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■ Plaid (Movshon vs. Born)
続きです。図2-4はおまけです。繰り返しますが、あくまで簡素なデモですので、いろいろ正確ではありません。たとえば、図3の赤と緑は等輝度ではないし。
図2
(追記:記述をアップデートさせました。)図2はAdelson and Movshon '82 Natureを元に。格子模様(plaid)が一つの固まりとして動いて見えるか、それとも二方向に独立して動く縞模様(grating)として見えるかどうかはいくつかのパラメータに依存しており、図2のように縞模様のコントラストが方向によって違うときには独立した二方向の縞模様として見えることを報告しました。なお、のちにStoner and Albrightは'98 Vision Researchにてこの効果が、コントラストが高い縞模様のほうがコントラストが低い縞模様よりも手前に見えるように脳が推測するためである、とする証拠を提出しています。
図3
図3はKingdom FAA '03 Nature Neuroscienceを真似したものです。輝度変化に基づいた縞模様(黄色と黒)と等輝度での色相変化だけによる縞模様(赤と緑)とを重ね合わせると、手前に色の縞模様が、奥の方に輝度による縞模様が見えて別々に動いているように見えるわけです(輝度による縞模様は川の流れの波紋の影のように見えると思います)。つまり、図2のような見かけの前後方向の知覚がここでは縞模様のパターンが色相によるか輝度によるかの違いによってできるというわけです。著者はこれを脳が格子模様を解釈するときに、実生活での陰の付き方の知識を援用しているためであるとしています。
図4
図4はAlbright and Ramachandran '90 Natureを真似したものです。格子模様が一つの固まりとして動いて見えるか、それとも二方向に独立して動く縞模様(grating)として見えるか、の決定要因としてここで彼らは縞模様が交わっている部分の輝度に注目しています。図3では重なりの部分の輝度をいくつか変えたものを切り替えて示しています。0が一番暗い場合、0.5が一番明るい場合で、どちらとも格子模様は固まって動いているように見えると思います。いっぽう、その中間(0.1-0.3)あたりのどこかでは二方向の縞模様が独立して動いているように見えるところがあると思います。これはこの中間の輝度では、重なり部分が透明になっているように脳が解釈しているためである、というわけです。ガラスの向こうに景色が映っているように解釈する、というわけで、つまりは脳はこのような格子模様を解釈するときにそのような知識を援用している、というわけです。