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■ ASSC13 Berlinの感想

6月にASSC13@Berlinに行ってきたんでその感想を書こうと思ったまま放置してました。記憶をたどりつつ書いてみます。
今年のミーティングは前半はほとんどひとりで過ごしてました。空き時間はホテルでスライド作りっていうかMatlabいじってたり(ギリギリすぎ!!!)。後半の方はUCLの金井さんと東大渡邊研の高橋さんとメシ食ったり語ったりしてました。いつも通り演説口調だったけど。今回はそのときがいちばん面白かったかな。
なんというか今回は端的に面識のある人があまりいなかったんですよね。Alex MaierもMelanie Wilkeもいなかったし、Olivier CarterもHakwan Lauも土谷さんもいなかったし。今回はちょっとニューロサイエンス色が弱くて、それよりかは心理物理って印象でしょうか。あと、Ned BlockもChristof Kochも会場でほとんど見かけなかったし。(サボりをいいつけるオレww)
私の発表の方は今年もトークでアクセプトされたのですが、今年入ったセッションはなんかanimal consciousness系というかんじで、私の次のトークは「魚には意識はない、なぜなら視床がないからだ」っていう突っ込みどころ満載の人で、そのつぎはソーク研究所のDavid Edelmanで、「タコに意識はあるか」というよりは「どのくらい知的な行動ができるか」というもので、こちらはおもしろくてまっとうな仕事なのだけれど(もうすぐTICSにレビューが出るとのこと)、基本的に行動についての仕事で、ニューロンの話はなし。ともあれ、それだけ動物での話というのが全体でも少なかったということです。これは会場がヨーロッパであるが故えのことですかね?
というわけで、私はゴリゴリに電気生理の話(「盲視のnhpにはある種のawarenessがあって、それが上丘で表象されている」)をしたらなんか浮いてた。ただ、それなりにオーディエンスは多かったし、chair personはPetra Stoerigだったし、Ned Blockも見に来てたし(あとたぶんAnil Sethもいたような)、John-Dylan Haynesも一番前で聞いてくれて、質問してくれた。というわけで届けたいと思った人には届いたのでよかったのではないかと思います。(2年前のラスベガスのときと比べたらpresenseという意味では大進歩ですよ。)
John-Dylan Haynesの質問は、「普段の行動で見えてないと思えるような証拠はあるのか」というもので、それは想定内なので返答をしたけど、ともあれあまり深い話にはなりませんでした。
Petra Stoerigと会うのも初めてだったので、hemianopiaの人のどのくらいがblindsightになり得るのか聞いてみたんだけど、リハビリのモチベーションがあって十分トレーニングできればだいたいresidual visionがでてくるみたいな話をしてくれた。あと、nhpのblindsightはtype II的なものなのではないか? PetraのCerebral Cortex 2002のRosieのデータなんかはそのように見えるけど?みたいな質問をしたら認めてた。とくにRosieは長期間トレーニングをしているからtype II-likeなのだろう、みたいな話になった。そういう意味ではうちのがtype II-likeなのと整合性がある。種差の問題とかもそれで解決しそうな印象。そういうわけで、Petraと私との間でこの点に関する争点が消失してしまった!!! Petra自身はなんつうかおっとりとした方で、がんがん論争をぶつけるとかそういうかんじではないのでちょっとつかみ所のないのだけれど、ともあれ今回のドイツ行きの目的の大半はこれで済んでしまった。(あとは、もしVSSに行けてたらPaul Azzopardiと議論できたはずなのだけれど。)
今回の学会で印象深かったのは、Tononiのintegration theoryがものすごくフィーチャーされていた点でしょうか。Prenary lectureがTononiだっただけでなく、Kochもこれの解説と簡単なシミュレーションとかをトークでしゃべってたし、Anil SethもTICSの内容(integration theoryと自身のgranger causalityについての研究をまとめたネットワーク的振る舞いについての計算論的研究とかをまとめたもの)をしゃべってた。以前わたしはTononiのinformation integration theory of consciousnessでこういう話は好きだけどempiricalな問題への応用可能性の点で懐疑的だ、みたいなかんじで書いていたのだけれど、こういう状況を見てたら、なんかもう少し時間をかけてしっかり勉強してみようという気になりました。これが最大のポイントですかね。あとは上記の通り、ニューロン活動記録のような話がほぼ皆無(fMRIとかEEGとかはたくさんある)だったんで、ちょっとこの状況は気になりましたね。もうSFNのほうはだれかが呼んでくれるときに行くことにして、VSSとASSCに積極的に行き続けようとか思っていたのですけど、ここは心配。(次回はcosyneにも行っておきたい。)
今年のミーティングはひきこもり気味だったのであんまり観光に行ってないですけど、会場が市内の中心地(ミッテとか自由大通りとかそっち)だったんで、美術館島とか行ってきました。やっぱドイツだし、ということでiPhoneにはAmon DüülとかCANとかクラウトロック系を入れておきましたけど、これが正解。ペルガモン美術館ってヘレニズム系のでかい遺跡がたくさん並んでるところが有名ですけど、バビロニアのあれ(頭が鷲で体が兵士みたいなやつとか)が並んだ「イシュタール門」ってのがあるんですよ。これはかなりキタ。さっそく博物館の説明用のヘッドホンのふりしてAmon Düülの"Psychedelic Underground"を一曲目から通しでずっと聞く。すげーよく合う。見るもの全部なんかサイケデリックなかんじにさせてくれました。残念ながら音量は控えめにしてましたけどね。良い経験でした。歩き疲れて、ペルガモンの大祭壇に座ってAmon Düülの"Paradieswärts Düül"の気怠いの聴いたり。あと、行く前はテクノ系クラブ行こうとか気合い入ってましたけど(Tresorとか調べてたんですけど)、ちょっと無理でした。時差ボケで夜10時には寝てたし。
さて、学会の終わりには次回の会場が発表されていて、ASSC14 (2010)はトロントでMervin GoodaleがPresidentだそうです。そして、いよいよ来ましたよ! ASSC15 (2011)は京都で霊長研の松沢先生がPresidentです。さーキタキタ!!! これは忙しくなるよ!!! (なんか勝手に準備体操とかしてる。)
というわけでそんなASSC15に向けてという面からも、今年の岡崎のワークショップNIPS-SSCをどんどん盛り上げて盛況でいきたいと思います。(NIPS-SSCという名前からわかるように、ASSCから名前をパクってます。Olivier Caterはべつにいいって言ってたんでありってことで。そういうわけで、NIPS-SSCは非公式pre-ASSC meetingという位置づけにしてあるのです。) というわけでぜひポスター応募(締め切り7/31)の方をよろしくお願いします(宣伝にも抜かりなし)。


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