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■ 脳と非線形力学系について勉強してますって話

Mark ChurchlandのNature 2012が出て、リーチング運動時の運動皮質ニューロンの集団での発火のダイナミクスが、非定常的なものではなくて周期的なものとして捉えることができる(がゆえに力学系的解析が応用可能になる)というのを読んですごくこの辺りに興味をもつようになった。

Vreeswijk and SompolinskyのScience 1996 (PDF)での「興奮性ニューロンと抑制性ニューロンがバランスしたネットワークでカオスが発生する」という論文では、かなり単純なニューロンモデルが扱われていた。

それに対して、ここ最近ではRenart et alのScience 2010やTan et alのNature 2014にあるようにEIバランスによるasynchronous stateがげっ歯類のin vivoでの仕事で報告されるようになってきていて、もはやこのあたりは流行りと言ってもよいかと思う。

そういうわけで非線形力学的な道具を使って脳活動を解析するというのに興味を持って、遅ればせながら勉強をしている。

埋め込み定理を使って脳波とかの時系列データを解析するってのは合原先生の1990年代の仕事とかで見たことがあったけどそれ以来あんまり見ないから、なんらか実際の運用上で難点があって一般化しなかったのかなと推測していた。でも前述のChurchand論文とかを見ていると再訪する価値があるかもとか思ってた。

そしたら最近、Pouget研の田嶋達裕さんが藤井さんのneurotychoのデータ(ECoGでの多点同時記録)を使って、脳活動の埋め込み関係から因果構造を捉えるという仕事に取り組んでいる。「生体の科学」のレビュー(PDF)

これはSugihara et alのScience 2012を踏まえての仕事らしい。こちらも読まなくて、と思ってた。

そうしたら先日の「因果フェス」でコメンテーターとして参加した伊庭さん@ibaibabaibai の8/7の連続ツイートでSugihara et al(のCCMに関連した講演)が批判的に取り上げられてた。

このあたりの状況に追い付きたいのだけれども、勉強不足でまだそのずっと手前の位置にいる。(イズケビッチ本のFHNニューロンの相空間解析とかさいきん翻訳が出たストロガッツの「非線形ダイナミクスとカオス」とか読んでる。つまり、まだ学部レベル。)

こんなことを「自分で」する意義があるのだろうかと自問自答しつつも、でも自分が次の段階に行くにはたぶんこれが必要なのではないか、とか考えているところ。自分語り乙。


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