[カテゴリー別保管庫] Two-photon in vivo imaging

ニューロンの活動を電極でひとつずつ記録してゆく'single-unit recording'と、脳全体の活動を見ることはできるけれども個々のニューロンの動態はわからない機能イメージング(fMRIなど)、この両者が抱える限界を克服するために個々のニューロンの活動を広い範囲から光学的に同時に記録する方法論が発展してきている。

2005年01月22日

Nature AOP 1/19

"Functional imaging with cellular resolution reveals precise micro-architecture in visual cortex." KENICHI OHKI, SOOYOUNG CHUNG, YEANG H. CH'NG, PRAKASH KARA and R. CLAY REID [ris format]
via ご隠居のにゅーろん徒然草 1/22
20041105でのSFNレポートで言及した大木さん@CLAY REID研のin vivo two-photonでのfunctional imagingの仕事がNatureのAOPに掲載されてます。おめでとうございます! Figure 1-3はSFNでも見たもの、Figure 5はあった気もするけど覚えてません(でも当然必要なもの)。Figure 4を見るといかに劇的にpreferred directionが変化するかがよくわかります。
この技法をもとにいろんな知見が出てくると思いますが(他の属性のマップはどんなか、anatomyとの対応はどんなか、whole-cellとの組み合わせでもっといろんな操作をする、behaving animalでの応用、ときりがない!)、それは続報待ちということでしょう。
それから、2005年以内出版を目指して追っかけてくるラボがどのくらい出てくるか、それとも独走するのか、さまざまなラボが参入するような標準的な技法となるのか、これはもう目が離せません。


2004年11月05日

SFNレポートのつづき

646.2 "TWO-PHOTON CALCIUM IMAGING OF VISUAL CORTEX: ORIENTATION MAPS WITH SINGLE-CELL RESOLUTION" Clay Reidラボ。これは間違いなくすごい。おめでとうございます(1stの方とは同じラボ出身です)。
In vivoでtwo-photonを使うことで、catおよびratでの初期視覚野のorientation mapをイメージングしました。以前からoptical imagingによってintrisic signalやvoltage-sensitive dyeでの膜電位変化測定によって初期視覚野に方位をコードするようなマップがあることが示されています。つまり、たとえば2mm * 2mmの皮質の中で縦棒にいちばん強く反応するニューロンのある領域から斜め45度、そして横棒に反応する領域、というふうになだらかに繋がってまた縦棒に反応する領域まで繋がるような方位地図が初期視覚野にはあります。ほかにも右目からの入力に反応する領域と左眼からの入力に反応する領域とが交互にモザイク状に見える眼優位性マップもありますし、網膜上のどの位置での刺激に反応するかが連続的に表現されているretinotopicマップ、といったいろんな視覚情報の属性が初期視覚野の表面に重ね書きされてマップ(写像)されているわけです。しかしこの2mm * 2mmの領域の中には無数のニューロンがあるわけで、これまでの技術では個々のニューロンの活動ではなくて、それを空間的に平均したような活動としてしか見ることができませんでした。そのような平均的活動と個々のニューロンとを対応付けるためにこれまではoptical imagingをしながらsingle unit recordingをする、とかそういうことをやっていたわけです(たとえば、pinwheel centerでのニューロン活動を記録したScience '97 "Orientation Selectivity in Pinwheel Centers in Cat Striate Cortex" Bonhoeffer)。でも、いちばんいいのは、見たいところの全部のニューロンの活動をモニターすることであるのに決まっているわけです。んで、平瀬さんのセミナー関連でも話題になりましたが、In vivoでtwo-photonを使うことで、生きている個体での脳の情報処理を個々の細胞での活動がわかるような形でモニターする、ということの将来性と可能性に注目していたわけです。私は以前(8/9)こんなふうに書きました、おそらくこれはもう競争であろう、他の方法論で見たものを追試しました、からtwo-photonでなければ見れないものが出てくるまではあと5年はかかるでしょうか、それとも2年で出てくるでしょうか、と。しかしこんなに早く出てきてしまいました。
内容説明を:麻酔下でいろんな方位の視覚刺激を呈示して初期視覚野でのCa動態をtwo photonでイメージングすることで300micron * 300 micron程度の広さの領域の個々のニューロンでのCa動態を調べることで、個々のニューロンの方位選択性を調べたのです。すると、optical imagingで見た方位マップと同様なパターンで個々のニューロンがその位置ごとにある方位をコードしているものから違った方位をコードしているものへと移行してゆくのが見られた、というわけです。
はじめ見たときにはある意味optical imagingの再現だから、もっとこの方法ならではのものを見るためにはと考えていくつか質問(pinwheel centerから記録してないのかとか)したりもしたのですが、ガヤ含む他の皆さんの反応を見て、すでに十分インパクトのある仕事であるのは間違いないと思い直しました。今まで見ていたoptical imagingのマップが個々のニューロンのどういう反応からできているかをみた人などいなかったのですから。けっこう揃っているんだな、というのが印象でした。Interneuronはどのくらいイメージングできているのか、とか個々のtuning width自体はどのくらい違うのだろうか、とか聞きたいことはたくさんありますが、もうこれは論文になってどんどん出てくることでしょう。
それにしてもすごい。このすごさの一端は、in vivoで個々のニューロン測定するには脳の拍動などの動きの問題を解決しなければならないわけですが、optical imagingと違ってtwo photonではニューロン一個分のズレが起こったらもうイメージングのデータは台無しなわけですから、そのへんはかなりシビアなはずで、そこを克服した点にあると思います。それにしても、方位マップを作ることができるということは、眼優位性マップだろうとretinotopic mapだろうと作れてしまうわけです。もうこれはそのへん独走できてしまうのではないでしょうか。Intrinsic signalやVSDによるoptical imagingもこうなると廃業ではないでしょうか。もちろん、optical imagingの全てがすぐのり越えられるわけではないでしょう。Optical imagingでは5mm * 8mmとかかなり広い領域のマップを作れるわけですし、前述のmotion artifactの問題からして、Grinvaldとかがやっているin vivoのawakeのbehaving animalでのoptical imagingの成功というアドバンテージはしばらくは残ることでしょう。また、Caイメージングなので、VSDほどには速い応答を取ることはできません。8/9のryasudaさんのコメントにもあるように、VSD使ってtwo photonというのは難しいようですし。
しかし、時代はここまで来てしまいました。fMRIだってはじめは1Tもないような磁場のマシンをつかっていたのに技術のスタンダード化とマシンの普及とによってどんどん高磁場のマシンができて、より詳細なマッピングが可能になっていきました。同様にしていくつかの点でtwo photonでのスキャニングに関しても進歩が見られることでしょう。来年のSFNではこのへんがどっと出てくるはずです。現在のfMRIによる研究のような盛況になる日が来るかどうかはわかりませんが、behaving animalでの応用、個々の細胞ではなくて細胞内動態を調べる方向性、caged試薬による刺激との組み合わせ、いろんな可能性があります。
ちなみにin vivo two photonで哺乳類で、というあたりで検索すると:

あたり。このうち、functional organizationと結びついていると言えるのはArthur Konnerthでのwhisker stimulationですが、これよりも今回の発表はずっとインパクトがあると思います。(追記:ryasudaさんのコメントにもあるように、このへんはもう少し歴史を遡って確認しておく必要がありそうです。)
追記:というわけでリストを補充しておきます。
ryasudaさんご指摘のKarel Svobodaの一連の仕事:
などなど(Natureのみ選択)。それからkkitaさんによる追加分:
どうもありがとうございます。追記ここまで。
脳機能の解明においての究極は脳(と脊髄と末梢)の全てのニューロンの記録をモニターする、というものですが(この仮想的状態は、そのときに私たちは使えるコーディングとデコーディングのアルゴリズムを持っているだろうか、とかそのときに私たちはその個体を取り巻く環境と環境と個体との相互作用とを全て命題化することができるのであろうか、といった問題とカップルしているのですが)、まだまだそれにはずっと遠いにしても、それへの第一歩であるということは言えると思うのです。

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# ryasuda

こんにちは。In vivo 2-photon Calcium imaging といえば、Svoboda K, Denk W, KleinFeld D, Tan DW 1997, Nature385:161-5を忘れずに! Sharp electrodeで刺しています。今回のSFNではHelmchenのところで、awakeのdendritic calcium をかなり一生懸命みてましたね。2-photonで1このspineでさえ追えるわけで、細胞レベルではpulsationはあまり問題にならないのでは?

# pooneil

あー、なるほど、そういう意味では、私のほうはin vivo two-photonでの機能イメージング(多ニューロンからの同時記録)に気が行っていたけれど、in vivo two-photonで細胞内のCa動態を調べるような研究はすでに長い歴史があるということですね。Ratのbarrelでの応答の機能イメージングという意味でもArthur KonnerthのPNASがいちばん最初なわけでもないですしね。ご指摘ありがとうございます。もう少しそのへん整理して踏まえておく必要がありそうです。

# kkita

はじめまして。Reidグループのやつは、本当にすごいです!特に、最後のFigureのCatのdirection mapには、感動しました。方位カラム(というのかな?)がわずか20ミクロンくらい(すなわち1〜2個の細胞)のオーバーラップだけできっちり分かれているというのが、画像ではっきり見えてましたね!Dendriteのオーバーラップはそれ以上あるだろうに、どうなってるのか境界にある細胞にパッチしてみたい!あそこまで行ってたらあとはやるだけ(!)なのでそのうち面白いことがどんどん出てくるでしょうね。自分でやってみたいくらいです。in vivoのtwo-photonイメージングの仕事としては、Ryoheiさんが挙げておられるSvobodaらの一連の仕事の他に、Margrie et al., Neuron, 39, 911?918 (2003) Waters et al., J Neurosci. 23(24):8558?8567 (2003)Hasan et al., PLoS Biol. 2(6):763 (2004)などがあります。in vivoのtwo-photon imagingは全体として、まだまだ手法の開発だけにとどまってる仕事が多いですが、これから面白いことがたくさん出てくると思います。ではでは、これからもよろしくお願いします。

# ryasuda

kkitaさん、あの絵は私も仰天しました。しかも、あの境界の細胞は2つきれいにdirection sensitivityがあるんですね。

# pooneil

kkitaさん、論文の追加どうもありがとうございます。SFNではお会いできませんでしたね。「Dendriteのオーバーラップはそれ以上あるだろうに」「わずか20ミクロンくらいのオーバーラップ」このへん不思議だしいろいろ興味はありますが、そのへん時間の問題でどんどんアウトプットとして出てくることでしょう。論文として出てくるのがほんとうに楽しみです。ryasudaさん、おもしろいですよね。Orientation(0-180deg)とdirection(0-360deg)のマップとをどう重ね合わせるか考えると、あるorientationをコードする領域がそのorientationとはorthogonalな二方向のdirectionをコードするものに分かれるということで、理にかなってますしね(Cerebral Cortex ’03 ”The Spatial Pattern of Response Magnitude and Selectivity for Orientation and Direction in Cat Visual Cortex”)。ああ、このへんもっと勉強しなければ。

# OK

pooneilさん、お久しぶりです(といってもSan Diego以来)。kkitaさん、ryasudaさん、takashiさんの飲み会ではあまりお話する機会がなくて残念でした。みょうに、2p関係者の多い飲み会でしたね(takashiさんのせいか)。励ましのお言葉ありがとうございます。ちなみに、CreyではなくてClay(粘土)です。

# OK

脳の拍動はやはり問題です。マウス、ラットなどでは、特に何もしなくても拍動は1um以下なのでspineまで見えるのですが、ネコの場合は、普通にやると10um以上動いてしまいます。しかしながらこの問題は、ネコからvivo patchをしているグループの間では解決済みの問題で、気胸および背骨吊り等の処置で、2um以下くらいに抑えられます。Spineも見ることが可能です。

# go-in-kyo

OKさん,大変ご無沙汰しております.なるほど.そうだったのですか.ところでhigh frequency oscillatory ventilationなんてつかっていたりしているひとはいますか?(単に高くて面倒なだけかもしれませんが)

# OK

うちでも購入計画はありますが、まだ予算がついていません。

# pooneil

おお! OKさん、ようこそいらっしゃいました。どうもありがとうございます。SFNではほとんどお話できなくて残念でした。ポスターも大混雑で入り込めなかったので、2nd author(インド系の人)にあれこれ聞いてました。恥ずかしながらずっとCreyだと思ってました(過去の日記でもずっと誤記してたので直しました)。どうも失礼しました。ポスター内容の説明に関しても勘違いなどあるかもしれませんので、必要に応じてご指摘ください。たとえば、自分のコメントを読みなおしてみると、orientation mapとdirection mapとどっちだったかごっちゃにしてるところがありますが、ポスターに出してたデータ自体は8方向のdirectionに対する応答だったということでよろしいですよね?


2004年08月09日

平瀬 肇さん@理研

平瀬 肇さん@理研の河西研主催でのセミナーに関して8/4に掲載しましたが、コメント欄に平瀬さん本人が登場してくださいました。先日コメントアウトした話題はもう学会でも発表済みとのことですので、論文に掲載されるであろうことにしぼって以下に掲載します。



後半はNeuroscienceにin press(まだArticle in Pressには出てきていない模様)の内容ということでした。こっちのほうが私の興味を引いて、いくつか質問もしました。In vivo imagingで毛細血管の血流量を計測してやる、というもので、fMRIで使われるBOLD シグナルやPETで使われるrCBFに対応するであろう赤血球の流速を直接的に測定してやろう、というわけです。これは将来性があるでしょう。ラットの尻尾からFITC dextranを静注して、毛細血管の中を走る赤血球の流れをimagingする、というものでして、毛細血管の直径と赤血球の直径は同じくらいなので、毛細血管の中を赤血球が走っているところではFITC dextranによる蛍光が弱くなる。ビデオを見ましたが、赤血球一個一個によってできる縞模様が実際に流れていくのが見えるのです。これを使うことで、毛細血管の中を赤血球が流れる流速no of RBC/secを計算できるというわけです。んで、bicucullineを局所投与してやるとそのまわり300micrometerくらいで血流が上がるのを見た、というわけです。んで、私の質問は(1) basal levelでpulsationなどによるoscillationは起こっていないのか、(2) basal levelで流速はどのくらいの空間スケールで同期しているのか、ということでした。どちらもfMRIなどのimagingのbackgroundになるであろう情報を期待していたのだけれど、私の英語が悪かったせいか、あまり理解してもらえなかったようでした。
(1)への答えは実際にそういう成分が乗っているのを周波数解析で見つけている、とのことでした。In-vivo behaving animalでの応用をするときには、pulsationやbreathingなどによるノイズが乗っているようだと試行の加算が必要で、one-trial levelでのimagingへの活用は難しくなってしまうだろう、という意図だったのですが、これに関しては河西先生のほうがもっと的確に質問をしていました。Trial levelでのfluctuationに関して、CV=std/meanの図が出てきて、けっこうばらついていることを示していましたが、むちゃくちゃランダムなノイズが載っているというわけでもなさそう(fano factor<<1だったし)でした。それならone-trial imagingにも使えるかもしれない。つまり、trial間の行動のvarianceを神経活動のvarianceとして関連付けるようなstudyにも使えるようになるかもしれない。
(2)の質問に対してはbicucullineの効きの広がりが300micrometerであることを最初に示していたのだけれど、それはbicucullineの広がり自体の問題もあるから、それが私の聞きたかったことではなかったのです。fMRIの最小可能解像度がどのくらいか、という問題だったのです。つまり、たとえばV1のocular dominance columnを活動させたとします。BOLDシグナルがocular dominance columnの形(~ 0.6 mm x 0.6 mm)に変動するとしたら、~0.3 mm x 0.3 mmのvoxelが四つくらいつながって活動が上がってこさせる必要があります。ちなみに田中啓治先生のところのNeuron("Human Ocular Dominance Columns as Revealed by High-Field Functional Magnetic Resonance Imaging.")では4TeslaのfMRIでocular dominance columnを0.47mm x 0.47 mm in planeで何とかギリギリ出していました。Depth方向には厚みがあってもよいように角度を決めてやった、というのがミソですな。しかしそのようなBOLDシグナルは毛細血管を走る赤血球の流れによって決定付けられ、しかも毛細血管は周りの血管とつながっているので、そんなにある局所が周りとは独立に流速が上がるなどということはありえないわけです。このため、赤血球の流速がbasal lebel(であれ、evoked responseであれ)でどのくらいのfluctuationと空間的相関を持っているかがBOLDシグナルの空間解像度のリミットを決めるであろう、と考えられるわけです。ただ、これは現実的には難しい問題を抱えていて、脳の活動自体もongoing activityのような空間的相関を持っている可能性があるので、流速のbasalでの空間的相関からは、[血管がつながっていることによる相関]と[神経活動が空間的に相関を持っている可能性]とが切り離せないのです。しかしそれでも流速の直接的なデータを持っているならば、いくつかの条件をふってcalibrationすることでそのような相関を分離することはできるかもしれません。
(3) なお、その場で質問しませんでしたが、時間解像度の問題としても非常に興味深いものです。BOLDシグナルはニューロンの活動によるエネルギー消費によってオキシヘモグロビンからデオキシヘモグロビンに変化するのを見ていて、実際のニューロン活動からは数secの時定数を持って上がってきます(haemodynamic response)が、実際の流速が神経活動からどのくらいの遅れを持っているのか、ということは重要で、流速のtime courseがわかればhemodynamic functionをdeconvolveできるのではないか、などと期待してしまいます。スライドでちょっと出てきた、imagingと電気生理の同時測定でbicucullineをapplyしたものでは、かなり速い応答で流速が神経活動に追従しているのを見ましたけど、実際の遅れはどのくらいかは見逃しました。
ということを発表後にもう一回聞こうかと思ったんだけれど、時間がなかったので河西先生と少し話をして退散しました。
なんにしろ、このへんはもう競争ですな。ここ何年かで結果は出てくるでしょうが、他の方法論で見たものを追試しました、からtwo-photonでなければ見れないものが出てくるまではあと5年はかかるでしょうか、それとも2年で出てくるでしょうか。現在のin-vivo two photonはfMRIの歴史でいえば、まだFristonによるSPMの整備もなければ、PETと比べてどのくらいアドバンテージがあるかまだはっきりとはしていなかった1992年ころの状態にあるのではないでしょうか(専門家のツッコミを待ちます)。
どのくらいの広さをスキャンできるのかの問題でしょうけど、たとえば最小限、麻酔下のcatのV1のocular dominance columnの隣り合った二つくらい、もしくは麻酔下のratでbarrel cortexの隣り合った領域くらいをimagingすることができるならば、システム的な解析ができるデータが得られるのではないか、と期待しています。
そういうわけで、関連する論文。

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# Gould

非常に興味深いです!素晴らしい。ど素人ですが、質問は研究の華なので、質問させて下さい。two photonでのイメージングでは電位感受性色素などが用いられる場合があると思うのですが、この研究で用いられている手法はそれと比べてどのようなアドバンテージが考えられるのでしょうか?

# ガヤ

平瀬さんのその論文の何に感動したって、データ自体とデータ処理の堅実性もさることながら、その発想にです。私もvivoで神経活動をイメージングしようと試行している最中、血球が流れるのは何度もこの目で見ているのです。しかも鮮明に見えるんですわ、これが。でも、神経の可視化で頭が一杯だった私には、血球の動きは“私の目的を妨げる邪魔物”くらいにしか感じなかったわけです。目の前に見えている現象をBOIDと関係付けようという発想はなかったんですね。平瀬さんが言うには、それ関連の論文は、(Confocalでは?)すでにあるとのことでしたが、私はひどく問題意識の持ち方が足りなかっなあと、その時感じましたね。このレベルの人間にはセレンディピティーはやってこなさそう ── もっと気合いを入れないとっすね。というわけで、平瀬さんはホントに素晴らしい研究者だと思ったのです(え?私と比べるなって?)

# ryasuda

Karelのところに来て、この方法でみた血流と、intrinsic imagingと比べようとしてた人がいました。結局共同研究まで発展しなかったのですが。とりあえず、neuro-activityとどのような関係になってるのかがkeyですね。Gouldさん。電位感受性色素とは、まったく違うものを計っている、ということですよね。電位感受性色素は多分EPSPのような遅いやつが良く見えて、カルシウムではAction potentialが良く見える。血流変化は、そのずっとdown-streamなので、解釈はやや難しいんではないかな。少なくとも、fMRIの解釈には役に立ちますね。ちなみに2-photonではまだ電位感受性色素を測定するのは難しくて、普通はCCD+1-photonだと思います。PMTではこういう高signal、低SNRの測定には向いていないんですよね。

# ガヤ

BOLD関連は私はあまり詳しくないのですが、やはり個人的には、上のリストにも挙がっているLogothetis et al.「Neurophysiological investigation of the basis of the fMRI signal(Nature 2001, 412:150-157)」がArticleで出たときのインパクトがとても強いのです。この論文の評価はその後どうなんでしょうか? コンセンサスが得られたと考えていいんでしょうかね。

# Ryo

神経細胞生理の分野で研究している側からみて、結局fMRIで見える活動って何を反映しているの?!という思いがずーっとありました。Nature(2001)の論文はインパクトでかかったですが、具体的に神経細胞orグリア細胞の(時空間的)活動とパラレルなのか分ると、細胞生理研究との距離がグッと縮まるのでしょうね。前職の慶應医学部のすぐ傍に「小川脳機能研究所」がありまして、所内を何度か案内してもらいました。fMRIの被験者登録をしてたんですが、留学のために被験者になれませんでした。ぜひ自分の脳を見てみたかったなぁ!残念。電位感受性色素はマスで見ている場合、細胞の活動が同期してないと活動電位由来シグナルもEPSP由来シグナルも加算されて、おそーいのっぺりシグナルになってしまいます。遅い奴が見えるというより、全部遅いシグナルに見えちゃうという感じかも。あら、何の質問にもなってないや。また次回。

# ガヤ

さらにRH482などの色素では、マスで見ているとグリアの膜電位(←周辺の神経活動に伴って遅延性の脱分極が起こる)まで反映されてしまうんですよね? ここら辺の話題はたぶんRyoさんがお詳しいのではないかと思いまして。 というかGlutamate TrasporterのUptakeによるNa+流入でそこまで膜電位が変化するんですね。やはりGlial Feetが細いからなんでしょうか。

# Ryo

Glutamate TranspoterはNa流入で十分脱分極します(Kojima et al, JNS, 1999)。グリアにパッチしてトランスポーター電位(電流)を測ってみるとよく分ります(Diamond et al, NEURON, 1998)。パッチでは細胞体周辺の電位を反映しているのに対し、膜電位色素では脱分極している突起上の膜電位変化を捉えていると思われます。グリアのCable特性やLeakCurrentを考えると、突起先端では結構デカイ電位変化がおきていると思われます。しかし色素によって神経に染まりやすかったり、グリアに染まりやすかったりするのはいったい何故なんだろ。

# ガヤ

Ryoさん、どうもです。さすがレスが迅速で的確! カルシウム色素では場合によっては、じつはミトコンドリアを測っているなんてこともありますから、色素による細胞局在の差もまた重要ですよね。なぜ差がでるのかはやはり謎です。

# はじ

(1) 血流オスシレーションについて、(毛細血管の)動脈側で計測すると、心拍と同期化したオスシレーションがはっきりと見えます。心拍のオスシレーションや、呼吸のオスシレーションの影響もあるので、2,3分のイメージングを平均化したデータでなければきれいな結果は見えないということでしょう。また、交感神経、副交感神経レベルでのゆっくり(10分から1,2時間の周期単位)とした血流量の変化もある(らしい)のですが、これは、測り(れ)ませんでした。(2) 局所癲癇フォーカスの300μm以内で、しっかりとした血流量の勾配がみられているということは、毛細血管の血流量レベルでは現在fMRIで計測できる解像度よりも精密に機能していることを示唆しているように思えます。。最近のアストロサイトの毛細血管の口径の制御(Zonta et al 2003)の知見もふまえて、これからが面白い展開になってゆくのではないでしょうか。Basalレベルでの同期ですが、(これは論文にも書きましたが)、ガルボスキャンの方式では、一回のイメージングで観測できる血管はせいぜい二つまでなのです。ニポを含めて、イメージング速度の発展が望まれます。3) ひげ刺激や、におい刺激では、1〜3秒後の血流の反応が見られますが(kleinfeld 1998, Chaigneau 2003)、例の癲癇スパイクでは、スパイクが起こるのが2、3秒間隔なので、あまり(数例を除いて)きれいなスパイク対しての反応はみられませんでした。せめて、癲癇スパイクが10秒に一回くらいの間隔で出てくれると助かるのですが。ガヤさん:あの血流イメージングは昔から共焦点でも二光子でもされてたことです。あの論文で、あえて新しいのは、脳波計測電極に蛍光色素を含有させて、計測した血管と脳波の物理的距離をしっかりと測定したことくらいでせふ。

# Atlus

素人質問で、すみません。In vivoでの2光子イメージングに興味を持っています。僕は、かつてin vivoで研究をはじめましたが、どこに薬物が効いているかはっきりしないので、さっさとin vitro系へと変更してしまったクチです。現在のin vivoでの2光子励起の時空間解像度、限界の深さはどの位まで達したのでしょうか?また、下の書き込みから勝手に推測してしまいましたが、アストロサイトは、血管とニューロンとを結びつけているため、脳表に蛍光色素をかけてもアストロサイトが選択的に染まるということでしょうか。もし、とくに蛍光色素を運ぶ系がないなら、なんらかの孔(gap junction?)でつながっているがあるのでしょうか?直経のことなる蛍光色素を使用したら、その孔の大きさとかはかれるんでしょうか?

# ryasuda

2-photonは、普通のSettingだと普通は200umくらいが限界かな。Pulse-regenerator + x20 NA0.9のObjective(低倍が大事) + custom optics etc.. で、1000umくらいはいけるはず。M.Oheim et al., Journal of Neuroscience Methods 111(2001)29-37が詳細を論じてます。きちんと深さを定式したのは、このOheimの論文が始めてでしょう。Astrocyteは、AMがなくても、簡単に入る水溶性の色素もあるらしいですよ。血管と直接はつながってないと思いますけど。膜にいろいろなtransporterがあって、ものを取り込みやすいのかな?

# ガヤ

 おお、1000umまでいけますか。我々もx20 NA0.95を使ってますが、なかなかそこまで深部は鮮明には記録できません。脳スライスの厚みくらいなら余裕で透過しますが。。。Karelのところの2光子は良くTuningされているとCarlosから聞いています。 アストロと血管細胞のカップリングについてはJ Comp Neurol 429(2001)253-269などが参考になるかと。他にも文献があったような気がしますが、ちょっと今は思い出せなくてすみません。いずれにしてもryasudaさんがおっしゃるように血管内腔から直接グリアにつながっているわけではありませんね。

# Atlus

なるほど。1000umまでいけるんですか。すごっ。生きている動物で、uncageとかもできたら、おもしろそうですね。勉強になりました。

# pooneil

はじさん、ご返答ありがとうございます。論文が手に入るようになったところで、neuesが何であるかということも併せて、また検討させていただきます。

# ご隠居

Logothetis et al. (2001),確かにインパクト高かったですね.どのような点が皆さんの強い印象に残っているのでしょうか?synaptic vs. spikingという観点では(そんなに話は単純じゃないと多くの方がお考えでしょうが...) Logothetis et al., 2001では引用されていませんが,よそではLauritzenらの仕事がoriginalとして引用されることが多いようです.Mathiesen et al. Modification of activity-dependent increases of cerebral blood flow by excitatory synaptic activity and spikes in rat cerebellar cortex. J Physiol 512:555-566, 1998.Lauritzen and Gold. Brain function and neurophysiological correlates of signals used in functional neuroimaging. J Neurosci 23:3972-3980, 2003. (Review)ついでにLogothetis et al. Ultra high-resolution fMRI in monkeys with implanted RF coils. Neuron 35:227-242,2002の印象や評価はどのようなものなのでしょうか.BOLDに関しては小川誠二先生のPNAS(1990, 1992),MRM(1990)の後,Biophys J (1993)でその信号元のシュミレーションとモデルを出しています.BOLDの信号元のシュミレーションについてはBoxerman et al. MR contrast due to intravascular magnetic susceptibility perturbations. Magnetic Resonance in Medicine 34:555-566,1995が(完成版として!?)引用されることが多いようです.MRIの条件(シークエンス(SE,GE)やエコー時間)や血管径とBOLD信号の関係をシュミレーションしたものです.SE BOLD fMRIは微小血管(10micro以下)に対して感受性が高く,一方GE BOLD fMRIはより太い血管に対する感受性が高いため,large draining vessel由来の信号が強調されてしまい,空間解像度を落としてしまう,というよくご存知のストーリーの基になる仕事です.fMRIの空間解像度を議論する際にはMRIのシークエンスとパラメータがとても重要なようです.


2004年08月04日

平瀬 肇さん@理研

平瀬 肇さん@理研が河西研主催のセミナーに話をしに来たので聞いてきました。
前半はBuszakiのところでの仕事、PLaS biology '04 "Calcium Dynamics of Cortical Astrocytic Networks In Vivo."についてです。
In vivoでP12-P16の幼若ラットのbarrel cortexにfluo-4をapplyするとアストロサイトが選択的に染められて、そのCaダイナミクスを調べた、というもの。なんでfluo-4でアストロサイトだけ染まるのか、というあたりに質問が集まりました。S100Bでimmunohistochemistryをやってやると、fluo-4 positiveな細胞の97%が染まった、とのことなので、それ自体は事実のようですが、ガヤのScience論文を見ればわかるように、sliceではfluo-4を使ってニューロンを染めてCaイメージングしているわけです。というわけで、tissueがどのくらい露出しているか、dyeのapplicationはどうやっているか、というあたりの問題なのでしょう。
後半はNeuroscienceにin pressの内容ということでした。こっちのほうが私の興味を引いて、いくつか質問もしたのだけれど、まだ出版されていないようなので、これはまたの機会に、というかとりあえずコメントアウトして書いておきます。<!---コメントアウト--->WebサイトのArticle in Pressに論文が出てきたらコメントアウトは外しましょう。
追記20060127:コメントアウト部分に関しては20040809に記載があります。

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# ガヤ

 Fluo4の挙動については本当に不思議です。私もvivoでloadしたことがあったので、平瀬さんに私の方法をお伝えしたところ、同様な方法を彼も試したらグリアに”のみ”入ったという経緯があります。お互いにmovieを交換して不思議がりました。何せ染色像の見た目がまったく違うのですから(動物種が違いますが、これが原因とは私にはとても思えませんし)。ただ、お互いに言っていることは正しいように思えました。私の場合は免染はしていませんが、Loadされた細胞が明らかに神経細胞であることはパッチで確認しています。ただグリアに入っているのもまた確実でして、それ故にNissl共染&選別という“綱渡り”が必要になったわけです。ここら辺の差異を詰めていくと何か別の発見に行き着きそうですね。 ところでNeuroscience誌の論文とはもしや「血」の話題ですか? おお、受理されたんですね。あれはとても良い論文だと思います。でしょ?

# ryasuda

Matsuzakiさんの論文のFollowupありがとうございます。その後なにか議論されましたか? グラフ作成で、縦横比や線の太さなどは、figureをつくる段階でPixel数を指定、Axesのpositionもexplicitに。PaperPositionModeをManualにしてPrint(EPS出力)の大きさを指定すれば、matlabだけでもほぼ思い通りにいくと思います。

# pooneil

>>ガヤ うーむ、同じvivo条件で、dye loadingの方法が同じでも違った染色になるのですか。もはやなにがなんだかわけわからない。PLoS biologyではPluronicとDMSOとでFluo-4 AM溶かして脳表にかけているだけのようですね。それはそれとして、repeating sequenceにグリアの関与はありうるのだろうか。んで、そう、それ>>Neuroscience論文。ムービーも印象的だったし、fMRIの原理に関わるかなり重要な知見だと思います。次ぐらいにもっとシステム的な話に行くとブレークするのではないかと思うんですが、。しかしほんと、このへんはもう競争だと思う。>>ryasudaさん、この間は平瀬さんの話だけ聞いてさっさと帰ってきてしまいました。そのうち詳しく話を聞ける機会があると思います。たしかに、MATLABの図は h1=plot(x,y); set(h1,’LineWidth’,2);set(gcf,’PaperPosition’,[1 1 20 15]); みたいな感じでいろいろいじれるんですが、コンポジットのfigureとかを作っていると結局illustrator上で調整することになってしまってるんです。なんかillustrator上にexportできてしかもデータを保持しているようなものはないかと思うんです。

# ガヤ

あ、そうそう、重要なことを書き忘れていました。私は脳表ではなくて、一層剥がして”実質に直接”Fluo4をかけています(いました)。

# ryasuda

ガヤさん、それは大きな違いですね。うちのtakashiさんがどっかから聞いてきた話では、脳表や血管に色素がいくと、グリアばっかり染まる、ということでした。

# ガヤ

合点。脳表の血管から拡散して(AMが切れないまま)色素が皮質内層まで運ばれている可能性もあるわけですね。そしたらグリア選択的でもおかしくないですね(しかもアストロ特異的!)。pooneilさん、そんな議論は平瀬さんから出ました? そういえば微小電極で実質注入するとちゃんと神経が染まりますね。

# pooneil

平瀬さんはガヤ論文を例に出して、Fluo-4でもニューロンが染まるとは言ってましたが、それはあくまでsliceとvivoとの違いであるように話をしていたと思います。あと、スライドを見るかぎり、アストロサイト以外にもblood vesselがよく染まっています。それから、blood vesselにアストロサイトのプロセスが巻きついた構造をしているので、Blood vesselとアストロサイトとのところでやり取りがあるという話はしてました。それから、ageが上になるとアストロではなくてblood vesselしか染まらなくなることとかも話していました。

# ガヤ

どうもありがとうございます。なんとなく見えてきましたね。

# はじ

あのPLOS BIOLOGYの論文は、DURAを剥がして脳の表面に直接かけています。konnerthの方法はパッチ電極っぽいのに、普通パッチに使う陽圧の10倍程度の圧力で色素をapplyしているのでどの細胞も染まりやすいのだと考えています。ある程度発達した神経細胞はシナプスとグリアに表面積の相当部分が覆われることになるので、非侵襲の状態ではAMエスター系の色素は入りにくいのではと思います。スライスにしたり、皮質一層を除去したりすると、多少色素が侵入(?)する余地が出来るので神経細胞も染まりやすいのではと勝手に推測してます。Neuroscienceの仕事ですが、学会でも発表してますしin pressの状態なので、適当に判断してください。理研ではあんな感じで、イメージングと電気生理を組み合わせてビボでやっていきますのでご指導のほどよろしくお願い申し上げます。 平瀬

# pooneil

おお! ついにご本人登場ですね。書き込みどうもありがとうございます。呼びつけるような形になってしまって恐縮です。自分の居ないところで取りざたされるというのも気持ち悪いものだと思いますんで、ほっとしました。セミナーのあとにお話する時間があれば、このサイトで紹介するつもりであることをはじさんに伝えるつもりでした。このサイトも、外国人の論文にコメントしているときは気楽なもんなのですが、著者がこのサイトを見ているかもしれない論文にコメントするときにどうすればよいかは私としてもまだ試行錯誤中です。これからもよろしくお願いします。それで、dye laodingに関しては、やはり上ではじさん含め皆さんが書いていたあたりで話が落ち着きそうですね。Duraを剥いただけでapplyするとdyeのかなりの部分が表面の血管からAMエステルのまま取り込まれて、血管からアストロサイトに伝わってFluo-4として分布する、ということですね。Duraの上からかける--duraを剥いてかける--layer1を剥いてかける--実質に注入する、という順番でより神経細胞にロードしやすくなる、それからageによる細胞間隙の詰まりぐあいの影響(これはセミナーのときに質問への答えでも話されていましたね)、というあたりで納得がいきそうです。私は以前Fura-2しか使ったことがありませんが、Fura-2AMよりFluo-4AMのほうが脂溶性が高いのではないでしょうか。Neuroscience論文の方の話題に関してですが、このサイトでは、論文として出版されたものか、学会で発表されたものはオープンになったものとして取り扱い、セミナーや研究会などで見聞きしたものに付いては許可を得られたときのみ掲載する、というかなりコンサバティブな方針をとっております。Neuroscience論文の話題については、すでに学会にも発表されているとのことですので、平瀬さんにもご覧いただけていることですし、講演の印象が薄れてしまう前におそらく論文にも掲載されるであろうことにしぼって8/9のところに掲載させていただきました。「イメージングと電気生理を組み合わせてビボ」ですが、はじさんの系はかなり有望な系であると思います。このへんはほんとにもう競争ですね。期待しております。
追記:Arthur KonnerthのinjectionはPNAS ’03 ”In vivo two-photon calcium imaging of neuronal networks” http://www.pnas.org/cgi/content/full/100/12/7319のFig.1にあるやつですね。

# ガヤ

具体的な脂溶性度の数値は知りませんが、Fura-2AMよりFluo-4AMのほうがロード時間が短くてすみますし、Fluo-4AMのほうが物質自体の毒性が若干強い気がします。もちろん観測のことまで含めて考えるとUVで励起しなければいけないFura-2はかなりブが悪いですが。

# Atlus

初めまして。Caイメージングは、全くの素人で、PLoS Biologyの論文の内容についてお聞きしたいのですが、1)アストロサイトの細胞体(ありゃ?アストロサイトって、細胞体っていうんだろうか?)で、Ca濃度上昇を調べ、その同期を調べておられましたが、アストロサイトはその細胞全体あるいは組織内で、すべて均一のものなのでしょうか?(ニューロンでは、シナプス毎の伝達効率のheterogeneityが明らかとなってきており、どのシナプスをどのアストロサイトで取り巻くかでかわってくるような気がしますが…。)アストロサイトの細胞体もその枝も同じようにCa濃度上昇は起こるのでしょうか?2)bicucullineをかけておられますが、これがかかった範囲と相関のみられる範囲との間には、関係があるのでしょうか?3)皮質では、GABAergicが大切だと、視覚系をやられている先生に伺ったことがありますが(この領域をやっておりませんので、詳しくは覚えておりませんが、)、bicucullineをかけることによりみられる相関は、どのような意味合いをもつのでしょうか?御教授頂けると助かります。よろしくお願いします。

# はじ

1) アストロサイトは形態的に均一ではありません。いろいろな形をしたものがあるようです。星状にみえるものや、白質によく見られるへばりついたような線状の形をしたものや。。。どの形状をしたアストロサイトがどのような機能をしているかはこれから明かされていることでしょう。アストロサイトのカルシウムの上昇は、VGCCやNMDA−Rというよりは、むしろIP3関連の内部リリースが関与しているように報告されています。2) Intrinsic Imagingでの知見では300マイクロから1mmくらいの範囲で影響があるようです。脳内血流の仕事では、(局所癲癇を起こした位置より)1mmの外の血流量を測り、これがControlの値と変わらないことを確認しましたが、Plosの仕事では見ませんでした。(こちらでの準備が整いしだい、追加実験はする所存ですが。)3) どこでもGABAは大切。。という議論はさておき、今回Bicucullineを用いたのは局所癲癇を起こし、大きなニューロン活動の同期化をはかり、極端な形でのニューロン群の活動が近傍のグリア・血流に及ぼす影響を見るため「道具」として使用しましたということです。ところで、PLoSで論文が受理されるとAuthorと書いたT−シャツが共著の方を含めて全員に送られてきました。これってトリビア(死語)ですか。

# Atlus

平瀬先生、ありがとうございました。確か、衛生研の小泉先生だったと思いますが、in vitroのアストロサイトに、ATPをかけるor機械的な刺激で、Ca濃度がアストロサイトの細胞内全体に広がっていく様子をどこかのセミナーでみました(そのときは、アストロサイトにあまり興味がなかったため、ふ〜んそ〜なんだ〜という程度にすませてしまいましたが…(^ ^;))。In vivoという構造が保たれた状況でも、1個のアストロサイトの細胞内をCa濃度上昇は伝搬する様子は、観察されるのでしょうか?だとしたら、あるシナプスをとりまくアストロサイトは、別のシナプスをも取り巻いているでしょうから、(Ca濃度上昇が何の効果を及ぼすかにもよりますが)取り巻かれた別のシナプスになんらかの影響を間接的に及ぼしているかもしれませんね。興味深いです。3)の質問ですが、GABAは、視覚系での可塑性形成に関係している…(あわわわ。適当なことを言ってはまずいですね。)のようなことを、ちらっと聞いたことがありまして、お聞きした次第でした。ありがとうございました。ちなみに、かつて、新生ニューロンのmigrationの画像をプリントしたTシャツで講演されている先生がいらっしゃいました。聞きに来た皆さんは、そのことにふれないようにしていましたが、結構、ひいていました。

# pooneil

>>GABAは、視覚系での可塑性形成に関係しているこれはたぶんHenschさん@理研のScience ’98(”Local GABA Circuit Control of Experience-Dependent Plasticity in Developing Visual Cortex”)に始まる一連の仕事のことを指しているのではないでしょうか。In vitroまで考えればもっといろいろあるだろうとは思いますけど。


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