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■ 大脳-基底核-上丘のcomputational model
Nature Neuroscience "Cortico–basal ganglia circuit mechanism for a decision threshold in reaction time tasks" Xiao-Jing Wang。
Rnadom dot motionのコヒーレンスを変えてやって、どっちの方向に動いているかを判断してサッケードで答える、といったperceptual decisionの実験パラダイムでいろいろ実験が行われてきていますが、今回はそれをXiao-Jing Wangが大脳-基底核-上丘の回路を考慮したリアリスティックなモデルを作って説明しようとしています。
そのようなperceptual decisionがどのように行動をmodulateするか、行動選択だけでなく、その潜時も取り扱えるような課題(Roitman and ShadlenのJNS '02 "Response of neurons in the lateral intraparietal area during a combined visual discrimination reaction time task."とか)をモデル化してます。
そういうわけで、これまでのCarpenterのLATERモデルとかRatcliffのモデルとかとは違ったアプローチになるわけですが、生理学者的にはこっちのほうがニューロンの発火パターンと結びつけたりしやすい、というか話は逆で、ニューロンのデータと整合性があるようにモデルが構築されてるわけです。
いきなりここから脱線してもう戻らないのですが、ところで、いまの話は計算論がなにを明らかにしようとしているのか、という問題に関わるので重要です。以前川人先生と小田先生とお酒を飲む機会があったのですが、そのとき川人先生が強調されていたのは、計算論は実験結果を説明できるようなモデルを作るだけでは不充分で、そのなかである計算論的な原理を抽出してくる(このへんの正確な表現は忘れた)ことが重要なんだ、というわけです。これはデビット・マーの3つの理解のレベル: computationとalgorithmとimplementationに基づいた考えです。また、川人先生やWolpertがやっていたような、到達運動がジャークを最小にするのか、トルク変化を最小にするのか、到達位置の誤差分散を最小にするのか、とにかくそういった原理によって到達運動の軌道が決まるのだ、という研究の方向性に深く埋め込まれた考え(computationのレベルでの理解)でもあります。これはpersonal communicationの部類かなと思って以前は書かなかった(040323)のだけれど、著書でも同様なことが書かれているのでよいでしょう。
さて、そのような視点で見ると、サッケードでそのようなcomputationのレベルでの理解をしようとするモデルはあるでしょうか。じつはこれはそのとき川人先生から投げかけられた質問なのですが、今なら私自身の問いとして問いかけることが出来るでしょう。この問いはperceptual decisionのようなcognitiveな話だと難しいように思います。Marrの話は感覚や運動には向く気はするのだけれど、認知ではどうでしょうか。なんらかの最適化の概念が必ず含まれているようにも思えるし。
サッケードの運動としての側面としては、Listingの法則をどうやって実現しているか、という、最近ではDora Angelakiが、以前からもっとたくさんの人がやっている話は近い気がします。そのうち書こうと思っていたのだけれど簡単に。眼球は三つの回転の自由度(horizontalとverticalとtorsion)を持っているけれど、実際に実現すべき動きは球面上を動くような2次元に近い動きであり、自由度が冗長です。そこで、実際の眼球の動きはtorsionを最小化するように、horizontalとverticalの二つの回転軸を45度回してできた回転軸を含む平面上を動く、というやつです。と書いてみて、これはimplementationの問題であることに気付いたり。崩壊。
Sparksのmoving hill hypothesisとかの論争も、… 視覚でのベイジアン的 … (まとまらないのでこのままアップ。)
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- / 投稿日: 2009年06月24日
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