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■ 研究関連メモ(スパイキング・ニューロンを用いたモデリング関連)
ここさいきんspiking network modelについての仕事を進めているので、この機会に勉強しようと思ってIzhikevichのDynamical Systems in Neuroscienceを精読し始めた。
そしたら、第1章の段階で劇的に面白くてわかりやすい。これのFig.1.15の説明で、4種類の分岐によってニューロンの発火様式が説明できるというのを見て、だいたい満足してしまった。ある意味これ以降はこの図に書いてあることのより正確な説明なわけで、本としても見通しが良くて素晴らしい。
数式よりも図で理解させるというのが徹底してるし、図が過不足なく説明したいことだけが書いてあって、図にあるけど理解できないこと、というのが無いのでフラストレーションがたまらない。 1章(PDF)は著者のサイトから読める。
その昔、薬学部に入ったときに「生命を捉えなおす」を読んで感激しつつも、清水博先生が退官直前だし、プログラミングもできなかったし、高校の物理で挫折した自分には向いてないと思ってこういう人生を選択したけど、いま自分が高校生だったらこっちへ進んだかも。Pythonでできるわけだし。
Dynamical Systems in Neuroscience (Izhikevich)は4章まで読み終わった。図が多いのでページ数のわりによく進む。とりあえずNaとKだけのモデルで二次元の相空間で入力電流の大きさによってサドルノード分岐とかするところまで来た。激楽しい。
いまうちでRichardが使っているのはAdExモデルなので、それのもととなるIzhikevichモデルを理解して、とりあえずの目標としてはNEST使えるようになるところまで行きたい。
NESTだけでなく、Brianとか学習向けとしてはよさそうだし、何から触ればよいのかはまだ思案中。とりあえずIzhikevich本のmatlabコードは以前からいじってる。Processingでのコードというのも見つけた。
AdExニューロンモデルと"Neuronal Dynamics"の著者であるWulfram GerstnerのMOOCを見つけた。何個か見たけどよい。イズケビッチ本の次はこれか。
Brianのデモをいじくってた。Anaconda上のpipでインストールして、iPython上でデモプログラムを動かす。HHニューロン4000個で上が興奮性3つ、下が抑制性3つ。楽しい。
ひさびさに良いニュースがあった。もうすこしBrianとかいじったりとかする方向を伸ばす余地が出てきた。なにをしようとしているのかというと、IITとか予想コードとかそういったものを神経生理学の知見を踏まえて刷新するためには、昨今のasynchronous stateとかEIバランスとかそういったものを踏まえて、spikeとsynaptic conductanceのレベルから力学系的に扱うような粒度でネットワークの状態を評価するべきで、そのために必要なことでここ20年放置していたことを勉強し直そうというわけだった。言うことだけは威勢がよいが。
だからこれも意識研究への道であり、決してサイドプロジェクトではないのだけれど、なんか回り道している感はある。でも、薬学以来のパッチクランプとかあのレベルの知識がここでこそ活きるのではないかとか思ってる。