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■ ところで「推論」ってなんですかね?

生理研研究会「認知神経科学の先端 推論の脳内メカニズム」 参加登録始まってます。

さて、それで今年のテーマは「推論の脳内メカニズム」なんですけど、「推論」ってなんですかね? いやいや、知らないで企画したわけではないんですが、話のとっかかりとしてですね。

今回共同オーガナイザーをしていただいている京都大学大学院・医学研究科の小川正さんに「研究会の狙い」と題して文章を書いていただいたのですが、それを引用すると、

実世界においてヒトや動物はさまざまな問題に直面するが、脳は柔軟に対処することによって問題の解決を試みる。そのような場合、環境や脳内に存在するさまざまな情報から必要とされる情報を能動的に選択・統合することによって問題解決に連なる行動に結び付ける過程(推論)が存在すると予想される。

というわけで、いまここでは「推論」としてそんな能動的な過程のことを考えています。はじめはタイトルを「思考・推論」としようとしたくらいで、まあ、そういったものをどう扱えばいいのかってのは、認知科学的に、もしくは工学的に知覚や運動制御を捉えたりするのとは違った難しさがあるわけです。

だからこそ小川さんは

現状において「推論」は少し先走った研究テーマではあるが、脳が有する高度な知的能力の解明に繋がる魅力的な研究対象である。

と書いたわけでしょうね。

今回お話しいただく方々はそれぞれご自身の問題意識があるので、だれもが「推論」とはなにかということそのものを直接問うているというわけではないのですが、このようなテーマの元で講演者の方々にお話しいただき、みんなで議論することによって、参加者の皆様の今後のあらたな問題設定とかに寄与できるんではないかと期待しております。

「推論とはなんぞや」ですが、上記の能動的vs受動的みたいな議論に入る必要は必ずしもないのかもしれません。そもそも我々に自由意志はあるのでしょうか?っていう話。

そうではなくて、bayesian inferenceでやってることとかを思い起こしてもらうならば、意志決定の過程で単純に二つの選択肢のエビデンスなり価値を比較するってあたりから、さらに複雑な要因を組み合わせた上で意志決定をするとすれば、それは推論の研究であると言えるでしょう。そういう意味では今回のテーマは2007年の「意志決定」の続編という側面もあります。

続きはまたこんど。

参加登録は研究会webサイトまでどうぞ。

若手(学部生、大学院生、ポスドク)への運営手伝い(旅費等の支援あり)の申し込みは締め切り8/31。


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