[カテゴリー別保管庫] Carpenter's LATER model
2004年09月15日
■ Current Biology 9/7
"Contrast, Probability, and Saccadic Latency: Evidence for Independence of Detection and Decision." R. H. S. CarpenterRoger Carpenterに関しては1/24-30でJNP '04 "Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."についてextensiveにやりました。その割にはうまく計算できなかったのだけれど。LATER modelに関してはそちらを参照してください。
で、saccadeのlatencyの分布を決めるfactorとしていままでprior probability、decision criteria (urgency)を扱ってきたわけですが、今回はそれにtargetのcontrastというパラメーターが加わってきました。
結果としては、contrastはLATER modelのrise timeのslopeに効いていて、そのようなdetectionのパラメータとprior probabilityのようなdecisionに関わってくるパラメータとが独立に操作できる、というものです。
Figureは三つ。二つのパラメータで記述したグラフがあって、ひとつずつのパラメータで記述したグラフが二つあって、それで終わり。シンプルすぎるというか、なんというか。'95 Natureからこういう論文しか書いてませんな。
Signal detection theoryだとおなじcontrastのtargetのdecision criteriaをふってみて、detectionを調べる、ということになるので、じつはpsychometric functionと食い合わせが悪い。d'を使ってpsychometric functionのthresholdを決める、なんてのはあるけれど、d'=1にすべきなのか、d'=2にすべきなのか、という点に確固たる基準はないようす。横軸をcontrastにして縦軸をd'にしたようなグラフでdetectionをモデル化することができるだろうと思うんですが。だからLATER modelをSDTと統合することができればもっとよくなるのではないでしょうか。LATER modelでの余計な仮定(linearにsignalの量が上がってくるとか)を取り除いて、SDTで使われるnoise、noise+signalの二つの正規分布からのデータが時間的に加算されていってnoiseとsignalとの間の分離がはっきりしてきてあるthresholdを越えたところでresponseが起こる。Prior probabilityはnoiseの分布に影響を及ぼし、decision criteriaはdecisionを行うthresholdの上げ下げに効いてくる、ぐらいにすればよいと思うのだけれど。
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2004年01月30日
■ JNPさらにつづき
"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
こんどこそ最後。
いろいろわからないままなんとか終わった。ぎりぎり。そうしたら図書館に取り寄せを依頼していた"Eye movements : cognition and visual perception."(LATER modelの原著)がいまさら届いてやんの。オーノー。で、読んだら間違えたことを言ってたことが判明したので訂正。
- 1/24 "だから、decisionのthresholdがgaussianに分布していると仮定しても説明できる。" これは間違い。latencyはなのだからStやS0がgaussianに分布したらlatencyの逆数はgaussianにならない。依然slope rがgaussianに分布するというのがassumptionにすぎないということは変わらないのだけれど。
- 1/25その他 "直線はNatureには… …を通る直線*2であることが記してあるが、どうやって導出すればよいかわからん。" これは式があった。s=1/T (T=latency)として、 (ERF(x)はcumulative frequencyの関数で)だそうな(たぶん積分記号のnはxの間違いだろうしduものことだろう)。これの導出をもう少し手計算しとけば良さそう。ということで再利用をもくろむのであった。
……ここまで。
mimeTeXへのリンク。
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2004年01月29日
■ JNPさらにつづき
"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
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>> mixture of two gaussianをprobit scaleでプロットしたら二つの直線で近似してよいのだろうか。
うまくいかなかったけれど、なんか変だ。Mixture of gaussiansはS字型になるはずで、Carpenterのプロットのような逆L字型などにはならない。やっぱりなにか間違えている?
検証してみた。画像が小さすぎるが勘弁を。Express saccadeの成分がregular saccadeと同じくらいある場合(図右上のヒストグラム)には、そのprobit plotは逆S字型になっていて(図右一番下)ぜんぜんCarpenterのやつに似ていない。一方、Express saccadeの成分がregular saccadeの1/10くらいしかない場合(図左上のヒストグラム)には、そのprobit plotは逆L字型になっている(図左一番下)。こっちはCarpenterの出す図によく似ている。ようするにLATERモデルではexpress saccadeの比率が高いとき(gap条件とかで半分以上がexpress saccadeになる、なんてことはよくある)を説明するのには向いていないらしい。だめじゃん。
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2004年01月28日
■ JNPさらにつづき
"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
つづき。
>> mixture of two gaussianをprobit scaleでプロットしたら二つの直線で近似してよいのだろうか。
試せばいいじゃん、ということでMATLABで作ってみたら、ならない!ピンチ!いや、それぞれの漸近線が直線のプロットにはなっている。
>> とを通る直線
このprobit plotというやつは統計で残差の正規性を検討するときに使うQ-Qプロットというやつと同じものだが、計算して確認したところ、をプロットするとの直線に乗ることがわかった。
Latencyの逆数*(-1)は、これを正規分布で表現するとで, だから、直線はとなる。たしかにX切片はになってるけど、Y切片がぜんぜん違う。もうちょっとかも。
なんか変だ。もし論文のとおりだとすると直線はという直線になる。Urgencyによっては変化するがとは一定。このときY切片は変化しないでslopeが変わる。こっちはよい。しかし一方informationによってが変化するとは一定でだがが変化する。そうするとslopeが変化してしまう。平行移動にならない。どうやら最初の直線の式が間違っているらしい。
私が出したほうの式でやってみよう。informationによってmuは変化するが、はおそらく一定と考えるべき。よってslopeに変化は無い。こっちはいい。一方urgencyによっては変化するのでY切片が変化してしまう。もうわけわからん。
最終手段はCarpenterのMATLABコードを読むことだが、もはやその方が早いかも。
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2004年01月27日
■ JNPさらにつづき
"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
つづき。
- だいたい、mixture of two gaussianをprobit scaleでプロットしたら二つの直線で近似してよいのだろうか。Expressの成分を除いてプロットしても同じような形になるか?
- Express saccadeの扱い方の問題。彼はexpress saccadeの成分のことをslope=0(decision signalがまったく来てない)でslopeのvarianceが高くて何割かthresholdレベルを越えたものがexpress saccadeになる、としてモデルしている。Express saccadeがvisualな信号に基づいたものであることが確立しているにも関わらずだ(express saccadeはたんなるanticipatory responseではない)。それ以外にもCarpenterはexpress saccadeについて否定的な論文も出しているが、受け入れがたい。
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2004年01月26日
■ JNPつづき
"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
つづき。この論文はランダムドットのコヒーレンス(=information)の効果と応答のバイアス(=urgency)の効果とが一つのタスクで独立に違う効果をもっているというのがミソで、それぞれの効果自体に基本的には新しいところは無い*1。
それぞれの効果は、横軸(-1/latency)と縦軸(probit(cumulative probability))でプロットした直線がどう変わるかで確認される。この直線はNatureにはとを通る直線*2であることが記してあるが、どうやって導出すればよいかわからん。これがわからないとなんでこの直線がInformationの変化で平行移動し、urgencyの変化でY切片を固定したまま傾きが変わるのかもわからん。ということで書いてみたら整理できるかと思ったらまだわからん。考え中。
*1:probit protが平行移動するのはasynchronous targetのペーパーにもある
*2:slope はgaussianで、、はdecisionシグナルのbasalレベル(=トライアル直前のlikelihood)ではdecisionシグナルのthresholdレベル
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2004年01月24日
■ JNP
"Accuracy, Information, and Response Time in a Saccadic Decision Task."
Roger Carpenter @ University of Cambridge。
来週のvision seminarではこれをやることにする。
人間の行動の反応潜時というものは経験的に逆数をとるとgaussianで分布していることがわかっている。だから潜時の検定をするときは逆数に変換してからt-testしたりする。
Carpenterはdecisionの研究者で、Humanの眼球運動(サッケード)の潜時の分布からLATERモデルというのを提唱している。CarpenterのLATERモデルでは、evidenceの量がlinearに上がってきてあるthresholdのところまで来たところでdecisionが行われるとしている。イメージを掴むためにはJNPのfigure 1を参照のこと。このlinearにあがってゆく直線のスロープがgaussianに分布することを仮定してdecisionの起こる時間はgaussianの逆数で分布することを説明する、というわけだ。(だから、decisionのthresholdがgaussianに分布していると仮定しても説明できる。)
Carpenterはこのモデルを使って、実験条件を操作してdecisionの条件を変えたときの反応潜時も変化を説明できるかどうかをいろいろやってきた。その代表作がNature '95とNature Neuroscience '00。
LATERモデルではdecisionの変化は(1)decisionするthresholdの変化(thresholdの低下またはbasalレベルの上昇) (2) evidenceが蓄積していくslopeの変化、のどちらかとして説明される。Natureでは反応すべき標的が出る位置の割合を変えてやって、このprior probabilityの違いによる反応潜時の分布が(1)でのbasalレベルの上昇によって説明できることを示した。一方、Nature Neuroscienceでは[被験者が不正確でもいいからなるたけ早く反応するとき]と[被験者が遅くてもいいからなるたけ正確に反応するとき]とでの反応潜時の違いが(1)のthresholdの低下によって説明できることを示した。つまり、なるたけ早く反応しなければいけないときは判断の基準を甘めに取っている、ということ。(なお、(1)の二つは分離できてない……はず。) 今回のJNP論文ではNewsome方式のランダムドットの動き方向を判断させるタスクを用いて、motion coherenceが高いとき(たとえば100%のドットが右へ動くとき)とmotion coherenceが低いとき(たとえば54%のドットが右へ動くとき)とでの反応潜時の分布が(2)でのevidenceが蓄積していくslopeの違い、で説明できることを示した。
1/5に扱ったcountermanding taskについて書いたものこのLATERモデルのこと。Carpenter自身もhumanのpaperをVision Research '99に出している。
なお、このモデルが持っている問題のひとつは、このモデルがいまだhumanのstudyでのみ有効であって、animal studyでは明示的には扱われず、ニューロンメカニズムの解明とつなげられない点にある。Shadlenの論文のいくつか(JNS '02、JNP '01)はかなり近いところにあってLATERモデルを踏まえてはいるが、明示的にこれを扱うところには行っていない(潜時の分布をLATERモデルでfittingしたりしてない*1 )。そのうち出てくるかも。ここ数年のSFN行った人知らない?
*1:いや、もっとちゃんと言えば、Shadlenのはdecision thresholdが一定でそのまでシグナルが上ってくるslopeが違っている様子をLIPニューロンに見出している。あくまで明示的には扱ってない、ということで。
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