« Lab Beer | 最新のページに戻る | plaid (Movshon vs. Born) »
■ Nature Neurosceince 2月号
- "Invariant computations in local cortical networks with balanced excitation and inhibition." Mriganka Sur。V1のSimple cellのorientation tuningが刺激のコントラストによらず一定のwidthを保っている(gainだけが変わる)というcontrast invarianceの問題というのがずっと議論されてきています。なんでこれが問題なのかというと、もし単純なモデルで、単にいろんな位置の点に反応するLGNニューロンからの出力を足し合わせてそれを閾値で切ってsimple cellの応答が出てくる、というものを想定すると、刺激のコントラストによってorientation tuningのwidthが変わってしまう、つまり入力によって切られる閾値の位置が変わるので氷山の頭みたいなtunin curveになってしまうので実験データにあわないのです。このため、V1内での局所回路による修飾でこのようなinvarianceを実現しているのだろう、ということが議論されてきたわけです。Fersterのin vivo intraでのstochastic resonanceか?って論文(Science)もこの問いに答えるためのものでした。つまり、この議論はV1 simple cellのorientation tuningがLGNからのfeedforwardの入力だけで決まっているのか、それともV1内での局所回路による修飾が不可欠なのか、という議論と直結しているわけです。んで、今回の論文では「局所回路の結合が興奮性、抑制性ともにanatomicalにランダム=等方性になっている」ことによってこれが実現されている、というのですな。このあいだのHenry MarkramのPNASとも関係してくる様子。
- Nature Neuroscience 8, 123 (2005) "Editorial: Running the numbers" Editorialにて、Nature Neurscienceの投稿者へのinstructionに統計のガイドラインが付いたことに関して書かれてます。以前JNPの統計の使い方のガイドラインがアップデートされたときにまとめを作りましたが(20040816および20040817)、それと比べるとほんとうに最小限のことだけで、(1) 多重比較でtype I errorの調整をする、(2) データの分散が正規分布の仮定を満たしているかどうかチェックする、(3) サンプルの数が少ない(10以下)場合にはそのサンプルサイズで有意差検定をしていいというjustificationが必要、とどれもがあたりまえのことばかりです。あ、チェックリスト(word文書)は重要ですな。
- "Is the extrastriate body area involved in motor actions?"
- "Using visual direction in three-dimensional motion perception."
- "Dynamics of motion signaling by neurons in macaque area MT." J Anthony Movshon。今度採りあげるネタはこれにするので、また次回。
- "Striate cortex (V1) activity gates awareness of motion." Vincent Walsh。これに関してもScience. 2001 Apr 20;292(5516):510-2 "Fast backprojections from the motion to the primary visual area necessary for visual awareness." Pascual-Leone A, Walsh VおよびNeuroreport. 2000 Sep 28;11(14):3269-73 "Magnetically induced phosphenes in sighted, blind and blindsighted observers." Cowey A, Walsh Vと併せていつかは採りあげましょう。
というわけで当分は採りあげるネタには困らないのではありますが。