[月別過去ログ] 2005年07月

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2005年07月30日

神経科学学会大会

無事終わって帰ってきました。けっきょく台風は逸れて、たいした問題なく横浜に到着。その日はneuro socialには参加せずにホテルにカンヅメで原稿とスライド準備をギリギリまで。ホテルにカンヅメ、って集中できてよいですね。けっこう気に入りました。
発表の方は、準備不足がたたって原稿を暗記するところまでたどり着けず、時間もオーバーして、かなり不本意な出来。質問は想定範囲内のものでした。質問にかこつけて説明してしまうつもりで用意したスライドは不発に。ぎりぎりまでupdateしていたスライドはけっきょくのところ、とばしておいた方が時間的にはよかったし、正直言って準備にかける労力のバランスがまずかった感じ。まあ、SFNのときまでにさらに完成度を上げていこうと思います。
夜はガヤとガヤ友とガヤ友の友と飲む。バカ話だったけどそれもまたよし、ということで、世知辛くない楽しい酒でした。
今回印象深かったのは、こないだの木村研のCM核論文近辺などのstriatum電気生理のポスターが大盛況だったことです。うちにも書き込みしてくださっている某氏がparietalの時代は終わったか(正確な表現は忘れた)みたいにぼやいてたんで、なにいじけてるんすか、とツッこんでおきました。
あちこちのオーラルで質問してまわって、時間切れ。
というわけで今回は実質1日ちょっとの学会参加でした。

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# mmmm

「準備不足」のトーク、聞かせて頂きました(笑)。それはともかく、、、
今回、あまり多くを回ることはできませんでしたが、ポスターでは、嶋さんと丹治さんの「pre-SMAにおける行動回数のバイナリー表現」に純粋に驚かされました。もしかしたら細胞活動だけでNatureかScienceに載るのでは?と思いました。
もう一つは、鮫島さんの「Striatumにおける行動価値表現」ですかね。「Sutton & BartoのActor-Criticじゃなくて、Q-learningだ」という銅谷さんの仮説を見事に生理学的に証明したという内容。インパクト大でした。

# pooneil

神経科学学会ではゆっくり話ができませんでしたね。
丹治先生が直々に説明していたポスターは面白かったですけど、なんであんなことが起こるのが不思議ではありませんでしたか? 澤村さんのNatureでのparietalでの数ニューロンとか、藤井さんのScienceでの始まりと終わりをコードするニューロンとかはtask demandと関わっているように思いますけど、今回の、奇数回だけ、とか偶数回だけ活動するニューロン、っていったい何に使われているのかよくわかりませんよね。というわけでtask demandによってニューロンの応答特性が変えることができるのではないでしょうか、と私はコメントしました。このへんのニューロン全体での統一的なストーリーをもう少し知りたいと思ってます。
鮫島さんの話に関してはこれまでうちで書いてきたことと密接に関わりますので、あたらめて独立したエントリで書きました。


2005年07月29日

Current Biology

7/7 "Patchy Organization and Asymmetric Distribution of the Neural Correlates of Face Processing in Monkey Inferotemporal Cortex" 美しすぎる。こういうの大好き。
7/7 "Meditation alters perceptual rivalry in Tibetan Buddhist monks" J.D. Pettigrew。チベット仏教僧はbinocular rivalryの移り変わりをコントロールできる。のだが、できない人もいるところが面白いところ。
6/21 "Perception of the Consequences of Self-Action Is Temporally Tuned and Event Driven" Daniel M. Wolpert and J. Randall Flanagan。これも「自分でくすぐり」関係。というかWeiskrantzが"Preliminary observations on tickling oneself." Nature. 1971なんてものを出していることをはじめて知った。


2005年07月28日

socialなdecision making

Michael L. Plattが去年のSFNで出していた、メスの画像とジュースとの間でどっちを選ぶかdecision makingさせるというオモシロ論文がいつのまにかCurrent Biology '05に出ていました。
"Monkeys Pay Per View: Adaptive Valuation of Social Images by Rhesus Macaques"
あれ……たしかSFNではニューロンの反応も取っていなかったっけか。
さらに関連する前報として、Current Biology '03 "Reflexive Social Attention in Monkeys and Humans"もメモっておきましょう。
なお、Michael L. PlattはGlimcherといっしょにNature '99をだして、いまはDuke University Department of Neurobiologyでassistant professorをやってます。
Dukeのサイトの右下にryasudaさんがいますね。というかryasudaさんの日記から飛んできたついででこのエントリができたのでした。


2005年07月26日

神経科学学会大会

今日26日に横浜へ出発します。新幹線と台風、どちらが速いか。はたして会場までたどりつけるでしょうか。


2005年07月25日

論文いろいろ

Science 7/22
あーあ、というわけでついにepisodic-like memoryからlikeが取れてしまいました。
"Independent Codes for Spatial and Episodic Memory in Hippocampal Neuronal Ensembles" Edvard I. MoserとBruce L. McNaughton。
JNS 7/20
発達段階のmouseの上丘でimagingというやつがback-to-backで。
"Altered Map of Visual Space in the Superior Colliculus of Mice Lacking Early Retinal Waves"
"Evidence for an Instructive Role of Retinal Activity in Retinotopic Map Refinement in the Superior Colliculus of the Mouse"
Neuron 7/21
"The Coordinated Mapping of Visual Space and Response Features in Visual Cortex" Mriganka Sur。Previewが"Cortical Maps: Where Theory Meets Experiments" Aniruddha Das
"Do Motoneurons Encode the Noncommutativity of Ocular Rotations?" Dora E. Angelaki。もっぱらJNPとEBRだったのですが、最近ブレークしてどんどん出てきてますな。去年会いましたけど、強烈な人でした。今回の話は眼球運動のnoncommutativity(非可換性)について。3次元の回転運動では、x軸方向に90deg回してからy軸方向に90deg回すのと、y軸方向に90deg回してからx軸方向に90deg回すのとは等価ではない。よって、眼球運動で眼球を回転するときにどのようにして目的の位置までの回転方向を決定し、三方向の筋肉の運動指令を出すか、ということが問題になる、という話(というかpreview読んで推定)。Previewが"Noncommutativity of Eye Rotations and the Half-Angle Rule" Julio C. Martinez-Trujillo。
"Formal Learning Theory Dissociates Brain Regions with Different Temporal Integration" Jan Gläscher and Christian Büchel。強化学習関連でhuman MRI。重要そうだけどいまの私の手には負えなさそう。
"Prefrontal Cortex Activity Related to Abstract Response Strategies" Steven P. Wise。またややこしげなタスクが出てきましたよ。とりあえずメモということで。


2005年07月23日

自分で自分をくすぐる話

いととんぼさんのコメントに関連してSarah-Jayne Blakemoreの仕事をメモしておきます。

Nature neuroscience '98 "Central cancellation of self-produced tickle sensation"

自分で自分をくすぐるとくすぐったくないのは自分でくすぐる動作の指令を出したときにそれがfeedforward的シグナルを作って体性感覚野の活動をキャンセルするからだ、という仮説の元でhuman fMRIをやってみたら、くすぐりをキャンセルできたときには小脳が活動しているのがわかった、というもの。実際には自分でくすぐる条件の中で、くすぐりの指令からくすぐりマシーンの実際の動作までの間に時間的遅延が起こるようにすることで、くすぐったい状況とくすぐったくない状況を作って比較する、ということをやっています。

というわけで、こういう自分の動作をモニターするときの回路にはおそらく小脳を介したものと頭頂葉とを介したものとがあるわけだけど、Experimental Brain Research '03にてBlakemoreはAngela Siriguとともにレビューを書いてます:

"Action prediction in the cerebellum and in the parietal lobe" あくまで「自分の動作をモニターするときの回路にはおそらく小脳を介したものと頭頂葉とを介したものとがある」ということの問題提起であって、明確な機能的違いについてはspeculativeなものとあると断ったうえで、こんなふうに書いてます:

These studies suggest that the cerebellum makes rapid predictions about the sensory consequences of self-generated movement at a very low level of movement execution, presumably without awareness. In contrast, the parietal cortex predictive functions have been addressed using tasks tapping the most cognitive aspects of movement. It is possible that the prediction made by the cerebellum is unavailable to awareness, whereas the prediction made by the parietal lobe is concerned more with highlevel prediction such as strategic planning actions. Perhaps the predictions made by the parietal cortex can be made available to conscious awareness.

小脳の方は意識が関与しない予測で、頭頂葉の方は意識が関与する動作予測である、というわけです。

さらにConsciousness and Cognition '03 "Deluding the motor system"では、より明確にというかより大胆にというか、小脳は"predicting the sensory consequences of movement"に関わっていて、頭頂葉の方は「自他の区別」を含むような‘self-monitoring’ mechanismに関わっている、としています。

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# いととんぼ

Nature Neuroscienceに論文が出ていることは知っていましたが、あとの2つは知りませんでした。情報をありがとうございます。話変わりますが、子供と花火をしたり、くすぐりあったりする合間に研究する(もしくは逆でもいいけど)というのは、人生の中で至福の時期のひとつと思います。充分にご堪能ください。


2005年07月22日

Science Anosognosia(疾病否認)論文

7/20のエントリからの続きです。ラマチャンドランの「脳のなかの幽霊」から抜き書き。

脳卒中で入院しているドッズ夫人は自分が入院していることなどの状況に関してはよくわかっているのに、自分が左手を動かせないことをけっして認めようとしない、というところの記述です。

「手はどうですか? のばしてみてください。うごかせますか?」
ドッズ夫人は私の質問にややむっとしているようだった。「もちろん動きますよ」
「右手を使えますか?」
「ええ」
「左手はどうですか?」
「ええ、左手も使えます」
「両手とも同じくらいしっかりしていますか?」
「ええ、両手とも同じようにしっかりしてます」
p.175
さらに、ラマチャンドランはドッズ夫人が言っていることと視覚情報とが矛盾していることを指摘したらどう対処するかを調べます。(前にも書きましたように、疾病否認は半側空間無視を伴うことが多いので、ふだんは患者さんはその視覚情報自体を無視しています。そこで医師が無視している視覚情報に注意を向けるように患者さんを誘導したら何が起こるか、というわけです。)
「ドッズさん、右手で私の鼻をさわれますか?」
彼女は何の支障もなくそうした。
「左手で私の鼻をさわれますか?」
彼女の手は麻痺したままからだの前におかれていた。
「ええ、もちろんさわっていますよ」
「実際にさわっているのが自分で見えますか?」
「ええ見えます。先生の顔から1インチと離れていません」p.176
ドッズ夫人は視覚情報よりも、自分の左手は動くという信念を重視し、その矛盾を作話によって対処しています。
私はもう一つだけ聞いてみることにした。「ドッズさん、手をたたけますか?」
彼女はあきらめたように辛抱強く答えた。「もちろんたたけます」
「たたいてもらえますか?」
ドッズ夫人は私の顔をちらっと見て、右手で手をたたく動作をした。体のまんなかあたりで想像の手とたたきあっているようなしぐさだった。
「いま手をたたいていますか?」
「ええ、たたいています」p.176

このシーンからこの章の題名「片手が鳴る音」が付けられています。 白隠の公案の「隻手の音声」ですな。

この記述のほかにも、「今日は肩が痛いので左手を動かせない」という言い方で対処する例、麻痺している左手を自分の手と認めず、死体の腕がベッドの中に入っていると主張する患者さんの例などの記述があります。

この症例で重要なのは、視覚情報を凌駕するほどに、自分の腕は指令通りちゃんと動いている、という信念が強いということです。そしておそらくそれは、麻痺した腕に運動指令を出したにも関わらず、それが正しく実行されたというふうに内部でモニターしている機構が感受したことに基づいているのでしょう。視覚って他のモダリティよりもものすごい強烈なものだと一般的には考えられているわけですが、それがひっくり返るところに驚きがあります。(「百聞は一見にしかず」もいったん見てしまったものの信憑性の強さを強調しているわけです。もっとも、このばあいの視覚と聴覚が示している情報はそもそも直接性が違うのでmisleadingですが。)

そういうわけで、身体図式の問題としても、out-of-body experienceとか、もっと身近な例でいえば、金縛りとかで起こっていることとつきあわせて考える必要があるでしょう。金縛りを同じモデルで考えてみましょう。[運動の目標]と[実際の運動をsensory feedbackとしてモニターしたもの]との誤差を修正するようなループと、[運動の目標]と[運動指令から実際に実現したであろう運動を内部モデルによってfeedforward的に作ってやったもの]との誤差を修正するようなループとがあるというわけです。金縛りでは運動目標を立てて、運動指令は出ていて、しかし実際の筋肉の収縮は起こっていなくて、動いていないというsensory feedbackは戻ってきているのだけれども、内部モデルでモニターしているところでは動いたように感受している、という感じではないでしょうか。二つのループの間での矛盾が私たちをあわてさせるというわけです。なんつーか金縛りの時の空振り感ってのは、内部モデルとしては動いている感じがあるからではないですか、たぶん。このへん微妙ですな。というかそもそも金縛りって英語ではなんと言うんでしょうか。

というあたりで中途半端にこの項ネタ切れ終了。

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# いととんぼ

関連の話題に、他人がわき腹とかを急にさわってくるとくすぐったいのに、自分でくすぐっても、ちっともくすぐったくないという現象がありますね。あれも、自分でくすぐるときには、運動司令とその帰結の内部モデルと、さわれたという感覚情報のすりあわせができるのに対して、人からくすぐられたときには前者がないことが関係しているという主張があります。20日に引用されている論文のBlakemoreさん(かのColin Blakemoreのお嬢さんだそうです。1、2年前、淡路島でのシンポジウムにこられていました)がそのような研究をされていました。しかし、小さいころは、なんであんなにくすぐったかったのか。最近は、くすぐってくれる人もいないなあ、ナンテ。

# pooneil

自分で自分をくすぐる話はSarah-Jayne BlakemoreのNature neuroscience '98 "Central cancellation of self-produced tickle sensation" http://www.nature.com/neuro/journal/v1/n7/abs/nn1198_635.htmlですね。このへん追記しておきました。Sarah BlakemoreはColin Blakemoreの娘さんなんですか。Colin Blakemoreのほうは現在は社会に向けての活動の方が忙しそうですね。なお、我が家はまだ子どもが小さいので毎朝子どもたちとくすぐりあいっこしてます。


2005年07月21日

子供と花火

神経科学学会の予行が明日あるというところで子供にせがまれて花火をすることに。下の子が自分で花火を持てるようになるとか、上の子が線香花火を維持するのがなかなかうまいとか、いろいろ味わい深いこともあったのだけれど、あっという間に1時間たってしまった。その後あわてて研究室に行ってパワーポイント作り。終わらない。はたして間に合うのでしょうか。ということでまた明日。

2005年07月20日

Science Anosognosia(疾病否認)論文

Science Anosognosia(疾病否認)論文
"Shared Cortical Anatomy for Motor Awareness and Motor Control"
昨日のつづき。
著者の結論は疾病否認のモデルとして提出されているいくつかの論文とつきあわせて考える価値があるでしょう。とくに重要なのは、内部モデル(forward model)によるefference copyのような、sensory feedbackそのものよりも速い機構を想定しているものです。
Heilman KM, Barrett AM, Adair JCのPhilos Trans R Soc Lond B Biol Sci. '98 "Possible mechanisms of anosognosia: a defect in self-awareness"
Frith, Blakemore and WolpertのPhilos Trans R Soc Lond B Biol Sci. '00 "Abnormalities in the awareness and control of action"
Cortex '05 "Anosognosia and body representations forty years later" (pdf file)
Mind & Language '05 "Anosognosia and the Two-factor Theory of Delusions"(pdf file)
あ、いま気づいたけど、"Cortex" ("Cerebral Cortex"ぢゃなくて)ってpdfみれますね。PubMedでリンクがつかないので無理かと思って論文読まずにきたのですが、これからはどんどん読めそう。Cortex誌にはほかにも疾病否認に関する重要そうな論文として
"ANOSOGNOSIA FOR PLEGIA: SPECIFICITY, EXTENSION, PARTIALITY AND DISUNITY OF BODILY UNAWARENESS" Anthony J. Marcel, Richard Tegnér and Ian Nimmo-Smith
"ANOSOGNOSIA: THE NEUROLOGY OF BELIEFS AND UNCERTAINTIES" Patrik Vuilleumier
"THE ANATOMY OF ANOSOGNOSIA FOR HEMIPLEGIA: A META-ANALYSIS" Lorenzo Pia, Marco Neppi-Modona, Raffaella Ricci and Anna Berti
があります。
また、Ramachandranが「脳のなかの幽霊」で書いていることは非常に興味深いので、原著に当たる価値があるかもしれません:
Conscious Cogn. '95 "Anosognosia in parietal lobe syndrome"
Nature '96 "Denial of disabilities in anosognosia"
また、疾病否認はbody schemaについて考えるにあたっても重要な事例であり、幻肢とともにメルロ=ポンティの「知覚の現象学」で扱われています。
メルロ=ポンティ『知覚の現象学』を読む(前半のみ)
身体図式と実存 メルロ=ポンティの身体論 竹内 幸哉
明日は「脳のなかの幽霊」から関連部位を抜き書き、ということで。


2005年07月19日

Science Anosognosia(疾病否認)論文

"Shared Cortical Anatomy for Motor Awareness and Motor Control"

Anosognosia(疾病否認)とはなにか、ここではanosognosia for hemiplegia(半身の麻痺)に限定しますが、右大脳の脳卒中などの直後に左半身が麻痺している状態のときに、患者さんが左半身が麻痺しているということを認めない、という症状です。ラマチャンドランの「脳のなかの幽霊」の7章、「片手が鳴る音」で衝撃的な例が紹介されています。時間があれば抜き書きしてまとめときましょう。
そんでもって、疾病否認の原因部位がどこかということはこれまでそんなには明らかになっていませんでしたが、右頭頂葉の障害時に左視野の半側空間無視を伴って見られるということはよく知られていました。そこで今回の論文では[半側空間無視があり(N+)、疾病否認がある(A+)患者さんのグループ]と[半側空間無視があり(N+)、疾病否認がない(A-)患者さんのグループ]とで脳の損傷部位を比較しました。その結果、N+A+グループで選択的に補足運動野(BA6)に損傷があるということを見いだしました。N+A+グループおよびN+A-グループ両方に関わるのは頭頂葉でした。というわけで、原因部位はじつは頭頂葉ではなくて前頭葉だった、というわけです。
もっとも、これだけの結果からは、疾病否認の原因部位は頭頂葉から補足運動野へとつながるネットワークだ、ということでもよいわけですが、著者たちは[半側空間無視がなく(N-)、疾病否認がある(A+)という患者さん(一人)]でもこの補足運動野あたりに損傷があることを示しています。
そういうわけで、著者らの結論としては、疾病否認の原因部位である補足運動野が実際の運動を生成させるだけでなく、生成した運動のモニターもしている、ということになります。
うーむ、表現に正確さが欠けているのは印刷した論文がいま手元にないからです。
明日に続きます。


2005年07月16日

みんプロ

まだうちには来ないなあ。いや、来たら速攻削除するんだけれど、来なければ来ないでこのサイトへのアクセスの悪さが気になったり。

2005年07月15日

Cortex 2005 4月号

"The hidden structure of neuropsychology: text mining of the journal Cortex: 1991--2001"
via Mochi's-Multitasking-Blog
via 認知科学徒留学日誌
追記:Mochi's-Multitasking-Blogでの、「神経心理学はイタリアで盛ん」というのがおもしろい。神経生理学でイタリアというとミラーニューロンのRizzolattiのグループとかしか浮かばないし。偶然だけど、今週のScienceに載っている論文 "Shared Cortical Anatomy for Motor Awareness and Motor Control"、運動系の失行と病態失認に関するものですが、これもイタリアのグループでした。そういえばoptic ataxiaのVighettoとRossettiなんていかにもイタリア名だな、と思って調べたら所属はフランスのINSERMでした……気を取り直しつつ、あと、GoodaleとかTulvingとかのイメージからカナダも盛んそうに思うけど、これはドナルド・ヘブとかに連なる心理学の伝統、といった方がよいのかもしれません。
ご隠居のコメントを受けてさらに追記:Science論文のラストオーサー、Paulesuによるworking memoryの最初のPET studyはNature '93 "The neural correlates of the verbal component of working memory" E. Paulesu, C. D. Frith and R. S. J. Frackowiak です。Brain '95の共感覚者でのPETは"The physiology of coloured hearing. A PET activation study of colour-word synaesthesia"

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# ご隠居

あ,僕の神経心理学のお師匠さんもイタリアに留学していましたね.イタリアには面白い仕事をするひとが多いような印象があります.Rizzolattiも神経心理系かも.ヒト神経生理ではRossiniという大御所がいますね.Science論文のラストオーサーのPaulesuはWMの最初のPET studyをしたひとですね.めりけんじゃなくてイタリアでのんびりと隠居するのもおもしろそうだなぁ...

# pooneil

どうもありがとうございます。Rossiniはここ最近はTMSの仕事が多いようですね。PaulesuのWMの最初のPET study、リンクしておきました。Crith FrithやFrackowiakと一緒に仕事をしていたんですね。ほかにもsynaesthesiaのPET studyなんかも出していて、そういえばこれは以前にセミナーをしたときに読んだことありました。


2005年07月12日

Cerebral Cortex 8月号: follow-up paper二つ

"Simultaneous Representation of Saccade Targets and Visual Onsets in Monkey Lateral Intraparietal Area" Jacqueline Gottlieb, Makoto Kusunoki and Michael E. Goldberg。Nature '98 "The representation of visual salience in monkey parietal cortex"のfollow-upとおぼしきペーパー。Bisley and GoldbergのScience '03への違和感はdistractorへのtransientなresponseとsaccadic targetへのdelay responseとを比較する、という点にあったのだなといまなら思うのだけれど、とにかくabrupt onset cueによるtransientなresponseとsaccadic targetへのdelay responseとを真正面から扱っているようす。じっさい、Nature '98の重要性もそこにあるわけで(saccade直前から始まるremappingによる応答はDuhamel '92でのノイエスなわけで)。そのへんも併せて読みこむ必要あり。
"Population Dynamics of Face-responsive Neurons in the Inferior Temporal Cortex" Narihisa Matsumoto, Masato Okada, Yasuko Sugase-Miyamoto, Shigeru Yamane and Kenji Kawano。こちらはおそらくNature '99 "Global and fine information coded by single neurons in the temporal visual cortex"のfollow-up。


2005年07月07日

論文いろいろ

Nature 6/23
"Invariant visual representation by single neurons in the human brain" Human single-unitでface neuronの応答でidentityに基づいたinvariance codingがある、というもの。F1000でJohn Kalaska / Kevan A. Martin / Mayank Mehta / Aina Puceの4人がセレクト。Invarianceをニューロン応答の選択性で議論するというのはなかなか難しいことなわけです。というのもそれはinvarianceではなくてlack of selectivityとも言えるわけだから。そのへんどう扱っているか読んでおく必要あり。もっともこの論文の最大のインパクトは前回のNature論文と同様に、humanのsingle unitであるということのなのだからそんなに期待できないけど。
JNS 6/22
"Distinct Contributions of Hippocampal NMDA and AMPA Receptors to Encoding and Retrieval of One-Trial Place Memory" Tobias Bast, Bruno M. da Silva, and Richard G. M. Morris
これってNature '03 "Glutamate-receptor-mediated encoding and retrieval of paired-associate learning" M. Day, R. Langston and R. G. M. Morrisとなにがちがうんでしょうか。つまり、One-Trial Place Memoryとwhat−where paired-associates learningの違いという訳なんですが。
Nature AOP
"Microstructure of a spatial map in the entorhinal cortex" doi: 10.1038/nature03721 Edvard I. Moser
このgrid cellってものすごいインパクトでかいけど、なんかすごくartifact臭を感じないすか。ま、読んでないんでなんなのですが。


2005年07月05日

超短いブログ語り

ブログ語りはブログを書いているない読者には関係のないことなので最小限のことだけにしようと自分を戒めてます。
日々のできごとやネットの話題に言いたいことは山ほどあるけれど、なるたけスルーしようと心がけてます。
「壁に向かって話しかけているむなしさ」に耐えかねてエラそーな物言いをしないように「ですます」調にしてます。以上です。


お勧めエントリ

  • 細胞外電極はなにを見ているか(1) 20080727 (2) リニューアル版 20081107
  • 総説 長期記憶の脳内メカニズム 20100909
  • 駒場講義2013 「意識の科学的研究 - 盲視を起点に」20130626
  • 駒場講義2012レジメ 意識と注意の脳内メカニズム(1) 注意 20121010 (2) 意識 20121011
  • 視覚、注意、言語で3*2の背側、腹側経路説 20140119
  • 脳科学辞典の項目書いた 「盲視」 20130407
  • 脳科学辞典の項目書いた 「気づき」 20130228
  • 脳科学辞典の項目書いた 「サリエンシー」 20121224
  • 脳科学辞典の項目書いた 「マイクロサッケード」 20121227
  • 盲視でおこる「なにかあるかんじ」 20110126
  • DKL色空間についてまとめ 20090113
  • 科学基礎論学会 秋の研究例会 ワークショップ「意識の神経科学と神経現象学」レジメ 20131102
  • ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会レジメ 20130628
  • Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する (1) 20100317 (2) 20100317
  • 半側空間無視と同名半盲とは区別できるか?(1) 20080220 (2) 半側空間無視の原因部位は? 20080221
  • MarrのVisionの最初と最後だけを読む 20071213

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