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2015年07月25日

研究関連20140930


「エモーショナル・デザイン」ってのも借りてきた。けっきょく「感性」がなんだかよく分からないのは感受するものとしての感性と同時にデザインするものとしての感性工学とが混ざり合っているからだろうか。この「情動に訴えかける」デザインってのは意味が分かる気がする。

でも今度は「情動」って言葉がよく分からない。とくにemotionの訳に情動を使われるとさっぱり分からない。「感情」以外に「欲求」とかそういう要素が入るってことは分かるんだけど。"emotion"って語にはそんな含意はないよね? と思ってみてみると、ウィキペで"feeling"のことを"the conscious subjective experience of emotion"(APA Dictionary of Psychology)と定義してあって、だんだんわからなくなる。

emotion http://en.wikipedia.org/wiki/Emotion はfeelingとmoodとaffectと区別している。 affectって言葉がいちばん「情動」によく対応しているように思う。

"Affect is an encompassing term, used to describe the topics of emotion, feelings, and moods together, even though it is commonly used interchangeably with emotion."


TPJアナログとしてのSTG, STP, TPOあたりについて調べていた。このへんは場所的に視覚、聴覚、体性感覚が収束するという意味で重要なのだけれども、前庭系(PIVC)がここにあることをずっと気にかけていなかった。やっぱなにもかもここに集まってるな。

マカクでのPIVCの場所についてはDora E. Angelakiの論文で議論されている。

半側空間無視への介入としてカロリック刺激ってのがあって、まさに前庭系に刺激を加えているわけで、前庭系の話はとうぜん重要な要素。

解剖学やってた経験がfMRIの活動とか見るのに役立ってる。やっぱ全脳切ってニッスルで染めて、coronal, axial, sagital全部見てみるってのを導入に使うとよさそうだ。


「脳腫瘍摘出手術後の視覚障害の実際(視野障害・半側空間無視)」 ご自身の経験をブログでくわしく綴っていて、これはものすごく重要な資料だと思う。

「ちなみに、見えていない部分は「真っ黒」になっているわけではありません。単に見えないだけです。みなさんも頭の真後ろは真っ黒になっているわけではありませんよね。それと同じで、単に視界の外になってしまいます。」私が講義で使う説明と同じだ!

「脳には「見えない部分を勝手に補完する」という機能があるため(錯視等で有名ですね)、見えていない左下の領域も、それ以外の見えている領域(左上や右下)の映像から類推して、勝手に背景映像を作り出してしまいます。」この事実は盲視が見つかりにくい理由かも。

追ってブログ読んでみたら、グリオーマの摘出手術のあとで白血病・悪性リンパ腫で現在闘病中ということを知った。

盲視の患者で視覚的補完が起こることについてはMarcelのBrain 1998(PDF)が詳しい。実験5(図5)が視覚的補完の実験で、左右丸だとうまく補完できるけど、ゲシュタルト的に揃ってないものは補完できない。


来年のASSC19はパリでSid Kouiderがchairだけど、サテライトでKevin O’Reganがサテライトをやることを知った:The Sensorimotor Theory of Consciousness

The Sensorimotor Theoryに関してはわたしはproponentだけど、Kevin O’Reganの考えは極論に走っているので同意しない。盲視での研究経験から、「なにかあるかんじ」はSMTで説明できるかもしれないけど、それがfull-fledgedな意識経験になるにはまだ何かが足りなくて、それが腹側経路にある、という考え。

背側経路はprimitiveな意識経験の鋳型を作るのには必要で、生まれてから知覚運動連関の経験がないと意識は作れない。でも夢や植物状態でも意識経験はあるように、いったんその鋳型ができてさえしまえばオンラインでの行動は不要。ここで言っている鋳型というのが腹側経路で言うpriorのことであり、top down predictionのことになる。そしてそれはいきなり腹側経路で作られるのではなくって、発達期に上丘を経由した短絡路で作られる(発達期の顔応答の知見 see MH Johnson)。

だから、Deep Learningの話で、ここのレイヤーを学習させるときに短絡路があると効率が良いという話を聞いて、これだ!と思った。まだ勉強が足りないのでアイデアだけだが、subcortical face processingの経路でやっていることが学習理論にうまく組み込めてそれの実験的証拠みたいなのが作れたらインパクトがあるんではないかと思ってる。

なにかあるかんじ、と鋳型のあたりはもっといろんなことが今の段階ですでに推測できる。Visual agnosiaの人は色のモザイクが見えて、形が見えなくて、でも「空間」は持ってる。空間ができることと一人称的視点の形成と知覚運動連関の形成とはたぶん同じものだろう。


お勧めエントリ

  • 細胞外電極はなにを見ているか(1) 20080727 (2) リニューアル版 20081107
  • 総説 長期記憶の脳内メカニズム 20100909
  • 駒場講義2013 「意識の科学的研究 - 盲視を起点に」20130626
  • 駒場講義2012レジメ 意識と注意の脳内メカニズム(1) 注意 20121010 (2) 意識 20121011
  • 視覚、注意、言語で3*2の背側、腹側経路説 20140119
  • 脳科学辞典の項目書いた 「盲視」 20130407
  • 脳科学辞典の項目書いた 「気づき」 20130228
  • 脳科学辞典の項目書いた 「サリエンシー」 20121224
  • 脳科学辞典の項目書いた 「マイクロサッケード」 20121227
  • 盲視でおこる「なにかあるかんじ」 20110126
  • DKL色空間についてまとめ 20090113
  • 科学基礎論学会 秋の研究例会 ワークショップ「意識の神経科学と神経現象学」レジメ 20131102
  • ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会レジメ 20130628
  • Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する (1) 20100317 (2) 20100317
  • 半側空間無視と同名半盲とは区別できるか?(1) 20080220 (2) 半側空間無視の原因部位は? 20080221
  • MarrのVisionの最初と最後だけを読む 20071213

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