« ボン・ボリーニ! | 最新のページに戻る | 寂しい場所を通り抜けて »
■ 上丘についていろいろ(2) motion selectivity
nhpの上丘はmotionの方向に依存しないサプライズ検出器みたいになっている。しかしFigure-backgroundでのmotion detectionの場合にはMT損傷でこれが消える。Exp Brain Res. 1997 "Loss of relative-motion sensitivity in the monkey superior colliculus after lesions of cortical area MT"
ちなみにcatの上丘ではdirection selectivityがある。macaqueの上丘ではあまりdirection selectivityがないという話の元ネタを探すためには1970年代まで遡る必要があって、J Neurophysiol. 1977では"Movement in any direction was as effective a stimulus as any other in 125 cells (83%)" とか書いてあったり、EBR1979では"The pan-directional cells which comprise about 90% of the visual cells in the superficial layers" とか書いてあったり。
0なわけではないのだけれど。それから、velocity sensitivityは非常に強い。Catの場合だとこれを使ってmagno系(Y)かkonio系(W)かを分ける。
方向依存のないサプライズdetectorを作るためには、そのまえにdirection selectivityのあるところが必要で、先述の通りMTが必須かもしれない。すると、blindsightにおいても、RGC->LGN->MT->SCみたいな経路を使えるかもしれない。
@ichipoohmt ネコもウサギもハトもカエルもみんなdirection selectiveだったはずなので、サルの方がその能力を失ったと考えた方がよいように思います。ただし、上丘がその能力を失ったというよりは、ウサギとかではRGCのレベルでmotion detectorがあったのに、それがnhpとかでは失われたという風に考えた方がよいようにも思います。
もっとちゃんと調べておいたほうがよいのですが、1)RGCに方向選択性のある動物ではMTだろうがSCだろうがそのコピーで情報を持つことができた。2)RGCでの方向選択性がなくなって、V1->MTを使った処理が専門化した。3)さらにそこからinvariantな情報が上丘にできた?
@ichipoohmt MTのある視野位置のいろんな方向検出器を統合してSCの方向サプライズ検出器を作っているとしたら、受容野がMT並に広くなるはずなので、それで検出できそう。
そういう眼で先述のEBR1997を読み返してみたら、読みまちがえていることに気づいた! MT lesionで消えるのはrelative-motion (図と地のあいだでのmotion)の選択性だけで、単純なmotion関連の成分(motionによる)は変化しない! となると今まで書いていた話が全部吹っ飛んだ!
@ichipoohmt おつきあいありがとうございました。今書いてたのは、犬山で話をした、盲視ザルではmotion saliencyが非常に強い、これはなぜかっていうことを考えていたのでした。
Relative motionの話の大元はJ Neurophysiol. 1991 "Selectivity for relative motion in the monkey superior colliculus." ランダムドットを提示して、バックグラウンドが均一な灰色だと方向選択性がないor弱いけど、バックもランダムドットだと選択性が出てくるという話だった。
だから、私がやっているようなmotionによるsaliency/surprise検出に関してはじつはこのrelative motionが効いてそう。ただし、Laurentのモデルは単にローカルにmotion energyを計算しているだけだからrelativeは考慮に入れてない。もちろん両者は刺激としては相関しているので結果としては有意に出てくると考えるのは悪くない。
ん? そうしてみると、さっきの図式をちょっと修正すればよいのか。Macaqueでは、SGSでの単純な方向選択性は非常に弱くて、RGC->SGSもMT->SGSもあまり寄与していない。Relativeな方向選択性、つまりcenter-surroundの計算をするときだけMTに依存。
だから、マカクSGSではRGCが方向選択性を失った分をMTからの入力で補完したりしてない。でもCat SGSには強い方向選択性があるから、これがMT由来なのか、RGC由来なのかが重要。もしMT由来だとしたら、じゃあなんでマカクではそれを失ったのよ?って問いになる。 ここまで来れば次はcat RGCでの方向選択性を調べてみることにしよう。
ざっと見るに、Vis Neurosci. 1995 "Spatio-temporal receptive-field structure of phasic W cells in the cat retina."ではcat RGC W cellで10/54はdirection selectiveと出ている。
だいたい満足できた。
- / ツイートする
- / 投稿日: 2012年05月05日
- / カテゴリー: [上丘、FEFと眼球運動]
- / Edit(管理者用)