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2004年10月29日

無事

帰ってきたところです。
ご隠居(id:go-in-kyo)とはこれをよい機会にとあれこれ聞きまくり、教えてもらいまくり。本当にありがとうございます。
id:ryasudaさんの話を聞きに行ったら大盛況だったので、短い質問だけしてきて退散しました(赤い上着着てなんでRasを選んだのか、Ras以外の細胞内メッセンジャーにも応用できるのかを聞いてたのが私です)。
ガヤには一つ質問をしたのだけれど、他の人にも同じこと聞かれた、とのこと。残念。昼食だけ大学院時代の仲間といっしょに食べました。
何人かの方には日記読んでますと言っていただきました。どうもありがとうございます。
つづきはまた。疲れた。

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# ryasuda

やっぱり、あの赤い人がpooneilさんでしたか。ぱっと質問されて、風のように行ってしまったので、定かではなかったのですが。それ以降は会うことができませんでしたね。飲みにでもいけたらよかたのですが。

# Gould

学会お疲れさまでした。

# pooneil

ryasudaさん、こんにちは。大混雑だったのでささっと通り過ぎてしまいましたが、名前ぐらい名乗っておけばよかったですね。いつかお話をできる日が来るのを楽しみにしております。しかしSFNはポスターを見ている時間がぜんぜん足りなかったです。Slideきっちり見てたらposter見てる時間は1時間ぐらいしかないのですから。毎日午前午後どっかに見なければならないslideセッションはあるし、かといって見にいってがっかりしたりして。会場の固定化やslideセッションの重複なども併せて、SFNの巨大化でいろいろ弊害が起こっているという印象があります。全体的な質の低下を感じるのもそれの一環のようにも思えますし。Gouldさんもぜひ来年の神経科学会かSFNあたりでお会いできるとうれしいです。来年は私もなんとか演題を出せるところまで持っていくつもりです。

# go-in-kyo

来年はDCですね.お時間があったらこちらの田舎町にでもよって下さいな.

# pooneil

ぜひぜひお願いします。ところでピッツバーグまでってどのくらい時間かかるもんですか?USA大きすぎて距離感がないんですよね。

# go-in-kyo

DCから車で4-5時間,飛行機なら1時間たらず.めりけん的にはごく近所ですね.でも同じ時間かけるならNYやボストンに遊びに行くほうが充実しているかも(涙)...

# pooneil

いえいえ、なんにしろ、仕事を出して存在を認知してもらえるようになってから行けるようにしたいと思います。


2004年10月22日

SFN annual meeting

へ行ってきます。10月29日あたりまで休みます。


2004年10月21日

Nature 10/21

"Neural correlates of mental rehearsal in dorsal premotor cortex." PAUL CISEK AND JOHN F. KALASKA


2004年10月20日

Brian Wilson "SMiLE"

Brian Wilson "SMiLE" スマイル
買いました。カーステレオで流しながら買い物にでも行こうかと思って聴きだしたんだけど、思わず車を止めて駐車場で一周するところまで聴いたところ。すごいよかった。
お蔵入りになったSMILE、その抜け殻というかデモテイクとして発売された"smiley smile"、それ以降断片的にオリジナルアルバムに入れられたマテリアル(surf's upなど)、そして出回ったブートレグ、というあたりの経緯についてはググればいろいろ出てくると思います。
基本データとしては、昔の録音の題材を使ったのではなくて、新しく現在のバンドで録音したということ。だから、Brian Wilsonの声は昔ほどすばらしくないし、声が出ないところ(Surf's upの「カーラミネイテドルーインズドオーミーノー」)とかは他のメンバーのコーラスをくっつけることで処理してたりします。あまり今っぽい音が聴こえてこないようにアレンジと録音とに気を使っている様子が見られます。あくまで今のバンドが作ったものであって、あの伝説がよみがえる、というふうに考えて聴くべきものではありません(これが当時出てたら、Sgt. Pepper'sを越えたかどうかを議論する意味はないと思います)。
それで、1999年のBrian Wilsonのソロ「imagination」を聴いてまったくピンとこなかった私としては、ぜんぜんダメに聴こえてもおかしくないはずなのですが、すばらしかった。なんというかすごく輝かしい感じ。明るい、といっても能天気な明るさなわけはないのだけれど、"smiley smile"の密室感に慣れてしまった耳からはほとんど拍子抜けするくらい。グループとしてうまくいっているのだと思います。飛行機の中では英語のテープでも聞いてるつもりだったけど、もうこれに確定です。
と、興奮を書き付けておきます。


2004年10月19日


2004年10月18日

はてな世代表

pooneil2004-10-18
はてな「三百傑ダイアラー」(アンテナへの被登録数による)のうちで年齢を明らかにしている人の年代分布。
http://d.hatena.ne.jp/siken/20041014
via http://d.hatena.ne.jp/smoking186/20041014#rd_68
うーむ、あくまで年齢を明かしている人についての統計なので偏りはあるだろうけど、若い。
4/18でやったGAMでこの分布を累積確率密度にしたものをfittingすると図のような感じになります。年齢のlogをとるとちょうどgaussianの累積確率密度でfittingできる模様。
なんにしろ、中間値が27歳、最頻値が26歳、40歳以上が全体の4%で、35歳以上が全体の13%。ああ、学会やマスコミや出版で活躍している人々の多くが私より若い。ダメじゃん。なんとかしようっと。

娘との会話

絵本を見ながら。
娘:これはうさぎで、これはうさぎで、これは? 父:レイ。 娘:これは? 父:まこと。 娘:これは? 父:あみ。 娘:これは? 父:みなこ。 娘:これはうさぎで、これはうさぎで、これは? 父:レイ。 娘:これは? 父:まこと。 娘:これは? 父:あみ。 娘:これは? 父:みなこ。 娘:これはうさぎで、これはうさぎで、これは? 父:レイ。 娘:これは? 父:まこと。 娘:これは? 父:あみ。 娘:これは? 父:みなこ。
五周くらいして父が音を上げました。


2004年10月16日

Neuron 10/14

"Neural Correlates of Behavioral Preference for Culturally Familiar Drinks." 「コカコーラとペプシはほぼ同じ化学組成をしているのに、人々は決まってどちらか片方への強い嗜好を示す。」でもってこの二つを飲み比べているときのヒトの脳の活動をfMRIで調べて、(1)どちらがコーラでどちらがペプシかわからない条件と(2)どちらがコーラでどちらがペプシかわかる条件とで比較しました。すると、コーラの場合はコーラであることを知っているかどうかで活動部位が大きく違っていたのに対して、ペプシでは活動部位に差は見られませんでした、これが結果。つまり、ペプシよりもコーラのほうが広告戦略がうまくて嗜好や脳の活動にブランド力が影響を与えている、ということになります(著者の意図を汲めば)。
うーむ、すごい…天下のNeuron誌にこんなのが出てくるとは…というかコカコーラやペプシの会社はどう反応しているのでしょうか。

っつーか、これこそぜったいにイグ・ノーベル賞を意識していると見ましたがね。
追記:ご隠居のところの10/15に関連記事があります。なるほど、たんなるおバカ論文ではないんですな。マーケティングに脳機能イメージングを使うという倫理的問題と(ある人たちにとっては)ビジネスチャンスがあるわけですな。

コメントする (2)
# ご隠居

はるか昔にペプシコーラの後援を得てペプシチャレンジを文化祭でやったことを思い出しました.ちなみに,僕は,普段は味がややマイルドなペプシが好きですが,ストレスがたまったときはコカコーラを選ぶ傾向があります.僕からすると,コーラとペプシがわからない条件というのは,ちと考えられないですね...

# pooneil

おお!「ペプシチャレンジ」なんて言葉自体を忘れてましたよ。そちらの記事も読みました。なるほど面白い。追記しておきました。

Neuron 10/14つづき

  • Editorial "New Online Access Policy for Neuron." Neuron含むCell Pressの論文が一年以上経ったものはフリーでアクセスできるようになる、とのことです。すでに1995-2003年12月までについてはフリーになっているとのこと。(追記:間違いました。「2005年の1月から1995-2003年12月までについてはフリーになり、そこから毎月一年以上前のものが順次フリーになる」でした。)すごい。Cell Pressのような大きなところがこう出てきたということはPLoS Biologyのような存在と併せて、ムーブメントとなってきている感じ。
  • "The Neural Bases of Cognitive Conflict and Control in Moral Judgment." Jonathan D. Cohen

2004年10月15日

Science 10/15

Special Issue: Cognition and Behavior、ということで神経科学関連のレビューが並んでます。SFNではこの号がタダでガンガン配られることでしょう。

Nature 10/14

こちらもScienceと同様、SFNでの配布を意識した神経科学特集("Plasticity & neuronal computation")です。

ここからはオリジナルペーパー。


2004年10月14日

Neuron 10/14

"Activity in Posterior Parietal Cortex Is Correlated with the Relative Subjective Desirability of Action." Michael C. Dorris and Paul W. Glimcher
被験者vs.コンピューターでナッシュ均衡になるようなゲームをさせて、そのときのLIPのニューロン活動を調べたら、それは報酬の確率や大きさ、反応する確率などのパラメーターではなくて、その行動の主観的なdesirability(たぶんこいつが=expected utility)をコードしているのを見つけた、というものです。
例のGlimcherの論文(夏のワークショップ 「意志決定:心の物質基盤」でGlimcher3.pdfとしてin submissionだったやつ)がNeuronになって出てきました。Nature, Scienceは落っこちたようですね。2月にsubmitして、revisionが7月でacceptが9月ですか。かなり難航した様に見受けられます。Neuroeconomicsのコメンテイター(ゴメン、ウソ)としてはこれは採りあげるべきでしょう。なんにしろやってみます。お待ちを…科研費の申請をSFN前に出さなければならないので、たぶん遅れます。


2004年10月13日

オブジェクト指向プログラミング

がMATLABではどのくらいできるか。
MATLABのhelpdeskを見ると「クラスとオブジェクト」という章があって、なにやらできるらしい。勉強しなくては。

R ver.2.0.0をいじっていて、ふと調べてみようと思ったのです。Rguiは立ち上がりが激早になってますね。


2004年10月12日

ウェブログ・ハンドブック―ブログの作成と運営に関する実践的なアドバイス

ウェブログ・ハンドブック―ブログの作成と運営に関する実践的なアドバイス ウェブログ・ハンドブック―ブログの作成と運営に関する実践的なアドバイス
遅まきながら、これを読みました。なるほど、よいではないですか。強引にまとめれば、「自分を楽しませることを忘れずに、更新を継続してゆくことで、だんだんコミュニティを作れたらいいね」、というところでしょうか。まったく文句ありません。なんツーか、ぜんぜん商売っ気がないところに好感が持てます。なんか、力づけられました。
というわけで、私も自分の楽しみであることを忘れずに、そして焦らずにこつこつやっていくことにします。

PLoS biology

のフォーラムページ。
"Breaking Down the Stereotypes of Science by Recruiting Young Scientists ."
科学者、といえば白衣を着た髪ボサボサの老人(=マッドサイエンティスト)というステロタイプがあります。これを崩して、若い人たちにもっとリアルな科学者の姿を見てもらい、彼らをinvolveするにはどうしたらいいか、Thomas Jefferson University Science Outreach Programでの実践の報告。
Referenceで"An Emerging and Critical Problem of the Science and Engineering Labor Force."(The National Science Foundationの記事)へのリンクあり。
私自身は幸運なことに、実験というものにそんなに抵抗感を植え付けられずに済んできたという印象があります。小学校のときには区でやっていた科学プログラムに参加して寒天培地にカビを植えつけて培養した経験がありました(ベランダに置いておいたら、ノラ猫に食われてしまったのだけど)。中高では学校が実験に力を入れてくれていたこともあって、かなり手を動かす機会があったと思います。(高校の化学では、未知のイオン溶液をグループごとに与えられて、化学反応をもとにそれがなんであるかを当てさせる、という実習がありました。あれは大学の教養課程でやるようなレベルの実習ではなかったろうか。)それは恵まれていたことだったんだな。まあその一方で、世の中を金や物がどう回ることでこの世界が動いているのかについて充分リアルな形で学ぶ機会がなかったようにも思うのだけれど。


2004年10月10日

「マーフィーの法則」は実在する!?――科学者がその方程式を作成

10/7 「マーフィーの法則」は実在する!?――科学者がその方程式を作成
via こちら
なんだこりゃ。というわけで元ネタを探索して見つけました、British gasのプレスリリース。"British Gas : latest news : The formula that proves that 'Sod's Law' really does strike at the worst possible time."
つまり今回の話はこういうことらしい。あるマーフィーの法則的な状況(たとえば「急いでいるのにタクシーが来ない」)での5つの要因についてスコア化(0-9)します。どのくらい緊急か(U)、どこくらいややこしいか(C)、どのくらい重要なことか(I)、どのくらいそれに対処する技術を持っているか(S)、どのくらい頻繁に起こるか(F)。そうすると、
マーフィーの法則度の高さ = ((U+C+I)*(10-S))/20 x 0.7 x 1/(1-sin(F/10))
で、0-8.3の範囲の値をとり、高ければ高いほどマーフィーの法則っぽいと定量化できる、というわけです。(U,C,I,F=9でS=0のときに最大43.6の値をとりうるので、実際の事例では8.3という意味でしょう。F=9のマーフィーの法則なんていやだし。)
5つの要因についてどうスコア化するかは個人差があり、それによってある状況がどのくらいマーフィーの法則的であると受け止めるかの個人差を説明できる、こういう意味なら、そんなにおかしなことを言っているようにも見えません。原文では左辺は「マーフィーの法則の起こる確率」だけど、上のように理解したほうが本当でしょう。
具体例でやってみましょう。

  1. 「待っているのにタクシーが来ない」
  2. 「大事な会議の前なのにタクシーが来ない」
  3. 「大事な会議の前で遅刻寸前なのにタクシーが来ない」
1から2で重要性(I)が上がり、2から3で緊急性(U)が上がったにもかかわらず、3の頻度(F)が1や2よりそんなに下がったように見えない、こういうときに3は1よりもよりマーフィーの法則的状況であるといえるわけですよね。
ようするに頻度(F)が最も重要な要因だと思うのです。つまり、U+C+Iが大きくなってもFが小さくなったように感じないという認知バイアスこそがマーフィーの法則なわけで、そういう形で定量化できるのではないかと。そういえば、以前のプロスペクト理論のところで、「小さい確率で起こる事象を過大評価する」というのがありました。
せっかくなのでいくつかリンク:
ところで、なんでこんなことをBritish gasがわざわざ研究者に依頼してやってるんだろ。「急に寒くなったときにかぎって風呂のボイラーが故障する」を検証したかったんでしょうか。その公式になぜかsinとか入ってるところにジョークであるというサインを感じ取るわけですが、イグ・ノーベル賞を狙っているのでしょうか。


2004年10月09日

Brian Wilson "SMiLE"

Brian Wilson "SMiLE" スマイル
に対する熱烈なコメント:"はてなダイアリー - 書店員の音楽帖♪ 10/7"
うーむ、聴いてみたい。やはり日本盤出たら買うべきか。
ちなみに私は"Pet sounds"と"Smiley Smile"は購入したけどsmileセッションのブートレグとかを購入するほどではない、という感じです。Smileに関してはほぼ初心者である私にはどう聴こえるでしょうか。


2004年10月08日

JNS 10/6

"America - History: Greatest Hits"

"America - History: Greatest Hits" History: America's Greatest Hits
でひさびさに"Ventura Highway"を聴く。やはりすばらしい。むちゃくちゃシンプルな構成。平歌がGmaj7/Dmaj7でサビがEm7/F#m7。これでおしまい。超いさぎよい。
ブリッジもなくてサビも繰り返さない。ABABでおしまい。アウトロもあっという間にフェードアウト。それがなんかいい感じ。(急に思い出したけど、スピッツがやっと売れた「ロビンソン」もブリッジなしの曲だった。最後はサビを繰り返すけど。)
そういうわけでギターで弾き語りしてみるとどうにもメリハリがつかないんです。コーラスなどの構成で曲として成り立っていることがわかります。
なんかそういう素っ気なさがある曲に最近惹かれている気がします。Brian WilsonのSurf's Upも前半後半のくっつけ方とか全体的な佇まいは「素っ気ない」という表現ができると思う*1。わびさび、って感じ。


*1:というわけで話題のSMiLEでどうなってるか興味あるのですが。


2004年10月07日

Episodic-like memory

ご隠居のところに関連記事あり。おお、ちょうど偶然、大学院講義のネタ調整を兼ねて、セミナーで"Episodic memory in human and Episodic-like memory in animal"というテーマを扱ったところです。採りあげた論文は以下の通りです。

Humanのimagingとしては
を準備していったのだけれど、時間が足らずスキップ。
基本的な筋は、二つのanimalでのstudy(ClaytonのアメリカカケスとEichenbaumのラット)を主軸に、そこへ至る道を描く、という感じです。
そのうち解説を編集して掲載します。(Claytonに何度も言及している割りにはいまだにそのタスクについてここで説明したことないし。)

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# ご隠居

いやあ,第一線の研究者による臨場感あふれたすばらしい講義になりそうですね.院生にはちともったいない!?日本にいるならぜひもぐりに行きたいところです.それともWeb中継?

# pooneil

いやいや、以前やったClayton論文のJCの再利用です(昔のpowerpointみたら2002年4月18日になってたけどこのときもうご隠居は在籍してませんでしたっけか)。内容は徐々にこの場に掲載してゆくつもりですので、(とくに)神経心理学的側面に関するご隠居のツッコミを期待します。じっさい、WMS(のsubset)のrecallができなくてWAIS-Rの語彙テストとかができる、とはいったいどんな感じ(feel like)なんでしょうね。

# ご隠居

あ,失礼しました.昔のファイル探します...いや,冷静になって考えてみたら,すでに引退後です.歳歳年年人不同...

# ご隠居

そうでした,WMSの想起ができなくて,WAIS-Rは大丈夫,というのは,成人の側頭葉内側面障害では時々見られることだと思います.ヘルペス脳炎後遺症(結構多い)や,HMさんのような症例が相当しますね.それは,ただ単に語彙は記憶障害の発症前に獲得されたということを示すだけで,あまり不思議じゃないですが,(ご本人はもちろん大変なご苦労をされておられるとは思うのですが,ノートを取ればある程度記憶障害がカバーできるので,職場復帰をされた方も多々いるという話を聞きます).ただ,重度の記銘力障害がある状況で,新たな意味記憶を獲得できるかどうかは,一般的には難しい問題ですよね.急性期の症例報告はあるのですが,それは急性期だからそんなこともあるのでは,っていういかにも臨床家らしいごまかしでやりすごすとしても,developmental amnesiaはどういうことなんでしょう.やはり子供の脳はさらに難しいですね.

# ご隠居

あ,ついでなので.Wernicke-Korsakoff症候群(主なものはVitB1欠乏症による間脳・乳頭体の障害)でも臨床像はちと違うのですが同様な状況が起こりえますね.カップラーメンと飲みで生活しているような学生さんで発症してしまうのをたま見ます.栄養のバランスにはきおつけませう.

# pooneil

さっそくありがとうございます。JCは引退直後でしたね。そういうわけで、Vargha-Khadem et.al.(=MishkinのScience ’97)でのdevelopmental amnesiaで、発症後に語彙などの意味記憶を獲得している点はやっぱり不思議なことですよね。Korsakoff症候群か、むずかしい。Hippocampus-fornix-mamillary bodyの系とかってanimal modelではGaffanとかしかやってないのではないでしょうか。どうやって組み込んで理解すればよいんだろう。海馬=episodic and recollection、rhinal cortex=semantic and familiarity、という単純なストーリーに落とし込んでおいてから、本当はそんなに簡単じゃないとフォローする、ということを考えていますが、それにしても複雑すぎますな。

# pooneil

あ、もちろんfrontalの寄与は当然ではありますが。というかimagingでふつうにRK judgmentやっても海馬やrhinal cortexのactivationが出てこないので、いろいろやってなんとか出したのが上記のNeuropsychologia ’04である、と理解しております。


2004年10月06日

蒲郡ファンタジー館

週末に蒲郡ファンタジー館に行ってきました。貝殻を使って作ったものがいろいろあるという情報と、「ファンタジー館」という名前とから正直しょぼいものだろう、と予想して敬遠しておりました。実際、近くにある竹島水族館は小さくてあっという間に周りおわってしまうものですし(その割には我が子たちは喜ぶんだよね、そういうの)。
雨が降っててほかに行くところがない、ということで期待せずに行ってみたら、なんか古ぼけた建物が見えてきたんで、こりゃもうさっさと周って出るしかない、と思ったんですが、意外や意外、楽しめてしまいました。
入り口からしてけっこう迫力。中に入ると膨大な量の貝殻をびっしり敷き詰めて作られた龍とか女体像とか竜宮城とか通路を作るいろんな装飾とか(海底を模している)に圧倒されます。こんなに徹底的にやっているとは予想しなかったんでおどろき。最初のうちはこんなものまで貝で作っている、と夫婦でバカ受けですが、そのうちにたんなるファンシーな趣味でできたものでないことに気付き、そのうちにそれにかけられた労力のでかさに思い至ってほとんど感動してきます。そんなに大きいところではないと思うんだけれど、周るのに30分くらいはかかったでしょうか、いやそれ以上あってもおなかいっぱいだけど。菊人形の館とかに近いものはありますが、大小いろんな種類の貝を使うことでかなり緻密なことができるわけです。砂絵とかに近いとも言えるでしょうか。
愛する妻は、日本国内いろいろ旅してきたけれどこんな建物はほかにないのでもっと広く知ってもらうべきでないかと主張していました。とはいえ、あんまり期待しないで行くんだからよいものであるんだと思うんですがね。
こちらにサイトあり。三河えびせんべいの館併設(というかこちらが母体か)。近場の方で敬遠していた人は話のタネに行く価値ありますよ。


2004年10月05日

Richard Axel

がノーベル生理学医学賞。
nobelprize.orgのプレスリリース
PubMedだとこんな感じ。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=PureSearch&db=pubmed&details_term=axel%20r%5Bau%5D
レビューを除くと、この10年間Cell,Nature,Science,Neuron,PNASにしか書いていない。恐るべし。追記:Nature Neuroscienceがないことに気付く。NeuronとNature Neuroscienceの選択だったら迷わずNeuron、ということなんだろうなあ。Cell pressだし。
ところで研究内容についてまったく触れてない私。


2004年10月04日


2004年10月02日

Expected valueとexpected utility

つづき。
(3) 200年後の1944年になってフォンノイマンとモルゲンシュテルンがこれを数学的に厳密な形であつかいます。つまり、5つのaxiom(completeness, transitivity, continuity, monotonicity, substitution)が満たされるかぎりにおいて、


expected utility = sum(utility of outcome(i) * probability of outcome(i) )

となるようなexpected utility functionが存在して、これを比較してどちらの選択のほうがpreferredであるかを決めることができる、というものです。逆にいえば、utility functionの計算と比較というのは5つのaxiomがvalidでないときには意味がない(かも知れない)ということです。このような定式化によって、実際の人間行動がこのaxiomを満たしていない例をあげることができるようになったわけです。
(4) この定式化はさらにSavage(1954)による"subjective expected utility"において、さらにaxiomが付け加えられ、式は実際の確率ではなくてsubjectiveな確率によって置き換えられます。

expected utility = sum(utility of outcome(i) * subjective probability of outcome(i) )

(5) フォンノイマン-モルゲンシュテルン-Savegeのaxiomが成立しない例としてAllaisのパラドックス(1953)というのがあります。それはこうです:

[A] 100万円必ずもらえる
[B] 10%の確率で500万円もらえる、89%の確率で100万円もらえる、1%の確率で0円になる
から選択するとしたらどうします? [B]はほとんどの場合は[A]と同じで、残りのうちの1/11で0円になることがある、と考えるとわざわざ危ない橋を渡るより[A]で確実にいったほうがよさそうではないですか? 期待値は[A]が100万円、[B]が139万円ですからexpected valueではなくてexpected utilityに基づいて選択しているわけです。これ自体は前述のrisk aversionの現象ですが。一方で、
[C] 11%の確率で100万円もらえる、89%の確率で0円になる
[D] 10%の確率で500万円もらえる、90%の確率で0円になる
だとしたら迷わず[D]を選ぶでしょう。期待値は[C]が11万円、[D]が50万円です
ところで[A]のexpected utilityが[B]のexpected utilityより高いことを[A]>[B]と書くとすると、axiomの五番目(substitution)を使って式変形すると[C]>[D]となって[C]を選ぶほうがexpected utility的には高いことになってしまいます。これはおかしい。

これがパラドックスです。ようするに、五番目のaxiom(substitution)が成立しないことがあることを示しているのです。だから定式化することが重要なのですな。
(6) KahnemanとTverskyのプロスペクト理論はフォンノイマン-モルゲンシュテルンの定式化とは別の方向からのアプローチです。彼らのバックグラウンドは心理学であり、不確実性がある状況で実際に人間がどのような選好を行うかの実験データを蓄積しました。そのような実験結果に基づいた実際の人間の行動のバイアスをとりこんだmodificationを加えて、予測可能性を上げたexpected utilityの定式化をした、というのが彼らのプロスペクト理論の核でして、Kahnemanがノーベル経済学賞を授与された理由でもあります。

expected utility = sum( (utility of outcome(i) - reference point) * decision weight function)

前述のrisk aversionにもあったように損のutilityの大きさ=得のutilityの大きさ*(-1)ではないわけで、valueからutilityへの変換の関数は正(得)と負(損)とでslopeが変えてあります。また、実験結果から、人間はutilityの大きさそのもので判断しているのではなくて、あるreference point(たとえば1万円の持つutility)からどのくらいずれているかで有効なutilityの大きさを評価していることがわかっており、これも取り込まれています。また、主観的確率に関しても実験結果から、われわれは確率の低い事象を過大評価し、確率の大きい事象を過小評価するというバイアスがあり、これによって確率の代わりに"decision weight function"という形で重み付けが行われます。そしてこのような定式化が実際の人間の行動を予言するのに大いに成功したというわけです。
つまり、フォンノイマン-モルゲンシュテルンの定式化はaxiomatic:公理的であるのに対して、KahnemanとTverskyの定式化はdescriptiveなものなわけで、定式化の動機が違うわけです(理想状態の定式化と実際の行動の予測)。じっさい、KahnemanとTverskyも両方のアプローチが必要であるとしています。
参考にしたサイト:


2004年10月01日

Expected valueとexpected utility

> なんにしろ、expected valueとexpected utilityの違いについてもうちょっと整理してみる必要があります。パスカルからベルヌイ。[ミクロ経済学での限界効用]と[フォンノイマンとモルゲンシュテルンのutility theory]と[カーネマンのprospect理論]との関係。
んで、調べてみたら余計にこんがらがってきたりして。
そもそも[ミクロ経済学での限界効用]の話のような、あるミカン3個+リンゴ5個の効用はミカン10個+リンゴ1個とindifferentである、というような関係は不確定性のない状況でのdecisionです。なので、今回のWolpertの話にしてもミクロ経済学の教科書的な知識の範疇で済んでしまう話だったようです。
一方で、私の興味を引いていたのは不確定性のある状況でのdecisionの話でした。こちらを順を追って書いていきましょう。
不確定性がある、とはつまり確率の要素が入ってくるということです。以下のことは私なんかがまとめるよりはもっとましなものがあることでしょう。ツッコミ歓迎。
(1) まず、パスカルが最初にexpected valueという概念を使用しました。Valueという言葉が入ると「価値」という重みを持った言葉な感じがしますが、何のことはない、「期待値」ですよね。神様がいるかどうかの賭けに関してはググってもらうとして、つまり、


条件1: 確率1/2で100万円、確率1/2で200万円もらえる、
条件2:確率1/4で100万円、確率3/4で200万円もらえる、

で条件2を選ぶのは条件1の期待値150万円よりも条件2の期待値175万円のほうが大きいからです。でこういう計算

expected value = sum(value of outcome(i) * probability of outcome(i) )

を最初にしたのがパスカルだったと。
(2) しかし、ベルヌイがサンクトペテルブルグのパラドクス、というやつを提出します。これもググってもらうとして、要は、ある有限のお金を賭けると期待値としては無限大のお金が得られるような賭けの例を提出するのです。このような賭けにはたとえ出さなければならないお金が100万円だとしても得られる期待値は無限大のはずだからみんなやるはずなのに誰もやらない、なぜか。それはお金の価値(value!)が二倍になったら二倍得だったかというとそういうわけではなくて金額が大きくなるごとにお得度は目減りしてゆくから、という説明でこのパラドックスを解消します*1。つまり、このような計算をするときには得られるお金の値(value)ではなくて、効用(utility)を考えなければいけない、というわけです。このような効用uと金額xとの関係はu=log(x)のような単調増加でだんだんslopeがぬるくなってくるカーブでモデル化することができて、このことがわれわれが多くの場合にrisk averse(後述)であることの原因でもあります。しかし基本的な式は同じで、valueの代わりにutilityに置き換わっただけです。

expected utility = sum(utility of outcome(i) * probability of outcome(i) )

Risk aversionについて。もし1000円出したら1/2の確率で0円に、1/2の確率で2000円になるとしたら賭けてみます? このぐらいならやる人はいるかもしれない。でも、もし500万円出したら1/2の確率で0円に、1/2の確率で1000万円になるとしたら賭ける人は減りますよね。これがrisk aversionです。それは500万円損すること=500万円得すること*(-1)ではないからですよね。一方で1000円損すること=1000円得すること*(-1)に近かったりします。これはutility u=log(x)のような形をしていることによって説明できるわけですが、またプロスペクト理論のところで出てきます。
つづきます。
(3) フォンノイマンとモルゲンシュテルン
(4) Savage(1954)による"subjective expected utility"
(5) Allaisのパラドックス(1953)
(6) KahnemanとTverskyのプロスペクト理論


*1:しかしパスカルの神の賭けといい、サンクトペテルブルグのパラドクスといい、無限大の概念が入ってくるのが非常に気持ち悪いんだけれど。


お勧めエントリ

  • 細胞外電極はなにを見ているか(1) 20080727 (2) リニューアル版 20081107
  • 総説 長期記憶の脳内メカニズム 20100909
  • 駒場講義2013 「意識の科学的研究 - 盲視を起点に」20130626
  • 駒場講義2012レジメ 意識と注意の脳内メカニズム(1) 注意 20121010 (2) 意識 20121011
  • 視覚、注意、言語で3*2の背側、腹側経路説 20140119
  • 脳科学辞典の項目書いた 「盲視」 20130407
  • 脳科学辞典の項目書いた 「気づき」 20130228
  • 脳科学辞典の項目書いた 「サリエンシー」 20121224
  • 脳科学辞典の項目書いた 「マイクロサッケード」 20121227
  • 盲視でおこる「なにかあるかんじ」 20110126
  • DKL色空間についてまとめ 20090113
  • 科学基礎論学会 秋の研究例会 ワークショップ「意識の神経科学と神経現象学」レジメ 20131102
  • ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会レジメ 20130628
  • Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する (1) 20100317 (2) 20100317
  • 半側空間無視と同名半盲とは区別できるか?(1) 20080220 (2) 半側空間無視の原因部位は? 20080221
  • MarrのVisionの最初と最後だけを読む 20071213

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