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■ Science 2/11 leech decision
"Optical Imaging of Neuronal Populations During Decision-Making." K. L. Briggman, H. D. I. Abarbanel, W. B. Kristan, Jr@UCSD。
つづき。Jeffrey D. Schallは以下のレビューでchoice(行動選択)とdecision(意思決定)との区別およびそのneural correlateに関して議論しています。
Jeffrey D. Schall, Decision making, Current Biology, Volume 15, Issue 1, 11 January 2005, Pages R9-R11
Nature Reviews Neuroscience 2, 33-42 (2001) "NEURAL BASIS OF DECIDING, CHOOSING AND ACTING" Jeffrey D. Schall
ここで書かれていることをまとめるとこんな感じ:"choose"とは、取れる行動に選択肢があるときに、選択肢に対して行う行動のことで、どういう目的でそうしたのかを説明できるようなもの。"Choose"は選択肢に関する予備知識があればどちらをchooseするかを予測することが可能である。いっぽう、"decide to"とはある選択肢の中から行動を選ぶこと。"Decide to"は本人によってすら予測可能ではない。なぜなら何をdecide toしたかをいったん予想してしまうとすでにそのdecisionは済んでしまっているのであって、decisionよりも先にその予測が先立つことができないから。だから、"choose"と"decide to"との違いとは予測可能性の違いにある。また、"Choose"が最終的な行動まで含んでいるのに対して、"decide to"は行動に移る前に考える過程を指す。
またさらに"neural correlate of choosing"と"neural correlate of deciding"に関しても区別しようとして例を出しているのだけれど、こちらはいただけない。"choosing"としてodd ball taskのような例を挙げて、そこではchoiceがautomaticに、effortlessに起こっているのに対して、"deciding"では、moving random dotでの方向選択のtaskのような例を挙げて、そこではchoiceはもっとeffortfullで時間がかかる、とするのです。それでは質的な差ではないでしょう。まあ、気持ちはわかります。昨日も書いたように、"decision"というときにはそのdecisionに影響するような様々なパラメータを振ってやって、どう最適行動を選択するか、というところに主眼がいっているわけです。だから、最終的な行動と分離するような形でなければいけない。しかし完全にこれを分けることはできない。Attentionとintentionとかで毎度出てくるのと同じ議論に戻るのです。(そういう意味ではSFNレポートで挙げた「足し算のneural correlate」なんてのは行動に直結しないdecisionそのものの途中の結果が見えているのでいい線いっていると思います。いま書いたように、原理的な問題はあるにしても。)
おまけ:VanderbiltでのSchallの心理学の講義のサイトにも関連する資料があります(Psychology 216およびChoosing, Deciding & Doing)。なお、Schallが準拠している P. H. NOWELL-SMITHは倫理学者で、倫理学の教科書も書いてます(Ethics. by P. H. Nowell-Smith; Penguin Books, 1954)。ま、話としてはデカすぎるネタであります。倫理学的文脈ということは自由意志との関連ですからね。
さいごに少し続きます。