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■ 低血糖無自覚 (hypoglycemia unawareness)

生理学実習関連で教科書とか読んでるんだけど、どうにも気になったのが「低血糖無自覚」って言葉。

糖尿病でインスリン療法をしている人ではインスリンが効き過ぎると低血糖発作(昏睡、痙攣)が出てしまう。ふつうだったら発作が起こる前の段階で低血糖特有の認知的応答(飢餓感、動悸、発汗)が起こるんだけど、この認知的応答になんらかの理由(インスリン投与に対する脱感作とか)で気づかず(unawareness)に低血糖発作まで行ってしまう。これが「低血糖無自覚」。だったら「無自覚性低血糖」という方が正しいだろ!と思って検索してみたら「無自覚性低血糖症」って言葉もよく使われるらしい。となるとけっきょく元の英語の表現("hypoglycemia unawareness")自体が悪いのだなということが分かった。

そもそもいったいなんで名詞が二つ並んでるんだよっていう。とりあえず元論文を遡ってみた。PubMedによると1982年に使用例があるが、メジャーっぽい雑誌ではこれあたりか:Endocr Rev. 1991 Nov;12(4):356-71 案外新しい。あとHAAF(hypoglycemia-associated autonomic failure)という表現も知った。

脱線したけど、メカニズムはなにかというと、これ見てなるほどいろいろ複雑そうだと思った。Defective counterregulation and hypoglycemia unawareness in diabetes

けっきょく繰り返し起こる低血糖のエピソードによってさらにそれに体が対応して、ということが起こっているので、こういう来歴のネットワークにどう対処するかというのが問題なわけで、対症療法では厳しそうだ。

以前合原先生の講義のときにちょっと読んだ、前立腺ガンのホルモン療法のモデリングとかを思い出した。こういうのがすごい重要だと思うのだけど、本気で医療の現場で使うのはたいへんそうだ。

Varelaの論文とかでてんかん発作の予測の話も読んだけど、あのへんは進歩しているのだろうか?

そんなことをつらつら考えた。


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