[月別過去ログ] 2015年10月
« 2015年09月 | 最新のページに戻る | 2015年11月 »2015年10月30日
■ 研究発表などのプレゼンについて雑記
学会とかでの研究発表の場面の話だけど、レーザーポインタにしろマウスにしろ多用し過ぎると、体が観客に向かわずに画面に向いてしまう。だから複数の図をひとつのスライドに入れる必要がある場合は、アニメーションで順番に情報を追加するようにしている。こんなかんじ:
でも、複数の図をひとつのスライドに入れずに済むのなら、なるたけ分けたほうが良い。ジャーナルクラブでNatureとかScienceの論文を取り上げるとコンポジットの図が多用されるので、必要ない限り別のスライドで出すように分けて、その分図を拡大して出すように指導している。グラフの軸の数字が読めないとかそういうのはよくない。
複数の図をひとつのスライドに入れる必要があるのは図を並べて比較したいときだけ。たとえば上のスライドの場合、サリエンシーの高いところを元画像と比べたいという目的があるので並べて提示している。
もしアニメーションの使用を徹底するとこんなかんじになるだろう。
さすがにくどいんでこれは後者は本番のときには使ってない。あんまアニメーション多用しすぎるのもたぶんよくない。オーディエンスの注意をコントロールするのは良いのだけれど、ずっとスライドに注意を向けていないと話に追いつけなくなる。そしてわれわれは人の話を聞くとき、ずっと100%集中しては聞いていない。
以上はプレゼンを作る側としての考え方だけど、じゃあオーディエンスとしてはどうかというと、よく知った分野のことだったら、さっさと全部の図を出してもらって、それをざっと見回してスピーカーがこれから何をしゃべるつもりなのか予想した上で、スピーカーの説明を聞いているかもしれない。
たぶんオーディエンスにそういう自由というか余裕を与えておくことは重要で、100%聞いてなくても理解してもらえるようにするために途中でまとめを入れるとか、そういうことが必要になる。それもあんまやるとくどくなるのだけど、指導の場面ではくどい方に寄せておくようにしている。
P.S. ちなみにここで私が言っている「アニメーション効果」とは「出現」と「消去」のことだけを指している。あくまでオーディエンスに見せる情報をコントロールする手段として使っている。スライドの切り替えでなんか面白い効果を使ったりすることには興味が無い。端的に時間の無駄だと思ってる。ただし、瞬間的なスライドの切り替えだと、瞬きによるchange blindnessが作用する可能性があるので、同じようなスライドが続くときにはスライドの切り替えに気づかなくなる可能性はある。そういうときには切り替えの効果も役に立つのかも。
お勧めエントリ
- 細胞外電極はなにを見ているか(1) 20080727 (2) リニューアル版 20081107
- 総説 長期記憶の脳内メカニズム 20100909
- 駒場講義2013 「意識の科学的研究 - 盲視を起点に」20130626
- 駒場講義2012レジメ 意識と注意の脳内メカニズム(1) 注意 20121010 (2) 意識 20121011
- 視覚、注意、言語で3*2の背側、腹側経路説 20140119
- 脳科学辞典の項目書いた 「盲視」 20130407
- 脳科学辞典の項目書いた 「気づき」 20130228
- 脳科学辞典の項目書いた 「サリエンシー」 20121224
- 脳科学辞典の項目書いた 「マイクロサッケード」 20121227
- 盲視でおこる「なにかあるかんじ」 20110126
- DKL色空間についてまとめ 20090113
- 科学基礎論学会 秋の研究例会 ワークショップ「意識の神経科学と神経現象学」レジメ 20131102
- ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会レジメ 20130628
- Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する (1) 20100317 (2) 20100317
- 半側空間無視と同名半盲とは区別できるか?(1) 20080220 (2) 半側空間無視の原因部位は? 20080221
- MarrのVisionの最初と最後だけを読む 20071213