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■ 「真理の哲学 (ちくま新書)」貫 成人著 を読んでた

「真理の哲学 (ちくま新書)」貫 成人著 のフッサールの章を読んだら短いけどすごく明確でよかった。「超越論的速度性」のあたりはすごくオートポイエティックで興味あるが、さすがに紙面が足りなかったのかなんか横滑りしてる感じ。たぶん「経験の構造」を読んだほうがよいのだろう。

「路線バスだと思ってたら貸切バスだった」みたいな例から元の理性定立がアップデートされてより確かな理性定立へ至ることを「脱-誤謬 enttausschung」というあたりとか、ベイズかよとか思った。

そうしてみると、現出からいくら証拠が増えても完全な証拠(十全的明証)は集まらないので、そういう理想状態はカント的理念であるとかの話も現出=インスタンスのほうが所与で、対象、現出者=クラスのほうが不確定であるという意味でベイズ的(頻度論の逆)だよなあとか思った。

でもって、究極的にはクラスとインスタンスが片道ではなくってお互いがお互いを拘束するような鶏と卵的構造(duality)を持ってるんだろうとかそういうことをつらつらと考えていた。

つかZahavi本を英語で読んでると、the givenness of the objectとかthe object's different modes of appearanceとか書いてあったりしてプログラミングかよとか思う。

つかクラスを定義してからインスタンスを作るってそういう意味では現代というより近代的じゃねえの?それの逆ってありうるのか? つかそれがダックタイピング?(<-むちゃくちゃ)

つかクラスとインスタンスの関係に対応するのは、タイプとトークンの議論があるのだった。恥ずかしい、と言いつつべつに恥ずかしくない。


「真理の哲学」第2章をまとめてる。

p.76: 連合を経験している視点(=現象学)からの連合のメカニズム:(1)知覚においてまず生じているのは「なにかを思い出させる」という連合のはたらき (2)その結果、過去に見知っていたなにものかがピックアップされる (3)ふたつのあいだの類似関係が確認される

p.76: ヒュームやカントの連合では、二項の類似・隣接などが、わたしのそれについての認識以前に前提されている。これは「神の視点」を取っていることになる。二項間にあらかじめ想定された類似などを連合の起動因とすることはできない。

この本(「真理の哲学」)の「現象学還元から始めちゃうと観念論っぽく聞こえるかもしれないけど、要は「物自体」みたいな神の視点とかをあらかじめ想定するのって正しくないでしょ?」って言い方はいいと思った。ポパーの反証主義みたいに、科学者には受け入れやすい論点だと思う。


現象学において、物体(physical object)を知覚するときには必ずあるパースペクティブからの知覚であって、けっして充分にfulfillされえないという話のときに、たとえ理想状態として全てを知っている神がいたとして物体の知覚はあるパースペクティブからの知覚であって、もしそうでなければその経験は物体に対する経験ではないだろうっていう有名らしい記述を見て(Zahavi p.34)、ヘプタポッドはどう経験しただろうって考えた。と同時に、以前も同じこと書いたような気がしてきた。

検索かけてみたら見つけた。「ヘプタポッドには我々にあるような「経験」というものがあるようにはちょっと思えないのだ。」「過去から現在、未来までをひとつの相のもとに見渡すと言うとき…経験というものがあるようには思えないのだ。」

「不十全的な明証」とか言われるとわっけわからんが、Zahavi本で英語で読めば"inadequate evidence"だったので、英語のほうが簡単でいいじゃんって思った。

あと「Evidenceはfeeling of uncertaintyではない」って記述(p.32)を見て、evidence accumulatorモデルによるメタ認知の計算論の論文を読んでいるような気がして面白かった。つかたぶん、あっちの感覚ではそんなに離れてないんだろう。


(例のlibrahack事件で有名な)岡崎中央図書館の書庫蔵書を調べたらイデーンII-1だけがあることを知ったので借りてきた。ちょうどこのへんは知覚経験についての具体的な分析だったようで、この辺なら読めるかもと思った。サントニンによる黄視症についての記述も第18節にあった。

でも英訳がほしい。springer linkで発見。フリーではなかったけど、とりあえず目次とかが読める。たとえば「有心的自然」ってわけわからんかったが、英語では"Animal Nature"だった。


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