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■ 駒場講義2017「意識の神経科学:盲視・統合失調症・自由エネルギー原理」準備中
恒例の駒場講義もいよいよ来週の6/21(水)13:00-16:40 (@駒場キャンパス15号館1階104講義室)となりました。 タイトルは「意識の神経科学:盲視・統合失調症・自由エネルギー原理」。 例年通り準備状況をブログにアップロードしてゆきます。
これまでの準備の様子はブログに掲載してます。
今年の方針ですが、昨年のものから神経現象学の部分を除いて、 イントロで少し言及するだけにして、 その分1月に北大セミナーで話した 「アクティブビジョンと フリストン自由エネルギー原理」 の内容を盛り込んで後半を充実させようというものです。
アウトラインとしては以下のかんじ。まとめ記事口調で作ってみました。
[Part 1]
- 意識を科学的に研究するってどういうこと?
- 「意識は定義できないから科学の対象にならない」というのは正しくないよ!(サール)
- 「意識」という言葉で指している対象が共有できていれば充分。(サール)
- 「意識のハードプロブレム」という問題群があるよ!(チャーマーズ)
- ハードプロブレムは「回帰する擬似問題」だって!(山本、吉川)
- だからこそ「人が意識を科学的に理解する仕方」そのものを拡張してゆく必要があるよ!
- そこで経験の構造と一回性を重視する「神経現象学」を紹介するよ!(ヴァレラ)
- だから今日は意識経験自体の構造とか変容に注目した研究を紹介して行くよ!
- 現象的意識とアクセス意識を分けて扱う考え方があるよ!(ブロック)
- 脳損傷の症例からは意識経験にも様々な形があることがわかるよ!
- たとえば「知覚のための視覚」と「行動のための視覚」は脳の別の部分を使ってるよ!(グッデール)
- 盲視の症例では現象的意識だけ欠けているようにみえるよ!(ヴァイスクランツ)
- 盲視は動物でも再現できるよ!つまり「見えない」ことを行動的に示すことができるよ!(コーウェイ)
- 盲視動物で「見えないこと」を示すためには信号検出理論を使うといいよ!(吉田)
- 盲視動物は視覚サリエンスが使えるよ!(吉田)
- 我々人間でも意識経験と視覚サリエンスが並行して処理されてるかも!(吉田)
- 意識が受け身の反応ではなくて行動とのループで作り上げるものという説があるよ!(ノエ)
- この説を使うと盲視で起きていることが説明できるよ!(吉田)
[Part 2]
- 意識は受け身の反応ではなくて環境への働きかけで成立するという考え方があるよ!
- 同じ考え方はフッサール現象学にもあるよ!
- 脳が仮説を作ってそれを検証することで知覚を構成するという説があるよ!(フリス)
- 視覚サリエンスはこの考えからベイジアン・サプライズとしてモデル化できるよ!(イッティ)
- ヘルムホルツの無意識的推論も同じ方法で「予想コーディング」としてモデル化できるよ!(ラオ)
- ベイジアン・サプライズは予想コーディングでの予測誤差そのものだよ!(フリストン)
- 予測コーディングを行動に拡張したものがactive inferenceだよ!(フリストン)
- 知覚、行動、注意、価値、みんな自由エネルギー最小化で説明できるって!(フリストン)
- 自由エネルギー原理 (or予測処理)で意識も説明できるって!(ホーウィ、クラーク)
- 統合失調症では自己、世界に対する意識経験の変容が起きているよ!
- 統合失調症で起きていることが自由エネルギー原理で説明できるよ!(フリストン)
- 統合失調症での妄想、幻覚はサリエンスの経験の変容で説明できるよ!(カプア)
- 統合失調症での視線は視覚サリエンスの変容で説明できるよ!(吉田)
- 統合失調症での視線はベイジアンサプライズの変容でもっと説明できるよ!(吉田)
- 統合失調症のサリエンス説と自由エネルギー原理説は同じことを言ってるんじゃね?(吉田)
口調はウザイが大体合ってる。これが講義で話したいことのエッセンス。
ひきつづきハンドアウトとスライドもアップロードしてゆく予定です。乞うご期待。
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- / 投稿日: 2017年06月17日
- / カテゴリー: [視覚的意識 (visual awareness)] [駒場学部講義2017]
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