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■ モティベーションのサリエンシー
Peter Redgrave以降の仕事でDAがvisual salienceに関わるという話(Nat Neurosci. 2003)があって、SNcのDAニューロンのshort-latency visual responeは上丘からのvisual salienceのシグナルを受けている。
最近の彦坂研の仕事(Neuron. 2010)でも、DAはprediction errorだけではなくて、"motivational salience"をコードしているんだという言い方をしている。
この"motivational salience"って表現が絶妙で、Kent C. Berridgeの言う"incentive salience"って言葉と微妙に変えてあって、同一視されないようにしてある。
ともあれ、visual salienceとincentive salienceを包括して考えられるんではないだろうかと考える。このことはさらに、saliencyとconsciousnessとの関係について考える際にも役に立つはずだ。
Incentive salienceの方から考えると、Liking(=pleasure)とwanting(=incentive)との分類であれば、wantingのほうは無意識のnovelty detectionだけで可能で、でもlikingのほうはかならずやconscious experienceを伴う?
Prediction errorは+と-の方向があって、salienceというのは+-極性無視して変化の大きさだけを評価している(元ネタ KatoTadafumiさんのツイート)。だからもともと両者はそんなに大きく違ったものではなくて、入力値をどう料理するかの違いでしかない。
Prediction errorは内部モデルの改変のために必要で、オフラインで使うためのもので、salienceはオンラインでの行動のトリガーとかに使うためのものでとか。
Salienceが極性気にしないということは、これはエネルギーの次元みたいな量を扱っているという可能性もある。そのことと、salienceがスピード重視で演算する必要があることとはなんか関係あるだろうか。