[月別過去ログ] 2017年02月

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2017年02月21日

研究メモ: 逆転スペクトル、PLIなど(20160731まで)

以前逆転スペクトルが本当にありうるかという話で、L coneのあるべきところにM coneが、そしてM coneのあるべきところにL coneがある、という場合のことを書いたけど、これは実際にありうるのだろうか?

そもそも「L coneのあるべきところ」というのがどう定義されるかというと、L-MとL+Mを作るようにRGCと繋がっているということなのであって、生きている大人でいきなりこの交換が起こるようなSF的な話でなくて、生まれながらにしてそのような交換があったとしても、その差は生まれ得ないのではないだろうか?

という話は置いておいても、2色性色覚というのはL->M->(M->M ...)とある染色体に不等交叉が起こった場合という話。

では、二重に組み換えが起こって、M->L みたいな配列が起こる可能性はないだろうか? それならば 一回目の組み換えで L->L->M とM->M ができて、もう一回組み替えればM->Lができる? それともこんなかんじのdouble crossoverしか起こりえない?

(後日談:研究所でゲノムの専門家の人に聞いてみたら、M->L みたいな配列はできないだろうとのこと。)


サブクリニカルなものを反映した意識経験というものに興味があるのだけど、発言小町のこのスレッドでは異臭症の訴えが並んでいる。これらは蓄膿症でもないし、体臭でもないだろう。こういうのを解明したい。


「脳が壊れた」鈴木大介を買った。横浜へ行く新幹線で読む予定。これとか「壊れた脳 生存する知」とかから抜き書きして半側空間無視での空間への意識経験についてまとめようという狙い。

予想通り、「脳が壊れた」で半側空間無視についての絶妙な表現を見つけた。

  • 「どちらかというと『左方向を見てはならない』という強い心理的忌避感、障壁がある状態」
  • 「『視界の左側に猫の轢死体が転がっている』…『左前方に…義母が全裸で座っている』感覚」
  • 「絶対見てはならないものが左前方にある!だから僕は右を見る。左半分の世界はないことにしたいんです僕は」

この「ないことにしたい」という言い方ははじめて見た。病態失認は伴っていないからだろうか。


2016年神経科学大会初日のハイライトはKarl Zillesのpolarized light imaging。無染色切片を偏光レンズで撮影することでミエリンの向きを推定する。技術自体は100年以上前からあるものだが(Wiener, 1912)、それをヒト死後脳で高解像度でスキャンしてさらにその画像を元にDTIでいうfiber trackingの方法を使ってfiberの向きを推定する。

たとえばFrontiers 2016のFig.5とか見ると視交叉での線維の交差がきっちり推定できる。

karl Zillesの仕事としては2010年くらいからあったようだが、今回はじめて見て衝撃受けた。DTIとかで苦労して推定しているところを段違いの解像度で推定していて、ヒト海馬でのperforant pathを見つけたとか、どのネタもスゴい。

マカクでpostmortemでDTIとか計画していたけど、なんとかこういうテクと組み合わせられないもんかと思った。でも原理はシンプルだが、獲得する画像が膨大で、定量的なことができるようなものを構築するのは相当大変だってことは想像がつく。


今日の午前中はこれに参加:Symposium S3-F-1 Frontiers of consciousness studies in mice

シンポジウム終了。クリストフに質問しそびれた。質問を頭のなかで組みたてていたのだけどまとまらなかったので。端的に聞きたかったことは「そもそもmiceに意識はあるか?(なければ意識研究の題材にすることはできないでしょ)」というものだった。

でも頭のなかで質問を作っていたときは「Adam Kepecsのundertainty論文を紹介していたが、『メタ認知』という言葉は使っていなかった。マウスにメタ認知はあるか?Kepecs論文からそれは言えるか?もし無いのなら意識研究の題材になるのか?」みたいなことを言おうとしてた。

でもあとで考えるに、そんなややこしい言い方をせずとも、「マウスで意識があると推定できるような行動的および生理的な証拠はどのくらいあるか?」と聞けばよかったのだった。(<-すごく面倒くさいタイプ)

村山さんへの質問もかなりもにょっていたが、もっとシンプルに聞くならば「体性感覚へのトップダウン入力の効果を見るならS2からの入力を見るのがstraightforwardだと思うのになぜM2なのですか?」と聞けばすっきりしてた。いつも質問しながら頭のなかをまとめているのでこうなる。


なんかの学会でポスター発表をしたときに、面識のない人がやってきて言いがかりっぽいコメントをして去っていこうとしたので、「すみませんが名前を教えていただけますか」と問うたが、結局そいつは名乗らず逃げていった。今にして思えば、ネットでのクソリプが現実にも実在するっていう例だな。


2017年02月02日

「サード・プレイス/リョコウバト/アウトロ」(さうして、このごろ2016年7月版)

ガソリンスタンドに行って給油しながら、「イレギュラー、満タン、現金」ってフレーズが頭に浮かんだ。ちょっとハードボイルド感出てる。

気持ちは高ぶったままで、これでは眠ることができない。カーステレオのボリューム上げて、アジカンとかサニーデイ・サービスとかかけて、大声で歌いながら深夜の岡崎の街を警備していたら、やっとこさ心の平安を取り戻すことが出来た。

とある事項についていろいろツイートしてみようとしたが、「誤解を恐れずに言うと」と書かないと無理そうな展開になった。ということは、どんな言い訳を付けてもけっきょくは誤解を産むということだ。そういうわけで書きかけたそのツイートは消すことにした。(<-よくある)

ひさしぶりに楽しい飲み会だった。アルコール一滴も飲んでないけど、楽しい飲み会だった。

さっきまで実家の近くのミスドで作業してたが、周りの座席は中国語、韓国語、ポルトガル語が混ざっていて、マヂ異国だった。「コレニホンゴデナントヨミマスカ?」と問われて、どこかの住所の漢字の読み方を説明することに。うーむ、これが「サード・プレイス」か。(<-覚えたばかりの言葉を使いたいだけ)


そもそも今自分が大学生だったらなにをしていただろうか?いまからPythonを勉強して機械学習をやってとかだったろうか?でもそれって20年前にバイオでポスドクに行く選択と同じレッドオーシャン一直線という気もする。

給料安くても勤務時間が限られたホワイトな環境で、独身で、ストレスの少ない地方都市で、時間外はDTMやってsoundcloudとかで作品発表してハートが付いたらそれで満足、みたいな人生がいいな。

鰻が食べられなくなる日って、ある日これでおしまいではなくて、割高で質が悪い鰻ばかりになって庶民は食べなくなって、数年経って忘れたころに物好きが食べる鰻がこれで最後というニュースを他人事として聞くのだ、というふうにイメージが湧いた。リョコウバトのときはどうだったのだろう?


仕事に没頭してたらいつの間にか周りが真っ暗になっていて(<-部屋の電気を付けないタイプ)、夕立がやってきていることに気がついた。なんとかやり過ごすはずが雨は止まず、しかたなく帰ってきた。これからこういう夕立を何回か体験して、いつの間にか梅雨明け宣言が出されて、夏がくるのだろう。

帰ってきたらすっかり雨は止んでいて、西の方には青空まで見える。けっきょくもう15分待ってから帰ってくればよかったことが判明した。でもそれまでに既に45分待った後だったのだから、これは合理的な意思決定だったのだ、と自分に言い聞かせる。でも基本的に俺の意思決定めちゃくちゃだなと思う。


工夫してあるアウトロは好き。「すばらしい日々」のアウトロでギターのリフはイントロと同じなのにコード進行だけ違ってて好き。"Sir Psycho Sexy"でいきなりプログレみたいなコード進行になるところ好き。C†Cの"Crossing"もこの系統だけどやっぱ好き。

「思い出してる 夢みるように 夢みるように」ってのはあらためて聴いて泣ける。(過去を)思い起こしているのに、(未来を)夢見るようにっていう(<-説明ダサい)。「たとえこの世界が本当だって」っての好き。「たとえこの世界が嘘だって」じゃないの。本当だってことを否応なく知らされるの。


KORG Gadgetが半額になってた。この日を待ってた。さっそくiTunesから購入してダウンロードしているのだが、やたらと時間がかかってまだ完了しない。そうして、いま日本中がポケモンGoをダウンロードしていることに気がついた(7/22)。

さっそくKORG Gadgetで短い破片を作ってsoundcloudに上げてみた。メロトロンっぽいフルートと「チルウェイブ」ってタイトルのパッドがあったのでそれを使って。


耳かきが大好きで、毎日2,3回くらいやってる。つまり耳かきをする動機はもはや耳孔をきれいにする喜びではない。それで今気づいたのだけれど、もしかして私は外耳道の軟骨よりも奥にある頭蓋骨(側頭骨)を引っ掻きたかっただけなのではないかと。ってなにそれ怖い。

でもひとつ思い当たるフシがある(<-あるのかよ)。小中学生くらいのときに、眉間を鉛筆の後ろ側とかの棒でコツコツとやると、なんというかそのあたりが「ニ〜ン」とした感覚になるので、よく繰り返していた。もしかしたらあれも頭蓋骨に直接刺激を与えたかったのかも。ってなにそれ怖い。


お勧めエントリ

  • 細胞外電極はなにを見ているか(1) 20080727 (2) リニューアル版 20081107
  • 総説 長期記憶の脳内メカニズム 20100909
  • 駒場講義2013 「意識の科学的研究 - 盲視を起点に」20130626
  • 駒場講義2012レジメ 意識と注意の脳内メカニズム(1) 注意 20121010 (2) 意識 20121011
  • 視覚、注意、言語で3*2の背側、腹側経路説 20140119
  • 脳科学辞典の項目書いた 「盲視」 20130407
  • 脳科学辞典の項目書いた 「気づき」 20130228
  • 脳科学辞典の項目書いた 「サリエンシー」 20121224
  • 脳科学辞典の項目書いた 「マイクロサッケード」 20121227
  • 盲視でおこる「なにかあるかんじ」 20110126
  • DKL色空間についてまとめ 20090113
  • 科学基礎論学会 秋の研究例会 ワークショップ「意識の神経科学と神経現象学」レジメ 20131102
  • ギャラガー&ザハヴィ『現象学的な心』合評会レジメ 20130628
  • Marrのrepresentationとprocessをベイトソン流に解釈する (1) 20100317 (2) 20100317
  • 半側空間無視と同名半盲とは区別できるか?(1) 20080220 (2) 半側空間無視の原因部位は? 20080221
  • MarrのVisionの最初と最後だけを読む 20071213

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