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■ スマートピル関連
ADHD治療薬コンサータ錠18歳以上の成人期への適応追加承認申請 ん?以前リタリン乱用が問題になって、適応症が狭められて大人のADHDでは使えなくなってたんだけど、製剤を工夫して再申請したということか? (<-これでも薬剤師)
Natureだったかなんだったかのサーヴェイで、研究者とか大学院生の結構な割合がその種の中枢刺激薬使ってるみたいな話があったと思うんだけど、いざ探そうとすると見つからない。
"Studies have documented usage of drugs for cognitive enhancement by 5–15% of students"
20%って数字の根拠はこれ。 でもオンラインのサーヴェイだからいろいろ偏りがある。もっと最近のこちらで調査の呼びかけをしている。
Smart drugs: would you try them? 英guardian誌がなんかしれっとerowidにリンクしているから吹いた。あそこってもっとアングラなところかと思ってた。LSDの合成法とかあるし。
で、いろいろ調べてて、Martha Farah ("Visual agnosia"の人)がいまではneuroethicsの人となっていることを知った。
Martha Farahの関与についてまとめると、Nature. 2008 "Towards responsible use"のラストオーサーになっている。
そのほぼ同時期に「Adderallはじつのところ認知能力を上げるわけではないのだが、本人は認知能力が上がった気がしている」というpreliminaryな調査を発表している。
これはTime誌とかにも取り上げられて評判になったらしいが、それと同時にたぶん反論がたくさんついたのだろうと思うけど、「実際に認知能力を上げる」とする結果がたくさんあることがこの記事の"UPDATE"に追記されている。
それへの応答だろうか、Psychol Bull. 2011においてメタアナリシスを行い、「スマートピルがノーマルな人々に対して認知能力を上げることはたしかに認められるが限定的である」というようなことが要旨に書かれている。これにもふたつコメントがついているので、いろいろ反論はあったのだろう。
前述のPsychopharmacology 2009は予備的研究だったが、さいきんNeuropharmacology 2013というのが出て、やはり「Adderallは(ほとんどの指標で)認知能力は上げないが本人は上がった気がする」という結論を繰り返している。
ここまで書いておいてなんだが、じつのところ「認知能力」の向上にはあまり興味がない。「意識経験」の変容には興味があるが。