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■ ハトの首振り
ハトの首振りを止める方法 - Yahoo!知恵袋 これ面白い。あのハトが地上歩いているときに頭を前後にヘコヘコするやつ。あれはヒトの眼球運動で起きていることと似た現象なのだな。
ヒトがなにかものを注視しているときに不意に頭を回すと、眼球は網膜像を変えないように頭の動きとは反対側に回る。これを前庭動眼反射VORという。また、動いているものを見るときにはヒトでは眼球が動きに追従して流れてゆくフェーズとずれた分を戻すフェーズとがあって、これをOKNと言う。
これと同様にして、ハトの首振りも歩行による視野の動きを打ち消すように後ろに動くholdフェーズと後ろに下がった頭を前に戻すthrustフェーズがあるらしい。ヒトのVORで頭の動きを眼球で補正するのと同様に、ハトの首振りでは体の動きを頭で補正している。
ハトの首振りについてのレビュー論文を見つけた。"Head-bobbing"って言うそうな。 PDFもリンクされてるけど、本文とビデオがあるこのページを読む方が役に立つ。
これのFig.1を見ると、holdフェーズとthrustフェーズの違いがよく分かる。Holdフェーズが平らになっているのは、視野の動きをほぼ0に抑えていることを意味している。つまり、視野のぶれを無くすることによって、地面にあるもの(エサとなる穀物とか)を見つけるのに役立つ。
面白いなと思うのは、thrustフェーズの方も無駄ではないということだ。運動視差を作るのに役立っているって説があるそうだ。ハトは目が横に付いているので両眼立体視がほとんど役に立たない。だから、奥行き方向の視覚情報を得るためには運動視差を使うしかない。
運動視差というのは、電車に乗っているときの景色の動きを思い出してくれればよいのだけれども、自分が動いているときには近くのものは大きく動いて、遠くのものはあまり動かない。これがあれば奥行き方向の視覚情報を得られる。
だからthrustフェーズは頭を前に動かすことで運動視差を作るのに役立っているのではないかという話があるんだそうな。これは面白い! じゃあ、逆にヒトでのfixation-saccadeの連関のうち、saccade自体はそういう意味で視覚に積極的に関与している可能性はないだろうか。
とは言っても、transsaccadic memoryとか、サッカードによって全体を把握するとかそういうのはあるとして、サッカードの動き自体を使ってこそpick upできる視覚情報というのはないのだろうか?
このレビュー論文にはほかにもいろんな面白いことが書いてあって、ではなんでハトは首振りするのにアヒルは首振りしないか。いろんなトリで比較した研究があって(322種!)、目の位置とか、歩きながらエサを探すかとか、いろんな条件が考察されてる。このようなデータから首振りの機能を推測する。
大元のYahooの記事の話に戻ると、こういった学問的な話はさておき、それを「どうやったらあのキモイ首振りを止めることができるだろうか? たとえば目隠ししたらどうなる?」みたいなかんじで料理してあるのでナイスだと思った。プレスリリースとか大学の授業とかそういうところで役立つ技だ。
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- / 投稿日: 2012年01月09日
- / カテゴリー: [上丘、FEFと眼球運動]
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