[月別過去ログ] 2006年12月
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■ Corrigendumとerratumって違うの?
Nature Neuroscience 9月号に出た"High-resolution imaging reveals highly selective nonface clusters in the fusiform face area" Kalanit Grill-Spector, Rory Sayres & David RessのCorrigendumが出ました。ていうかCorrigendumとerratumと別枠であるんですね。知らなかった。wikipediaで見ると両者同じ扱いだけど、Nature Neuroscienceでこの9月号の目次を見ると、Corrigendumとerratumの両方があります。区別がわかりません。どちらもタイポのレベルの訂正だし。
Corrigendum: Nature Neuroscience - 10, 133 (2007) "High-resolution imaging reveals highly selective nonface clusters in the fusiform face area" Kalanit Grill-Spector, Rory Sayres & David Ress
もとの話はhigh resolution fMRIでFFAを調べたらfaceに選択性のある領域に紛れてnon-faceにも強い選択性を持つ領域があった。これまでの解像度ではそれは平均化されて見逃していたのだ、という話でした。
しかし、かつて一緒に論文を出したこともあるNancy Kanwisherのところから"Does the fusiform face area contain subregions highly selective for nonfaces?"が出てきて、脳の外を使ったノイズのデータでも同様なnon-faceのselectivityが出せてしまうことが指摘され、Alex Martinは"Measuring selectivity in fMRI data"でnormalizationの仕方が悪いのでselectivityをoverestimateしていること、さらにより適正なnormalizationを使って自前のデータを解析したらselectivityがなくなったことを示しています。
というわけで、Kalanit Grill-Spectorはオリジナルのデータのfig.4とfig.8は正しくないことをこのcorrigendumで表明したというわけです。他の結果は変わらないらしいけど、この論文のmain result (non-faceへのselectivity)をsupportするのがこのfig.4なので、ほとんど結論を撤回したとしか思えません。生きのこったfig.6-7はnon-face selectiveパッチの存在をサポートするものではありません。
ま、詳しく読んでみないと本当のところはわからないですけど、って恫喝訴訟に備えたかのようなフレーズを付け加えてみたりして(<-お!時事ネタ!)。
2006年12月26日
■ 帰ってきちゃった。(後ろ手でそっとドアを閉めながら)
ってネタ元どこでしたかね。ま、元気です。
BMIシンポのまとめ作ろう、とか考えてたらなんか筆が進まなくて。かえって足かせになってよくなかったです。ここは華麗にスルーで(エー)。
班会議もばたばたしましたがなんとか無事終了。
村上春樹翻訳の"The Great Gatsby"が売られてたのでさっそく読んでみました。なんかこういうの久しぶり。よかったです。翻訳者後書きで、現代の物語となるように努めた、みたいなことが書いてあったけど、たしかに古くささを感じなかった。なんか「ジャズエイジ」とか「ニューヨーク」とかそういうイメージに引っかかって躊躇していたのだけれど、臭みなくおいしく頂けました。原文は Litfixにあるんで、こんどは原文で読んでみようかと。
■ Attentionと上丘との関係をchange blindness taskで。
The Journal of Neuroscience, November 1, 2006, 26(44):11347-11358 Enhanced Performance with Brain Stimulation: Attentional Shift or Visual Cue? James Cavanaugh, Bryan D. Alvarez, and Robert H. Wurtz
以前(20060227)ちょろっと言及したCavanaugh J, Wurtz RH (2004) Subcortical modulation of attention counters change blindness. J Neurosci 24:11236–11243の続編です。
JNS 2004の方はどういう話だったかというと、change blindnessを起こすようなタスクを作って、上丘からニューロンを記録してます。このタスクでは、3カ所でランダムドットが動いていて、空白の時間150msのあとにまたランダムドットが現れる。3カ所のランダムドットのどれかの向きが変わっていても、空白の時間があるとその変化に気づかない。これがchange blindnessだ、というわけです。ランダムドットの向きの変化が起こったときはそのターゲットにサッケードする。ランダムドットの向きの変化が起こらないときもあって、そのときはfixationを維持しなければならない。というわけでこれはdetection taskであって、変化ありとなしの二つの刺激条件があって、サッケードするかしないかの二つの行動があって、hit/miss/false alarm/correct rejectionの4つに分類して解析することになります。なるんですが、signal detection theory的なところにはほとんど立ち入らずに議論が進みます。
ともあれ、(書きかけで終わってるけどそのままアップ。)
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- / 投稿日: 2006年12月26日
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# ご隠居
ごぶさたです.投稿規定に説明が載っているようです.
以下引用.
CORRECTIONS
Errata: errors introduced by the journal during editing or production and for which the journal takes responsibility. Our policy is to correct such errors in cases where they distort the scientific meaning or the bibliographic record, or where they have significant potential to damage the reputation of the authors, the journal and/or third parties.
Corrigenda: errors introduced by authors, for which they take responsibility. Our policy is to allow authors to correct such errors in cases where they distort the scientific meaning or the bibliographic record, or where they have significant potential to damage the reputation of the journal or third parties.
Addenda: additional information from authors that, while not correcting a specific error, nevertheless alters the interpretation of a paper. Publication of addenda is at the discretion of the editor.
# pooneilあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
なるほど、"Editorial policies" http://www.nature.com/neuro/about/ed_policies/index.html#corrections
のところに表記を見つけました。Erratumはpublisherによるエラーで、Corrigendumはauthorによるエラー、ということですね。知らなかった。
さらに探してみたところ、"Nature journals' correction and retraction policy"
http://npg.nature.com/npg/servlet/Content?data=xml/05_corrections.xml&style=xml/05_corrections.xsl
でCorrigendumなのかRetractionなのかの判断基準を見つけました。
"Retractions are judged according to whether the main conclusion of the paper no longer holds or is seriously undermined as a result of subsequent information coming to light of which the authors were not aware at the time of publication."
これを見ると、main resultであるかどうかが争点となるべきところであるように思いました。