« スマートピル関連 | 最新のページに戻る | さうして、このごろ 20130228 »

■ 統計的因果推論

統計的因果推論ノート:「正しいセカイの切り取り方」 これ楽しみ。「ラットの因果推論」読んだときにこのへんは参照した:相関と因果について考える:統計的因果推論、その(不)可能性の中心および確率と因果を革命的に架橋する:Judea Pearlのdo演算子

その文脈でさっきのfMRI is not an inherently correlational methodを見るならば、ここで書かれている「二つの観察変数の間の相関をみるのは相関的方法であり、片方の変数を操作して(独立変数)、もう片方の変数を観察(従属変数)することによって見つかった相関は実験操作が因果的に引き起こしたものであると言える」という言明は正しい。

でも統計的因果推論の立場からは、実際には[グループA: 操作あり(実データ)-操作なし(反実仮想)] [グループB: 操作あり(反実仮想)-操作なし(実データ)]という欠測値のある2*2を見ているということがさらに付け加わるらしい。前者はp(y|x=30)であり、後者はp(y|do(x=30))となり、実験計画法的にconfouding factorがないようにしてcommon causeとかをなくすことで、「バックドア基準」を満たすようにする。

とかそういうことを前回調べたときに理解したのだけれども、正直まだよく分からなかったのが、いつでも変数をsetできるわけではないんじゃなかろうかということ。

因果推論の論文を読んだときに「注射をしてXの血中濃度をyy mg/mlにする」なんて書いてあったけど、血中濃度なんてホメオスタティックに変わってしまうし、これはあんまいい例ではないのではないかと考えた。

話を戻すと、統計的因果推論の立場から考えるならば、視覚刺激A提示と視覚刺激提示無しという実験操作を加えてfMRIで活動を見ることと、TMS刺激ありとTMS刺激無しという実験操作を加えてfMRIで活動を見ることとは、因果推論のレベルから見ると形式的にまったく同じであると言える。

だから、TMS(nhpならelectrical microstimulation)が「因果的である」と言う場合は、端的に「脳内への直接的な操作、介入」が「行動に影響を及ぼす」ということを意味している。

視覚刺激だって行動に影響を及ぼすのだけれども、そういうときの関係は「因果的」というよりは「contingencyを変える」というように捉えられるため、「因果的に行動を引き起こした」という言い方はされない。

でも実のところ、TMSだってelectrical microstimulationだって、力学的因果で行動を引き起こしているのではなくて、contingencyを操作しているに過ぎない。ただし、筋肉を刺激する > M1を刺激する > 連合野を刺激する > 視覚野を刺激する、と因果的関係の強さにグラディエントがあるために、これらの違いが曖昧になっている。


お勧めエントリ


月別過去ログ