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■ ラット脳から意思決定の信頼度情報を解読

当ブログでもNewsome論文のスレッドなどでいくつかコメントを寄せてくださっていたHarvardの内田さんの仕事がNature AOPに掲載されています。おめでとうございます:
"Neural correlates, computation and behavioural impact of decision confidence" Adam Kepecs, Naoshige Uchida, Hatim Zariwala and Zachary F. Mainen
まだ図をちらっと見たくらいですが、これは重要。以前から精力的に続けておられるrodentでのperceptual decision (二種類の匂いを混ぜて、どちらが多いかを選択)の仕事ですが、今回のはOFCからニューロンを記録して、perceptual decisionのSDT的モデルと組み合わせて、"decision confidence"がOFCのニューロンに表象されている(=研究者が情報を読み出すことが可能)ということを示しています。
さらにreinitiation taskというのを使ってrodentでもそのようなconfidenceを使っているとする証拠(=動物自身がその情報を使っている)を出しています。これは、perceptual decision taskなのだけれど、choiceをしてからrewardが出るまでの時間が2-8 secと振ってあって、自信がないときはrewardが出るかどうかわかる前に次の課題を始めることができる、というもの。(エラーだったら8secあとにエラーの音が鳴る。) これは行動の評価としてはシンプルで良いですね。
このへんは待つことのpayoffとかそういう話にもなるので、南本さんの話に関連してくるはず。研究会ではそういう質問をしてみましょうか。
モデルの図4も読めてないけど、TICS 2008 "Getting technical about awareness"とかとつなげて考えたいです。
全体として、accuracyとconfidenceをどうやって分離できるのかとか、reinitiation taskのシンプルさ故の限界はどこか、とかまだわからないところはあるのですが、いろんな意味で私にも関係のある重要な仕事なので精読しときます。とりあえず今日は速報まで。
「Rodentを使ったperceptual decision」に関してはShuzoさんのエントリ「カンファレンス・プレビュー」(超力作!!)をどうぞ。
わたしの仕事との関連、という点は次のエントリで。

コメントする (1)
# Shuzo

私のまとまりのないエントリーまで引用していただいて恐縮です。(素人丸出しな部分も多々あって、恥ずかしいですが、、、)
それはともかく、ジャネリアのカンファレンスでは、この論文の筆頭著者Kepecsさんのトークが最もインパクトのあるトークの一つでした。その時すでに投稿済みだったのですね。

ちなみにこのKepecsさん、Mainenラボがポルトガルへ移る時、あとがま?として独立しています。超若いです。
http://kepecslab.cshl.edu/

内田さんラボ、Mainenラボ、Kepecsラボと、げっ歯類のperceptual decisionの分野がどう発展していくか注目ですね。


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