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■ Social Bookmarking Tools (II): A Case Study - Connotea
昨日のつづきです。以下の論文について要点をかいつまんで。注の形で私のコメントも入れておきます。
"Social Bookmarking Tools (II): A Case Study - Connotea"
ソーシャルブックマークの一例としてConnoteaについて概説。
キーとなるコンセプト
- オンラインで文献とブックマークを保存する: オンラインであることによって、文献へ直接リンクできること以外にも、以下の利点の元ともなる。
- タグによる整理で階層性のないシンプルな構成: タグはこれまでのファイル整理でいえばフォルダに相当するものだが、一つの文献に複数タグ付けできること、フォルダのように入れ子にならないことでこれまでの伝統的なファイルシステムによる限界からユーザーを解放する。
- 文献リストを他人と共有: Connoteaが自動的に他人の文献リストとの関連を見いだすことができる。それによって同様な論文をリストしている人が他にどういう論文をリストしているかなどの情報が得られる。
- 書誌的情報を自動的に取得: 書誌的情報をタイプせずにすむことで、タイプエラーを減らし、文献のセーブにかかる労力を下げる。
キーとなる機能
- ブックマークレット: JavaScriptによってブラウザに機能を追加する。これを使うことでかんたんに文献をリストに追加できる。
- 公開アーカイブから書誌的情報をインポート: 現在はPubMed、nature.com、amazonなどから情報の抽出が可能。たとえば、PubMedの記事からPMIDを抽出とか。
- タグ付け: 単語からフレーズまでほぼすべてがタグとして使用可能。
- コメント書き込み: 論文ごとに複数のユーザーのコメントを時系列的にスレッド形式で追加してゆくことができる。
- RSS: 文献リストをユーザーやタグでand/or検索することができ、その結果をRSSを使って新しいアイテムが増えるたびにユーザーに通知させることができる。
二次的に創発してきた効果
- タグの収束: ユーザーは他人が使っているのと同じタグを選ぶようにタグを選択することがしばしばある。これによってそれぞれのタグの使用頻度はpower law的分布を示している。(注: 分布に裾野ができることじたいは、各人の語彙が一般的な言葉で重なるという理由からして当たり前なので、タグの収束(タグ付けをする人が他人のタグに影響されてタグ付けする)が起こっていることを言うためには本当にpower lawかどうかという定量的な検証とか、語彙の分布などからモデルを作って検証する、といった作業が必要なことでしょう。)
- 関連するマテリアルの推奨: 同じタグを使った文献のリスト、関連するタグのリスト(単数複数形やタイポ、意味的に関連するタグ)、同様な文献を選んだユーザーのリストなどを抽出することで、Connoteaはコミュニティによって駆動された推奨システムとなる。(注: Amazonの「この本を購入した人は以下の本も買いました」機能みたいなもん)
- 半自動的なディレクトリページの作成: あるタグでの文献リストはそのタグによるリンクを多く受けているため、そのタグをGoogle検索したときに高い位置にランクされる。(注: これはググるとdel.icio.usやtechnoratiのリストが上に来るようになってきたのと同じメカニズムによる)
将来的な展望
- 機能の充実: プライベート機能。認識できるサイト数の向上。EndNoteなどとの協調。OpenURLへのリンクのサポート。ユーザーグループの作成。(注:これらの大半はすでに対策されている。認識できるサイト数はまだ少ない。ScienceやJNSが採用している方式への対応と、ScienceDirectへの対応とが私の分野では必須です。)
- オープンソースへの貢献: Connoteaの主要な価値はその技術にあるのではなくて、それを使うコミュニティにある。だからコードへアクセスできるようにすること(将来的展望2)やユーザーの要求に応えること(将来的展望1)はConnoteaを向上させる。