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■ Episodic-like memory
ご隠居のところに関連記事あり。おお、ちょうど偶然、大学院講義のネタ調整を兼ねて、セミナーで"Episodic memory in human and Episodic-like memory in animal"というテーマを扱ったところです。採りあげた論文は以下の通りです。
- '72 "Episodic and semantic memory." Endel Tulving. In E.Tulving & W. Donaldson (Eds.), Organization of memory.
- Science '97 "Differential Effects of Early Hippocampal Pathology on Episodic and Semantic Memory." F. Vargha-Khadem, D. G. Gadian, K. E. Watkins, A. Connelly, W. Van Paesschen, M. Mishkin
- Nature '98 "Episodic-like memory during cache recovery by scrub jays." Clayton NS and Dickinson A
- J Comp Psychol '99 "Scrub jays (Aphelocoma coerulescens) remember the relative time of caching as well as the location and content of their caches." Clayton NS and Dickinson A
- Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci '01 "Episodic memory and common sense: how far apart?" Endel Tulving
- Nature Neuroscience '02 "Effects of extensive temporal lobe damage or mild hypoxia on recollection and familiarity." Yonelinas AP et.al.
- Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci '01 "Components of episodic memory: the contribution of recollection and familiarity." Yonelinas AP
- Nature '04 "Recollection-like memory retrieval in rats is dependent on the hippocampus." Fortin NJ, Wright AP & Eichenbaum H
- Neuropsychologia '04 "Dissociable correlates of recollection and familiarity within the medial temporal lobes." Ranganath et.al. (Andrew P. Yonelinas + Mark D'Esposito)
基本的な筋は、二つのanimalでのstudy(ClaytonのアメリカカケスとEichenbaumのラット)を主軸に、そこへ至る道を描く、という感じです。
そのうち解説を編集して掲載します。(Claytonに何度も言及している割りにはいまだにそのタスクについてここで説明したことないし。)
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- / 投稿日: 2004年10月07日
- / カテゴリー: [Episodic-like memory] [大学院講義「記憶の脳内機構」]
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# ご隠居
いやあ,第一線の研究者による臨場感あふれたすばらしい講義になりそうですね.院生にはちともったいない!?日本にいるならぜひもぐりに行きたいところです.それともWeb中継?
# pooneilいやいや、以前やったClayton論文のJCの再利用です(昔のpowerpointみたら2002年4月18日になってたけどこのときもうご隠居は在籍してませんでしたっけか)。内容は徐々にこの場に掲載してゆくつもりですので、(とくに)神経心理学的側面に関するご隠居のツッコミを期待します。じっさい、WMS(のsubset)のrecallができなくてWAIS-Rの語彙テストとかができる、とはいったいどんな感じ(feel like)なんでしょうね。
# ご隠居あ,失礼しました.昔のファイル探します...いや,冷静になって考えてみたら,すでに引退後です.歳歳年年人不同...
# ご隠居そうでした,WMSの想起ができなくて,WAIS-Rは大丈夫,というのは,成人の側頭葉内側面障害では時々見られることだと思います.ヘルペス脳炎後遺症(結構多い)や,HMさんのような症例が相当しますね.それは,ただ単に語彙は記憶障害の発症前に獲得されたということを示すだけで,あまり不思議じゃないですが,(ご本人はもちろん大変なご苦労をされておられるとは思うのですが,ノートを取ればある程度記憶障害がカバーできるので,職場復帰をされた方も多々いるという話を聞きます).ただ,重度の記銘力障害がある状況で,新たな意味記憶を獲得できるかどうかは,一般的には難しい問題ですよね.急性期の症例報告はあるのですが,それは急性期だからそんなこともあるのでは,っていういかにも臨床家らしいごまかしでやりすごすとしても,developmental amnesiaはどういうことなんでしょう.やはり子供の脳はさらに難しいですね.
# ご隠居あ,ついでなので.Wernicke-Korsakoff症候群(主なものはVitB1欠乏症による間脳・乳頭体の障害)でも臨床像はちと違うのですが同様な状況が起こりえますね.カップラーメンと飲みで生活しているような学生さんで発症してしまうのをたま見ます.栄養のバランスにはきおつけませう.
# pooneilさっそくありがとうございます。JCは引退直後でしたね。そういうわけで、Vargha-Khadem et.al.(=MishkinのScience ’97)でのdevelopmental amnesiaで、発症後に語彙などの意味記憶を獲得している点はやっぱり不思議なことですよね。Korsakoff症候群か、むずかしい。Hippocampus-fornix-mamillary bodyの系とかってanimal modelではGaffanとかしかやってないのではないでしょうか。どうやって組み込んで理解すればよいんだろう。海馬=episodic and recollection、rhinal cortex=semantic and familiarity、という単純なストーリーに落とし込んでおいてから、本当はそんなに簡単じゃないとフォローする、ということを考えていますが、それにしても複雑すぎますな。
# pooneilあ、もちろんfrontalの寄与は当然ではありますが。というかimagingでふつうにRK judgmentやっても海馬やrhinal cortexのactivationが出てこないので、いろいろやってなんとか出したのが上記のNeuropsychologia ’04である、と理解しております。