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■ 応用問題:海馬sliceのfield EPSP

海馬スライスを使ったLTPの実験では、CA3からCA1への入力繊維であるSchaffer collateralを電気刺激して、CA1でのシナプス応答を記録するという実験が盛んに行われた。Whole-cell recordingだと1時間以上の記録は難しいから、おそらく現在でも長時間の記録をしたいときとかには使われるんではないかと思う。このときなにを記録しているかを考えてみよう。

CA1のstratum radiatum(apical dendriteのあるlayer)に細胞外電極を置いてSchaffer collateralを電気刺激すると、下向きのfield potentialが記録できる。これはSchaffer collateralからCA1 pyramidal neuronのapical dendriteに入る興奮性シナプス電流を反映している(field EPSPと呼ばれる)。一方で、CA1のpyramidal layerに細胞外電極を置いてSchaffer collateralを電気刺激すると、上向きのfield potentialに混じって鋭いnegativeな波形が見られる。前者はdendriteへ入力する興奮性シナプス電流が離れた場所でsourceとして見えているということ。鋭いnegativeな波形は電極直下のpyramidal neuronのaction potentialがsourceとして記録されていることを意味している(population spikeと呼ばれる)。Preのfiberを電気刺激しているため、多くのpyramidal neuronが同期して発火するので、細胞外電位として検出できるわけだ。

以前書いたことのある疑問(20050818)だけど、ではなぜstratum radiatumから記録しているときにはpopulation spikeの成分がsourceとして見えてこないのだろうか。これに対する答えは今回のエントリの範囲は超えるのだけれど、細胞外電位の広がりには周波数特性があることが知られている。つまり、ローパスになっている。だから、離れたところで起こったaction potentialはdendritic layerでは記録できないから、というのがとりあえずの答えになる。じっさい、single-unitの記録の経験からもローパス特性についてはよくわかる。電極がニューロンから離れているときはポジの成分ははっきりとしているけれども、ネガの成分が充分シャープでないため、単一のニューロンとして記録する(「isolateする」と言う)ことができない。電極を進めていってニューロンの近傍まで近づくと、ネガの成分が鋭く大きくなってきて、isolateできるようになる。ポジもネガも同じニューロンのaction potentialが元なので、このような違いはaction potential(による細胞膜を流れる電流)による電位変化がvolume conductorを伝播しているところで、高周波成分が落ちたということを示している。

Computationalにこの問題を扱っている人がいて、前述のBedard C et.al (2004)ではこれを電流発生部分から電極までの広がり(volume conductor)でのconductivity(=抵抗の逆数)が場所によって不均一だから、としている。つまり、simulationをしてやって、conductivityが均一なモデルだとそのようなローパス特性が起こらないが、不均一だと起こるということを示している。

ただ、よくわかんないのは、Buszakiの本を読んでいると、 (書きかけだけどアップ。)


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