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■ 論文コメントのデータベース化
昨日のつづきで書くと、私がぼんやりとやりたいと思っていたことは、論文へのリンクと私および皆様のコメントのデータベース化をしたい(リンクだけのリストをジャーナルごとに作る、とかコメントのある論文のリストを作り、私および皆様のコメントが日にまたがっているときはそれを時系列的に並べて一つにできる、とか論文のリストにそれについたコメント人数や行数が書いてあって興味のある論文のリンクを開くとそのコメントが読めるようなものにするとか)ということのようです。そうするとCMS(Content Management System)でやるべきことのようにも思えてきました*1。オープンソースのコンテンツ管理システムにはZopeやらXoopsやらMamboやら(いろんな種類の)Wikiやらがあって、そのへんの活用で考える範疇であるらしい*2。
うーむ、私自身がそこまでやるつもりはないけど、どこかでそういうことを考えている方はいないもんでしょうか。たとえば、このサイトのような論文コメントサイトは分野は違えどいくつかあって、そういうのが全部集約されてデータベース化すれば、メジャーな論文に関しては誰かがどっかでコメントしているようになって、(RSS Aggregatorとかで購読できるような)科学者のポータルサイトとしてかなり必須な存在になるのではないかと(faculty of 1000と連動すればさらに言う事なし!)。じっさい、そのようなデータベースの構築はfaculty of 1000が目指しているようなジャーナル単位ではない論文単位での評価システムの構築という役割を草の根レベルで実現しようとするムーブメントともなりえるわけです。また、そのようなポータルサイトができてそこで個々の論文にコメントや評価できるシステム(アマゾンのようなイメージで)ができれば、いちいちサイトを作って毎日更新したりするつもりはないけれど、この論文については何か言っておきたい、という方による寄稿も集積できるわけです。さらにアマゾンを参考にすれば、ある論文やある論文コメントが役に立ったか否かを投票するシステムをつければもっと気軽に参加するシステムが作れます。
コミュニティの役に立って、しかも焦点を絞った広告収入が望めるかも。誰かベンチャーでそういうのやってみませんか? 市場が小さすぎますかね? たんなるジャーナルの目次とリンク配信サービスなら今でも出版社ごとにはそれぞれあるわけで、それをすべて集約して読者の分野ごとに振り分ける、このへんはGoogleニュースを参考にすればすぐにできそうです。さらに論文コメントによって付加価値をつける、というわけです。じっさいにはそういう情報発信サイトがもっと増えること、情報の集積がしやすくなること(xmlとかで?)、読者の分野によってその情報を選別できること、などがあってやっとその付加価値が生きるわけですが。
いま書いたことは以前から書いていること(20040117, 20040330, 20040531, 20040702)の焼き直しというかもっとどういうシステムが必要なのかということを少し考えて具体化させたということです。まだ夢物語ですな。だいいち、日本語でやる意義がないし。
いや、そうでもないか。>>日本語でやる意義がない。やっぱり夢物語なわけですが、それはこういうことなんだと思います:以前書いたようにおそらく英語圏にはこういう論文へのコメントサイトみたいなものがあまりないようなのです。あったとしても一般向けのものであって、科学者向けのものではないようです。これはつまり、あっちの人たちはそんなコメント読むより論文の要旨を読んだ方が早い、あまりcriticalなことを言おうとすると論文の著者とのあいだで問題が起こりそう(事実誤認の可能性、それから論争を惹き起こしそうな部分についてはかなり理論武装してから論争しないと逆に足元をすくわれるし、しかも充分正当性があるのだとしたらNatureでもScienceでも通信欄に投稿した方が実効性も高い)ということがたぶんあるのでしょう。このへんは推測に過ぎないのだけれど、そういうわけで英語圏も含んだ形でやるのはあまり意味がないし、いっぽうで、日本語圏だけでやるには人口が少なすぎる。そしてなによりも、科学の専門化の弊害で、Nature,Scienceに掲載されるような一般性の高い論文以外はほとんどそれぞれの分野の人しか読まないし評価もされないのでそんな論文をいちいち評価して公開しなくても、関係ラボとのあいだでコミュニケーションが取れていれば十分、ということになってしまうのです。もちろん、なんかそういうのに対してなんかしてみたい、というのが今日書いたことの動機の一つであるわけですが。
*1:とはいえ、movable typeもCMS的に使えるらしい:"Movable Typeスタイル&コンテンツデザインガイド―コンテンツ管理システム(CMS)ツールとしてのMovable Type活用術&実践サイトデザイン術" これを買いました。タグを駆使してテンプレートをいじるところでいろいろできるということのようです。まあ、スタイルシートのインポート失敗しているやつが言うのもなんですが、このぐらいならできそうです。ぼちぼちやってきます。
*2:で、調べてみたのですが、Zopeはpython上で動くプログラムだけれど、cgiとかではなくて本当にプログラムなので、これを運用するにはレンタルサーバーではなくて自分でサーバー立ててやることのようです。そこまでするつもりはない。
# kami
こんにちは。はじめまして。kamiと申します。そうですね、pooneilや一時期のガヤさんのようなレビューってとても参考になるんですが、それをもうすこし一般化したシステムってのはあってもいいですよね。一応、私もそのような考えから、以下のサイトを運営しています(このところは、更新が滞っておりますが・・・)PHP-NukeというCMSを使って、オンライン上のジャーナルクラブや論文レビューなどを試験的に行っています。http://study.s48.xrea.com/index.phpぜひ、コメントなどいただければ幸いです。
# ryasudakamiさん、よいアイディアですね。私もそのうち茶々をいれようかと思います(まだ書き込み方とかよくわかっていない)。個人的には、科学の議論は、英語のほうがいいのでは、という気はしないでもないのですが。日本語訳の手間が省けますし。
# pooneilkamiさん、どうもありがとうございます。拝見しました。なるほどこれはもう運営可能ですね。すばらしいです。私自身としては上でも書きましたが、情報発信者のフォーラムにするよりは各地で独立して運営している情報発信者がだんだん増えていってからそれを集約するサイトができて、そこにフォーラムができてくる、という順番の方がよいかと考えております。(実際問題、私はいま自分のはてなで書いていることをこのフォーラムにコピペさせていただいたり、フォーラムでの書き込みに重心を移させていただいたりするかといったらそういうつもりはないわけです。)この点で私はid:cogniさんのhttp://d.hatena.ne.jp/cogni/20041111#p6に賛成です。とはいえ、私自身はgardenerさん(http://www.sgtpepper.net/garden/diary/)やガヤ(http://www.hippocampus.jp/diary/)のサイトを手本にして書き始め、そういうサイトが増えてゆけば自然発生的にそういう流れもできるのではないかと期待してこの一年くらいはてなを続けてきましたが、現状では正直なところそういうサイトはあまり増えてきていないという印象です。そういうやり方では難しいのかもしれませんし、時期尚早なのかもしれません(あきらめてはいません)。というわけでkamiさん、ryoさんのフォーラムが発展していったらいいなあと思います。わずかでもお力になれたらと思います。かなり硬いこと(まるで仕事か義務かのよう!)を書いてしまいましたが、このサイトとしては、自分が楽しめることを第一義として、義務にせず楽しみながら内容を充実させて、このサイトを楽しく読んでくださる人が増えてゆく過程で、情報発信を通じたコミュニケーションが成立するのを期待する、というスタンスでこれからもいくつもりです。
# kamiryasudaさん、pooneilさんコメントありがとうございます。英語のページは考えたのですが、まずは日本語(日本向け)でいこうかなと思ってます。そうですね。確かに、今の研究者ブログが増えて、気楽な論文紹介や、実験に関しての議論(もちろん、研究機密外ですが)というのは、読んでいてとても参考になります。そして、もっと多くの人たちで、ブログコミュニティーが発展していってほしいと思います。それと同時に、やはりブログを立ち上げるまでもない(時間・手間が取れない)人たち向けの、気楽なコミュニティーサイトというのもあってもいいのでないかと考えました。管理も共同で負担を減らして、個人を前面に押し出さない形でポータルサイトがつくれないものかと。そんな感じで運営していこうかなと思います。ryasudaさんや、pooneilさんのブログが発展しつつ、紹介のサイトも補完的な役割が果たせればと願ってます。
# pooneilどうもありがとうございます。なんかうまく連動する仕組みが作れるといいのかなと考えました。