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■ PNAS

ついでにPNASのtrack I-IIIについて説明しておきましょう。PNASというのは全米科学アカデミーの雑誌ですので、全ての論文は必ずアカデミーのメンバーの誰かによってハンドリングされます。

  • Track III: タイトルの下に"Contributed by" と書かれているやつです。アカデミーのメンバーが自分自身の論文を寄稿するもの。以前言及したFrancis Crickのサーチライト仮説はこの範疇ですな。
  • Track I: タイトルの下に"Communicated by" と書かれているやつです。アカデミーのメンバーでない者の論文をアカデミーのメンバーが受け取って、refereeに回したうえで、PNASのofficeに送るもの。しばしば身内というか弟子筋の論文がこの形で出版されます。
  • Track II: タイトルの下に"Edited by" と書かれているやつです。上記の二つはいかにも内輪の占有になってて評判悪かったのでしょう。1996年からこのtrackができました。論文をPNAS officeに直接送って、アカデミーメンバーの誰がハンドルするのが良いかをカバーレターに書いておくと、editorial boardがハンドルするアカデミーメンバーを決めます。そのアカデミーメンバーがrefereeを決めてreviewプロセスを進めるというものです。
このtrack IIができたことによって、アカデミーメンバーの内輪以外にも門戸が開かれたということが言えると思います。現在ではPNAS全体の40%以上の論文がtrack IIを通して出されているそうな(ソース)。
ちなみにSystems Neuroscienceのアカデミーのメンバーのリスト
久しぶりにサイトのホームに行ってみたら、Classic PNAS articleなんてのができてます。John NashのNash平衡に関する論文はPNASだったんだ。"Equilibrium points in n-person games."が落とせます。たった2ページ!というか正味1ページですよ。"John F. Nash, Jr. - Prize Seminar" ここを見るかぎり、この論文がノーベル経済学賞受賞となった仕事の最初の論文らしい。
ところでsystem neuroscienceでPNASに載ったものでclassical paperになっていると言えるものはあるでしょうか。Hopfieldの論文なんかは分野がちょっと違うしなあ。Cytochrome oxidase stainingは最初はPNASだったっけ? Optical imagingとかでも初期の重要な論文はPNASだったかもしれません。
PNASに掲載されたsystem neuroscience系のclassical paperのリスト。ほかにご存知の方はお知らせください。
Cytochrome oxidase blob
小川誠二先生のBOLD関連(ご隠居による指摘)
Grinvaldはたしかに90年代初期にPNASにいろいろ出していましたが、最初のintrinsic signalのoptical imaging paper はNature '86だったようで(Blasdelによるvoltage-sensitive dyeのNature '86の半年遅れ)、わたしの勘違いでした。

コメントする (2)
# ご隠居

小川誠二先生のBOLDの一連の論文もPNASですね.1990年と1992年ですが,もうclassical paperっていってもよいでしょう.

# pooneil

すばやいっすね。なるほど、なんかimagingに強い印象がありますね。あんまりsingle-unitでがちがちの電気生理ってのは見かけないし。リストに追加しておきました。


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