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■ 「マーフィーの法則」は実在する!?――科学者がその方程式を作成

10/7 「マーフィーの法則」は実在する!?――科学者がその方程式を作成
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なんだこりゃ。というわけで元ネタを探索して見つけました、British gasのプレスリリース。"British Gas : latest news : The formula that proves that 'Sod's Law' really does strike at the worst possible time."
つまり今回の話はこういうことらしい。あるマーフィーの法則的な状況(たとえば「急いでいるのにタクシーが来ない」)での5つの要因についてスコア化(0-9)します。どのくらい緊急か(U)、どこくらいややこしいか(C)、どのくらい重要なことか(I)、どのくらいそれに対処する技術を持っているか(S)、どのくらい頻繁に起こるか(F)。そうすると、
マーフィーの法則度の高さ = ((U+C+I)*(10-S))/20 x 0.7 x 1/(1-sin(F/10))
で、0-8.3の範囲の値をとり、高ければ高いほどマーフィーの法則っぽいと定量化できる、というわけです。(U,C,I,F=9でS=0のときに最大43.6の値をとりうるので、実際の事例では8.3という意味でしょう。F=9のマーフィーの法則なんていやだし。)
5つの要因についてどうスコア化するかは個人差があり、それによってある状況がどのくらいマーフィーの法則的であると受け止めるかの個人差を説明できる、こういう意味なら、そんなにおかしなことを言っているようにも見えません。原文では左辺は「マーフィーの法則の起こる確率」だけど、上のように理解したほうが本当でしょう。
具体例でやってみましょう。

  1. 「待っているのにタクシーが来ない」
  2. 「大事な会議の前なのにタクシーが来ない」
  3. 「大事な会議の前で遅刻寸前なのにタクシーが来ない」
1から2で重要性(I)が上がり、2から3で緊急性(U)が上がったにもかかわらず、3の頻度(F)が1や2よりそんなに下がったように見えない、こういうときに3は1よりもよりマーフィーの法則的状況であるといえるわけですよね。
ようするに頻度(F)が最も重要な要因だと思うのです。つまり、U+C+Iが大きくなってもFが小さくなったように感じないという認知バイアスこそがマーフィーの法則なわけで、そういう形で定量化できるのではないかと。そういえば、以前のプロスペクト理論のところで、「小さい確率で起こる事象を過大評価する」というのがありました。
せっかくなのでいくつかリンク:
ところで、なんでこんなことをBritish gasがわざわざ研究者に依頼してやってるんだろ。「急に寒くなったときにかぎって風呂のボイラーが故障する」を検証したかったんでしょうか。その公式になぜかsinとか入ってるところにジョークであるというサインを感じ取るわけですが、イグ・ノーベル賞を狙っているのでしょうか。


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