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■ 平瀬 肇さん@理研
平瀬 肇さん@理研が河西研主催のセミナーに話をしに来たので聞いてきました。
前半はBuszakiのところでの仕事、PLaS biology '04 "Calcium Dynamics of Cortical Astrocytic Networks In Vivo."についてです。
In vivoでP12-P16の幼若ラットのbarrel cortexにfluo-4をapplyするとアストロサイトが選択的に染められて、そのCaダイナミクスを調べた、というもの。なんでfluo-4でアストロサイトだけ染まるのか、というあたりに質問が集まりました。S100Bでimmunohistochemistryをやってやると、fluo-4 positiveな細胞の97%が染まった、とのことなので、それ自体は事実のようですが、ガヤのScience論文を見ればわかるように、sliceではfluo-4を使ってニューロンを染めてCaイメージングしているわけです。というわけで、tissueがどのくらい露出しているか、dyeのapplicationはどうやっているか、というあたりの問題なのでしょう。
後半はNeuroscienceにin pressの内容ということでした。こっちのほうが私の興味を引いて、いくつか質問もしたのだけれど、まだ出版されていないようなので、これはまたの機会に、というかとりあえずコメントアウトして書いておきます。<!---コメントアウト--->WebサイトのArticle in Pressに論文が出てきたらコメントアウトは外しましょう。
追記20060127:コメントアウト部分に関しては20040809に記載があります。
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- / 投稿日: 2004年08月04日
- / カテゴリー: [Two-photon in vivo imaging]
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# ガヤ
Fluo4の挙動については本当に不思議です。私もvivoでloadしたことがあったので、平瀬さんに私の方法をお伝えしたところ、同様な方法を彼も試したらグリアに”のみ”入ったという経緯があります。お互いにmovieを交換して不思議がりました。何せ染色像の見た目がまったく違うのですから(動物種が違いますが、これが原因とは私にはとても思えませんし)。ただ、お互いに言っていることは正しいように思えました。私の場合は免染はしていませんが、Loadされた細胞が明らかに神経細胞であることはパッチで確認しています。ただグリアに入っているのもまた確実でして、それ故にNissl共染&選別という“綱渡り”が必要になったわけです。ここら辺の差異を詰めていくと何か別の発見に行き着きそうですね。 ところでNeuroscience誌の論文とはもしや「血」の話題ですか? おお、受理されたんですね。あれはとても良い論文だと思います。でしょ?
# ryasudaMatsuzakiさんの論文のFollowupありがとうございます。その後なにか議論されましたか? グラフ作成で、縦横比や線の太さなどは、figureをつくる段階でPixel数を指定、Axesのpositionもexplicitに。PaperPositionModeをManualにしてPrint(EPS出力)の大きさを指定すれば、matlabだけでもほぼ思い通りにいくと思います。
# pooneil>>ガヤ うーむ、同じvivo条件で、dye loadingの方法が同じでも違った染色になるのですか。もはやなにがなんだかわけわからない。PLoS biologyではPluronicとDMSOとでFluo-4 AM溶かして脳表にかけているだけのようですね。それはそれとして、repeating sequenceにグリアの関与はありうるのだろうか。んで、そう、それ>>Neuroscience論文。ムービーも印象的だったし、fMRIの原理に関わるかなり重要な知見だと思います。次ぐらいにもっとシステム的な話に行くとブレークするのではないかと思うんですが、。しかしほんと、このへんはもう競争だと思う。>>ryasudaさん、この間は平瀬さんの話だけ聞いてさっさと帰ってきてしまいました。そのうち詳しく話を聞ける機会があると思います。たしかに、MATLABの図は h1=plot(x,y); set(h1,’LineWidth’,2);set(gcf,’PaperPosition’,[1 1 20 15]); みたいな感じでいろいろいじれるんですが、コンポジットのfigureとかを作っていると結局illustrator上で調整することになってしまってるんです。なんかillustrator上にexportできてしかもデータを保持しているようなものはないかと思うんです。
# ガヤあ、そうそう、重要なことを書き忘れていました。私は脳表ではなくて、一層剥がして”実質に直接”Fluo4をかけています(いました)。
# ryasudaガヤさん、それは大きな違いですね。うちのtakashiさんがどっかから聞いてきた話では、脳表や血管に色素がいくと、グリアばっかり染まる、ということでした。
# ガヤ合点。脳表の血管から拡散して(AMが切れないまま)色素が皮質内層まで運ばれている可能性もあるわけですね。そしたらグリア選択的でもおかしくないですね(しかもアストロ特異的!)。pooneilさん、そんな議論は平瀬さんから出ました? そういえば微小電極で実質注入するとちゃんと神経が染まりますね。
# pooneil平瀬さんはガヤ論文を例に出して、Fluo-4でもニューロンが染まるとは言ってましたが、それはあくまでsliceとvivoとの違いであるように話をしていたと思います。あと、スライドを見るかぎり、アストロサイト以外にもblood vesselがよく染まっています。それから、blood vesselにアストロサイトのプロセスが巻きついた構造をしているので、Blood vesselとアストロサイトとのところでやり取りがあるという話はしてました。それから、ageが上になるとアストロではなくてblood vesselしか染まらなくなることとかも話していました。
# ガヤどうもありがとうございます。なんとなく見えてきましたね。
# はじあのPLOS BIOLOGYの論文は、DURAを剥がして脳の表面に直接かけています。konnerthの方法はパッチ電極っぽいのに、普通パッチに使う陽圧の10倍程度の圧力で色素をapplyしているのでどの細胞も染まりやすいのだと考えています。ある程度発達した神経細胞はシナプスとグリアに表面積の相当部分が覆われることになるので、非侵襲の状態ではAMエスター系の色素は入りにくいのではと思います。スライスにしたり、皮質一層を除去したりすると、多少色素が侵入(?)する余地が出来るので神経細胞も染まりやすいのではと勝手に推測してます。Neuroscienceの仕事ですが、学会でも発表してますしin pressの状態なので、適当に判断してください。理研ではあんな感じで、イメージングと電気生理を組み合わせてビボでやっていきますのでご指導のほどよろしくお願い申し上げます。 平瀬
# pooneilおお! ついにご本人登場ですね。書き込みどうもありがとうございます。呼びつけるような形になってしまって恐縮です。自分の居ないところで取りざたされるというのも気持ち悪いものだと思いますんで、ほっとしました。セミナーのあとにお話する時間があれば、このサイトで紹介するつもりであることをはじさんに伝えるつもりでした。このサイトも、外国人の論文にコメントしているときは気楽なもんなのですが、著者がこのサイトを見ているかもしれない論文にコメントするときにどうすればよいかは私としてもまだ試行錯誤中です。これからもよろしくお願いします。それで、dye laodingに関しては、やはり上ではじさん含め皆さんが書いていたあたりで話が落ち着きそうですね。Duraを剥いただけでapplyするとdyeのかなりの部分が表面の血管からAMエステルのまま取り込まれて、血管からアストロサイトに伝わってFluo-4として分布する、ということですね。Duraの上からかける--duraを剥いてかける--layer1を剥いてかける--実質に注入する、という順番でより神経細胞にロードしやすくなる、それからageによる細胞間隙の詰まりぐあいの影響(これはセミナーのときに質問への答えでも話されていましたね)、というあたりで納得がいきそうです。私は以前Fura-2しか使ったことがありませんが、Fura-2AMよりFluo-4AMのほうが脂溶性が高いのではないでしょうか。Neuroscience論文の方の話題に関してですが、このサイトでは、論文として出版されたものか、学会で発表されたものはオープンになったものとして取り扱い、セミナーや研究会などで見聞きしたものに付いては許可を得られたときのみ掲載する、というかなりコンサバティブな方針をとっております。Neuroscience論文の話題については、すでに学会にも発表されているとのことですので、平瀬さんにもご覧いただけていることですし、講演の印象が薄れてしまう前におそらく論文にも掲載されるであろうことにしぼって8/9のところに掲載させていただきました。「イメージングと電気生理を組み合わせてビボ」ですが、はじさんの系はかなり有望な系であると思います。このへんはほんとにもう競争ですね。期待しております。
# ガヤ追記:Arthur KonnerthのinjectionはPNAS ’03 ”In vivo two-photon calcium imaging of neuronal networks” http://www.pnas.org/cgi/content/full/100/12/7319のFig.1にあるやつですね。
具体的な脂溶性度の数値は知りませんが、Fura-2AMよりFluo-4AMのほうがロード時間が短くてすみますし、Fluo-4AMのほうが物質自体の毒性が若干強い気がします。もちろん観測のことまで含めて考えるとUVで励起しなければいけないFura-2はかなりブが悪いですが。
# Atlus初めまして。Caイメージングは、全くの素人で、PLoS Biologyの論文の内容についてお聞きしたいのですが、1)アストロサイトの細胞体(ありゃ?アストロサイトって、細胞体っていうんだろうか?)で、Ca濃度上昇を調べ、その同期を調べておられましたが、アストロサイトはその細胞全体あるいは組織内で、すべて均一のものなのでしょうか?(ニューロンでは、シナプス毎の伝達効率のheterogeneityが明らかとなってきており、どのシナプスをどのアストロサイトで取り巻くかでかわってくるような気がしますが…。)アストロサイトの細胞体もその枝も同じようにCa濃度上昇は起こるのでしょうか?2)bicucullineをかけておられますが、これがかかった範囲と相関のみられる範囲との間には、関係があるのでしょうか?3)皮質では、GABAergicが大切だと、視覚系をやられている先生に伺ったことがありますが(この領域をやっておりませんので、詳しくは覚えておりませんが、)、bicucullineをかけることによりみられる相関は、どのような意味合いをもつのでしょうか?御教授頂けると助かります。よろしくお願いします。
# はじ1) アストロサイトは形態的に均一ではありません。いろいろな形をしたものがあるようです。星状にみえるものや、白質によく見られるへばりついたような線状の形をしたものや。。。どの形状をしたアストロサイトがどのような機能をしているかはこれから明かされていることでしょう。アストロサイトのカルシウムの上昇は、VGCCやNMDA−Rというよりは、むしろIP3関連の内部リリースが関与しているように報告されています。2) Intrinsic Imagingでの知見では300マイクロから1mmくらいの範囲で影響があるようです。脳内血流の仕事では、(局所癲癇を起こした位置より)1mmの外の血流量を測り、これがControlの値と変わらないことを確認しましたが、Plosの仕事では見ませんでした。(こちらでの準備が整いしだい、追加実験はする所存ですが。)3) どこでもGABAは大切。。という議論はさておき、今回Bicucullineを用いたのは局所癲癇を起こし、大きなニューロン活動の同期化をはかり、極端な形でのニューロン群の活動が近傍のグリア・血流に及ぼす影響を見るため「道具」として使用しましたということです。ところで、PLoSで論文が受理されるとAuthorと書いたT−シャツが共著の方を含めて全員に送られてきました。これってトリビア(死語)ですか。
# Atlus平瀬先生、ありがとうございました。確か、衛生研の小泉先生だったと思いますが、in vitroのアストロサイトに、ATPをかけるor機械的な刺激で、Ca濃度がアストロサイトの細胞内全体に広がっていく様子をどこかのセミナーでみました(そのときは、アストロサイトにあまり興味がなかったため、ふ〜んそ〜なんだ〜という程度にすませてしまいましたが…(^ ^;))。In vivoという構造が保たれた状況でも、1個のアストロサイトの細胞内をCa濃度上昇は伝搬する様子は、観察されるのでしょうか?だとしたら、あるシナプスをとりまくアストロサイトは、別のシナプスをも取り巻いているでしょうから、(Ca濃度上昇が何の効果を及ぼすかにもよりますが)取り巻かれた別のシナプスになんらかの影響を間接的に及ぼしているかもしれませんね。興味深いです。3)の質問ですが、GABAは、視覚系での可塑性形成に関係している…(あわわわ。適当なことを言ってはまずいですね。)のようなことを、ちらっと聞いたことがありまして、お聞きした次第でした。ありがとうございました。ちなみに、かつて、新生ニューロンのmigrationの画像をプリントしたTシャツで講演されている先生がいらっしゃいました。聞きに来た皆さんは、そのことにふれないようにしていましたが、結構、ひいていました。
# pooneil>>GABAは、視覚系での可塑性形成に関係しているこれはたぶんHenschさん@理研のScience ’98(”Local GABA Circuit Control of Experience-Dependent Plasticity in Developing Visual Cortex”)に始まる一連の仕事のことを指しているのではないでしょうか。In vitroまで考えればもっといろいろあるだろうとは思いますけど。