pooneilの膝改造日記

[第1日目] 先月ジョギング中に左膝を痛めて歩けなくなって、MR撮ってみたら左膝の前十字靭帯が全断裂していることがわかったので、再建手術を受けることになった。今日(9/7)から入院で明日が手術。9月23日退院予定。ネットは使えるのでここに記録しておく予定。

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手術の概要はこのあたりにあるけど、

ざっくり言って、どっかから靭帯とってきて、骨に穴開けて靭帯通して、ボルトで留める(<-ざっくりしすぎ〜)。術後すぐは神経ブロックと尿カテーテルで移動不可だと。もう脱走したくなってきた。

病院の説明によると、術後一週間は車椅子か両松葉杖で体重かけずにリハビリ、一週間後あたりから体重をかけながら歩く練習、退院前には片松葉杖で歩く練習、とのこと。先は長い。運動できない分肥満に気をつけないといけないが、コロナで外出禁止なので、間食買いだめしてきた。

病院食はちゃんと量はあって、でも塩分控えめな感じで健康的だった。もしかして間食せずにこれだけ食べればダイエットになるんじゃねーの?

ほんとうは内容的にはFBに書いたほうが、旧友への近況報告になってよいのかもしれない。でもFBだといちいち「悲しいねボタン」とか押されるのも気がひける。そういうわけで、我が心の故郷であるtwitterで続けることにした。スルー気味にウォッチしておいてください。

手術前の検査がだいたい終わったので、仕事ができるようにセットアップした。MBPのバッテリーが膨らんできてヤヴァいので、キーボードとマウスは外付けを使ってる。はっ、これってもしかしていわゆるワーケーションなのでは?(<-チガウ)


[2日目] 毛剃り完了。いま栄養液の点滴が始まった。手術は14時から。

手術無事終了。予定通り14:00スタートで、16:50あたり終了とのこと。

全身麻酔の経験が面白かったので、メモっておく。手術室まで歩いていって、手術台に乗り、麻酔科医の先生と会話しながら(こちらが研究者なの知ってる)、「いまレミフェンタニル入れましたよ」「ああこれで鎮静ですね」「はい、ではこれからプロポフォール流します」「ああたしかに冷やっとしますね、そういえばプロポフォールって懸濁液なんで」というあたりで意識が無くなってた。意識が消える瞬間がわかるのがすごい感覚。

次に目覚めたときは手術室で、はい、目覚めました、みたいなのが聞こえて、わたしもとっさになにか喋った気がするけど、憶えてない。エレベーターに乗せられて、自分の部屋まで連れて行かれて、ベッドの上に載せられるのとか、ぜんぶ憶えているのだけど、たぶんまだしっかりとは目が覚めてない状態。

よく全身麻酔は睡眠とは違って時間が経過した感覚はあまり無い、というけど、たしかに睡眠のあとのような時間経過感はない。かといって、目をつぶって開いたら術後だった、みたいな一瞬の経験というのとも違う。なんとも表現し難い不思議な感覚。

それの理由は、プロポフォールが切れて目が覚めたとはいえ、まだ覚醒しきってない状態が当分続いたからで、じっさいに家族や同僚にスマホからメールを打ったのが18:00くらいなので、60分くらいはまだ目覚めきってない状態が続いていたものと思われる。(術後にTwitterに書き込んだのは18:10)

この時間帯の経験についても記録しておく。ベッドに戻ってきてすぐは、硬膜下麻酔と神経ブロックが効いているので、膝の周りは全く痛みはない。というか触覚自体がない。その先の左足首と指のみが触覚、というか感覚のみがあって、まだ動かすことはできない。つまり、左足先のsense of agencyはないけど、body ownershipはあるような状態が続く。そこから60分たって、いまは左足首と指が動かせるようになり、スネや膝も固定されているのがわかる。


[第3日目] 昨晩は痛みは出なかったのでよかったが、尿カテーテルがなんか違和感であまり眠れなかった。主治医の説明によれば今日から痛みが出るかもとのこと。麻酔科医の説明によれば神経ブロックが切れるのが24時間なので。リハビリは明日からで今日は安静にする。


[第4日目] 昨日は昼から微熱が出た(37度後半)。医師によると手術後に熱が出るのはよくあるとのこと。膝は痛みが出ないのでこのまま行けるかと思ったら甘かった。明け方4時くらいに痛みで目が覚めて、ボルタレン飲んだけど痛みは引かず、そのまま夜が明けた。

朝昼のロキソニンが効いたのか、昼になってやっと左足を持ち上げることができるようになった(痛いけど)ので、車椅子でトイレに行ってきた。今日の午後で抗生剤(セファゾリン)の点滴は終了。術前からライン入れっぱなしだったのがやっと外せるので、嬉しい。チクチクして微妙にストレスだったから。

今日は3時過ぎからリハビリ第一回目。それまでに昼のロキソニンが効いて痛みが減ってくれるとよいのだけど。

膝の痛みがだいぶ引いたので、リハビリも問題なく終了。体を温タオルで拭いて、体温も平熱に戻って、だいぶ頭がはっきりしてきた。(術後はずっと重苦しい状態が続いていたので。) 持ってきた緑本のAICの章を開いてみたが、読む気力は出なかった。来週から本気出す。(あまり出したくないが。)


[第5日目] 昨日も熱が上がり、明け方は膝の痛みが出た。それでもちゃんと眠れたのでよかった。今日からいよいよリハビリが本番突入。午前の一時間で電気刺激や左脚のモモ上げをやって、午後の一時間で両松葉杖(左足荷重0%)の練習や脚の横上げをやった。どう考えても明日は筋肉痛。


[第6日目] 昨晩も微熱(37度前半)が出た。膝の痛みはロキソニンでなんとかなってる。動かそうとすると角度によっては痛いが、要領さえわかればなんとかなる。今日もリハビリで左膝周りの筋力強化と両松葉杖の練習。まだ昨日の筋肉痛が来てないということは明日来るということか。

病院は6時起床、21時消灯で、3食を毎日同じ時間(7:30, 12:00, 18:00)に摂るのだけど、確かにこれっていいなと思った。いつもは腹減って集中力切れたら14時くらいに昼ごはんは生協かセコマだったけど、午後に眠くなったりするので。この機会に朝型に移行できたらなおよいけど、そっちはわからん。

リハビリの時間以外はずっと病室で、トイレに行くとき以外はヘッドの上にいる。気分転換に車椅子に乗って本読んだりもするが、あまり不満もない。とはいえ、外に出たい欲望が高まる情報(旨い店とか)には意図的に触れないようにしているが。なるたけ心が平穏であるように心がけている。


[第7日目] 今日のリハビリは自主トレで脚上げ10回3セット3方向。そのあと髭剃って洗髪してさっぱりしたので記念写真。洗髪台の使い方がヘタクソでTシャツをびしょ濡れにしてしまった。体を拭いてから膝のお皿を動かす運動。左足のお皿周りが見えないことからわかるように、まだめちゃ腫れてる。

EMSでは膝のお皿(膝蓋骨)を引っ張っている大腿四頭筋の内側(内側広筋)を刺激してた。刺激に同期させて、自力でも筋肉を収縮させる。正常側ではお皿の動きで確認できるのでカンタンなのだけど手術した側はお皿を触ってモニタしながら正しく収縮できてるか確認しながら行った。

なんだかんだとまだ膝の痛みは出ている。ロキソニンは一日3回で一週間分処方されていて、たぶんこれ以上は長く飲ませないだろう。明後日までにロキソニン無しでも済むところまで回復してほしい。かなり気をつけて、左足に体重かけないようにしているのだけど。


[第8日目] 昨日は頭が痛くて何もできず。熱も37度前半だったし、明け方は膝の痛みで目が覚める。けっきょくアイシングがいちばん有効で、寝る前にアイシングしてたのがぬるくなって逆に熱を持たせてしまうのが明け方4時ということらしい。


[第9日目] 今朝も4時くらいに痛みで目が覚めたが、対策はわかったので、即ナースコールしてアイシング再開。これで十分眠ることができた。今日のリハビリではついに左足に体重1/2をかけて立つ。鏡の前で「クララが立った!」をやった。写真を取りそびれたが。

午前中には抜糸も済ませた。写真は以下の通り。グロ注意。抜糸は局麻も無しで一瞬だった。手際が良い。そのあと3Mステリストリップで固定。俺が研究で使っているのと同じwwwとテンションが上った。(マーモちゃんは即剥がすが、吉田は人間なので剥がさない。)

今回の手術は、ACL完全断裂の再建 + 半月板裂傷部分を削るという手術で、内視鏡を使って最小限の侵襲で行う、ネットで調べた通りの術式だった。どこから再建用の腱を持ってくるかはそれぞれのようだが、私の例では膝裏内側の腱をとった。このため、アキレス腱伸ばし的な動きにはひきつれを感じる。

今回経験したのはよく確立した術式だったけど、それでも疼痛、患部の腫れ、尿カテーテルの不快感など、しんどいことがいろいろあった。人類の医学の発展はまだまだ不十分だなと実感した。BMIが進歩して健常人への埋め込みを実現するためには、この種の苦痛をすべて取り除く必要があるだろう。

とくに尿カテーテル、あれは人生でもう二度とやりたくない。確かに排尿はできているけど、妙な残尿感があって、手術直後の夜に何度も目が覚めた。けっきょくあの妙な残尿感は尿ではなくて空気だったらしい。後日尿カテーテル抜いた後めっちゃ空気出た。尿カテーテル改善した人にノーベル賞出したい。

今日も夜から37.3度となった。なかなか終わらん。


[第10日目] 今朝も午後くらいから微熱が出てる。リハビリの方は両足立ちでのスクワットがはじまった。左右のバランスが悪い。手でサポートしての左膝の屈曲では、90度曲げたいところだが85度どまり。膝とふくらはぎがまだパンパンに腫れているので、物理的にこれ以上いかない。


[第11日目] 昨晩はアイスノンを置いておいてもらうようにして、朝3時くらいにそれを自分で取り替えて寝たらすぐ眠ることができた。リハビリの方は膝の屈曲やスクワットの要領がだいぶわかってきた。ベッドでも膝の屈曲をするため、ベッドに腰掛けて作業するが長続きしない。


[第12日目] 主治医と相談をして、9/23の退院ということで話が進んでいる。あいにくこれから連休なので9/20-22はリハビリもなくただ寝ているだけとなる。術後2週(9/22)から左足の荷重が体重の2/3となり、両松葉杖から片松葉杖になる。膝の装具も今使っている膝が曲がらないものから膝が曲がるやつに変わる。これらの使い方を全部教わって、その日のうちに退院ということで、かなり慌ただしくなりそう。ともあれ先が見えてきた。退院したら肉と寿司食べたい。

膝の回復の方は、両松葉杖で問題なく歩くことができて、リハビリも日々向上している。ただし、ふくらはぎの腫れは引かない。主治医によれば、膝裏の静脈が詰まっているのかも、ということで、普段はなるたけ装具で締め付けないようにして、いろんな姿勢で膝の屈曲をするようにしている。

ただし、膝下の外転が起こらないように気をつけてる(前十字靭帯に負担がかかるため)。膝の伸長(0度以下の屈曲)も前十字靭帯に負担がかかるらしいが、私の膝は元々健常側でもそっち方向には曲がらないようなので、今とくに問題ではないだろうとのこと。

熱は今日も37.3度。ロキソニン続けすぎでは?


[第13日目] 血液検査の結果、D-dimerの値が大きいとのこと。ふくらはぎの腫れから、膝窩静脈での血栓(DVT)が疑われたので、エコーで検査。もし血栓があれば、血栓が飛ばないように絶対安静で処置だったが、エコーで血栓が無いことが確認できて、とくに方針変更なし。ほっとした。

膝の屈曲のテストも110度までいった。前回測ったとき(~1wk)は87度で、術前は120度だったので、だいぶ回復してきている。ある一定以上曲げると膝周りの腫れで物理的にテンションがかかってくるのと、膝内側の術部(いちばん縫合が長いところ)の痛みが出てくるので、その手前で止める感じ。


[第14日目] ふくらはぎの腫れの対策のため、昨日はベッド上では装具を外して、膝の曲げ伸ばしをしてみた。これが奏功したらしく、今日のふくらはぎ周りの測定では2cm減で右と同じ程度になった。(でも筋肉の減少も加味する必要あり。) 膝の腫れも引いて、お皿の形が見えてきた。

上記の術後5day(第7日目)と比べると、そこから一週間でだいぶ腫れが引いたのがわかる。


[第15日目] 膝とふくらはぎの腫れがだいぶ引いて、膝の屈曲もがんばらなくても90度をキープすることができてる。もうふつうに片松葉杖で歩けるだろう?と思うけど、指示通り両松葉杖で歩行している。腫れが引いてみると、術後の13日で左足の筋肉がだいぶ落ちているのを実感する。

「六花亭の喫茶」ってさんざん通りがかったけど行ったことないな。北大の北20条門近くに「北大エルム店」があるけどここは喫茶がない。札幌駅南口の「札幌本店」はテナントのヤマハミュージックにはなんどか行くのだが、喫茶に行こうと思ったことがない。退院したら行こう。


[第16日目] 今日から膝の装具が、新しいコンパクトで膝を曲げられるタイプになった。いままでは膝固定用でかさばるわ下にずり落ちるわで、装着するのがが億劫だった。新しい装具なら片松葉杖も問題なくできる。これなら日常生活に問題なく復帰できる。いよいよ明日退院。

とはいえ、新しい装具でもけっこう締め付けっぱなしになるので、移動時だけ装着して、研究室でのPC作業時は外している、という運用になりそう。ともあれこれで、中央キャンパス2号館から生協食堂まで往復する目処がついたので、ひと安心。

今回の入院ではいろいろしんどかったけど、コロナのせいで外出禁止というのが堪えた。毎日同じ部屋からの同じ景色で、リハビリに行っても同じ景色で、隣のパン屋の煙突から出る熱で歪む空気を眺めてた。インターネットを窓にして、外に出ようという気持ちを(太陽みたいに)直視しないように心がけてた。

それでも今は「退院したらMARUZEN&ジュンク堂書店 / 紀伊國屋書店 / トリトン / 六花亭行きてえなあ」みたいに思うのだけど、たぶん退院したらどうでもよくなるだろう。「実際にどこかに行くこと」ではなくて「行こうと思えば行けること」さえ叶えば、たぶん私は充分なんだ。(<-感覚運動随伴性?)


[第17日目] いま最終日の診療が終わって、荷造りしているところ。これから午後のリハビリして、入院費の精算をして、これで退院。この部屋ともおさらば。毎日繰り返し眺めたカレンダーと部屋の窓からの風景。あんなに外に出たかったのに、今は、忙しい日常に戻るのが億劫な気持ち。


退院して家に帰ってきた!家を出てくるときに生ゴミ全部処分してきれいにしてきたので、留守の間にコバエ大発生ということもなかった。今日はこのまま休みにしたいところだが、血栓マーカー(D-dimer)の値が今朝も高かったので、念のため別の病院の循環器内科を受診することになった。今日はまだ続く。

循環器内科でエコー検査したら、ヒラメ筋の毛細血管に血栓があるということで、血栓を溶かす薬(リクシアナOD錠)が処方された。もし(エコノミークラス症候群みたいに)太い血管に血栓が見つかっていたら、入院して絶対安静だったということで、大事に至らなくてよかった。

病院を出てみたら、すでに午後6時近くなっていて、周りは暗くなっていた。私が外の世界から隔絶している間に、この街はすっかり秋になっていたということに気がついた。L’automne déjà ! (アルチュール・ランボー)


まだ続きはあるけど、ここまでとしておきます。


盲視にipRGCsは関わっているか? アップデート2020

2012年の記事になるけど、「盲視に関わるMPKチャネルの経路」という記事で、内因性光感受性網膜神経節細胞ipRGCsが盲視に関わるかどうかについて言及したことがある。

つまり、ipRGCsって元々はnon-image-forming vision、たとえば視野全体の光量の違いによって瞳孔反射が起こるとか、そういうのにしか関わってないと思われてた。

でもこちらの論文が出て、ipRGCしかないマウス(錐体、桿体はノックアウトされてる)でも縞模様とただの灰色(どちらも視野全体での光量は同じ)を区別できる、つまりipRGCはimage-forming visionにも関わっているということが提唱されるようになった。

それで、それ以降の研究の進展をフォローしてなかったので、調べてみた。

こちらで、ちょうど2014年以降の新しい論文がリストされてる。みたところ、ipRGCだけを選択的に刺激して、錐体、桿体は刺激しないような視覚刺激を使ってその応答を見るという研究が増えてる模様。

(S錐体についても、S-cone isolating stimuliというのが使われてた。あれと同じアプローチか。)

こちらではそのような刺激条件でマウスdLGNの20%の細胞が活動する、つまりipRGCからの入力を受けているという話になってる。これは意外というか、上記の記事で書いたように、ipRGCはLGNを経由せずに、上丘や視床枕に直接入力するから、盲視に関わる可能性があるかもと思っていたのだけど、もっとふつうにLGNにも入力しているらしい。

あと、同じ刺激をヒトに提示した実験があって、ipRGCはヒトでの色知覚にも貢献しているらしい。

しかし「ipRGCだけを選択的に刺激」というタイプの研究は、網膜の細胞の個人差を考慮した厳密な実験条件が必要で、そのうえでも、微妙なズレが効いているのではないかという疑いが消えないので、個人的には信用してない。(S-cone isolating stimuliのときにそれを痛感したので。)

というわけで、盲視にipRGCsが関わっているか?についてはあまり大きな進捗はないようなのだけど、このネタ、マーモセットでも使えるようにはしておきたいなと思った。


Non-trivial information closure (NTIC)は何を計算しているのか

Consciousness Club TokyoでArayaのAcer Changが"Information Closure Theory of Consciousness"というオンライン講演をしていたので観てきた。これは彼が先日Front. Psychol.に出版した"Information Closure Theory of Consciousness"という論文の内容に基づいてる。

Chang AYC, Biehl M, Yu Y and Kanai R (2020) Information Closure Theory of Consciousness. Front. Psychol. 11:1504. doi: 10.3389/fpsyg.2020.01504

この仕事については以前からその存在は知っていたけど、ちゃんと話は聞いたことがなかったので、この機会にしっかり理解しようということで参加してみたのだけど、Acerが導入部分でNTICについて丁寧に説明してくれたので、参加して正解だった。

(そのあと金井さんのトークのYouTube "On Consciousness: Information Closure and General Intelligence"も見た。こちらはさらに全体像が掴めるのでよい。)

この論文では"Non-trivial information closure (NTIC)"がゼロでないシステムが意識を持っていると主張している。論文の中での議論にはいろいろ言いたいことがあるのだけど(盲視の扱いとか、SMCの扱いとか)、まずはその前に"Non-trivial information closure (NTIC)"という概念についてしっかり知るべきだろう。

ということでNTICの概念を最初に提唱したBertschinger et al. (2006)の"Information and closure in systems theory"を読んできた。このあたりについてまとめてスライドを作ったので、slideshareに上げておいた。

NTICは何を計算しているのか from Masatoshi Yoshida

結論としては、NTICというのは、もし時系列データに適応せずに単に3変数データに使ってみた場合には、MI(X;Y;Z) と等価だった。Bertschinger et al. (2006)では、それをsystemとenvironmentの関係に当てはめた上で、E1->S_2のように時間遅れがあるものが感覚入力による影響で、E1->S_1のような同時の影響がモデリングによるものだ、という意味づけをしていた。ここが肝であるようだ。

さらにこの同時の影響については、Martinの論文にもあったように、粗視化と捉える視点もあった。そういうわけで、まだまだ本質には辿り着けてない。

NTICがやっていることとマルコフブランケットがやっていることはどちらとも条件付き独立に関わっていてよく似ている。金井さんのトークでは両者の関係についても言及していたが、このへんについても言いたいことはあるが、まだもう少し準備が必要そうだ。

ともあれ、今回このスライドを作るにあたって、自力で式変形して、エントロピーとか相互情報量とかの基本の再勉強になったのでよかった。


Snap Cameraで「盛って」みた

みなさんリモートの会議や講義でいろいろ試行錯誤してるところかと思います。わたしはzoomを使ってますが、講義でブレイクアウトルームを使いこなすためにドタバタしてます。

リモートで自宅からの会議、講義となると、背景が生活感溢れてしまうので、バーチャル背景とか使う。ここまでは以前から普通にやってた。でも、同僚と話していて「いろんな条件で、顔を出しにくい場合もあるし、アバター使ったり、映像加工アプリを使うのとかどうだろう」なんて話題になったので、さっそく自分で試してみた。

VRchatでLive2Dのモデル読み込んでとか凝りだすとたいへんそう。Macユーザーなので、FaceRigは使えない。ということでいちばんお手軽なSnap Cameraにしてみた。

yoshida20200724b.png

とりあえず家でヒゲボーボーでも会議に出るためには、図aの"Potato"のようなネタ系でいいと思った。元々ビデオ画面を出しているのは「寝てないでちゃんと話聞いてるよ」ということを伝えることが最大の目的だと思うので。このときの実際の私は図b。

Snap Cameraでは、いろんなフィルタ("lens"と呼ぶ)が選べるのだけど、"Remove Beard"というのを見つけた。図bの状態から、ヒゲをごっそり無いことにしてくれる(図c)。しかもよく見ると肌の色合いとかも変わっていて、SNOWみたいに「盛る」ことができるらしい。

そこでいろいろフィルタを試行錯誤してみて、最大限「盛る」ことに成功したのが図d。お前誰だよっていうかんじ。(最大限盛るために、あらかじめ髭は物理的に剃っておいた。) さっそく会議で使ってみたが、参加者から笑いを取ることができたので満足。

b)の状態から、d)に変えて「盛ってみましたwww」って言って、じゃあ戻しますって言ってc)に変える。これによって今は盛っている自分なのか盛ってない自分なのか、参加者にはわからないようにしてゆくってのを考えた。そう、substitutional reality (SR)のように。

そんなこんなで、元気にやっております。(<-なにか話を畳む言葉がほしかった)


「倍音キング/銀河通信」(さうして、このごろ2020年1-3月版)

今年もまだ夢らしい夢はみてないけど、今朝は気がかりだったので、頭の中でずっと「ゆうゆう窓口はいつから開く?」と問い続けていて辛かった。これが初夢といえば初夢だろうか?

無事札幌に到着。札幌駅北口は今日もぜんぜん雪がなくてびっくりした。たまたまらしいけど、地球温暖化してない?=>「全地球的global」は大げさだろ?=>じゃあ「地球の一部」で。=>温暖化っていうけど変化を証明できるの?=>じゃあ「温暖だ」で。=>「地球の一部が温暖だった」という穏当な結論にアップデートした。

ついにベースギター買ってしまった。Bacchusのジャズベのいちばん安いやつBJB-1R。税込み18,700円。その後ろのエレクトリックギターは23年前(結婚直前)に買ったのだけど、ギターを買うのはそれ以来。なんか感慨深い。とりあえずSaturday in the parkのリフ弾いてみた(<=ありがち)


ハンガーラックを作ろうと思って箱を開けて説明書読んでみたら、「ゴムハンマーの使用を推奨します」とか書いてあってブチ切れ。そんなもん持ってねえし!温度湿度計を買ってボタン電池を入れようとしたら説明書に「精密ドライバーが必要です」とか書いてあってブチ切れ。そんなもん持ってねえし!

ホームセンターで大きな荷物を買ってタクシー使って帰る。運転手さんに「愛知から来たんですが冬の運転ってどうですか」と聞いてみたら、アイスバーンどころかミラーバーンがあるよ、とかブラックアイスバーンとかホワイトアウトとかいろいろ詳しく教えてくれた。仕事でなければ冬は運転しないって。


実家の近くを都電が走ってた頃の写真を見つけた。小林酒店があって、これは現存してる。右一つ飛ばしが今の蕎麦屋の福壽庵で、我が家で店屋物取るといえばいつもここだった。わたしはいつも親子丼を頼んでた。母親に見せてやろう。

間奏でぜんぜん違う曲が差し込まれるみたいになるの好き。すぐに思い浮かぶのは"See Emily Play"でいきなり早回しのピアノ曲になるところとか。

"wonderful parade~philter records compilation"ってのをずっと昔に買ってバンド名とか把握しないままに聞き続けてきたけど、2曲めのサイケ・ポップ"YOU ARE AN AIRPLANE"はつくづくいい曲だと思って調べてみたら"of Montreal"というバンドで、Youtubeで数曲聴いてみたらこれは好きだ。20年積んだ。

大通公園をウォーキングしてきた。北大から札幌駅経由で大通の1丁目から11丁目までを辿るコース4kmちょい。たまたま雪まつりもやっていたけれど。


「ベルファスト金山」という芸名を思いついた。なんというか自然の厳しさが滲み出る感じ。

これ素敵だ。Processing3をPythonモードにしてこのコードをコピペすると同じものが再現できる。それでコードをいじると色合いを変えたりできる。fill(i,c,99)の99を255にしたらこうなった。


Supercolliderでも同様にTwitterの140文字でコード書いて音楽作品作るという文化があって、このアカウントがたくさんリツイートしてる。これ聴いてるとキリがない。ほんとうはコードを解読して、使い方を学ぶのに役立てるべきなのだけど、その手前で満足してしまう。


あたらしい場所は中央キャンパス総合研究棟2号館というところで、薬学部の隣、銀杏並木通りとポプラ並木通りの角あたり。というわけでオリンピックのマラソンコースが遠くだけど見える。


「聴かないバンドのTシャツは着ないようにしましょう」 わかる。Grateful DeadのTシャツ着ててもたいがいDead聴いてないだろうからなあ。

私が「Grateful Dead聴くんですか?」と問われたら「拙者60年代の2nd(“Anthem Of The Sun”)あたりのガレージバンドからアシッドテストを経由してジャムバンド化した時代のデッドが好きで候」とかキモオタ語りする気まんまんなのだけど。

札幌の夜は暴走族がいないので週末でもとても静かだ。夜中に道路でゴトゴト言ってる音がしたら、それは除雪車で、それはそれでうるさいのだが、すっかり慣れて風情を感じるようになった。

昔小学校の社会科で学んだときは、豪雪地帯(新潟とか)では雁木づくりとか消雪パイプとか街の設備として雪の対策が行われているという話だったが、札幌は街づくりとして東京と一切ちがいがなく、ただただ札幌市の除雪車が頑張ることでなんとかしているようで、驚きがある。

琴似のイトーヨーカドーとかは駅から直結して行けるようになっていて、雪への対策を感じるけど、イオンモール苗穂とかアリオ札幌などの新しいショッピングモールは駅から離れていて、車で来ること前提で、駐車場が普通に野外にあって、買い物中に大雪になることとか想定しているように見えない。

受験が無事終了した長女を連れて、車であちこちお買い物へ。ここ数年はほぼ毎晩のように図書館とか習い事とかで送り迎えをする生活だったが、これが岡崎では最後の機会かと思うと感慨深い。


持続性のあるネット活動をしたいので、バズらないし炎上もしない状態を維持したい。風野春樹氏のウェブ日記にある「銀河通信」からかけ離れてしまっている自分のブログとツイートには満足してない。もっと謎な心象風景ポエムとか自作曲混ぜ込んでドン引きand放置されたい。

「日々誰に向けているのでもないテキストを淡々と書き、そしてどこかにそれを読んでくれる読み手がいる、ということに心を癒され、直接感想メールが来たりすると、かすかな苛立ちを感じずにはいられないような、そんな「コミュニケーション」」ツイッターのlikeは読み手が見えるのがこれを妨げる。

ツイッターを始めた頃に、私のブログをそのように読んでくれた人がいて、淡白なやり取りを数回か繰り返したのだけど、没交渉になったと思ったら鍵がかかってた、という苦い記憶がある。そういうわけで、こうやって擬態しているけど、私には90年代後半のweb1.0的な部分が残されている。(<-自分語り乙)

こう書いて文面を見返していたら(推敲して投稿し直したりする)、以前ブログに書いたことを思い出した。「部室でジャムった日のこと。」 あれもほんのひととき、通じたかどうかもわからないコミュニケーションの話で、私がそういうのを大切にしているということを再認識した。


名鉄特急に乗ってるところ。新舞子駅に近づくと景色が開けて海が見えるのだけど、その瞬間が好き。何度も見た風景だけど、そしてこれが最後というわけでもないのだけど、別れを惜しむように灰色に曇った海を見送った。

10日ぶりに北海道に帰ってきたら、すっかり雪が融けて、まるで春のようになってた。歩道の雪が融けて、滑り止めに撒いてた小石とか踏み残された土とかが残されて、全体的に埃っぽい感じ。雲のない山に落ちる太陽を記録しておいた。


「高輪ナワタカ」という芸名を考案した。縄跳びが上手いの。

その昔、中学生くらいの頃だろうか、大島中央銀座の古ぼけた駄菓子屋に1回10円でできるギャラガ(そのかわり画面は白黒)があって、そこで小学生に混じって一人ギャラガだけをやるのが俺だった。あとディグダグも好きだったな。同じゲームをひたすらやるタイプだった。

いまぐぐってみたら、wikipediaで「ギャラガ」のネーミングが「ギャラクシアン」+「蛾」だということをしった。いや、昔からそれは知っていたのかもしれないが、昔それを知っていたというメタ記憶がない。敵機がどう見ても蛾なので、そんなこと明白だったのではないかと思うのだけど、メタ記憶は無い。

小学生の頃は駄菓子屋前のアーケードゲームを他人がやっているのを後ろから見るくらいで、自分ではやれなかったはず。ゲームウォッチを買ってもらって、友達のと交換して桐杏学園(代々木校)までの往復30分をゲームに費やしていた記憶がある。

「倍音キング」ってのを考えた。「あなたは偶数倍?わたしは奇数倍。」とか言ってビッグマフを踏むの。(<-持ってねえくせして)

「海へ行くつもりじゃなかった」のタイトルの元ネタが児童文学であることを初めて知った。しかし自分は昆虫図鑑->元素周期表->西村京太郎鉄道ミステリー->太宰治と中原中也、という遍歴で児童文学を完全にスルーしたのでこの辺全く知らない。

図書館が大好きで、江東区立城東図書館と亀戸図書館と深川図書館と江東図書館をハシゴする小学生だったのだけど、いま岩波少年文庫のリストを確認してみたら、一切貸し出しすらしたこと無いことに気がついた。あああのとき俺は老けていた。今はあの頃よりもずっと若いよ(マイ・バック・ページ)。


お勧めエントリ

  • 細胞外電極はなにを見ているか(1) 20080727 (2) リニューアル版 20081107
  • 総説 長期記憶の脳内メカニズム 20100909
  • 駒場講義2013 「意識の科学的研究 - 盲視を起点に」20130626
  • 駒場講義2012レジメ 意識と注意の脳内メカニズム(1) 注意 20121010 (2) 意識 20121011
  • 視覚、注意、言語で3*2の背側、腹側経路説 20140119
  • 脳科学辞典の項目書いた 「盲視」 20130407
  • 脳科学辞典の項目書いた 「気づき」 20130228
  • 脳科学辞典の項目書いた 「サリエンシー」 20121224
  • 脳科学辞典の項目書いた 「マイクロサッケード」 20121227
  • 盲視でおこる「なにかあるかんじ」 20110126
  • DKL色空間についてまとめ 20090113
  • 科学基礎論学会 秋の研究例会 ワークショップ「意識の神経科学と神経現象学」レジメ 20131102
  • ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会レジメ 20130628
  • Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する (1) 20100317 (2) 20100317
  • 半側空間無視と同名半盲とは区別できるか?(1) 20080220 (2) 半側空間無視の原因部位は? 20080221
  • MarrのVisionの最初と最後だけを読む 20071213

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