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■ おちゅーしゃのじかんデスよ!!!
薬学の学生実習のとき、分析化学の回でHPLCを使った実験があった。何分おきかで分析したい薬物をシリンジで注入すると、ペンレコーダーでいくつかに分かれたピークが描画される。
でもって、注入の時間が来ると私は「おちゅーしゃのじかんデスよ!!!」と野太い裏声で、オッサンがコントでナースの扮装をしてるようなシチュエーションを想定しつつ、注入をしていた。
私がなにをやっているのかみんなに伝わっていたのかはよくわからないけれども、あー、また吉田がなんかヘンなことやってるとか思われつつ、なんかそういうキャラとして受容されていたのだった。
でもそのとき違ったのは、同じ実習グループの、おとなしめな女の子が恥ずかしそうに小さな声で「おちゅーしゃっ」と真似して注入してくれたんだ。なんかスゲーガッツポーズを取った。惚れなかったけど。
俺の人生にピークなどなかったが、強いて言うならばあそこがピークだったんじゃないかと思う。(<-大ウソ)
こう書いたことのなにもかもがウソであったように思える。あんなに無邪気に、自分のネタが理解されてウケると信じることができたということがいまでは信じられない。
べつにそういう細い設定が理解されていたわけではなかったのだけれど、俺のそういうキャラ立ちが受容されていた、それで充分だったのだし、幸せだったんだろうと思う。
ところでみんなも、役職に押し込められたりしながら、なんか非人間的な応対をしたりされたりして、そういうものを失っていったりして、あるとき自分が他人の人生の脇役になっていることに気づいたりするんだろうか?
俺自身はいまでも「おちゅーしゃのじかんデスよ」とかやってみたいんだけどね。