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2005年06月30日

The Elements of Styleの日本語訳

"The Elements of Style" William Strunk, Jr. の日本語訳 via YAMDAS現更新履歴

英文書くときの必読文献"The Elements of Style"の日本語訳が出てます。元の文章(1918年の(おそらく)初版)はBartleby.comから入手できます。

私自身はE.B. Whiteによる追加が行われた4th edition を持っているのですが、それでもこれは便利そうです。そしたら、2-3章の1-22のルールとその例、みたいなまとめを作っていつでも思い出せるようにしたらいいかも、とか思いました。たとえばこんな調子で:

  1. 単数名詞の所有格には'sを付ける
    • Charles's friend
  2. 3つ以上の項が並んでいるときは最後の項以外にカンマを付ける
    • red, white, and blue
  3. 挿入句はカンマで挟む
    • The best way to see a country, unless you are pressed for time, is to travel on foot.

移動する研究者たち

ryasudaさんがNew York(CSHL)からDurham(Duke University)へ引っ越し。
ryoさんはLondon(National Institute for Medical Research)からHalifax(Dalhousie University)へ。
Gardenerさんは柏からNew Haven(Yale University)へ。
ガヤはNew York(Columbia University)から本郷へ。
わたしもがんばろうと誓った。


2005年06月29日

Nature neuroscience AOP

"Reference frames for representing visual and tactile locations in parietal cortex" doi:10.1038/nn1480 DuhamelによるVIP recording。
"Saccadic eye movements cause compression of time as well as space" doi:10.1038/nn1488 Morrone MC, Ross J, Burr DCによるサッケード前後の視覚処理について。以前Nature '97に著者らは"Compression of visual space before saccades"というのを出しているのだけれど、今回の論文ではサッケード中に空間だけでなく、時間も圧縮されている、と主張しています。同じ系を使ってサッケードでGoodale流のvision for actionとvision for perceptionとを分けたと主張するCurrent biology '01 "Separate visual representations for perception and action revealed by saccadic eye movements"もメモっときます。
"Transcranial magnetic stimulation highlights the sensorimotor side of empathy for pain" doi:10.1038/nn1481 Alessio Avenanti, Domenica Bueti, Gaspare Galati and Salvatore M Aglioti


2005年06月28日

Double step task関連

なんかやけに視床づいていますが、Sommer and WurtzのDouble-step task関連についてまとめておこうと思います。
というのも、Brain 2005 5月号に視床にlesionのある患者さんでdouble step taskをやった、というものがあるのを知ったからです。
"The role of the human thalamus in processing corollary discharge" C. Bellebaum, I. Daum, B. Koch, M. Schwarz and K.-P. Hoffmann
で、話は簡単でなくて、MD核に損傷がある場合にはその同側でsecond saccadeに影響が出る(n=1)のに対して、VL核の損傷の場合にその対側でsecond saccadeに影響が出る(n=3)、というのです。
Sommer and WurtzのときはMD核を抑制するとその対側でsecond saccadeに影響が出るわけですから、どうも話が合わないのです。
Sommer and Wurtzは昨年JNPにfollow-up paperも出したことですし、ここらでまとめてみよう、というわけです。
DuhamelのBrain 1992についても併せてまとめてみましょう。(しかしそれにしてもDuhamelの1992年というのはすごい年で、いっぽうでScienceにsingle-unitでのLIPのremappingについての論文("The updating of the representation of visual space in parietal cortex by intended eye movements")をファーストオーサーとして書き、またいっぽうでpatient studyでBrainにファーストオーサーとしてcorollary dischargeの寄与に関する論文("Saccadic dysmetria in a patient with a right frontoparietal lesion. The importance of corollary discharge for accurate spatial behaviour")を書いているわけです。余談ですが。)
それから、田中真樹さん@北大のJNP 2003 "Contribution of Signals Downstream From Adaptation to Saccade Programming"もメモメモ。
というわけでそのうちつづきます。


2005年06月27日

木村研CM核論文

20050618のエントリにmmmmさんからコメントをいただきました。ありがとうございます。埋もれないようにここで続けます。
で、なるほど、[response bias +/-] * [CS+/-] のinteractionこそがneuesである、ということですね。わたしが書いてたことはけっきょく「negative prediction errorをコードしている」ということでしかありませんでした。ラボのサイトでの説明文の「期待とは異なる状況が発生した場合に,CM核は企画済みや実行中の行動をリセットしたり,切替えたりすることに深く関わる」という表現はそのへんのニュアンスをくんでいるように思えてきました。
さて、CM/Pfニューロンは彦坂研の1DR task / ADR taskのときにどう活動するか考えてみます。1DR taskではrewardが出ない方向のときに活動して、ADR taskではどの方向でも同じくらい活動する、とたんにcaudateの逆みたいに反応する、というところでしょうか。だとすると、hikosaka taskで見られるものよりもより多くの情報を今回のgo/nogoタスクが持っているとしたらそれは何か、というところがポイントで、まだ私よくわかっておりません。それがmmmmさんご指摘のPavlovian conditioningとの比較なのでしょうか。なんにしろ、もうすこし読みこんでみようと思います。


2005年06月23日

Musical Baton

GardenerさんalchymiaさんからMusical Batonでご指名をいただきました。どうもありがとうございます。

わたしはこれまでもちょくちょく音楽ネタを書いているので(*)こういう企画は大喜びですが、Musical Batonのソーシャルな側面が気になるので、人には廻さないで自分で書くだけとします。どうかご勘弁を。(**)

  1. Total volume of music files on my computer:

    iRiverのiHP-120(容量20GB)に12GB。
  2. Song playing right now:

    羅針盤「ソングライン」の9曲目「ソングライン」。これについてはこないだ書きました。ヘッドフォンで聴くとギターの重なり具合とかがさらに良いです。10分の曲だけど、もっと長く聞いていたい。リフレインがだんだんかすんでいって、右チャンネルのギターがどんどん加速してゆくのがそのままずっと続いていってほしいかんじ。
  3. The last CD I bought:

    Soft machineの「Fourth」。これについてもこないだ書きました。クールでいい感じですけど、やっぱりRobert Wyattが歌ってくれないと。
  4. Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me:

    すでに19980722で語ったことでもありますが。なんかこうやって並べてみると古い曲ばかりなのですが、新しいのを開拓してないわけでもありません。ただ、"listen to a lot, or that mean a lot to me"というかぎり、やはりそうなりがちなわけで。
    1. Jefferson Airplaneの「After Bathing at Baxter's」のA面1曲目"The Ballad Of You & Me & Pooneil"。このサイトの名前の元ですな。ちなみにJefferson Airplaneのファンサイトの管理人の方はpooneilプーニールさん(6/27訂正)という名でずっと活動しておられるので、私はあとから来たいわば偽物です。三人のボーカルの絡みがほかのウエストコースト的なコーラスとはぜんぜん違っていて、美しいハーモニーとかでなくて、自由なかんじで、こんなふうにやってもいいんだと思わせつつもすばらしい。中二の夏にこのLPの日本語版(サイケなボディペインティングの写真のジャケット)を誰もいない夜に一人でどきどきしながらはじめて聴いたときにいきなりギターのフィードバックノイズが聞こえてきたときの衝撃とか。はじめて聴いたのは14歳。
    2. Neil Young & Crazy Horseの「Everybody Knows This Is Nowhere」のB面3曲目"Cowgirl in the Sand"。10分間でギターソロ4回。ギターヒーロー的文脈とは全く別の奏法で単音でつたなく弾きつつもむちゃくちゃ気持ちのこもった音にすげーやられました。独特のハネとリズムギターの絡みとなにげにかっこえードラムとかも合わせて最高。ブートを聴いててもスタジオ版に勝るものがないところをみるとなんかほとんど奇跡だったのではないかと思います。15歳。
    3. Rideの「Going Blank Again」の1曲目"Leave them all behind"。シューゲイザー(=UK轟音ギターロック)にはまるきっかけを作った曲。CDプレーヤーの音の大きさを思いっきり上げて、耳がイカれるくらいに鳴らして町を自転車で走った。80年代ハードロックをぜんぶ迂回した私にはじめてでかい音で聴く喜びを教えた曲。MY BLOODY VALENTINEの「Loveless」の11曲目"Soon"とどっちを選ぶべきかと思ったけど、ジャケ買いで先に聞いたRideの方を挙げるのが"mean a lot to me"という問いに合っていると思いました。24歳。
    4. 井上陽水の「氷の世界」のB面3曲目"桜三月散歩道"。長谷邦夫によるいい感じに壊れた歌詞がすばらしいこの曲と、「断絶」での心を直撃する声と「センチメンタル」での優しい歌い方とを昇華させて完成したすばらしいボーカルのA面1曲"あかずの踏み切り"とどっちを選ぶべきかと思ったけど、後者の声のすごさを知ったのはあとになってのことだから前者を選びます。13歳。
    5. Image
      not
      available
      島田奈美の「放課後のスケッチ」のA面4曲目"よい子は恋泥棒"。浪人時代になぜかはまりました。それまでアイドルの歌なんて聞いたこともなかったのに、ドラマ「お坊ちゃまにはわかるまい」ビデオに撮りました。デビューの年のサンシャイン噴水前広場行きました。渋谷東急ではレコード買って握手しました。その年のクリスマスミニコンサートにも行きました。今となっては恥ずかしいように思えたけど、アルバムを時代順に追って全部聞いてみたら、思い入れのある時の曲は今でもよく聞こえる。この気持ちが大切、そう思いますんで隠さず書いてみました(以前書いたものを改変採録)。曲としていちばん好きだったこの曲は作詞は佐伯健三で、作曲は福原まり。福原まりが提供した"ためいきばかり…"や"空中散歩"もよかったです。18歳。
  5. Five people to whom I'm passing the baton:

    というわけでこれはパスさせていただきます。

(*) これまでの音楽ネタを[Music]カテゴリにまとめたら34個エントリがありました。

(**) かつてゴッコルネタに乗っかって書いたエントリを消去した私です。

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# alchymia

バトンを受けていただき、ありがとうございます。よく音楽ネタを書いていらっしゃるので、ご迷惑かと思いましたがお願いしてしまいました。「はじめて聴いた年齢」が書いてあるのはとてもいいですね。

# プーニール

はじめまして!
Jefferson Airplaneのサイトをやっている「プーニール」です。こちらのサイトは、キーワード検索で発見して以前から存じていました。私も曲名から名前を拝借したので、ポール・カントナー側からクレームをつけられることがないよう、HNはカタカナ表記にしたのですが、サイト名を「Pooneil House」にしてしまったあたりが間抜けでした。(^^;)

私も『ヒッピーの主張』がJAとの出会いでした。(リアルタイムです。)ボディ・ペインティングの写真を家族に見られるのが恥ずかしくて、音楽誌のグラビアを切り抜いてその部分に貼りました。ビニール・コーティングのジャケットだったので、いつのまにか糊がきれいに剥がれてくれたのが幸運でした。

もしよろしかったら「pooneil」さんで、うちの掲示板にも遊びに来てくださいね。

# pooneil

プーニールさん、どうもはじめまして。掲示板ちょくちょくROMってました。大昔に書き込みしたことがあるかもしれません。さいきんご無沙汰だったのですが、ちょうど「ヒッピーの主張」のジャケットの話題が出ていたのですね。田名網敬一ですか、知りませんでした。そう言われてみればほかでも見たことがありました。
それではちょっと書き込んでみます。さすがに紛らわしいので、名前は変えて書き込みました。


2005年06月22日

行動分析学Q&A

行動分析学Q&Aの [条件性強化子の効力について」スレッドにて理研の松元健二さんと島宗理氏とのやりとりで行動分析学とニューロサイエンスのコラボレーションに関する言及を発見。とくにこの記事など重要。


2005年06月21日

木村研CM核論文

20050618のエントリ(木村研CM核論文)にさっそくコメントが。どうもありがとうございます。痛みと心の痛み、とかいらんこと書いてみました。
さらにいらんことばかり書きますが、この話をプロスペクト理論とつなげる、ってのはどうでしょうか。我々が同じ大きさの損失を利益よりも重く見積もってしまうというところにCM核からのシグナルに影響される度合いをみる、というわけです。いわば、中脳ドパミン系は合理的な意思決定に関わり、CM/Pfは非合理な意思決定に関わる。主観的な期待効用と客観的な期待効用とのあいだのずれには個人差があるけれど、それがCM/Pf核のactivationの大きさの差と相関するとか。昨年のSFNでのGlimcherのfMRIではなんか関連すること言ってませんでしたかね。ちょっととばしすぎでしたか。
ま、中身読んでから書け、って話でもありますが、詳しい方にコメントしていただけると助かります。CM核とamygdalaはつながってますか?


2005年06月18日

Science 6/17

Complementary Process to Response Bias in the Centromedian Nucleus of the Thalamus 木村研@京都府立医大より。
視床のCM核からのsingle-unitとmicrostimulation。Go / Nogo x Large reward / small rewardの組み合わせがブロックごとに変わる。
Large rewardのときよりもsmall rewardのほうがresponse latencyは遅くなるし、CM核のニューロン活動はsmall rewardの時の方がよく発火する。
CM核へのmicrostimulationでGo responseが遅くなるのだけれど、同じGo trialでもlarge rewardのときのほうがsmall rewardのときよりもmicrostimulationの効果が大きい。
というわけで、ようするにrewardが少なくて不本意でいやいや行動するときにCM核が活動するのだ、というわけです。Asahi.comでは「すし屋でトロを注文したら品切れで、しかたなく赤身を頼む」なんて表現をしてます。木村實先生は「期待通りに物事が進むことは少ない。ベストの選択肢が選べなくても、パニックに陥らず、次善の選択をするのは知的な行動だ。その脳のメカニズム解明の突破口になる」とコメントしてます。どうあれ、CM核が中脳ドパミン系とはresponse biasに関して違った役割を果たしている、というこの論文の主張は明確です。
2003年の名古屋での神経科学大会のときにこの話のポスターが出ていて、ファーストオーサーの方にいろいろ聞いた覚えがあります。そのときはmicrostimulationのデータは無かったのではないでしょうか。(追記:ラボのウェブサイトの説明を見る限り、アブストには載っていないけど発表はした様子)
関連する前報におなじファーストオーサーによるJNP '02 "Participation of the Thalamic CM-Pf Complex in Attentional Orienting" Takafumi Minamimoto and Minoru Kimura、それからJNP '01 "Neurons in the Thalamic CM-Pf Complex Supply Striatal Neurons With Information About Behaviorally Significant Sensory Events"があります。(ラボのウェブサイトに説明あり。)
木村實先生によるNeuroscience Research '04 "Monitoring and switching of cortico-basal ganglia loop functions by the thalamo-striatal system"のFig.2とFig.3が今回の論文のストーリーの下敷きになっているようです。Cortex->Striatum->GP/SNr->CM/Pf->Cortexというループがあって、Striatumはドパミン系(SNcとか)およびCM/Pf核からmodulationを受けます。つまり、Corticobasal ganglia loopsでのresponse biasのmodulationには中脳ドパミン系によるものと、CM/Pf核による相補的な過程とがある、というストーリーらしいです。CM/Pf核のもつ「相補的な過程」が、中脳ドパミン系がTD errorを出力するといった強化学習的枠組みに対してはどういう位置づけになるのか、というあたりが重要となるでしょう。TD errorのようなrewardの大小に対して中立的なものではなくて、rewardが少ないとき>多いとき、という極性を持っているわけですから。
Neuroscience Research '04ではJNP '02を元にして、salient eventの情報がCM/Pf核を通してresponse biasを変えるということを強調しているようですが、さいきんのRedgraveらによるSNcのドパミンニューロンが上丘から視覚情報を受け取っているという話(Science '05 "How Visual Stimuli Activate Dopaminergic Neurons at Short Latency"およびNature Neuroscience '03 "A direct projection from superior colliculus to substantia nigra for detecting salient visual events")とつきあわせると、SNcとCM/Pf核のどっちがStriatumにsalient eventの情報を持ってきているのか、というあたりを考えるのがおもしろいかもしれません。

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# Striatumの人

CM-Pfは痛みの中継核でもあり、SalientなEventの情報といってもドーパミン系とは対極にあると思います。Redgraveらの主張と対比して考えると確かに面白いかなと思います。

# pooneil

>>Striatumの人
コメントありがとうございます。おお!「CM-Pfは痛みの中継核」なのですか。知りませんでした。言ってみれば、損失という「心の痛み」でもCM/Pfが活動してしまう、というわけですね。おもしろくしすぎでしょうか。

# mmmm

お久しぶりです。先日はお会いできず残念でしたが、お子様がお誕生とのこと、おめでとうございます。
さて、Minamimoto et al., 2005, Scienceですが、Thalamostriatal systemの役割について一つの魅力的な仮説を提出した点で面白い論文だと思いますし、CM核がそこで中核的な役割を果たしているという点にも同意できるのですが、この論文のみを読んだ当初、negative prediction errorをコードしているという以上のことを示せているかどうかに疑問が残りました。
が、Matsumoto et al., 2001, JNPで、Response biasとは無関係のPavlovian conditioning課題での応答を見ており、ここではCS+に対する応答とCS-に対する応答との間に差がないことを報告しています。これをコントロール実験だと思えば、確かにResponse biasが必要な課題遂行中に限って、CS- > CS+という顕著な傾向が出るようです。同じ細胞でこのコントロール実験をして比較結果を示すのがベストだったと思いますが、少なくともPavlovian conditioningでの以前の結果をきちんと論文に書いてそれとの違いをdiscussしてくれないと、CM核に詳しい読者以外からは、正当な評価を受け損ねる恐れがあると思いました。

# pooneil

どうもご無沙汰しております。おかげさまで、もう三人目です。毎晩三人の子供を風呂に入れてます。このあいだの出張はそういうわけでドタキャンとなってしまい、残念でした。次の機会は神経科学大会でしょうか。お話できるのを楽しみにしております。つづきは上の方に書きました。


2005年06月16日

JNS 6/15

Functional Magnetic Resonance Imaging Activity during the Gradual Acquisition and Expression of Paired-Associate Memory Jon R. Law, Marci A. Flanery, Sylvia Wirth, Marianna Yanike, Anne C. Smith, Loren M. Frank, Wendy A. Suzuki, Emery N. Brown, and Craig E. L. Stark
Referしてるのがフラクタル図形の作り方に関するNeurosci Resだけだとさ。どうかしてる。これがやつらのやりかたですよ。


2005年06月15日

ソングライン

元気です。が、時間がない。Static motion illusionのJNS出てましたね。
ずっと聞きたいと思っていた山本精一の羅針盤による「ソングライン」を発見。聞きまくり。すばらしいです。
ジャニスに通ってboredomsや花電車など聞いていた私としてはずっと気になる存在だったし、カンタベリーファンでもあるこちらの方のfavorite musicにも入っているのでいつか見つけたら、と思っていました。
最初に聞いたときは子供もいたので小さい音でならしてたんだけどそうするとほんとにフォーキーというか地味なのだけれど、でかい音でならすとギターの揺れ具合(近いものを探すならGalaxy 500やYo la tengo)とかいつの間にか混じり込んでいるスペーシーなシンセとかが気持ちよいので、木訥としたかんじの歌のメロディーラインも引き立ってくる、という具合。すばらしい。無理なたとえをするならばLou BarlowにとってのFolk implosionもしくはSentridohが山本精一にとっての羅針盤、というところなのでしょうか。これは前作も新作も聞かなくては。Rovoや思い出波止場も聞きたくなってきました。さいきんmarquee方面ご無沙汰なんですけどね。
といいつつSoft machineの「Fourth」買いました。サイケ-カンタベリー好きの私としては聞けるのは「Third」までだろうなあと思って前には遡りつつも新しい方は聞いてなかったのですが、うーむ、やっぱり私は「volume two」がいちばんかな。もう少し聞き込んでみようとは思いますが。そういえばBBCバージョンの"moon in june"では前半部分をどうやって演奏しているか確認したくて(*)うちにあったはずの「The Peel sessions」を探したら見つからない。誰かに貸したっけ?(<-壁に向かってしゃべるのに耐えつつ。)
こないだの出張でひさびさにお目にかかったテクノコレクターの助教授から聞かせてもらったCanの「Future days」、こちらはよかったです。CanというとTago magoやEge Bamyasiとかのフリーキーなダモ鈴木とハンマービートというイメージだったのだけれど、けっこう違いますね。ちょっとほかにはない音の体験ができます。
(*)スタジオ版では前半部分はRobert Wyattが一人で多重録音していて、歌が終わった直後からはじめてバンドが入ってくる。Robert Wyattのインタビュー読んでスタジオ版聞き直してみたら明白でした。Mike RatridgeとHugh Hopperが露骨なまでに歌のバッキングを拒否した様子がありあり。じゃあ、ライブ版のBBCバージョンではどうやっていたのだろう、と思ったのです。


2005年06月10日

PubMedPDF

文献の整理に関してですが、やっぱりPubMedPDF(*)のことを考慮した方がよい気がしてきました。

以前20041214のコメント欄でcogniさんやkamiさんが話題にしてましたが、そのときは敬遠してました(20041229とか20050125とか)。そのときはコンテンツ本体の引っ越し後の環境をmovable typeにするか、XOOPS(というかWordPress)にするか、という選択肢の方がメインだったのでXOOPSのことはそれ以上考えなかったのですが、それとはべつに試してみればいいだけだな、と思いました。(Connoteaを試すのと同じくらいに。)

いまでもpdfを元にして整理するよりはオンラインで整理した方が良さそうだなと(DOIかPMIDで)考えているのですが(さいきんはPDFファイルを整理するのはあきらめてます、PubMed行った方が早いし、Google DesktopSearchをいまいちだし)、なんにしろ、試したりいろいろ調べてみる価値があるのは間違いありません。PubMedPDFがPubMedのweb serviceをどう利用しているかとか調べてみたいし。それに前回のエントリにあるように、すでにApache,perl,PHP,MySQLを入れるところまでやってしまったことだし。XSASにするか、PubMedPDFだけモジュールでXOOPSに入れるかはまた考えるにしても。というか前回のエントリでApache,perl,PHP,MySQLを入れるのにphpdev + ActivePerlを使ったけれど、XSASで全部入るではないですか。ほかの物も入ってしまうわけだけど。

で、ひさしぶりにXOOPS日本公式サイトを見たら本家と分裂とかややこしいことになってるし……(これがいわゆるforkというやつか)

(*) この配布元は阪大の大澤研ですね。例に挙げられてる論文もGoldman-RakicだったりHubelだったりしてかなり位置が近いんですが……知らなかった。

うちの20050609へのcogniさんのところの20050609での言及(1)言及(2)をいただきました(ありがとうございます)ので以下追記: そういう意味では、Movable Typeをいちばんかんたんにインストールする方法はphpdevのようなWAMP(Windows + Apache + MySQL + PHP)よりかは、かんたんWAMPPセット(Windows + Apache + MySQL + PHP + Perl)みたいなものを使うことなのかなと思いました(XSASはさらに+XOOPS+XSASという位置づけですね)。ということで探してみると、おお! XAMPP for Windowsなんてものがあるではないですか。やるならこれでかなあ。

XAMPPを使ってmovable typeをインストールという記事も発見。

これを読むと、いくつかモジュールを追加してやったりしないといけないようです。あと、Movable typeのデフォルトのcgiパスがusr/bin/perlなのでそうなるようにXAMPPをインストールすればより手間が省ける、という感じでしょうか。そのうちこれを使ってみようかなと思ってますが、そんなには深追いしない予定。

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#

おひさしぶりです.PubMedPDFとても楽で便利ですよ.いまやすっかりこれなしではすごせないってくらい頼っています.XSAS-XLP http://jp.xoops.org/modules/mydownloads/singlefile.php?cid=4&lid=160 というのをダウンロードしてインストールすれば全部いっぺんにセットアップしてもらえるのでそのまま使えて,(僕のようにあまりなにもわからない人間には)一番楽だと思いました.活用していないのですが,論文ごとにメモをつけることも可能なようです.ただ,メモの中身を検索することはまだ出来ないみたいですね(使っていないので不確かですが).

# ご隠居

すみません,なまえがはいっていませんでした.

# pooneil

ご無沙汰しております。
>>これなしではすごせないってくらい
うーむ、そうなんですか。最近はpdfの整理はあきらめて印刷したらファイルは捨てるという方針だったのですが、やっぱ試してみようと思います。


2005年06月09日

movable typeをXPでローカルに立ち上げるメモ

Movable type 3.15をローカルのPC(windows XP SP2)で動かしたときのメモです。つまり、自分のPCのブラウザから記事を書いて、自分だけがそのPCから記事を見る、ということができるようにする、ということです(tDiaryでの例が結城浩氏の日記20040830にあります)。Movable typeの動作テストをしたり、ローカルで日記をつけたりできます。練習してからレンタルサーバーなどで公開するときにもデータをエクスポートして使い回せるので無駄になりません。なにより、タダです。

動かすための最小限の記述とそれぞれの関門でのチェック項目だけでできています。ファイルのダウンロードさえ済ませておけば30分でmovable type 3.15が動かせるはずです。

断り書き:あくまでローカルのテスト用に最小限の労力で、ということを目指しているのでセキュリティとかは全く考えていません(データベースにrootでパスワード無しで入ってるとか、Apacheの設定とか)。というわけでもし以下のメモを試すのならば各自の責任で行ってください。また、phpdevを使っているのでapacheとかPHPとかは最新版ではないです。とにかく、詳しい人はこんなメモ必要ないわけで、笑ってスルーでお願いします。ターゲットは2年前の私です: Sourceforgeからファイルをダウンロードして解凍することはできる、ローカルでapacheを立ち上げたことはない、UNIXのことは知らない。いまだに私はperlもPHPもいじれません(なにも見ずにcgiでhello,world書けと言われてもできません)。そのくらいど素人ということで。

概要

Apache1.3,PHP4.2,MySQL4,ActivePerl5.8をインストールしてからMovable type 3.15をインストールします。Apache,PHP,MySQLはphpdevによって一挙にインストールできます(これを知ってわざわざやってみる決心がついたくらい)。


ファイルの準備。

(1) ダウンロードするもの:
http://www.firepages.com.au/phpdev4u1.htmからphpdev423.exe
http://sunsite.tus.ac.jp/pub/apache/httpd/binaries/win32/からActivePerl-5.8.6.811-MSWin32-x86-122208.msi
http://www.movabletype.jp/download-mt.htmlからMT-3.151-full-lib-ja.zip (TypeKeyの登録が必要)
http://ppm.activestate.com/PPMPackages/zips/8xx-builds-only/Windows/DBI.zip (ver.1.48 419KB) http://ppm.activestate.com/PPMPackages/zips/8xx-builds-only/Windows/DBD-mysql.zip (ver.2.1026 169KB)

phpdevのセットアップ

(2) phpdev4.23(phpdev423.exe)をC:\phpdevにインストール。
phpdev2k-XPを立ち上げて、ブラウザのhttp://localhostでapacheが稼働するのを確認。
http://localhost/phpinfo.phpでphpが稼働するのを確認。
(3) http://localhost/phpmyadmin/でMySQLの新しいデータベースを作成。名前を付ける(以下pnlとする)。
(4) C:\phpdev\Apache\conf\httpd.confをエディタかメモ帳で開いて
ScriptAlias /cgi-bin/ "C:/phpdev/www/cgi-bin/"
を見つけて
ScriptAlias /cgi-bin/ "C:/phpdev/www/public/"
に書き換えて保存。
<Directory "C:/phpdev/www/cgi-bin">
を見つけて
<Directory "C:/phpdev/www/public">
に書き換えて保存。
Alias /public/ "C:/phpdev/www/public/"
<Directory "C:/phpdev/www/public/">
    Options Indexes FollowSymLinks MultiViews
    AllowOverride None
    Order allow,deny
    Allow from all
    DirectoryIndex index.htm
</Directory>
を見つけて
Alias /public/ "C:/phpdev/www/public/"
<Directory "C:/phpdev/www/public/">
    Options Indexes FollowSymLinks MultiViews
    AllowOverride None
    Order allow,deny
    Allow from all
    DirectoryIndex index.htm index.html
</Directory>
に書き換えて保存。Apacheはctrl-Cで終了させてふたたび立ち上げる(phpdev2k-XP)。

ActivePerlのセットアップ

(5) ActivePerl(ActivePerl-5.8.6.811-MSWin32-x86-122208.msi) をC:\usrにインストール。DOSプロンプト立ち上げて
cd C:\usr\bin
perl -h
でperlの動作を確認。
(6) CGIの動作確認。C:\usr\eg\cgi\env.plをC:\phpdev\www\publicにコピー。env.plをエディタかメモ帳で開いて一行目を
#!/usr/bin/perl -w
と書き換えて保存。http://localhost/public/env.plでApacheの環境変数が出てくれば動作確認OK。
(7) ActivePerlからMySQLを使えるようにする(ppmを使った Perl モジュールのインストール)。DBI.zipを解凍してC:\temp\DBIに入れる。DOSプロンプト立ち上げて
cd C:\temp\DBI
ppm install DBI.ppd
でインストール終了するまで待つ(時間かかる)。同様に、DBD-mysql.zipを解凍してC:\temp\DBD-mysqlに入れる。
cd C:\temp\DBD-mysql
ppm install DBD-mysql.ppd
でインストール終了するまで待つ。

Movable typeのセットアップ。

(8) Movable type 3.15(MT-3.151-full-lib-ja.zip)、を解凍してC:\phpdev\www\publicにフォルダmtを作成してからC:\phpdev\www\public\mtにコピー。
(9) http://localhost/public/mt/mt-check.cgiを実行して、「Movable Type のシステム・チェックは無事に完了しました」が出るのを確認する。

(10) C:\phpdev\www\public\mt\mt.cfgの編集。

*18行目

CGIPath http://localhost/public/mt/

*27行目

#DataSource ./db

*38行目-41行目

ObjectDriver DBI::mysql
Database pnl
DBUser root
DBHost localhost

*142-145行目

DBUmask 0022
HTMLUmask 0022
UploadUmask 0022
DirUmask 0022

*157行目

HTMLPerms 0777

(11) C:\phpdev\www\public\mt\mt-db-pass.cgiを空欄にして保存
(12) http://localhost/public/mt/mt-load.cgiを実行して、「システムの設定、初期化が完了しました。」が出るのを確認する。
(13) C:\phpdev\www\public\mt\mt-check.cgiと C:\phpdev\www\public\mt\mt-load.cgiの削除
(14) C:\phpdev\www\public\mt\mt.cgiを実行。ユーザー:Melogy、パスワード:Nelsonでログインする。
(15) 「プロフィールの編集」でユーザ名、パスワードを自分専用に変更
(16) 「First Weblog」をクリック。「ウェブログの設定」で
ウェブログの名前: (なんでもお好きに)
ローカル・サイト・パス: c:/phpdev/www/public
サイトのURL: http://localhost/public/
ローカル・アーカイブ・パス: C:\phpdev\www\public\archives
アーカイブのURL: http://localhost/public/archives/
で保存。全体を再構築する。
(17) 「エントリーの確認」でhttp://localhost/public/にできたサイトを見る。まだ空っぽ。
(18) http://localhost/public/mt/mt.cgi?__mode=list&_type=template&blog_id=1 の新規エントリーでコンテンツを作る。投稿の状態が公開になっているのを確認して、保存。
(19) 「エントリーの確認」でhttp://localhost/public/に新しいエントリーができていることを確認。
(20) あとはスタイルシートやテンプレートいじったりいろいろやっているうちに憶えます。

参考にしたサイト:

  • Movable Type 3.x 導入手順 (movable typeのインストールではまったらこれを見てトラブルシューティングする)
  • MySQLのインストール/動作確認手順 (perlからMySQLを動かせるようにするためにppmからのインストールをする必要があり、movable typeのマニュアルには方法の記載がない。やり方はここを読むとわかる。)
  • パソコンにMovable Typeをインストールする (このエントリを書いている途中でこのサイトを発見。今回のエントリででやったことはほとんどこのリンク先と同じ。違いはphpdevをつかうことでより簡略化されていることくらい。)

んでやりたかったのは、ローカルで自分のサイトのデータを再構築するともっと速いかどうかの検証だったのですが、すべてを再構築するとやっぱり3分くらいかかる。たしかにレンタルサーバーよりは少しは速いけど、倍は違わない感じ(もちろん時間帯によるんだけれど)。というわけで、古いエントリは再構築しない、とかそういうことをしないと速くならないようです。

ま、ほかにもプラグインを試してみるとか、ダイナミックパブリッシング試してみるとか、web service(SOAPとか)のお勉強するとかに使ってみる予定です。

追記:cogniさんのところの20050609に言及(1)言及(2)があります。XSASを使ったよりかんたんな方法が紹介されてます。また、うちの20050610にも関連記事あり。


2005年06月08日

昼食セミナー

6/1に無事終了しました。けっきょく止むを得ぬ理由で一週間延期させていただいて6/1に変更。出席してくださったみなさまにお詫びしました。
ムービーが動かなかった、とか時間が足りず後半駆け足になってしまった、とか'migraine'の和訳を間違える(*)などかなり恥ずかしいミスも犯しつつ、なんとか話し終えた、というかんじです。
私がいちばん伝えたかったメッセージは、神経科学学会での発表にご期待ください、というものでしたが、きっとにオーディエンスの心にいちばん残ったのは、生まれた赤ん坊の写真スライドだったに違いない。
(* つまり、素で「ふいんき<-なぜか変換できない」をやってしまったと。)


2005年06月07日

今週のF1000

うちの研究所にもfaculty of 1000が入るようになったのでぼちぼちと紹介します。
Melvyn Goodaleが二つ挙げています。
Experimental Brain Research "What the hand can’t tell the eye: illusion of space constancy during accurate pointing" Pointingは意識の関与の不在下で起こる、Goodaleの主張するdorsal pathwayは意識に関わらない、とする説に整合性のある知見です。
Nat Neurosci "Optic ataxia errors depend on remapped, not viewed, target location" A Vighettoたち。Optic ataxiaについては何回か採りあげました(過去スレッドあり)。Optic ataxiaの原因をこれまでの「網膜上の情報を標的の表象に変換するところの障害」ではなくて、「gaze-centeredな座標系からarm-centeredな座標系へ変換するところの障害」にあると主張しています。
あと、Kevan A. MartinがLogothetisのNature 5/19を挙げています。
Nature "Lack of long-term cortical reorganization after macaque retinal lesions"
この話、去年のSFNでもやってたんですが(605.3)、この派手な発表の次がU.T.Eyselによるmultielectrode arrayでのcatでの報告(605.4)で、reorganizationはあるという結論だったんですが、そっちのほうが本当のように思えました。LogothetisのほうはfMRIでretinal lesionの影響を定量的に見ようとする、かなり危なっかしいものと思いましたし。


2005年06月06日

static motion illusion

立命館大の北岡明佳氏といえば錯視の本やサイトで有名です(サイトで最初に出てくる「蛇の回転」ってすごすぎますよね)。これまでに"Perception"や"Vision Research"や"Perception & Psychophysics"などに視覚心理学研究の論文を出版しておられます。
今日たまたま氏のサイトを見ていたら、神経生理学者であるChristopher PackMargaret S. Livingstoneとともに書いた論文がJournal of Neuroscienceでin pressになっているということを知りました("Neural basis for a powerful static motion illusion.")。ニューロンのメカニズムという点になるとこの種の錯視図形は大きい(V1ニューロンの受容野と比べて)ので、contextual modulationの一種として扱うことになるのだと思うのだけれど、なんにしろ錯視量が強烈(それこそ"powerful" static motion illusion)なので、modulationの効果としても大きく出るのではないかと期待します。
First authorはJNP '03 "Space-Time Maps and Two-Bar Interactions of Different Classes of Direction-Selective Cells in Macaque V-1."の著者。


2005年06月05日

サイトのレイアウト変更中です

Connotea関連でいろいろ書きましたが、これで終了。論文コメントに復帰しました。
スタイルシートいじってレイアウト変えました。まずフォントを変更。FireFoxで見たときとInternet Explorerで見たときとでの違いが小さくなるようにしました。
それから2カラムへの変更。ねばって1カラムでやりつづけてきましたが、2カラム、3カラムのサイトに慣れてくると横に間延びしているように感じるようになりました。2カラム、3カラムのサイトに順応する過程でブラウザのウインドウ幅を広げざるをえなくなってきた影響でしょう。また、過去ログへの案内をわかりやすくするなどの工夫もしていきたいし。というわけで、印刷のときにじゃまにならないくらいの幅で右カラムにナビゲーション用の情報を載せました。なんかmovable typeのデフォルトのテンプレートに戻ってきただけのような感じもしますが。なお、ウインドウ幅は可変(リキッドレイアウト)になっているのでウインドウ幅をかなり狭めない限り横スクロールバーは出てこないはずです。
というわけでこれからも少しずついじっていきます。よろしくおつきあいください。


2005年06月02日

Folksonomies – Cooperative Classification and Communication Through Shared Metadata

Folksonomyの基本文献の要約作成。Del.icio.usやFlickrを主な例として。

"Folksonomies – Cooperative Classification and Communication Through Shared Metadata" Adam Mathes

メタデータの作成: 専門家、コンテンツ作成者、ユーザー

メタデータ(文書、書籍などについてのデータ)の作成は訓練を受けた専門家によって行われてきた。図書館ではOPACとか。しかしWWWのような巨大なデータがあるところではそれでは追いつかない。一つのやり方はコンテンツ作成者がメタデータを作成するというもの。もうひとつはユーザーが作成するというもので、GoogleのPageRankもリンクという形での非明示的なメタデータ作成といえる。もう一つのユーザーによるメタデータ作成の例はブログで、リンクにコメントをつけることで明示的なメタデータ作成をしているといえる。

Del.icio.usやFlickrでのタグ付け

Del.icio.usではユーザーがタグ付けするのに対して、Flickrではコンテンツ作成者が自分のデジタル画像にタグ付けする。

タグからFolksonomyへ

Folksonomyでは名前空間がフラットである、つまり、階層構造がない。
Del.icio.usで多く使われるタグは技術的な話題に関するものでユーザーの興味を反映しているが、"toread" "wishlist"などは性質が違っている。
Flickrでのタグは多くは固有名詞だが、興味深いのは"cute" "me"だ。
Folksonomyは「分類」と言われるけれど、実際に行われていることは「カテゴリー化」だ。

Folksonomyの弱点

  • 曖昧さ: 「フィルタリング」というタグではスパムフィルタからウォッカのフィルターまで引っかかる。ANTという略語は分野によって指すものが違う。
  • 複数の語: Del.icio.usやFlickrではもともとタグには単語での使用を想定しているのでスペースが使用できない。
  • 同義語: mac、macintosh、appleは"related tag"の機能で結びつけられている。

Folksonomyの長所

  • おもしろいものを探しているのか、質問の答えを探しているのか: Del.icio.usやFlickrは明確な質問の答えを探すのにも使えるだろうけど、思いもかけなかったおもしろいものを見つける(セレンディピティ)ところに強みがある。
  • Desire lines: Folksonomyはユーザーのボキャブラリーを直接的に反映する。専門家がボキャブラリーの分類をするときの開始点として使える。

Folksonomyがうまくいく理由

  • 参加するための障壁、認知的なコスト: ユーザーにとって、厳密な定義によるボキャブラリーの知識とトレーニングを必要としない。時間、労力、認知的コストの点で参加することがより容易である。厳密さには欠けるそれでは重要なメタデータをfolksonomyで得られることは確か。
  • フィードバック、非対称的なコミュニケーション: 同じタグを使っている話題が人がすぐ見つかるという点でフィードバックが早い。ユーザーの自分のタグ付けを修正して多く使われているタグに適応させる、という点で非対称的なコミュニケーションが行われている。
  • 個人的側面、コミュニティ的側面: Del.icio.usでの"toread"タグ、Flickrでの"me"タグのようなユーザーの個人的コンテキストでのみ理解可能なタグが使える。一方でタグの適応のようなメタデータを介したコミュニティの形成が起こっている。Folksonomyは協調することへの障壁を下げる。付けるタグを自分で決められる点が重要で、タグを共有しようという欲望が生まれる。Del.icio.usもFlickrもソーシャルネットワーク的要素が埋め込まれている。
  • 予期しなかった使用法: Flickerの"sometaithurts"タグや"flicktion"タグでの遊び。

さらなる研究の必要な領域

  • タグの定量的な解析: タグ使用の分布のpower lawを解析して、folksonomyでのタグの収束を検証。
  • ユーザーの定性的な解析: ユーザーへのインタビューなどを通して、どんな要因がfolksonomyの形成に影響を及ぼすかを明らかにする。
  • 他のシステムへの応用可能性: ソーシャルネットワークやイントラネットなどへの応用可能性。伝統的な情報分類への補完。

結論

Folksonomyのコントロールがないという点は分類の不正確さや曖昧さなど専門家が補完できる部分がある。ぎゃくにタグ付けの自由さはユーザーのニーズを素早く反映し、多くのユーザーの参加を促す。どうあれ、専門家による分類からユーザーによる分類という方向性の変化は追求されるべきだし、将来的なシステム発展のために考慮されるべきだ。


2005年06月01日

Social Bookmarking Tools (II): A Case Study - Connotea

昨日のつづきです。以下の論文について要点をかいつまんで。注の形で私のコメントも入れておきます。

"Social Bookmarking Tools (II): A Case Study - Connotea"

ソーシャルブックマークの一例としてConnoteaについて概説。

キーとなるコンセプト

  1. オンラインで文献とブックマークを保存する: オンラインであることによって、文献へ直接リンクできること以外にも、以下の利点の元ともなる。
  2. タグによる整理で階層性のないシンプルな構成: タグはこれまでのファイル整理でいえばフォルダに相当するものだが、一つの文献に複数タグ付けできること、フォルダのように入れ子にならないことでこれまでの伝統的なファイルシステムによる限界からユーザーを解放する。
  3. 文献リストを他人と共有: Connoteaが自動的に他人の文献リストとの関連を見いだすことができる。それによって同様な論文をリストしている人が他にどういう論文をリストしているかなどの情報が得られる。
  4. 書誌的情報を自動的に取得: 書誌的情報をタイプせずにすむことで、タイプエラーを減らし、文献のセーブにかかる労力を下げる。

キーとなる機能

  1. ブックマークレット: JavaScriptによってブラウザに機能を追加する。これを使うことでかんたんに文献をリストに追加できる。
  2. 公開アーカイブから書誌的情報をインポート: 現在はPubMed、nature.com、amazonなどから情報の抽出が可能。たとえば、PubMedの記事からPMIDを抽出とか。
  3. タグ付け: 単語からフレーズまでほぼすべてがタグとして使用可能。
  4. コメント書き込み: 論文ごとに複数のユーザーのコメントを時系列的にスレッド形式で追加してゆくことができる。
  5. RSS: 文献リストをユーザーやタグでand/or検索することができ、その結果をRSSを使って新しいアイテムが増えるたびにユーザーに通知させることができる。

二次的に創発してきた効果

  1. タグの収束: ユーザーは他人が使っているのと同じタグを選ぶようにタグを選択することがしばしばある。これによってそれぞれのタグの使用頻度はpower law的分布を示している。(注: 分布に裾野ができることじたいは、各人の語彙が一般的な言葉で重なるという理由からして当たり前なので、タグの収束(タグ付けをする人が他人のタグに影響されてタグ付けする)が起こっていることを言うためには本当にpower lawかどうかという定量的な検証とか、語彙の分布などからモデルを作って検証する、といった作業が必要なことでしょう。)
  2. 関連するマテリアルの推奨: 同じタグを使った文献のリスト、関連するタグのリスト(単数複数形やタイポ、意味的に関連するタグ)、同様な文献を選んだユーザーのリストなどを抽出することで、Connoteaはコミュニティによって駆動された推奨システムとなる。(注: Amazonの「この本を購入した人は以下の本も買いました」機能みたいなもん)
  3. 半自動的なディレクトリページの作成: あるタグでの文献リストはそのタグによるリンクを多く受けているため、そのタグをGoogle検索したときに高い位置にランクされる。(注: これはググるとdel.icio.usやtechnoratiのリストが上に来るようになってきたのと同じメカニズムによる)

将来的な展望

  1. 機能の充実: プライベート機能。認識できるサイト数の向上。EndNoteなどとの協調。OpenURLへのリンクのサポート。ユーザーグループの作成。(注:これらの大半はすでに対策されている。認識できるサイト数はまだ少ない。ScienceやJNSが採用している方式への対応と、ScienceDirectへの対応とが私の分野では必須です。)
  2. オープンソースへの貢献: Connoteaの主要な価値はその技術にあるのではなくて、それを使うコミュニティにある。だからコードへアクセスできるようにすること(将来的展望2)やユーザーの要求に応えること(将来的展望1)はConnoteaを向上させる。

お勧めエントリ

  • 細胞外電極はなにを見ているか(1) 20080727 (2) リニューアル版 20081107
  • 総説 長期記憶の脳内メカニズム 20100909
  • 駒場講義2013 「意識の科学的研究 - 盲視を起点に」20130626
  • 駒場講義2012レジメ 意識と注意の脳内メカニズム(1) 注意 20121010 (2) 意識 20121011
  • 視覚、注意、言語で3*2の背側、腹側経路説 20140119
  • 脳科学辞典の項目書いた 「盲視」 20130407
  • 脳科学辞典の項目書いた 「気づき」 20130228
  • 脳科学辞典の項目書いた 「サリエンシー」 20121224
  • 脳科学辞典の項目書いた 「マイクロサッケード」 20121227
  • 盲視でおこる「なにかあるかんじ」 20110126
  • DKL色空間についてまとめ 20090113
  • 科学基礎論学会 秋の研究例会 ワークショップ「意識の神経科学と神経現象学」レジメ 20131102
  • ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会レジメ 20130628
  • Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する (1) 20100317 (2) 20100317
  • 半側空間無視と同名半盲とは区別できるか?(1) 20080220 (2) 半側空間無視の原因部位は? 20080221
  • MarrのVisionの最初と最後だけを読む 20071213

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