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■ 意識と信頼度 (Awareness and confidence)

わたしの仕事はawarenessとperceptual decisionとの関係がツボのひとつです。つまり、awarenessのことをきっちり扱おうとすると必ずやperceptual decisionとの関係を考えざるを得ません。
そういうなかで最近出た
Nature Neuroscience - 10, 257 - 261 (2007) "Post-decision wagering objectively measures awareness" Navindra Persaud, Peter McLeod and Alan Cowey
はawarenessの有無の評価としてSDTで使われるようなconfidence ratingに代わる方法として、お金を賭けてもらう、という単純な方法がうまくいくことを示した論文でした。
わたしはちょっと単純に過ぎるんではないかと思いましたし、ある種confidence ratingの簡便法ということかな、という理解でした。(GYさんのコメントでは、confidence ratingをやるのはたいへんだけど、bettingをするのは簡単だし、楽しい、とのこと)
しかし、Kochの紹介記事("Betting the house on consciousness")では、confidence ratingだとawarenessのcontentそのものへのアクセスによってcontentそのものを変えてしまうのではないか(明示的には言ってないけどattentionの影響とか)、それと比べると優れている、というようないい方をしていて、もうすこし読んでみようかと考えておりました。
しばらくするとTICSに
Volume 12, Issue 2, February 2008, Pages 54-58 "Getting technical about awareness" Colin W.G. Clifford, Ehsan Arabzadeh and Justin A. Harris
が出てきて、decision criteriaとの関係の議論が出てきたり、Anil K. Sethとのあいだでいろいろやりとりが始まったり:
Consciousness and Cognition Volume 17, Issue 3, September 2008, Pages 981-983 "Post-decision wagering measures metacognitive content, not sensory consciousness" Anil K. Seth
Consciousness and Cognition Volume 17, Issue 3, September 2008, Pages 984-985 "Experiments show what post-decision wagering measures" Navindra Persaud, Peter McLeod and Alan Cowey
Consciousness and Cognition Volume 17, Issue 3, September 2008, Pages 986-988 "Theories and measures of consciousness develop together" Anil K. Seth
Sethはhigher-order thought theoryとかそっちのひとですね。このへんのネタを仕込んでHakwan Lauと議論しとこう。
このへんを一度まとめておこうかと思ったのですが、事態がどんどん進んでいてフォローできない。
ともあれ、SDT的にアプローチしてこの問題を明確にしておく必要があるのではないかと思います。ここでいうSDT的というのはSDTをよりrealisticにしたうえでのことですけど。(Criteriaにもjitterを考慮する、reaction timeを組み込む、分布にgaussianを仮定しない、historyのeffectを考慮するなど。)
現時点で私として言えるのは、
* awarenessのneural correlateについてモデルベースで考えようとすると、perceptual decisionの枠組みに入り込む。
* awarenessのneural correlateはdecisionの結果よりは上流にあるべきで、sensory stimulusそのもの(retinaのレベル)よりは下流にあるべき。
* よって、awarenessのneural correlateは、perceptual decisionの枠組みでは、decisionのevidenceのレベルにある。
というかんじになります。
Post-decision wageringの話に戻しますと、論文の結論は、awarenessがないときは賭けによるgainをoptimizeできない、というものでした。よって、heuristicとして、そのdecisionは最適行動なのかという方向から考えることができます。このへんがわたしがやっていること。
今回はこのへんまでで。
ちなみにこのへんで二つくらいセミナーのネタが作れますね。たとえばこんな感じ:
Awarenessとconfidenceとの関係:
Consciousness and Cognition Volume 10, Issue 3 , September 2001, Pages 294-340 "Confidence and Accuracy of Near-Threshold Discrimination Responses" Craig Kunimoto, Jeff Miller and Harold Pashler

Nature Neuroscience - 10, 257 - 261 (2007) "Post-decision wagering objectively measures awareness" Navindra Persaud, Peter McLeod and Alan Cowey
Volume 12, Issue 2, February 2008, Pages 54-58 "Getting technical about awareness" Colin W.G. Clifford, Ehsan Arabzadeh and Justin A. Harris
動物でどうやってconfidence ratingをさせるか:
"Rhesus monkeys know when they remember" PNAS | April 24, 2001 | vol. 98 | no. 9 | 5359-5362
Confidence judgments by humans and rhesus monkeys. J Gen Psychol. 2005 Apr;132(2):165-86
Confidence judgments by rhesus macaques on a serial memory task(PDF)
Nature 2008 "Neural correlates, computation and behavioural impact of decision confidence" Adam Kepecs, Naoshige Uchida, Hatim Zariwala and Zachary F. Mainen
後者の方がやってて面白そう。
ではまた。


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