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■ 「1000の小説とバックベアード」読んだ
花火の方は楽しく終了。途中で雷なったりとかすごいことになってましたけど。
んで、「1000の小説とバックベアード」佐藤 友哉が岡崎の書店に入るのを待っていたのだけれどけっきょくどこにも入らずあきらめていたところで、図書館に新潮の2006年12月号があったのでそれで読むことに成功しました。
いや、良かったです。奇妙な設定もじつは自伝的。どう話を落とすのと思ったら後半はけっこう盛り上がりました。熱くてやる気満々、ということはけっしてあり得ないのだけれどなんだか決意に充ち満ちているという雰囲気はこれまでの作風とも通じているような。あと、かなり狙ってた感じはする。「日本文学」さん、なんてかなり高橋源一郎的ですよね。(三島賞の第一回受賞者は高橋源一郎で、しかも三島賞受賞後に佐藤友哉は高橋源一郎と対談してる。ネットのどっかで見たけどいまみつからない。) これまで通り全体としてなんか戯画的な感じというのもそういえば通じている気がします。あと、「キャラクター小説の作り方」 大塚 英志にたいするアンサーソング的な側面も感じました。
……ここまで書いてから「佐藤友哉 高橋源一郎」でググってみたら、はてなだけでもけっこう採りあげられてる。「海難記」とか「東京猫の散歩と昼寝」とか。後者で「日本文学盛衰史」高橋源一郎への共感、という表現がされていたので、つぎはこれを読んでみようと思います。高橋源一郎はかなり好きで、10年ぐらい前に小説はけっこう読みましたけど(「さようなら、ギャングたち」「優雅で感傷的な日本野球」「虹の彼方に」「ジョン・レノン対火星人」「ペンギン村に陽は落ちて」とか、ストーリーよりは独特のポエジー(という表現をこの人はします)で読ませる)、21世紀になってから出たこの作品は読んでませんでした。
ユヤタンの方に戻ると、本作は鏡家シリーズとかに出てくるヤケクソ風味やグロ風味はほとんどみられず、強いていえば「友がみな僕よりえらく見える日は 刃物を振るいて お前らザクザク」くらいでしたが、その調子で小説、小説と繰り返したまま終わってしまったので、ネタだよね、というかボケっぱなし?とか思いつつも(しかもあまり皮肉が効いてないもしくは皮肉臭くない)、こういう書き方は好きですけど。今っぽいと言えるかも。
あと、「小説」家になってしまったせいか、オタク的意匠は見られなかったですね。強いて言えば、「バックベアード」ですが、これはいろいろコンテキストがあって面白いですね。私は改変ネタの方を先に知ってしまったのでちと笑ってしまいましたが。