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■ 研究関連20140630

多重共線性が出たときの対処法って結局どうすればよいのだろう。Y = b1*X1 + b2*X2 + e でX1とX2が相関高いときにX1もしくはX2だけに変数をdropしてregressするのは正しくないと思う。(X1+X2)と(X1-X2)という二つでregressするほうがよくないか?


Kindle入りするまで待つつもりだったちくま新書の哲学入門(戸田山和久著)を買ってしまった。まだ2章だけど、買って正解、ものすごく役に立つ。ミリカンの議論に基づいて表象とは何かという話から始まるのだけれども、「因果的に決まる限り表象は間違え得ないけどそれではおかしい」というところで、下條先生の「「意識」とは何だろうか―脳の来歴、知覚の錯誤」でのNewsomeのperceptual decisionの議論を思い出した。こういうことを知りたかったんだった。

あと、「意味を作るためには中国語の部屋だけではダメで行動が必要」って議論があって、分析哲学でも行動の意義は考慮されてるのであって、enaction説とそんなに断絶してるわけでもないなと思った。さらに読み進めてみることにしよう。


薬学部の頃に「プログラム学習シリーズ」の赤い本、たとえば「有機合成化学」とかがあって、あのシリーズにすごくお世話になったのだけれど、ああいうかんじで神経解剖学を大づかみなところから詳しいところまで教えることはできないもんだろうか。

いきなり「Gray's Anatomy」最初っから読めってのが正しいとは思わない。学部だったら薄めの教科書を一冊とにかく最後まで行くのが精一杯だと思うけど、どうしたものか。和訳本「カンデル神経科学」が出たタイミングなので考えてみた。

大学院の勉強会やるとしたら、カンデル本やってから"The New Visual Neurosciences""The Neurology of Eye Movements"だろうか。

数年前に二分冊の"The Visual Neurosciences"からいくつか章を選んで輪読したのだけれども、合冊の新版を見たらけっこう内容が変わってる。もう一回新版でやってもいいのかも。人も入れ替わっているし。


messy mindについてだけど、@fronoriさん、@kazuhisさんが言及しているとおり、これは「機能というものについての進化的な見方」というかなりgeneralな観点なのであって、私自身もこの概念を知ったとき、下條先生の「来歴」やVarelaの"lineage"を思い出した。

だから論点はそれ自体というよりも「脳波や脳波のcross-frequency couplingみたいな直接byproductっぽいものが機能を持ちうる」という気づきを得たことを記しておきたかった。

そしてこれは計算論的脳科学におけるデビッド・マーの「脳活動と行動から計算論的原理を抽出する」という考えに対して、否定はしないけれども、機能とimplementationの関係が一対一のような関係ではなくてもっとmessyでありうることを示唆しているわけで、意義は大きいと思う。


いろんな人に会って考えていたが、左右の脳で半視野ずつ分担しているのに、なんで左右が切れ目無く繋がっているかということは、連合線維と交連線維とが同等であるわけでもなかろうし、けっこう難問なのではないかと思った。


「非線形な世界」の補足ページより。こことかシビれる:「「複雑系」はダーウィン過程によって生成する系あるいはそのような系によって構成された系であり,短時間の過程で生成することは一般にあり得ない.したがって,伝統は枢要である.反動ならざる保守だけが複雑な系を維持しうる.」

脳とSOCとかそういう話題についての記事なのだけど、砂山モデルのPer Bak氏はすでに亡くなっていることを知った。nytimesの記事:obiuaries

「バクはデンマークのもっとも偉大なアメリカ人だった。…普通のデンマーク人は対立を避けるものなんだが、彼ときたら尊大で同僚と論争をすることを好んでいた。バクと合ったことのある人達ならみんなバクとの初対面のときに彼からどんなふうにひどい放言と侮辱をされたかを話すことができるよ。」ウィキペより。


いろんな動物の脳のサイズを比較している図がツイートされていて興味をもったが、出典が書いてない。Google画像検索で調べてみたらFrontierジャーナルのレビューであることが判明した。"The evolution of the brain, the human nature of cortical circuits, and intellectual creativity" ここのFig.7。リンク こういうのをストックしておくとトークの時とかに役に立つ。

この図を見ると、ヒヒやマンドリルの脳が思ってた以上にマカクにそっくりだったので見方を新たにした。ちょっと彫りは深いかもしれないが、IPS, ArcS, LunSとかほとんど同じだからブロードマンの領野とか即推測できそう。

あと、イヌやネコに中心溝(ローランド溝)がないのってあらためて不思議なことな気がしてきた。それよりも外側溝(シルビウス溝)のほうがより深く、発達の段階でも一番最初に形成される脳溝らしい。胎生10-15週だそうな。(The Development of Gyrification in Childhood and Adolescenceのfig.1より)


autismでのSensory overloadとNed Blockのoverflowって繋げることができるんではないかなとか考えた。


Rodolfo R. Llinásの"I of the vortex"にホヤの話があることを知った。つまり、動いているときは原始的な脳を持っているのだけれども、いったん定住してしまうとホヤは自分の脳を消化してしまうと。「動きが脳を作る」系の話でこのネタは使えるな。


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