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■ クロールの最新理論

学会も終わって一息ついて。
以前コピーだけしていた岩波の「科学」2004年6月号の「手のひらの推進力と身体の抵抗からみた最速の泳法 イアン・ソープのスピードの謎を解く」をすこし読んでみました。スッポン泳法、おお、おもしろい。著者のサイトからこの論文およびScienceのNews focusで紹介されたときのpdfファイルが入手できます。科学大好き土よう塾に簡単な説明がありました。
私は中高と競泳をやっておりまして(今年の水泳資格表で見ると18歳で6級程度)、大学のときにはOBとしてコーチをしていたので、クロールの泳法の理論については興味があったのですが、ここしばらくご無沙汰になっておりました。
というわけで最近の情勢をすこし調べてみました。
わたしのころはカウンシルマンの教えで、S字プルというのが重要なんだ、という話があって、さらにE.W. マグリシオが「スイミング・ファースター」を出版して、流体力学を元にして、抗力(水中を進む向きに押す力)だけではなくて、揚力(水中を進む向きに垂直にかかる力)を考慮して二つの力のベクトル和で推進力を考える、みたいな図が話が出てて、難しいなあと思いながら読んでいたのです。
わたしがフォローできているのはこのへんまでですが、そのあと、E.W. マグリシオの本はアップデートされて、「スイミング・イーブン・ファースター」になってさらに"Swimming Fastest"(まだ邦訳出版されてない)になっているらしい。
近年はS字プルがいちばんいいわけではない、というのがトピックのようで、上記のスッポン泳法も腕を入れたところで手を伸ばすのではなくて、すぐに肘を立てることで、揚力よりは抗力を優先させて泳ぐという話です。
今回はじめて知ったのは「2軸泳法」という概念で(Swim No.12「クロール革命」など)で、これもこれまでのS字プル+体のローリングという考えにとらわれない発想です。スッポン泳法とともにイアン・ソープはこのやり方をやってる、というのが売りです。
それから、total immersion swimmmingというのはもっと普通の人向けに一掻きを大きくしてよく伸びる泳法を提唱しているもので、わたしの泳法に近いので親和性を感じます。ここは日本の支部もあって、短いムービーがダウンロードできます。このサイトでは2軸泳法との関連をコメントしているところがあります。
いろいろ見てみましたが、もともとの、流体力学の抗力と揚力(さらに水の抵抗)を考慮した上での最適化、というのがどのくらいアカデミックにやられているか、ということに興味がわいてきました。
The Coaches Information Serviceというところにはいくつか詳しい記事があって、"Propulsion in Swimming"とか、Total Immersion Strategies - A Closer Lookとか読みたいものも見つけてきました。おもしろい。
おもしろいけど、ま、泳ぎながら考えることにします。


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