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■ Electric Kool-aid acid testを読みながら年表を作成しているんだけど

いつもどおり、ついったからまとめ。


"Magic Trip" ついにケンキージーによるあのバス(The Electric Kool-Aid Acid Test)で撮影されたビデオが編集されて映画に。酷評されてる。メリープランクスターズが作った音楽と同様クソなんだろう。それでもいいから、俺は見ておくべきだと思った。

Gus Van SantがThe Electric Kool-Aid Acid Testの映画化を進めているという話があったけど、完成したという話を聞かない。どうなってんだ。


「あなたが選ぶWIRED大学 新・教養学部必読書50」をテーマごとに見ていったらそんなに読んでる本がなかったのだけれど、カウンターカルチャーHだけ10冊中6冊を読んでたんで、俺ってそういう人なのねとかスゲー笑った。

残りの本も全部読みたいやつばかり。Whole earth catalogを探すつもりはないが。いまKool-aid acid testを原書で読み直しているけど、Stewart Brandがプランクスターズの一員として出てくる。Stay hungry, stay foolish!


Neal Cassadyはオン・ザ・ロードの主人公として、そしてクールエイドアシッドテストの準主人公として生きて、ビートの時代とヒッピーの時代とを生きて、42歳の誕生日の直前に死んだ。

マジックバスを運転して山からの下りの道をブレーキを使わずに降りきった。ハンマーでジャグリングしながらずっとしゃべりつづけた。アシッドテストで瞑想してる参加者にアクションを起こせよと悪態をついた。


Electric Kool-aid acid testを読みながら年表を作成しているんだけど、何もかもが早くて驚く。いわゆるサマーオブラブは1967年夏のサンフランシスコのこと。1966年10月にLSDは非合法になっている。キージーがバストリップをしたのは1964年。グレートフルデッドを大フィーチャーしてアシッドテストを行っていたのは1965年の末。有名なトリップフェスティバルが1966年の1月。そのあとケン・キージーは9月までメキシコに逃亡していて、1967年には服役しているから、ほとんどすべてのことは1965年までに終わってる。

つまるところ、サンフランシスコのサイケデリックシーンなんてものが有名になってたときには、すべてはもう終わってた。むりやり一般化しなくてもいいんだけど、シーンなんてものができたときにはすべてはもう終わってる。だから、未だ名前のついていないなにかをやるしかないんだと思うんだよ。

年表についてさらに言うと、1,2章はメキシコから帰ってきて拘置所に勾留中のキージーにトム・ウルフが面会するところから始まる。3章ではそこからいったん1962年までさかのぼり、そこからは時系列順に描写が進む。ラホンダでプランクスターズ結成、バストリップ、アシッドテスト、メキシコ逃亡帰国して拘留、ここまできて第1章の記述まで戻る。そして保釈、アシッドテスト卒業式となり、エピローグでキージーの服役とカサディの死去とが触れられる。きわめてオーソドックスな描写であって、訳者が書いているような、時系列を気にせずにコラージュのように書き連ねたようなものではない。

また、ハンター・トンプソンのゴンゾジャーナリズムみたいなことをしているわけでもない。つまり、トム・ウルフはプランクスターズの一員として混ざり込んで活動していたわけではない。アシッドテスト卒業式の直前の<ウェアハウス>にしばらく滞在はしていたようだが、バストリップとかアシッドテストとかそういうものはトム・ウルフが取材を始めたときにはすべて終わっていた。なにしろトム・ウルフははじめは「あの「カッコーの巣の上で」を出した作家が没落してメキシコに逃亡中」みたいなストーリーで取材を始めたのだから。

たぶんそこから、宗教活動の一種の始まりと終わりとを捉える(「インターサブジェクティビティー!」からマジックを失ったプランクスターズのライブまで)を描くという方向で、関係者にインタビューをして、様々な資料を合わせて完成させたもの、というのが本質らしい。その名残ゆえか、メキシコ逃亡時の記載に4章分も費やしているのだが、正直つまんない。一章分にまとめてほしい。

それはさておき、この本のgradesaverとか出ているので笑った。それってつまり、大学だか高校だかわからないけど、この本が読本となって意味とか解釈してるってことでしょ? 「バストリップしているときのキージーの気持ちを答えなさい」とかw まあある種の古典となってるのでしょうね。

トム・ウルフのインタビュー:「私が...書くだけの意義があると思ったのは、それが宗教だったからなんだ。キージーのグループは、原始的な宗教集団だった。... 初期のキリスト教が形成されていった時期に、レポーターになったような感じだったよ。」

amazon調べてみたら、訳書って絶版になってないのな。


東海岸ではティモシー・リアリーが瞑想を助けるものとして使った。白い服を着て、30年後のあれを思い起こさせる格好で。まあ元ハーバード大教授だしな。一方で西海岸ではケン・キージーがもっと雑に使った。つまりパーティー会場でジュース(Kool-aidな)に混ぜて振る舞ったw バカすぎる。


クールエイドの最終章、誰もいなくなったギグでキージーとバッブは掛け合いをしながら、いつしか"We blew it!"に収斂してゆく。イージーライダーでもこれががキーワードだ。どんな訳がよいだろう。「俺ら、台無しにしちゃったな」とか? ドリフっぽく「だめだコリャ」っての考えた。


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