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2007年02月17日

このサイトでよく読まれているエントリのランキング

(0207/2/17に作成して放置していたものをこっそり再掲。)

ブログのサイドバーによくある「このサイトでよく読まれているエントリーのリスト」みたいなものを作ってみようと思って、うちのサイトの固定リンクへの総hit数(04年12月から現在まで)のランキングを作ってみました。どのエントリが検索エンジンから来た人に読まれているかを見る目安となるでしょう。

Hitタイトル
877手作りパソコンの価格が納得できません
747「ログインしてください。」
646movable typeをXPでローカルに立ち上げるメモ
534SFNレポートのつづき
452敬称続き。
405PubMed RSS Feed役に立った
385Cortex 2005 4月号
370民明書房論法
349「本日のPubMed RSS feed」付けてみました
329scienceとPNASがRSS feedを始めた
308Businessweek on 神経経済学(neuroeconomics)
303Science Newsome論文つづき
298「証明はできないけれどこれは本当だ、と信じていることってありますか?」
290敬称
282Science Anosognosia(疾病否認)論文
270論文いろいろ
269The Elements of Styleの日本語訳
265nonhumanで信号検出理論(SDT)
264論文いろいろ
262Movable Type 3.11導入メモ

……けっきょく、ネット見て反応したネタが上に来やすいわけですな。というわけで、うちのサイトにふたたび来訪してもらうためには、ロングテールの部分が重要。というわけで、脳科学コメントに関連したエントリだけでランキングするとこんな感じです:

Hitタイトル
534SFNレポートのつづき
385Cortex 2005 4月号
308Businessweek on 神経経済学(neuroeconomics)
303Science Newsome論文つづき
298「証明はできないけれどこれは本当だ、と信じていることってありますか?」
282Science Anosognosia(疾病否認)論文
270論文いろいろ
265nonhumanで信号検出理論(SDT)
264論文いろいろ
257論文いろいろ
253Implicit perception and signal detection theory
234内部モデルとミラーニューロン
226サール:意識を科学的に研究するには(要約)
223BBS online
220Speed-accuracy tradeoff
210スキナー。あとデネットとか。
208今週のFaculty of 1000
203大学院講義の反省文
198視覚連合記憶の機構
194線条体とQ-learning
184論文いろいろ
181Smallest Enclosing Ellipse
180宣言的記憶と症例H.M.
174「行動の価値」を表す線条体ニューロン
172NatureとScience
170Science Anosognosia(疾病否認)論文
170Science Anosognosia(疾病否認)論文
166平瀬 肇さん@理研
163「行動の価値」を表す線条体ニューロン

ま、こういう感じで細く長く読んでもらえるエントリをすこしずつ増やしていけたら、と考えております。じつのところ、がんばってアクセスを増やす必要もないのだし。ま、エントリも増えてきたし(もうすこしで1000エントリです)、ネタ用に。


2007年02月13日

ランダムドット刺激のcoherenceってどのくらい保証されてるの?

どもども。前から気になってたことをざっくり書いてみます。勘違いしてたら指摘してください。どなたか名指ししているつもりはございませんので、もしよろしければということで。
Bill Newsome以降のランダムドット刺激を使ったperceptual decisionの仕事がうまくできていたのは、near-thresholdの刺激をランダムドットのcoherenceという形で連続的に操作できる点にありました。だから、coherence 50%という同一の刺激に対して、右向きだと判断したときと左向きだと判断したときとでニューロンの反応が違っていたら、それは刺激の物理的特性によるのではなくて、どう判断したかに関連している、だからこれはperceptual decisionのneural correlateなのだ、という論理が成り立っていたのです。
しかし、coherence 50%の刺激って試行ごとに同一であると保証されているのでしょうか。これがわたしの疑問です。常に画面上に出ているドットの左右の向きの個数が一定になっていない限り、時間的には細かく変動しているはずです。(つまり、ランダムとpseudorandomの問題です。もしくは、わざわざm-sequenceを使うことによってすべての周波数帯域がフラットであることを保証するような話と関連させて考えてます。)
もとのNewsomeの実験のように1秒間とか一定の時間の刺激の後で判断をするときなどはその提示時間の中で左右方向のドットの数を同じにするように出来るかもしれませんが、それ以降のShadlenがやっているようなreactin time versionのタスク(刺激提示中でもdecision出来たら応答してよいため、刺激提示時間は一定でない)などでは、それが保証されるように思えません。
また、上記のレベル(時間的にローカルな変動)で問題がなかったとしても、もう一つ気になることがあります(こちらは空間的にローカルな変動とでも呼べるでしょう)。我々の目というのはランダムな中にもパターンを見出すものでして、50%のcoherenceの刺激でも、たまたま近接したドットがcoherentに動くとそれが非常にsalientな刺激となります。たとえば、そういうlocalなcoherent motionに反応するような時間的空間的フィルタを作ってやって(local saliency detectorとでも呼ぶことが出来るでしょう)、それで積分してやった値をもとにしてdecisionしたとしたら、なんのことはない、同一の刺激に対してべつの反応をしていたのではなくて、coherence 50%とはいえ、試行ごとに刺激そのものが違っていて、ニューロンはそれに反応していただけ、そういうオチになったりはしないものなのでしょうか。
というのも、同一刺激に対する行動選択の影響をニューロンで見る実験パラダイムでは、刺激が試行ごとに一定であることを保証する必要があって、そのためには必ずしもランダムドットがよい刺激とは言えないのではないか、なんてことを考えていたのです。このあいだのRomoのNature Neuroscienceみたいな、刺激の強度を下げてnear-thresholdにした刺激を使った行動選択の影響の仕事のほうが、刺激の試行ごとの同一性に関しては問題が少ないのではないか、という問題意識です。
わたしはまだランダムドット刺激のポイントをつかめていないのかもしれないのだけれど。
追記:なんか前ラボの人たちと議論したことの受け売りである気がしてきたので(もはや記憶が定かでない)、その旨記載しておきます。

コメントする (6)
# mmmm

10年くらい前、完全に同じランダムドットを呈示すると、MTの細胞の発火の時間系列が驚くほど一貫している、という図を、M木さんに見せて貰ったことがあります。確か、Newsomeのところのデータだったと思うんですけど。そのときはへぇー(アハ!じゃなくて)と思っただけだったのですが、Perceptual decisionの考えと矛盾しそうですね。何せ図1枚だったのと、10年も前のことなので、情報の信頼性は高いわけではありませんが、思い出したので久しぶりにコメントしてみました。

# pooneil

レスポンスどうもありがとうございます。
>> 10年くらい前、完全に同じランダムドットを呈示すると、MTの細胞の発火の時間系列が驚くほど一貫している
そっか、それの話を忘れてました。それはWyeth Bair and Christof KochのNeural Computation 1996 "Temporal Precision of Spike Trains in Extrastriate Cortex of the Behaving Macaque Monkey"でしょう。Wyeth Bairのサイトからpdfが落とせます。
わたしのサイトでも以前さらっと言及してました。20040824のエントリにて。
以前このへん関連の論文(Neuron 1998)をジャーナルクラブで採りあげて議論したことがありました。でもそうしてみると、今回書いたことは自分で考えたことのつもりでいたけど、そのころ議論したことだった気もしてきました。にわかに自信を失ってきたので、その旨を本文の方に追記しておきました。
Neuron 1998と絡めて議論したときの文脈は、ニューロンの応答というのは刺激のonset(directionの変化など)をよくコードしているのだ、ということでした。当時の私はいつも通りベイトソンを思い起こしながら、情報とは差異をコードすることだからとか考えてましたが、いまだったら「ニューロンはベイジアンsurpriseをコードしている」みたいな言い方をすれば多くの人に通じるかな、と思います。これがneural correlate的発想の一部にある、ニューロンの活動はなにかの実体contentを表すと考えるような発想を見直して、content間の差異を表すもの(カッコつければintentionalなもの)として取り扱うべきという考えの補強になるのではないか、なんてことを考えてました。
つまり、neural correlateの問題です。赤のneural correlateというものはない。あるのは赤と黄色、赤と紫との区別を生み出す情報をニューロンの活動からdecodeできるという事実だけだ、というわけです。つまり、科学的にきっちりやろうとして構造主義的発想を徹底させる方向に行くと、クオリアが差異からなる情報ではなくてそのcontentであることに思い至る。すると情報的な取り扱いは不可能である。逆にクオリアが差異からなる情報として捉える方向に行くと、それはhard problemではなくなるというわけです。ま、以前も話をしたような気はしますが。
話がずれてきて、しかもこっちのほうが面白いことだったりするのですが、このへんにて。

# potasiumch

差異の方が重要だ、という話だと最近こういうのが出てましたね。

Search Goal Tunes Visual Features Optimally
Vidhya Navalpakkam and Laurent Itti
Neuron, Vol 53, 605-617, 15 February 2007

彼らの言っていることが実際にあるとしたら、少なくとも差異を強調するべく調整が出来るようなメカニズムがあるのかな、とか思いました。

# pooneil

どうもこんにちは。いいかんじに話題がつながりました。それにしてもtop-downの話というのは難しいなあと思うので、2/16の
>>どのニューロンにトップダウンで影響を与えるべきかを知る(observer's beliefを形成する)のは結構大変なのでは
これには同感です。
じつはpotasiumchさんが教えてくださるまでこの論文に気付いてませんでした。ちょうどLaurentにメールする用事があったので、ギリギリセーフでメールに盛り込めて助かりました。

# にんちにいちに

どなたか詳しい方がコメントされるかと思ってましたが反応がないようなので一言。ここで提起されている問題は、運動弁別に関しては、Britten et al. (1996)Visual Neurosci. のp93右側とFig.8で検討されています。また、奥行き弁別の実験では、Uka & DeAngelis (2003)JNSのFig.5と同じ著者のNeuron(2004)のFig.8で検討されています。結論は、トライアルごとに異なったランダムドットを使った実験で得られた結果は、トライアルごとに同じランダムドットを使った実験においても基本的には維持されるというものです。刺激のバリエーションがチョイスプロバビリティーが0.5からずれることを説明するのではないということで、ご心配の点は大丈夫かと思います。

# pooneil

どうもありがとうございます。そんなに的はずれなことを言っていたわけでもなかったようで安心しました。まずは宇賀さんの論文から読んでみようと思います。また来週お会いできるかと思います。それではまた。
重複分は削除しておきました。


2007年02月05日

Repeating Sequence Revisited

Shuzoさんが以前予告していた、以下のNeuron 2007論文を扱ったエントリが出ました。大充実してます。
Neuron. 2007 Feb 1;53(3):413-25. "Stochastic emergence of repeating cortical motifs in spontaneous membrane potential fluctuations in vivo." Mokeichev A, Okun M, Barak O, Katz Y, Ben-Shahar O, Lampl I.。Previewあり。"Cortical Songs Revisited: A Lesson in Statistics"
まずはShuzoさんのエントリをご覧ください。この論文はガヤScience論文と非常に関係しております。ガヤ論文に関してはうちのサイトの以前のスレッドで統計に関する検証を中心にしてコッテリとやってますので、それもぜひ読んでいただければ。
んで、今回の話は、J Neurophysiol. 1993 Abeles et.al., - J Neurophysiol. 1999 Oram et.al., - Science 2004 Ikegaya et.al., - Neuron 2007 Mokeichev et.al.と脈々とつながる論争と捉えられるので、またこれに対する反論が出てきたりしていろいろ盛り上がるだろうなあと思います。今回の論文を読む時間はなさそうなので、以前のスレッドで言ってたことを繰り返してお茶を濁しますが、今回の話に対する決定的な反論はやはり、repeating squenceがこれまで知られている機能的・解剖学的構造と関連していることを示すこと」だと思います。そういうのが出てくるのを待ちたいと思います。
こういうホットな論争はそのときどきでいろいろありました。たとえば1990年代には、LTPの発現はpresynapticかpostsynapticかという論争でMalinowとかNicollとかが頻繁にNature, Scienceに論文を出している時期がありました。また、LIP野の機能的意義(見返してみたらすごく紛らわしかったけど、LTP=long term potentiationぢゃなくてLIP=lateral intraparietal area)はattentionなのかintentionなのか、というME GoldbergとRA Andersenの終わりなき戦いというのもありました。LIP野の論争は面白かったけどどこか不毛な面があったのはやはりconceptualな問題(attentionとは、intentionとはなにか、という定義問題)を含んでしまった点にあったのかも。あと、Kanwisherを中心とした、FFAは顔に特化した領域かどうかという論争はいまも続いています。こういう論争を作り出してその中で戦える、というのはうらやましいものです。良い面悪い面があるだろうけど、論争が原動力になるという面は間違いなくあります。盛り上がらずにスルーされるよりずっといいです。わたしも大論争を引き起こせるような論文を書けるよう、はげしく準備中です。


2007年02月03日

ナップスタージャパンいいネ!

さいきんあまり音楽を聴かなくなってて良くないなあと思ってたのですけど、ナップスタージャパンはいいですね。定額であるところがやっぱポイントですよね。iTuneはpodcastはいろいろ聞くけど、あれでちまちま曲買うのがなんかやで。ナップスターは品揃えじたいはいまいちだけど、古めの洋楽がたくさんあるので私的には大満足です。つうか聴きたい曲はたくさんあるのに聴いてる時間が足りない。そんな状態です。
90年代前半のパワーポップとか聞きまくってます。Teenage fanclubの"bandwagonesque"とかMatthew Sweetの"Girl friend"とか大メジャーどころを。そしたらおすすめのところで、記憶の彼方に行ってたGigolo auntsの"flippin' out"とか見つけて感激。あの"Gun"とか大好きだったのですよ。Janisに通ってた日々を思い出します。Vaselinesとか検索して、あるのを確認して満足してみたり(CD持ってるのに)。Shoegazerものとかはあんまりない。Boo Radleysとかもほんの少し。でも、Pale Saintsの名盤2枚("In Ribbons""The Comforts of Madness")が入っているのを発見。おお、もう10年くらい聴いてないかも。カンタベリー系とかもそんなにない。Caravanの"If I Could Do It All Over Again I'd Do It All Over"があって"As I feel I die"とか聴けたのはよかった。
定額であることの強みは、ぜんぜん聴いたことのなかったものをどんどん試すことが出来る点ですね。The flaming lipsとかやっぱCD買っとけばよかった。前から気にはなっていたけれど手が伸びなかったDJ Shadowの"Endtroducing"とか10年遅れですけど聴いてます。これはよい。テクノとかトリップホップとかアンビエント系とか後回しにしてたネタをがんがん開拓。あとポストロックと呼ばれる系統。Mogwaiとか。Godspeed you black emperorとかもチャレンジ中。すげーなこれ、もはやプログレですな。昨日聴いてたのはAcid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O.。60分一曲とかでドサイケ。良い出会いでした。
そういえばlast.fmもちょっと試してましたけど、聞いた曲リストが理多とかmaricaとか佐倉紗織とかだったりするもんで、類推できないユーザー名で使ってます。というわけでまだこっちは活用できてません。


2007年02月01日

すべての 牛を 黒くする 夜

今日も今日とてスウェット姿で車で本屋に乗り付ける夜10時半。ジモティーまる出しってかんじで。
んで、新書かなんか立ち読みして目に入ってきたフレーズが、「すべての 牛を 黒くする 夜」。ヘーゲルがフィフテだかシェリングだかを評した言葉とかなんとか書いてあったけどうろ覚えで。
もうこのフレーズにしびれました。「すべての牛」と来てオッと思い、「黒くする」と書かれて何事と思い、直ちに「夜」が加わってもうこれ以上ない完成度で、なんつーかこのフレーズの醸し出すポエジーにやられてしまったのです。
意味はさっぱりよくわからないのだけれども、これが正しいフレーズなのか、原文ではどういう表現なのかとか知りたくなるのだけれど、ググったりwikipedia見るのとかをちょっと我慢して、ここはこのフレーズにひたることを楽しむことにします。


お勧めエントリ

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  • 総説 長期記憶の脳内メカニズム 20100909
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  • 駒場講義2012レジメ 意識と注意の脳内メカニズム(1) 注意 20121010 (2) 意識 20121011
  • 視覚、注意、言語で3*2の背側、腹側経路説 20140119
  • 脳科学辞典の項目書いた 「盲視」 20130407
  • 脳科学辞典の項目書いた 「気づき」 20130228
  • 脳科学辞典の項目書いた 「サリエンシー」 20121224
  • 脳科学辞典の項目書いた 「マイクロサッケード」 20121227
  • 盲視でおこる「なにかあるかんじ」 20110126
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  • 科学基礎論学会 秋の研究例会 ワークショップ「意識の神経科学と神経現象学」レジメ 20131102
  • ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会レジメ 20130628
  • Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する (1) 20100317 (2) 20100317
  • 半側空間無視と同名半盲とは区別できるか?(1) 20080220 (2) 半側空間無視の原因部位は? 20080221
  • MarrのVisionの最初と最後だけを読む 20071213

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