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■ スライド用に使える解剖学の図を探してみた
2012/11/1
いろんな動物での脳の大きさを比較した図を探していて、これがいいと思うんだけど、ソースがわからない。いろいろ探したらHubel (1979) Scientific American 241(3) 44-53であることが判明した。
上丘(superior colliculus) = 視蓋(optic tectum)がほ乳類では小さいけど鳥、両生類、魚類では大きいって絵はこれがよさそう。 だがふたたびソースが不明。(google画像検索済み)
しかたないのでほかを当たったら、Integr. Comp. Biol. (2002) "Understanding Vertebrate Brain Evolution" これのfig.1を発見。これはソースが書いてある。これらだそうな:Braun, C. B., and R. G. Northcutt. 1999. Morphology: Brain and cranial nerves. In R. Singer (ed.), Encyclopedia of paleontology, pp. 185–192
"What is the thalamus in zebrafish?" これすごくいい。Fig.8見るとメダカでは視床のどこを介して感覚入力が入るのかだいたいわかる。メダカではtectumから新皮質への投射は無し。PGIを介して扁桃体に行く。
Fig.8でのanterior thalamus (A, green)がたぶんLGNの先祖なんだろうってのは以前比較解剖学関連の教科書を読んでて考えた。弱い根拠だが、tectum -> Aの投射はヒトからサカナまで保存されてる。
だが本文読んでみたらこの考え方には否定的で、なぜかというとanterior thalamusからの投射はGABAergicなんだそうな。glutamatergicなのはもっとcaudal側のthalamusにある。これは説得的だ。著者の結論はサカナにLGNの先祖はないというもの。
同様にして、pulvinarの先祖もない。ただし、PGIって核を介してtectumからamygdala, hippocampusへの投射がある。これは面白い。
Pulvinarはヒト、サルにはあるけどラットではほとんど無い。ではその先祖は何かっていうとLGN含むdorsal thalamusがそもそも新しい核であって、それが分化したらしい。Puellesの"Thoughts on the development, structure and evolution of the mammalian and avian telencephalic pallium"のfig.5参照。
つまり、渡辺茂先生の二重乖離の実験にあるように、トリのN. rotundusはヒト、サルのPulvに対応すると考えられている。これは機能的にはそうなんだろうけど、系統発生的にはたぶん違ってるということが上記のPuellesのfig.5からわかる。
いま言及した比較解剖学者のLuis Puellesのwebサイトを探していたら、アレン・インスティチュートのAdvisory Councilsのページがヒットした。関係者どんどんinvolveされているってことがよく分かった。
2012/11/5
以前言及した"What is the thalamus in zebrafish?"で味わい深いのは、Fig.1の系統分岐図でzebrafishが中心になっているために、その近隣の種が拡大されていて、ふだん見ているのと違っていること。
オーストラリア中心の上下反転世界地図(リンク1、リンク2)を見たときのような、視点の変更による驚きと喜びがある。
系統樹による大脳、中脳、間脳、小脳の大きさの違いを図示したこの図もよく見るけどソースが見つからなくて(カラバイだって書いてあるが)難儀していたんだけど、いろいろ探してCurr Biol. 2005 15(23):R946-50 "Evolution of the avian brain and intelligence"であることを突きとめた。
2012/11/7
The Retinotopic Organization of Striate Cortex Is Well Predicted by Surface Topology この図はイイ! V1損傷の話でretinotopic mapについて説明するときにちょうどいい図がなかったのだが、こんどからこれでいける。
ちなみにmacaqueの場合は古典的な論文でDANIEL and WHITTERIDGE (1961) J Physiol. 159:203-21というのがある。電気生理から再構成。fig.5,6では折り紙wを使って構造を説明。
もっと時代の新しいところでは、Tootellが物理的にunfoldしたV1で2DGを使って作った J Neurosci. (1988) 8(5):1531-68. "Functional anatomy of macaque striate cortex. II. Retinotopic organization"
マカクでHortonでいい図を選ぶとすると、J Neurosci. 1996 Nov 15;16(22):7228-39. "Intrinsic Variability of Ocular Dominance Column Periodicity in Normal Macaque Monkeys"だろうか。
マカクでどうやってV1をunfoldするかは先述のJNS1996 16(22):7228のfig.1にある。味わい深いのは、このテクを使った初期の論文JNS1996 16(5):1791ではnewbornでも綺麗に開けていないが、1998 18(14):5433ではほぼ完璧であること。だんだんうまくなってるっぽい。
盲視で二つの経路議論をするときにトリでも同様の二つの経路があるって話をするときには"Hemispheric asymmetries: the comparative view"これの図1がよさそう。