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■ Folksonomies – Cooperative Classification and Communication Through Shared Metadata
Folksonomyの基本文献の要約作成。Del.icio.usやFlickrを主な例として。
"Folksonomies – Cooperative Classification and Communication Through Shared Metadata" Adam Mathes
メタデータの作成: 専門家、コンテンツ作成者、ユーザー
メタデータ(文書、書籍などについてのデータ)の作成は訓練を受けた専門家によって行われてきた。図書館ではOPACとか。しかしWWWのような巨大なデータがあるところではそれでは追いつかない。一つのやり方はコンテンツ作成者がメタデータを作成するというもの。もうひとつはユーザーが作成するというもので、GoogleのPageRankもリンクという形での非明示的なメタデータ作成といえる。もう一つのユーザーによるメタデータ作成の例はブログで、リンクにコメントをつけることで明示的なメタデータ作成をしているといえる。
Del.icio.usやFlickrでのタグ付け
Del.icio.usではユーザーがタグ付けするのに対して、Flickrではコンテンツ作成者が自分のデジタル画像にタグ付けする。
タグからFolksonomyへ
Folksonomyでは名前空間がフラットである、つまり、階層構造がない。
Del.icio.usで多く使われるタグは技術的な話題に関するものでユーザーの興味を反映しているが、"toread" "wishlist"などは性質が違っている。
Flickrでのタグは多くは固有名詞だが、興味深いのは"cute" "me"だ。
Folksonomyは「分類」と言われるけれど、実際に行われていることは「カテゴリー化」だ。
Folksonomyの弱点
- 曖昧さ: 「フィルタリング」というタグではスパムフィルタからウォッカのフィルターまで引っかかる。ANTという略語は分野によって指すものが違う。
- 複数の語: Del.icio.usやFlickrではもともとタグには単語での使用を想定しているのでスペースが使用できない。
- 同義語: mac、macintosh、appleは"related tag"の機能で結びつけられている。
Folksonomyの長所
- おもしろいものを探しているのか、質問の答えを探しているのか: Del.icio.usやFlickrは明確な質問の答えを探すのにも使えるだろうけど、思いもかけなかったおもしろいものを見つける(セレンディピティ)ところに強みがある。
- Desire lines: Folksonomyはユーザーのボキャブラリーを直接的に反映する。専門家がボキャブラリーの分類をするときの開始点として使える。
Folksonomyがうまくいく理由
- 参加するための障壁、認知的なコスト: ユーザーにとって、厳密な定義によるボキャブラリーの知識とトレーニングを必要としない。時間、労力、認知的コストの点で参加することがより容易である。厳密さには欠けるそれでは重要なメタデータをfolksonomyで得られることは確か。
- フィードバック、非対称的なコミュニケーション: 同じタグを使っている話題が人がすぐ見つかるという点でフィードバックが早い。ユーザーの自分のタグ付けを修正して多く使われているタグに適応させる、という点で非対称的なコミュニケーションが行われている。
- 個人的側面、コミュニティ的側面: Del.icio.usでの"toread"タグ、Flickrでの"me"タグのようなユーザーの個人的コンテキストでのみ理解可能なタグが使える。一方でタグの適応のようなメタデータを介したコミュニティの形成が起こっている。Folksonomyは協調することへの障壁を下げる。付けるタグを自分で決められる点が重要で、タグを共有しようという欲望が生まれる。Del.icio.usもFlickrもソーシャルネットワーク的要素が埋め込まれている。
- 予期しなかった使用法: Flickerの"sometaithurts"タグや"flicktion"タグでの遊び。
さらなる研究の必要な領域
- タグの定量的な解析: タグ使用の分布のpower lawを解析して、folksonomyでのタグの収束を検証。
- ユーザーの定性的な解析: ユーザーへのインタビューなどを通して、どんな要因がfolksonomyの形成に影響を及ぼすかを明らかにする。
- 他のシステムへの応用可能性: ソーシャルネットワークやイントラネットなどへの応用可能性。伝統的な情報分類への補完。
結論
Folksonomyのコントロールがないという点は分類の不正確さや曖昧さなど専門家が補完できる部分がある。ぎゃくにタグ付けの自由さはユーザーのニーズを素早く反映し、多くのユーザーの参加を促す。どうあれ、専門家による分類からユーザーによる分類という方向性の変化は追求されるべきだし、将来的なシステム発展のために考慮されるべきだ。