻りじゃんってことになるのもわかる。

脳を見ない、見えないようにすることによって固有の論理みたいなものを追求するって点で、現象学と行動分析とギブソニアンに共通する態度ってものがあることに気づいた。


「現象学という思考」をぴらぴらと読んでいる。ここでの「自明性」というのがまさに非主題的な、前反省的な意識の話であったり、「構成」という概念が「能動的な作用者なしに現象が自ずから自己自身を構成すること」を表す、なんての読むとそれってほとんど「創発」だな!とか楽しんで読んでる。

「フッサールは、たとえば「超越論的」という形容詞を用いて、既存の語に新たな意味を負わせることにより、暫定的に進んでいく方略を選択した」(媒介論的現象学の構想) とりあえず「超越論的」が付いてたら普段使う意味ではないと保留付けるように心がけて読んでる。


「本質直観」とか言われるとなんか禅僧が瞑想して悟らないと到達不可能であるような物々しさにビビるけど、ザハヴィ本の1章読んでから考えると、essence (志向性の対象と様式) + intuitive (表象や思考を介さずに直接的に与えられている)じゃんって思う。「本質直観」(=形相的還元)は中期の概念なんで、1章まででは道具が足りないのは承知だけど。

「現象学という思考」の「本質」の章を読んでたけど、ここでの「(移ろうなかで)変化しないものを直接的につかむ」ってほとんどギブソンの不変項と直接知覚論だな。ギブソンは実在論という形而上学的コミットメントをしている点で現象学とは別なのは確かだけど。あと連合の使い方とかも考慮すべきか。

ギブソンは明確に二元論的なのだから、「(移ろうなかで)変化しないものを直接的につかむ」ってのが「不変項と直接知覚論」で済む話だったら、現象学的還元も超越論的態度も(すくなくとも知覚論に限れば)必要ないって話になってしまう。ではなにが足りないのか。


「フッサール 起源への哲学」斎藤慶典著を読んでる。自然的態度から離れて考えているはずなのに「力」「作用」「(磁石の)極」みたいな物理メタファーが続出するので、これのどこが超越論的なんだろうと正直よくわからなくなった。物理メタファーの排除だったら行動分析のほうが徹底しているんではないだろうか?


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