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■ SFNから帰ってきました

San Diegoから無事帰ってきました。いま成田から名古屋の接続待ちです。
ぶじ、体調も崩さずに発表も終えてきました。
到着した晩が神経科学者SNSのオフ会でした。そこでいろんな方とお話を。神経科学者SNSの活用法として、nhpの電気生理についてのノウハウの意見交換をclosedでやるのはどうだろう、とか熱弁を振るったり。
ネット関係では、Shuzoさんしげさんとお会いして、局所回路ネットワークの解析にさいきん大きなブレークスルーがあったかどうか、というような話を聞きました。あと、ネットワークの動態の記述に局所的な要因で説明したり(Laurrentのバッタの話みたいに薬をかけて発火頻度は変えずにoscillationだけ変えるといったトリック)、localなpertuabationを加えることで説明したりする(海馬スライスのカオスの制御の話とか)のはネットワークの記述じゃなくて局在論へ戻ってるだけではないか、とか言ってみたり。でもそういう感じで「秘孔を突く」というのはネットワークのなんつーか特異点みたいなところをidentifyするということであって、それでいいのかも、とか考えたりとか、やっぱり熱弁。
なんか感化されて、Buzsakiの"Rhythms of the Brain"を買ってきました。ちなみにネットの各所でもレビューが出てます。金井良太さんのサイトのエントリ。わるねこさんのサイトのエントリ。ykenko1さんのサイトのエントリ
いろんな人と会って、将来の計画を画策。論文出す方が先決なんですが、なんだかんだと生理研研究会とか神経科学大会シンポジウムとか招待口演とか計画練ってます。
発表の方は無事済みました。スライド、原稿の準備、しゃべりなど神経科学大会より向上したのではないかと思います。Pptのアニメーション機能で「アピール」機能使いまくり。全体的に詰め込み気味だったのですが、だいたい10分で話が終了。もっとゆっくりやっても良かったみたいです。
質問の方はダメダメ。二番目の質問で何言ってるかわからなくて言葉尻捉えて関係有りそうなことしゃべってから、"am I answering your question? "とか聞いたら、"No, but it's ok"とか言われてがっくり。あとでSchmid(後述)とかとしゃべっているときにその話題が出て、要するにlesionがperfectだったかどうか聞きたかったということらしい。もちろんそれに対する答えはあったのだけれど。というわけでやっぱり英語に関してはダメダメ。今年はとくに滞在が短かったということもあるけど、とくにダメだった気がします。ヤバイ。
セッションは"eye movement: physiology and behavior"を選びました。視覚のオーディエンスにも聞いてもらいたかったけど、上丘のニューロン活動に詳しい人に聞いてもらいたかったということでこちらを選択。Stefan EverlingとかBrian Corneilとかがすごく面白がってくれたので良かったのではないかと。あと、Alex Maierから話を聞いて聞きに来たNIMHのLeopold研のMichael Schmidがトークのあとでやってきて話をしましたが、かなり関係があることやってます。急がなくては。Stefan EvalingとかMichael Schmidには帰りにラボに寄って話をしないか、と言われたけど次の日帰らなくてはいけなかったので泣く泣くまた次回に、という話に。
あと、Vikingさんも見に来てくれて、少し話をしました。じつは今回が初めて。
Laurent Ittiとのコラボレーションの方の仕事もぶじ発表が終わって安心。LaurentはSFNははじめてかもしくは久しぶりだったらしく、あまりにスライドセッションが多すぎて、個々のセッションのスコープが狭くなってしまっているのを嘆いていました。どの口演に関しても質問があまり出ないし。たしかに彼が本拠としているVSSはconcurrent sessionがたった二つで、みんなが同じセッションを聞いているという一体感があります。これはASSCも同じですが。やっぱあんまり規模が大きくなるのはいいことないと思うんですけどね。
そんなこんなで無事帰ってきました。

コメントする (5)
# Shuzo

オフ会でお話できて良かったです。

ネットワーク関連の議論ですが、局在論というご指摘、確かにそうかもしれません。ただ、manipulateすべきものをidentifyする、というのは、何を研究するにしろやはり重要な気がします。そして、因果関係的なことにも迫れる時代が来るかも?という期待が持てるだけでも一歩前進のような気がしてます。(と生意気こいてみます。。。)

ところで、ブザキ本を買われたとのこと。
哲学書のように、「ここ、書いたブザキ以外わからんのでは?」と思える超難解な箇所が多々ありますが、なかなか楽しめる本だと思います。人によってつかれる「秘孔」が違いそうですが、個人的には、後半の海馬関連の話をどのように思われるのか(どれくらいフェアか)、ぜひpooneilさんにお話をお聞きしたいところです。

また直接お会いできるのを楽しみにしています。
オーラル発表、お疲れ様でした。

# viking

こちらこそ、ほんの少ししかお話できませんでしたがpooneilさんにお会いできて嬉しかったです。神経科学SNSのオフ会は、諸事情により参加できず残念でした。また皆さんとお酒片手にお話できるような機会があればぜひその時は参加したいと思います。

SFNはどんどんオーラルの細分化がきつくなって、良くないですね。3年前に参加した時にも聞いた声ですが、「じっくり議論したいからあえてポスターにした」という人が増えるのも道理かと思います。もっともポスターはポスターでいい加減な発表も少なくないので、多少S/N比が悪いような気もしなくもないのですが・・・ポスターもポスターで半日よりは1日欲しいぐらいなんですが、今の発表件数だと致し方のないことですね。次回からは何か改善がなされるよう期待しております。

# pooneil

>Shuzoさん
ブザキ本、まだちらちら最終章(13章)だけ読んだところですが、これすばらしいですね。わたしが考えてることとけっこう近いことが書いてあるのを見つけて、いろいろ焦ったり。このへんは自分の仕事の進行に従って、自分の現在の構想について追々書いていきたいと考えております。
あと、海馬関係ですけど、11章のうち、episodic memoryの項だけ読みました。Episodic recallとcued recallとをきっちり分けた上で、episodic recallに先立つspontaneous phase processionを探せばいいかもしれない、みたいな仮説を提示しているところは面白いのではないかと。以前から書いてますが、episodic memoryの問題は最終的には意識の問題ですので(episodic memoryは、"mental time travel"とでも言うべき追体験=主観的経験、が伴うのがその条件のひとつ)、ただのcued-sequential memory以上のものであるepisodic memoryを特徴づけるものはなんなのか、将来のネタのひとつとして興味持ってます。
あと、私の名前の入った論文がreferされてて喜んだり(どういう文脈でreferしているかはいまのところ不明ですけど)。Varela and Thompson 1991やO'Regan and Noe 2001がどういう文脈でreferされてるかもこれから検証です。

# pooneil

>vikingさん
あまりゆっくり話が出来なくて残念でした。お客さんが待ってたので話をさっくり切ってしまった次第。
このへん、ポスターセッションの時もいつも悩ましい問題です。たとえば、ポスター聞きに行って話をしてたら、途中でポスタープレゼンターの知り合いらしいのが割りこんで来てこっちは放置されて挨拶と世間話が始まって、苦々しくそのポスターから離れていく、こんな経験を何度かしたことがあります。(そういうわけでわたしはポスター聞くのがなんか不得意です。人混みの出来たポスターに割り込んで質問をするということがある時期から出来なくなりました。) そういう意味でも大変心苦しいことでした。
ちなみにオーラルセッションはいろいろ問題有るけど、より多くの人にアピールするためにはこちらの方がよいと思っています。ただし、どのセッションを選ぶかがものすごく重要でして、これを誤ってなんか泡沫候補みたいなところに集められたりするとほんとがっかりします。
論文出さないとけっきょく人は集まってくれないし、論文出すためにたくさん人に集まってほしいし、という鶏が先か卵が先かって話なんですけど、けっきょく論文を出し_続け_てプレゼンスを上げていくしかないというのが結論です。わたしは途中でsubjectを変えたのでこのへんもういちど積み直しというところがあって、なかなか苦しいところです。なんかイギリスのロックミュージシャンがアメリカ進出のために地道にアメリカ全国ツアーをするのと重ねてみたり。
それではまたの機会に。

# Shuzo

tough problemsから取り組まれたとは。恐れ入りました。

エピソード記憶の部分に対するコメント、さすがなコメントで勉強になりました。ありがとうございます。コメントを読みながら、最近RedishたちのグループがJNSで報告しているCA3での面白い現象を想起しました。その論文、まだしっかり読んでませんが、pooneilさんが指摘していただいた文脈で読んでみるとさらに面白いかも?と思いました。今デスクの上にあるので、読んでみます。

ちなみに、pooneilさんたちのお仕事、p338でしっかり紹介されてますよ。


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