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2015年10月30日

研究発表などのプレゼンについて雑記

学会とかでの研究発表の場面の話だけど、レーザーポインタにしろマウスにしろ多用し過ぎると、体が観客に向かわずに画面に向いてしまう。だから複数の図をひとつのスライドに入れる必要がある場合は、アニメーションで順番に情報を追加するようにしている。こんなかんじ:

でも、複数の図をひとつのスライドに入れずに済むのなら、なるたけ分けたほうが良い。ジャーナルクラブでNatureとかScienceの論文を取り上げるとコンポジットの図が多用されるので、必要ない限り別のスライドで出すように分けて、その分図を拡大して出すように指導している。グラフの軸の数字が読めないとかそういうのはよくない。

複数の図をひとつのスライドに入れる必要があるのは図を並べて比較したいときだけ。たとえば上のスライドの場合、サリエンシーの高いところを元画像と比べたいという目的があるので並べて提示している。

もしアニメーションの使用を徹底するとこんなかんじになるだろう。

さすがにくどいんでこれは後者は本番のときには使ってない。あんまアニメーション多用しすぎるのもたぶんよくない。オーディエンスの注意をコントロールするのは良いのだけれど、ずっとスライドに注意を向けていないと話に追いつけなくなる。そしてわれわれは人の話を聞くとき、ずっと100%集中しては聞いていない。

以上はプレゼンを作る側としての考え方だけど、じゃあオーディエンスとしてはどうかというと、よく知った分野のことだったら、さっさと全部の図を出してもらって、それをざっと見回してスピーカーがこれから何をしゃべるつもりなのか予想した上で、スピーカーの説明を聞いているかもしれない。

たぶんオーディエンスにそういう自由というか余裕を与えておくことは重要で、100%聞いてなくても理解してもらえるようにするために途中でまとめを入れるとか、そういうことが必要になる。それもあんまやるとくどくなるのだけど、指導の場面ではくどい方に寄せておくようにしている。

P.S. ちなみにここで私が言っている「アニメーション効果」とは「出現」と「消去」のことだけを指している。あくまでオーディエンスに見せる情報をコントロールする手段として使っている。スライドの切り替えでなんか面白い効果を使ったりすることには興味が無い。端的に時間の無駄だと思ってる。ただし、瞬間的なスライドの切り替えだと、瞬きによるchange blindnessが作用する可能性があるので、同じようなスライドが続くときにはスライドの切り替えに気づかなくなる可能性はある。そういうときには切り替えの効果も役に立つのかも。


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