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■ 研究メモ: 主にサリエンシー関連 (20150429まで)

MMNというのは本質的にはoutlier detectionであって、視覚でいうサリエンシーと同様注意に関わる現象である、という言い方をすると誤解が生じることがわかった。事象関連電位の人にとってはMMNはpreattentiveで、P300がattentiveだから。

つまりこれは注意の研究の二つの流れの話(トリーズマン方式のpre-attentive vs. attentiveとポスナー方式のbottom-up attentionとtop-down attention)を混同しないようにする、というのがポイントだったのだ。

より正確に言うならば、視覚にも聴覚にもサリエンシーはあって、視覚での空間的なサリエンシー(サリエンシー・マップ)+時間的なサプライズ(ベイジアンサプライズ)、聴覚での空間的なサリエンシー(まだ充分モデル化されてない)と時間的なサプライズ(time-freqで計算される)とがある。

それぞれの時間、空間特性の違いがあるということ。そしてMMNに記憶の要素があるというのは、あくまで自動的な過程であって、そういう意味では視覚でのIORに記憶の要素があるのと対応している。

あとは視覚だと目が動いてその履歴に依ってmotorのIORが出てくるわけだけど、P300でやっているようなselectionのときにはselectionの行動自体が顕在化しているわけではないので、sensoryなIORに対応したものがあるはず。このへんまで考えてみると、視覚でいうovertなIORとcovertなIORの関係が聴覚ではどうなっているんだろうか、とかその辺に興味がわく。

いやいや、IORとtemporal surpriseはべつものなのでそれを混ぜるとわけわからなくなる。そこは取り消し。以前やったシミュレーションの結果を使って、聴覚oddball課題の視覚アナログ(赤丸->ブランク->赤丸->ブランク->青丸)とかを計算してみればよいのだな。


以前の@ksk_S さんとのやりとりを見なおして"The entropic brain"を読んでたら、ここでもサリエンシーネットワークが出てきて、SOCとE-I balanceとネットワークのカオスとサリエンスネットワークとフリストンとオートポイエーシスと解離症状と精神症状のサリエンシー仮説とベイジアンサプライズとIIT ver.3が全部つながって、居てもたっても居られなくなってきた。

今年の駒場講義(6/10 「意識の神経科学:「気づき」と「サリエンシー」を手がかりに」)で部分的にでも盛り込んでみたいけど、自分で手を動かしてシミュレーションするか、相当深く論文読んでから出さないと迫力出ないので、もう少し練っておく。

去年も同じようなこと言ってたけど、けっきょくactive inferenceの図を作るところまでだった。自分のブログ記事見なおして思ったけど、IITの勉強はぜんぜん進んでないな。


Change deafnessという現象があることを知った。Change blindnessの聴覚バージョンということだな。ふつうに考えたらサッカードによるchange blindnessはvisionのstabilityを作るために貢献しているものだろうから、change deafnessにおいてはサッカードは寄与しないように思える。auditoryでは関係なさそうだ。いっぽうでもしchange blindnessとchange deafnessの両者に上丘が関わっているのなら、change deafnessにおいてはッカードが寄与するということがあってもよい。

さらに説明文を読んでみると、“Conscious change detection was correlated with increased coupled responses in the ACC and the right insula”とある。おー、ここでサリエンスネットワークとつながった!イイね!


会議だとポンチ絵をそのまんま貼り付けたようなスライドが出てきて、手抜きで悪だなと思うけど、あれはあれで意図がある。ああいうのは説明者は全部説明しないし、オーディエンスは話半分で聞きつつスライドと手元の資料をざっと見して自分に関連する部分に質問するとかそうやって使うもんなんだろう。

分野間連携的な場面で発表するとどうしても「このようなことを言うのは釈迦に説法ではございますが」と言いたくなるが、本当に釈迦に説法だったらそもそもそんな説明入れないし、「いましゃべっている文脈でこれまでによく知られていることを捉え直します」という意味なら言い訳せずに説明したい。ほんとうにできているかと言われると自信はないけど。

最近だんだんその種の会議に参加するようことが増えてきて、忙しい先生方が手抜きしつつもツボははずさないで説明する場面を見ることが増えてきたので、自分自身のプレゼンの作成方針や指導方針などとのすり合わせを意識しながら考えたことをちょっと文章化してみた。


EnChromaがどうやってprotanopiaを補助しているかというと、この会社のサイトに詳しく説明が書いてあるけど、L錐体とM錐体との感度の差が大きい波長だけを通すフィルターを使っている。

だからL錐体とM錐体の感度が完全に重なっている人だとこのメガネは効果がないが、そういう人はprotanopiaのうちの20%以下だとしている。あくまでフィルターだから、短波長の色を提示したときの経験を超えることはないわけで、たとえば私がこれをかけてLCDモニターを見ればCIE空間上の三角形よりも広い(でもCIEの閉曲線のなかを超えない)ところの色を経験することができるはず。

以前DKL空間とかで計算したときの方法を使えばDKL座標での値を計算することができるだろう。ここで議論されてる。


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