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■ Consolidation and retrieval

5/9の「モスバーガー」さんの質問からつづき。質問ありがとうございます。
質問1:「retrievalなしのconsolidationを調べるテストってあるんですか?」
答え1:私だってべつに専門家じゃありません(<-学問の分業化の弊害)が、どんなtaskでも単一のcognitiveな成分を見ているということはありえないわけで、(1) あるタスクの中でretrievalとconsolidationとそれぞれの成分を独立に操作できるようになんか条件を振ってperformanceを見る、(2)薬理、lesion study、neurology、geneticな方法を(1)に組み合わせる、(3) 電気生理やimagingなら時間の軸を使って分けられる、あたりの方策が一般的には取られていると思います。(1)のほうは心理学研究のほとんどで行われていることだと思うので、Experimental psychologyあたりの論文を探してみるとよいのではないでしょうか。もし分離できないようなときはそれらをまとめた対応物を操作的に定義してやるということになるでしょう。そのへんの操作的概念の扱い方が、episodic memoryやrecognition memoryや、familiarityとrecollection(RK judgement)などの概念を生んできたものであると考えております。(3)についてはもちろんご存知でしょう。
Encoding, consolidation, retrievalといったステージについてはCurrent Opinion in Neurobiology '01 "Molecular mechanisms of memory acquisition, consolidation and retrieval."あたりが取っ掛かりになるのではないでしょうか。ほかに今見つけたのは、Behavioural Brain Research "Intracranial self-stimulation facilitates memory consolidation, but not retrieval: its effects are more effective than increased training."がありました。この辺でなにやってるかわかったら是非知りたいのでまた投稿してください(強制しないっす)。
質問2:「学生の時に,研究者として将来自立するためにあったらよかった機関とか機会とかってありましたか」
答え2:べつにまだ自立していないですよ。自立というのは、自分のアイデアを、自分でお金を集めてやることが出来るところまで行かないといけないわけで。
で、あったらよかったものですが、やっぱり横のつながりによる情報というものが前から、今でもあった方がよかったと思います。移動の時にはそれなりに情報を集めてから新しい環境へ入っていったものですが、それでもやっぱり足りなかったし、もっといろいろわかっておくとよかったと今でも思います。私は研究者の流動性は高くあるべきであると考えて、恐れず新しい環境へ行こうと心がけておりますが、そのためにはもっといろんなことがわかってないとハマる、とけっこう切実に思います。

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# モスバーガー

お返事ありがとうございます。質問が悪くてすみません。Current Opinion in Neurobiology ’01を知らなくて質問したわけではなかったんですが,JNS 5/19のSilva&Kidoで疑問がちょびっと解けそうな気がするので読んでみます。日本語ってむづかしい。

# pooneil

”Memory Reconsolidation and Extinction Have Distinct Temporal and Biochemical Signatures” http://www.jneurosci.org/cgi/content/full/24/20/4787 これですね。なんかわかったらぜひ書き込んでください。私が見たところ、reconsolidationやextinctionというような概念は主にratやmouseの研究で使われるようですので、この概念がhumanなどではどのように使われているのか、というあたりが取っ掛かりになる気がします。


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