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■ Sommer and Wurtz関連

このあいだのセミナーで関連論文が採り上げられてたので整理しておく。
Science '02 "A Pathway in Primate Brain for Internal Monitoring of Movements."で、上丘から視床のMDを通ってFEFへとcorollary dischargeが帰ってきていることを示唆した。何よりよいのはFEF->SCの向きはintactなままでSC->FEFの向きだけMDへmuscimolを注入することで止めることができるために、主張が強くできるところだ。SCやFEFへの注入ではそうはいかない。これが以前さかんに調べた内部モデル関連の話のサッケード系のアナログだといえる。これがsequentialな運動のplannningに使われていることは示されたわけだが、これが視覚像自体をmodifyしている可能性は残る(presaccadic remapping的なことが起こっているかどうか)、とScience論文の最後に書かれている。で、これの続報というかfull paper化したものがJNP '04の連報の
"What the Brain Stem Tells the Frontal Cortex. I. Oculomotor Signals Sent From Superior Colliculus to Frontal Eye Field Via Mediodorsal Thalamus."
"What the Brain Stem Tells the Frontal Cortex. II. Role of the SC-MD-FEF Pathway in Corollary Discharge."
として出てきた。
連報IでMDから記録して、上丘からorthdromicに刺激され、FEFからantidromicに刺激されるところを同定。
連報IIで同定したMDにムシモルを入れて、double step taskがどう影響を受けるかを調べた。
このネタで書いたレビューが
Current Opinion in Neurobiology '03 "The role of the thalamus in motor control."
および
"Identifying corollary discharges for movement in the primate brain."
前者では視床を通ってmotor関連領域からcortexへ帰る三種類の経路について議論している。(1) 小脳 -> VPL/VL ->M1/PM (2) globus pallidum/SNr -> VL/VA -> SMA (3) 上丘 -> MDmf -> FEF。で、彼らの実験では(3)の経路について検討した。
で、上丘からFEFへ帰ってゆくのが順キネマティクスで小脳からFEF(?)または上丘へ帰ってくるのが順ダイナミクスであるとすると尤もらしい。これこそCOEシンポで川人先生と話をしたときに出てきた、眼球運動系でのダイナミクス系の回路への解答なんだと思う。また、逆モデルと順モデルとがカップルせずにそれぞれが別経路を通ってるかもしれない、という意味で重要と思われる。
Sommer自身は前者の論文のConclusionで、(1)がvisually-guided eye movementに、(2)がinternally generated eye movementに関わっているかどうか(arm movementで示されているように)検討すべきであるとしてまとめている。
WolpertはCurrent biology '02 "Cerebral Carbon Copies."でScienceについてコメントし、(3)の経路について、サッケード中の眼球運動の位置を予測するのに使われている、としている。
後者は入手できなかったので読んでない。
ほかにこの著者の論文へのコメンタリとして、
"Seeing and Acting at the Same Time: Challenges for Brain (and) Research."
"Neurophysiology: Cerebral Carbon Copies."
がある。


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